PM:16:00 ---
夕方に差し掛かり、日は傾いて状況は悪化していく
一方。攻撃がより視認し難くなっていく。
しかしながらギルバートは決定打を与えられないまま、
近場の家屋の中に避難していた。破ったコートで左脚を
縛り、なんとか動ける状態だ。
「くっそ…ッ!」
俗に言うプラスチック爆薬であった。
威力は先程のロケランにも並ぶ。そのために防ぎきれず
先程は吹っ飛ばされ、左脚を負傷。更に身体が教えて
くれるに肋骨も数本は逝っただろう。
何より『リモコン起爆式』なのが良くない。
『見て起爆できる』というのが何より有利で、向こうが
優位だという証拠でもある。
最初から場所が分かっていたのだから、きっと最初に
仕掛けて回っていたのであろう。ヘタに動けない。
そして、あのライト。
異常な程の発光を引き起こすあのライトのせいで
先程から近付こうにも眼にダメージを負うばかり。
向こうもすぐには殺しに来ず、ジワジワと詰めてきている。
「(
ギルバートのゴーグルが特に偏光などでもない伊達な
ヤツだから、問題なし。
何の問題もなく、向こうは乱発できるのである。
ヘタに攻めてはライトで眼を潰され、見えない方向から
C-4の爆撃が襲ってくる。かといって守りに徹しよう
とも、この爆撃はセプテンバーでは防げないというのは
確認済みだ。どれほどの
オマケにリタはギルバートの行動パターンを熟知して
おり、確実に…そして着実に行動できる範囲も狭まって
きているのが現状だ。チェスで言うところの…
…『詰み』かも、しれない…?
ハッ… ハッ…
ハ ァ ー ッ… ッッッ!!
「…どうする…どうするどうする…ッ!」
滝のように汗を流し、眼を見開いて
自分の『セプテンバー』でどう攻略すべきか、なんとか
答えを出そうとする。
いや…今、出さないと………『
ギルバートの脳裏に『あの日』の
見えないはずの、それが…
逃れられない『
ギルバートの呼吸が乱れる。震えが、止まらなくなる。
彼の
逃れられぬ自身の記憶は振り返ることを強要してくる。
こんな
「俺が…『
「い、嫌だ…!嫌だ嫌だ嫌だッ!!!」
ギルバートがまるで子供のようにうずくまって震え出した。
子供の頃の思い出に襲われ、
彼のセプテンバーは『振動』を操るスタンド。
それは既に明言されているし、能力に隠された何かなどは
特にない。
………では、何故『振動』なのか。
それは『セプテンバー』が『
蘇る、『
それは決して、良い記憶ではない。
18の時に両親が離婚し、その後すぐに父親は
『ロクデナシ』にジョブチェンした。
そして、それからの『
歯を折られ、腕を切りつけられ、殴られた跡も自力では
治せず、毎日のように血が滲む…そんな、血と結び付け
られた日々。左目には既に後遺症ができ、未だに身体中に
その跡が残っており。それらを隠すように長袖のコートを
常に着込んでいる程の、密度と量の日々の記憶。
実に『7ヶ月』もの間ギルバートは耐え忍び続け…
そして運命の日…彼は父親を、その『手』で殺した。
耐えていた、あの時。
ガラス瓶で殴られ、割れたガラス瓶を見てたアイツが、
更にこちらに向け…眼を血走らせ迫ってきた、あの時。
初めて本気で『死を覚悟した』、あの時。
ギルバートの側に…
『
マフラーを靡かせ、腕が無い、オレンジと白のツートン
カラーのスタンド。それはギルバートの本能のままに
動き、何故か腕の代わりにマフラーを操りビンを止めた。
…そしてそのまま、そのスタンドはマフラーを細かく
震わすとビンを一瞬で溶かしきってしまった。
アイツの眼には驚愕、恐怖。
そして先程から血走っていた眼に更に怒気が上乗せされる。
アイツが次に懐から取り出したのは銃だった。
なんの躊躇いも無く子供である自分に向けて、何の
躊躇いも無く引き金を引いてきた。
それでも、彼とスタンドには届かない。
スタンドは空中で銃弾を止め…
叫び狂う父親の頭をその流れのままマフラーで掴み…
ギルバートは、この『スタンド』に名前を付けた。
『
しており、その期間こそまさしく両親が離婚してからの
7ヶ月。『
そして『
そんな過去を忘れないという、自分への戒めの表明。
それが、ギルバートの『セプテンバー』。
ギルバートは眼を見開く。
己の、
脆く壊れかけのスイッチを、震えていた手で切り替える。
「そうだ。俺は…『助けを求める人』を見捨てない。
この『セプテンバー』が、俺を助けたように。」
その眼に、炎が灯る。
やりようは…ある。
自分を、セプテンバーを信じれば。
さあ、ここからが反撃だ。
【登場スタンド】
スタンド:
本体 :ギルバート・
【挿絵表示】
【破壊力, スピード, 射程距離, 持続力, 精密動作性】
B A B D D
『腕を持たない』、オレンジと白のツートンカラーの
人型スタンド。具体的には肩から先が存在しない。
その代わりに、首元に巻いた『マフラー』を腕以上に
自在に操り、マフラーで触れた物質や空気などを振動
させることができる。
ただし、この『マフラー』は片腕分しかないため、
同時に左右の腕を使うような行動は不可能。
またマフラーが流されるような風の中などでは上手く
扱えない、といった弱点を持つ。