ヤチヨ憑依譚   作:銀一

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黒歴史は何千年経っても認めたくない

仮想世界「ツクヨミ」のサービス開始から3年後の2030年。

それまでに多くの出来事があったけど、ぶっちゃけこれから起こる出来事に比べれば些事なので割愛。

ダイジェストに言えばブラックオニキスが結成されてツクヨミ主催のゲーム大会を総なめしたり、忠犬オタ公さんを公認ライバーとして「ニュースツクヨミ」って番組を任せたり、やっちょも去年ゲーム大会に参加したり、やっちょの売り出したシングルアルバムのサブスクがランキング入りしたり、彩葉が独り暮らし初めたり、彩葉が推し活を始めてくれたり、ファンサしたり、彩葉がゲームで活躍してたのでこっそりふじゅ~を投げたり、頻繁に配信したり、温度や味覚が無い事に涙を流したり、あと6月を過ぎたあたりでツクヨミの登録者数が1億人突破したり、まぁ色々ありましたね~

 

そして7月。心象世界でかぐやと最も重要な2か月を話し合う。

この時間軸にやって来るかぐやと彩葉の2か月の思い出、それがハッピーエンドに到達するための重要な日々。

あの短くも大切な記憶があったから、私という人格の助けもありながら彼女は理性を保ち続けていた。

そして、あの体験はかぐやの人間性を大きく成長させた重要な思い出でもあった・・・

月には無い自由の楽しさを知った。月では味わえなかった感覚を得た。大切な人を気遣う事。自重も覚えた。責任の大切さも知った。

わがまま放題で自由奔放だった自分が自分よりも大事な物を見つけた。

 

かぐやの大切な記憶。それを損なわせない為にも、ここから2か月は慎重な行動が必要になる。

 

「でも、ヤチヨカップ開催中は正直やる事ってほぼ無くない?」

「それ言っちゃうとおしまいじゃない?」

 

うん。ぶっちゃけるとやる事は配信以外ではあんまり無い。

強いて言うなら集計用のプログラムを組むくらいだけど2時間で準備終わったし、FUSIにも協力してもらってヤチヨカップ告知の手配はもうすぐそこだ。

 

あとは、この時代のかぐやが月から落っこちてくるのを待つだけ。

 

そして7月のとある3連休を目前にしたある日。

かぐやの知っている通り、バイト漬けの限界ギリなめちゃ頑張り彩葉の帰り道。

念のため枝を付けた天体観測カメラで流れ星を観測。・・・あれがこの時代のかぐやだね

 

よし、いっちょ行ってきます!

 

送電塔に直撃し、情報体となったこの時代のかぐやを追って私も電線を通じて追跡開始。

彩葉の住む住宅地付近に到着すると・・・いた!あんなところで右往左往してるのを見っけたので手を引いて誘導を開始

 

「□□□?」

 

あぁ月言語・・・だと不便だし、私に出会った事を話されるのは少し不味いね・・・よし。

彩葉の住むアパートの電柱に到着したので、現代かぐやにはここに居てもらう。

 

そして

 

「FUSHI。お願い」

『分かった。いくよ~~~!!!』

 

FUSHIに頼んで現代かぐやの記憶を消した。

これも必要な事だからね。とりあえず私に会った事は完全に忘れてもらい、月での思い出も朧げになってもらう。

その結果、彼女は赤ちゃんになっちゃったが・・・まぁこれも歴史通りだしヨシ!

 

 

さて、彩葉が家路につくとなんと!七色に光るゲーミング電柱なむ一筋ありけり!

 

彩葉が怪しがりて近づくと

 

「ふっ。なんだ幻覚か」

 

いや、幻覚を疑うくらい疲れてるなら休んで!?・・・これから忙しくなっちゃうけど!

私は満を持して現代かぐやの乗っていた宇宙船の機能を使い、電柱に扉を生成

さぁ運命の出会いを___バタンッ!

 

・・・あの。彩葉?なんで閉じちゃうの?あ!分かった!緊張しちゃったのかな?分かるよ~

でもこれは運命の出会いだから。ほらもう一回扉を開けるからね?そー バタンッ

 

 ・ ・ ・ 。

 

あの、彩葉?なんで閉じるの!?なんで抑えるのさ!運命!う・ん・め・い! 変えちゃやだ~~~ッ!

 

「ぐっ・・・力ずくか」

 

押し合いの末にようやく彩葉は観念してくれたので、やっと扉をオープン!

さぁ!運命の出会いだよ!玉のようにかわいいでしょ?

 

・・・あれ?全然嬉しくない?

 

「・・・すまん!でも私、手一杯ですので・・・」

え゛!?

 

ほら、赤ちゃんかぐやが見てるよ!?見捨てないで!?

 

「~~~~~ッ!失礼いたしま_

『あ~~~!もうどうなっても良いんだ!』

 

唐突な酔っ払い!あとついでに犬の遠吠えとカラスも鳴いてる!こんな所に放置しちゃやだ~~~ッ!

 

「・・・流石にここは危ない・・・かも?」

 

やった!やったやった!彩葉が拾ってくれた!

では後はよしなに~~

 

彩葉が赤子かぐやを抱き上げたのを確認し、私は扉を閉じた

 

「え!?ちょ!?お~~い!すみません!お忘れ物ですよ~~~ッ!?」

 

慌てて彩葉が電柱を叩く。

ごめんよ彩葉。これも運命だから。

変えちゃうとタイムパラドックス的なアレでやっちょも困るのです

子育て頑張ってね!

 

「これでは私が攫ったみたいでは!?」

 

・・・ガンバ!!

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