ワルターは焦っていた。
なにせ、自分の能力の長所をほぼマルッと無効化
されているのだ。当然ではあるしそもそも近場に
人が居る状態で逆に拘束されているようなもの。
「(これじゃヘタに動けねーじゃねーか…!!)」
ちなみに脅威と見ていなかったアリシアによって
こうなってる現状は、ワルターの自信家な精神性
にも少なからずダメージを与えていた。
「(くっそ…!ジョージのノックロとかなら即座に
ブった切って逃げたりも出来るだろうがこれでは…!)」
自分の持ち物ながら、このロープは非力な自分達
ではとてもじゃないが切ることは不可能。
ジョージの
する事も可能なだけに自分の非力さを恨むよう。
「でかしたぞアリシア君!」
恨み節も言えぬままに焦っているとハインツが此方を向く。
「チャンスとはッ!自ら掴むものだからな…!」
アリシアはそう叫ぶと、ハンドガンを乱射した。
ドバッ ドバッ!
ドバッ
「ぐえぇッ!!」
ワルターは咄嗟にスタンド能力を発動しようと
するも、そのままアリシアは付いて来た。
そしてどうしようもないまま弾が発射され、被弾。
スタンドを盾にしようとするも当然パワー不足。
ましてや2人のスタンドほどの防御力も持ち合わせて
いないのだ、スケルトン・キーは身体の一部が崩れ、
ワルターも同じく拳銃のパワーに為すすべもなく出血した。
『ここが貴様の
だなぁ、ワルター・ヴィットマン。』
招くつもりも無かったのに、
もれなく付いてくる。
まるで『厄介な新聞の勧誘か!』とワルターは心の中で
ツッコミを入れつつ、能力を解除する。
「ハインツ!私はこのままコイツを始末する。」
と、そう叫ぶとアリシアは弾が無くなった拳銃を
放り投げ腰裏にあるバッグに触れた。
「この『ロケットランチャー』でな。」
「………いやいやいやいや!?!?!?」
そこから現れたのは明らかに腰のバッグからは
取り出せないような
…いや、そもそも入らない入らない!
よく見れば、アリシアのバッグには謎の『タグ?』
みたいなものがついていて…ジッパー部分にはまるで
歯のような白黒のジッパーが付いている。
そして…次の瞬間。
ゆらり、とそのバッグから『スタンド』が遊離した。
「まっさか…お前もスタンド使いだったのか!?」
「いいや違う。我ら、『懲罰同盟』の戦闘員は全てが
全て…貴様達、この世に蔓延るスタンド使い共を
恨む一般人だッ!」
ガチャリッ!とロープを巻いたまま器用に照準を
合わせるアリシア。ワルターはますます焦る。
「はぁ!?じゃあなんでお前スタンド使ってんだよ!
矛盾してんじゃねーか!」
「いや、違う。このスタンド共は言わば『協力者』。
確かに我々はスタンド使いを憎んでいるさ。
殺したいほどに憎い。だが…有用な
させて貰うさ。
…そこに居るハインツもそう!
貴様を殺すために『協力者』として同行して
貰ったまでだ!」
そのまま、アリシアは引き金に指を掛ける。
こんな至近距離でブッ放せばアリシアも只では済まない。
それなのに、まるで…まるで死を恐れていない。
「貴様を殺せるならこの身、滅びようとも本望!!」
「ざっけんな!テメー
冗談じゃねぇえぇぇえッ!!」
完全に眼が据わっているアリシアと、泣きながら顔を
ブンブン左右に振って拒否するポーズのワルター。
ハインツはニマニマとその様子を眺めながら、同じく
腰裏に付けているバッグから拳銃を取り出した。
「安心しろアリシア君!
トドメを刺すぞ!」
「(ア・イ・ツぅ~ッ!
どうやってこの状況を打開すりゃいいんだ…!?)」
「ああ…貴様は憎たらしいが、その点は信用できる。
共にこの紙屑を
もう発射も秒読み。絶対絶命。
どうするか悩むワルターは自分のロープを見つめ…
「…れしかねぇか…!」 「…?」
ビュアァッ!!
左腕に巻いたロープを解き、先端をそのまま投げた。
「オラァ!!喰らえッ!!ジョージの特別製!!!」
ジョージの能力によって軽く
のだ。幸い距離はそこまで離れていない。
せめてハインツに…!
しかし、無情にもハインツには効かなかった。
「なにっ!?…悪足掻きをッ!」
ガ シ ャ ァ ァ ー ー ン ッ !!
と、このとーりアッサリ『固定』されてしまった。
「…あっ」
「死ね!ワルター・ヴィットマンッ!!!」
そしてロケットランチャーが、発射された。