ジョジョの“よう”な冒険   作:星城 丈人

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【 7度目の月 その3 】

 

 

リタは、着実に詰めていたはずのギルバートが倉庫に

隠れ、なかなか出てこない現状に苛立っていた。

 

 

いや、()()()()これは想定通りのはず。事前に仕掛けて

おいた爆弾(設置用)と手に持った爆弾(投擲用)、そして迎撃用のライトで

彼の行動に合わせて攻撃をすればいいのだから。

 

 

 

 

 

ただ想定外なのは…何故か先程からギルバートに()()()()()

()()()()()のだ。奴の『スタンド(セプテンバー)』が防ぎきれないはずの

規模の爆発を、彼の近場で発生させ続けているはず。

 

 

先程、()()考え無しに出てきたと思っていたのだが…

その時からまるでダメージを与えられていない。

与えられていないというより爆発が彼を()()()()()()()

ようにすら見える。

 

 

 

 

 

何故。何故。何故。

 

 

 

 

 

気付けばリタは汗をかき、呼吸が乱れていた。

ペースが乱されたマラソン選手のように、リタの身体を

一気に疲労の波が襲う。在庫(残りの爆弾)もそこまで多くはない。

このまま無駄撃ちするのはなんとしても避けなければ…!

 

 

 

 

 

 

 

『おーおー、ご苦労なこって。教えてやろうか?』

 

 

 

「!」

 

 

 

 

 

 

そこでギルバートが、家屋から出てきた。

 

 

 

 

 

 

『タネは簡単な話だ。俺の『セプテンバー』の能力は

 振動を操るだけじゃあない。その―――』

 

 

 

 

 ズ ド ォ ォ ォ ン ッ ! !

 

 

 

 

 

 

 

目標を確認次第、リタはC-4を投げ込み即爆発する。

ギルバートの話はガン無視である。しかし…

 

 

 

 

 

『いやいや、無駄だよ。ちったァ話聞けって。』

 

 

 

 

 

そこには()()のギルバート。

 

 

 

「ば…バカなッ!!何故…何故効かない!?」

 

 

 

『こう言うのも何だが…思ってたよりオツムがよろしく

 ない感じかアンタ?バーのマスターやってる俺からの

 忠告だ。人の話ってーのはよく聞くべきだぜェ?』

 

 

 

 

 

そう話すギルバートの姿はぐにゃりと()()()()()

 

 

 

 

 

「な…んだそれは。」

 

 

『俺のセプテンバーは『温度』も操れる。複数層の

 超高温の膜を張れれば、こういう芸当も可能なのさ。』

 

 

「お、温度…まさか()()()かッ!?温度差で光の屈折を

 歪ませ私の『距離感』をッ!狂わせた…ッ!?」

 

 

 

 

Exactly.(だいせーかい。)能力は知ってても『副次的な効果』はご存知

 ないようだな。俺のこのセプテンバーはマフラーを

 自在に振動させて、複数の温度の膜を作り上げたッ!』

 

 

 

 

そう話すギルバートの蜃気楼が消える。

正確には能力を解除したのだろう。夜に近付いて次第に

冷えてきた空気が能力によってできた熱い空気を一気に

押し流し、ゴウッと風が吹く。

 

 

 

「うっ!?」

 

 

 

突風の如く吹き付ける風。下の空気がどれだけの温度を

持っていたかがよく分かる。

 

 

当然、その目の前に居たリタは突然発生した突風に

バランスを崩し、転んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

  

そしてギルバートは、その隙を逃さない。

 

 

 

 

 

「『セプテンバー』ッ!!」

 

 

 

 

セプテンバーのマフラーが、高速で伸びる。

狙いは、リタの手の『起爆装置』。

 

 

 

 

 

「しまった…ッ!」

 

 

 

 

バシッと、只の布切れとは思えない精度でリタの手から

装置を奪い取り、ギルバートの手の中に収まる。

 

 

 

ようやく相手の攻撃の手段を無効化できた、そう確信した

ギルバートは高らかに叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よォしッ!!これでようやく厄介な爆弾は無力化

 できたぜ…!ざまぁみ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…などと、油断しやすいよな貴様は。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カ ッ ッ ッ ! !

 

 

「r!!、ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

叫びを抑えつけるかのように…ギルバートの手の中で、

奪ったはずの起爆装置が光を撒き散らした。

 

 

 

 

 

 

「ウッ…ぐぅッ!?」

 

 

 

 

 

 

それはギルバートが完璧に装置を見たタイミング。 

  

勝利を確信した者への下克上の一撃。

 

不意打ちへの、不意打ち返し。

 

 

 

 

 

油断ではなく、彼女は()()()装置を盗られる芝居を

したのだ。

 

 

セプテンバーがマフラーで装置を奪うまさに直前!

既に、リタは装置と()()()を入れ替えていたのだ。

()()()()()この隙は狙う筈だ、という確信を持って。

 

 

そしてそのライトは『遠隔』で起動が可能な代物、

二重のトラップ。それ単体でも、リモコンでも可能な

ように改造されていた。今までは単体で使用して、

リモコンの存在を隠していたのだ。

 

 

そして彼女は躊躇いなくそのスイッチ(トラップ)を入れたのである。

 

 

 

 

 

 

辺りが眩く照らされる…というよりは、最早光の爆発の

ように周囲が光に包まれ、そのまま輝き続ける。

 

 

その光度と熱量はバッテリーを全て消費しきる程、故に

爆弾以外で彼女が持つ唯一無二の手段、まさしく彼女の

奥の手であった。

 

 

 

 

 

勿論、彼女自身も眩い光に眼を灼かれる危険性を孕む。

だがそれでも尚、リタは迷わなかった。

 

 

 

 

 

 

()った…ッ!」

 

 

 

 

 

 

リタは瞑った眼はそのままにほくそ笑み、眼の見えぬ

ギルバートが居るであろう場所へに直接C-4をブン投げる。

そう()()()()()彼女は、例え眼を失い見えずとも音と

気配で相手を狙う事が可能だった。このライトを紹介、

支給された時からそれは覚悟の上であり…ほぼ全てが

想定内、彼女の『作戦』である。

 

 

 

 

 

 

「(しかし正直『蜃気楼』は予想外で焦ったが…)」

 

 

 

「(わざわざ自分から解除してくれるとはなッ!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

「トドメだ『スタンド使い』ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は今度こそ迷いなく起爆装置を起動し、そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 ズ ド ォ ォ ォ ン ッ ! !

 

 

 

 

 

 

 

そしてギルバートはモロに、爆発に巻き込まれた。

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