とりあえずここは正倉院。かぐやが頑張って色々手を回してくれたおかげで私の本体が眠る宇宙船は戦火を免れている・・・が
このままは流石にマズイ。具体的に言うとこのままずっとこんな所に放置されるとかぐやの記憶にある「月見ヤチヨ」の仕事ができない
私とかぐやが融合した時、かぐやの記憶や知識も同時に継承された。・・・というか私自身がかぐやの考える「月見ヤチヨ」に変質した感じだ
歌って踊れて分身もできる仮想世界ツクヨミの管理人でありトップAIライバーで自称8000歳と随分盛りまくってるが・・・実際出来るんだよなぁコレが
歌も踊りもかぐやの記憶と経験が教えてくれたから出力装置があればいつでも披露できる。
分身だってやろうと思えばできる・・・が、今は意味無いな。8000歳はガチで8000年生きてるからなぁ
ラジオ放送が始まって数十年が経過。世界大戦はとっくに終結し、日本は敗戦処理を終えて昭和中期。
私はウミウシのFUSIの視点を通じて日本を動き回る中である人物と出会った。
CIA職員の若い男性、人呼んで「ワインおじさん」だ。
出会いは偶然だったが、なんだかんだで話が合って意気投合しちょろっとかぐやの記憶から未来のサブカルチャーの話や大昔日本の歴史について話すと真面目に聞いてくれたし、私が8000歳と言ってもバカにもしなかった。
代わりに彼の事についても仕事の邪魔にならない範囲で悩みを聞いたり相談に乗ってあげた結果、しばらくして彼は日本での仕事が成功したらしい。
「ヤチヨ。何かお礼がしたいのだが・・・個人的にできる事なら協力させてほしい」
そう言ってくれたので、私は彼を頼ってあるお願いをした。
正倉院に保管されている「もと光る竹」を盗み、私を電話回線に繋いでほしい。
もっと欲を言えば、安全な部屋があれば最高だと。
原始的なネットワークだが、電話回線に繋がるだけでも自由度は大きく跳ね上がる。
「・・・いいだろう。少し作戦を立てよう」
彼は数か月かけて工作を行い、正倉院が大改修をする隙を突いて潜入し、もと光る竹をあらかじめ用意した偽物とすり替えてくれた。
そのまま彼は自分が日本で使用していた部屋をそのまま私にプレゼントまでしてくれた。
「良いワインは時間が経つほどに味が深まるんだ。悪い事ばかりじゃないさ」
彼が帰国する際、去り際にそうアドバイスを残してくれた。
☽
彼を見送った後、電話回線を通じて私は世界を聞いた。
多くの人々の声から様々な情報を集め、FUSIに頼んでガラクタ品をかき集めそして昭和後期にて私は・・・
「地球の皆さんこんばんわ~♪宇宙人系ラジオシンガーのルナだよ~♪」
ラジオパーソナリティの仕事を始めた。
FHSIの身体でガラクタからラジオ放送用に基盤を作り、電話回線を通じて電波アンテナに干渉。
空いている周波数に勝手ながら間借りさせてもらった
これはある意味で「ヤチヨの予行演習」の為でもあり、資金調達も目的に入れてある。
昭和に流行った歌謡曲などのカバー曲で歌唱力を磨き、その裏でリスナーからのはがきや手紙でのやり取りでコミュ力を磨く。
その裏で、電話や電報を駆使して企業案件で販促ソングの作曲や歌唱力を売り込む。
正体不明のシンガーソングラジオパーソナリティだが、昭和時代においてはラジオはまだ十分強い影響力があったし、資金調達で口座金額を増やす。
ラジオ放送の仕事は実体を持たない私にとってはかなりやりやすい仕事だ。なにせ、電波放送に細工をすれば後は声だけで何とかなるんだから。
ぶっちゃけるとあんまりお金にはならなかったけど、ここでの私はアーティストとして大きな成長の機会を貰えた。
宇宙人系ラジオシンガーという自称はちょっと時代が早過ぎたかもしれないけど気にしない!
そんな感じでラジオ放映を勝手にやっていると、ある時に心象世界にいるかぐやに呼び出された。
どうやら数十年でかぐやの心が少しづつ落ち着いたらしい・・・が、金髪だった髪が白くなっている。
「ヤチヨ。ありがとう。かなり落ち着いた」
「気にしないでかぐや。そうだ!ラジオ放送始めたのは知ってるよね?実はグ〇コのお菓子の販促ソングをラジオで歌ったんだ!」
「マジ!?」
「それとねぇ~」
そんな感じでかぐやの人格は表に出ないが私が体験した事や周りの出来事を色々話す。
この会話は今後2日に1回行う事にし、かぐやもこの心象世界にてずっと彩葉の歌を思い出しながら、彩葉へ向けた返事の歌を作曲していた。
「やちよ。いつかツクヨミができたらさ・・・届けてよ」
「・・・良いよ。でも、ツクヨミができたらさ、時々かぐやも歌ってよ。やっちょってばすんごく忙しくなりそうだし」
分身もできるならその分身にかぐやの人格も乗っけられるはずだ。えーっと今は1990年くらいだっけ?
・・・あれ、あと40年しかなくない?時代の流れ早くない!?
え、あと40年以内にツクヨミ作らないとダメ・・・!?え、マジで!?
「か、かぐや!ツクヨミ作るの手伝って!?やっちょだけじゃ手が足りないんだけど!」
「えぇ~~~ッ!?」