「さあどうしたワルター・ヴィッッットマァン!!」
ハイになりながらそう吠えるハインツ。
しかし沸騰するような血の滾りとその叫び声とは
裏腹にワルターを真っ直ぐ
『(どうしようもねぇ…!一旦『裏』に…ッ!)』
ワルターは即座に屋根の裏側を経由して、ハインツの
後ろを取って奇襲する作戦に出ていた。しかし…
「後ろを取ろうとしても無駄だァ!
貴様の事はァッ!!」
『ッ!?」
ワルターの能力解除と
狙った位置の弾丸に掛かった圧縮を解除する。
ッ ッ パ ァ ン ッ !!
「…ぐぅあぁぁッ!」
右脇腹に弾が当たり、ワルターが叫ぶ。
彼は咄嗟に右手で抑えるも、その手の合間から
ツーッと血が流れ出てきていた。
ソレをニヤニヤ笑みをこぼしながら見ている
ハインツがサブマシンガンを構える。
見ればスタンドはいつの間にかハインツの下に
戻ってきており、弾倉を交換していた。
「そう、無駄。無駄なのだよワルターァッ!
私のこの『眼』は『
視認できるッ!たとえ貴様がペラペラの紙の
ようになろうともなァッ!」
「 (…!さっきの
そう、ハインツが
今、彼の眼にはまるで
モノだけが
そして同じ様にアリシアは、狙撃するのに便利な
『空気の流れ』や相手を見るのに便利な『温度』と
いったモノを視ていたのだ。
故に…ワルターの位置は彼の逃走開始の時点から
丸分かりになっていたのである。
そして当然、これは只の人間には真似できない芸当。
それを可能にしていたのが先程アリシアに液体を
していたスタンド、『チ
点滴台のようなスタンドかつ小さい、という表記
こそあれ、具体的な描写のなかったこの彼 (彼女?) の
力は懲罰同盟側にかなりの利益を与えていたのだ。
能力は『点眼』。
対象の人物が望む『モノ』を指定すると、ソレが
視えるように…身体をカラカラと揺らしながら
液体を
その『液体』を眼に点眼 (シンプルに言うなら…目薬を
指すような意味)することで対象の眼に新たな『
が追加され、その後はとある方法を取るか解除を
スタンドに申請しない限り、ずっと効果が続く。
その能力は隠されたモノを全てを無視して発見
できるほどで、『一般人』と『スタンド使い』とを
見分けるような仕組みを探していた
喉から手が出るほどに欲しいものであった。
「さっきは突然投げられたロープをつい癖で固定して
しまったことに動揺し見失ったが…こうやって面と
向き合いさえすればもーう逃れることは出来んぞッ!」
ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ッ !
と言いながらハインツは再びサブマシンガンを掃射。
ワルターはそれを
ヒュオンッ!
「…チィッ!」
「な…なーるほど、な…カラコンでも付けてんのか
と思ってたがヤッパリその左眼はあのちっさい
スタンドの能力か…!ヤケに狙いが良いワケだ…ッ!」
ワルターは合点がいった、という表情をしながら
引きつった笑みを浮かべた。やたら一々狙いが正確
なのは
思っていたが…そういうカラクリか、と。
「スタンドを戻してたようで、助かったぜ?更に追加
でバラ撒かれてたら手に負えなくなる所だった…」
「弾は決して無限ではないし、リロードも必要…流石に
サブマシンガンをわざわざ見せびらかして話しかけ
てくるハインツを尻目に、ここでワルターは一度
アリシアを見やった。
まだ彼女はロープを外そうとしていた。
最悪な三拍子が揃ったロープである。
意図的に
ワルター自身もテストで自分に絡めてみたところ、
能力でも付いてくるためあわや脱出不可能になりかけた。
まだ、大丈夫。
ワルターはそう心の中で呟きハインツに集中する。
何より『接近』が難しい、な…
『能力発動時点』の情報しかこっちは分かんねーから
アイツに動かれたらごく短時間の移動でもそのアテが
外れることになる。
加えて、あの『眼』。
地図世界に居る俺も視認できるって事は、遠くからは
ともかく近くだと絶対に見逃してはくれないだろう。
アイツに接近し、倒すためには…
そもそも前提でサブマシンガンを両手に持って
やがるし、そっちに集中してスタンドを放置すると、
先程のように状況も悪化してしまう。
…ちょっとばかりシャク、だが…
まだこちらにも勝機はある、はず…!
そのためにはどうにか…ああ~!オレ様の
あるじゃあね~の…!
『ピンチな時こそふてぶてしく笑う』、そんな
悪癖がここで発揮された。
【登場スタンド】
スタンド:チェンジ・オブ・ペース (気分を変えよう)
本体 :???? (劇中未登場)
【挿絵表示】
【破壊力, スピード, 射程距離, 持続力, 精密動作性】
- C E A -
点滴台のような細い脚と、そこから吊り下がっている
ドングリ型の胴体を持つ小さなスタンド。
2足歩行だが歩く度にカラカラと胴体を揺らす。
能力は『点眼』。
対象が望む要素に合わせてこのスタンドが特別な
液体を精製し、それを眼球やメガネ、コンタクトなど
に点眼することで特別な『膜』を生成させる。
その『膜』は、レイヤーのように特定の要素『だけ』
を強調して見えるようにする効果があり、左右の眼で
別々な物を見ることも可能だが、その分負担も大きい。
このスタンドの名前の由来は『気分転換』。
気分を変えることで、今まで見えなかった物が見える
ようになる…という意味から名付けられた。