PM:13:00 ---
なんとかやる気を絞り出した3人の発言の後、
しばしの時間がかかり…
場所は同じながら、今はもう13時を回っていた。
厨房にとっては昼の忙しい時間が過ぎ休憩に入る
所も多い中、ジョージとギルバートの2人はテーブルに
顔を伏せ完全にダウンしていた。
「見つからねぇ…!!」
「くっ…また逃げられてしまった…ッ!」
ギルバートはシンプルに見つける前に、ジョージは
見つけても即。猫という猫に逃げられてしまっては
次を探すループに陥っているようだ。
ギルバートに関しては猫が敏感に感じ取ってしまう
どうしようもない程猫に逃げられてしまうようで…
「ジョージ、お前やっぱり猫探し向いてねぇよ…」
「お前が言うかギル。そもそもお前は先程から
逃げてる猫の背中しか見られてないだろう?」
「うるせぇッ!面と向き合えば間違いなく捕まえ
られるんだからお前よりゃあマシだッ!」
「痛いとこを突くなお前…ッ!」
「コイツはどうだァ!?」
口論になっている2人が騒いでいると突然
見てワルターは隠すこともせずにほくそ笑みながら、
懐の猫を見せつける。
「ぬおッ…ワルターか。流石だな…どれどれ…」
「お前その出方止めろって言ったろ!心臓に悪いんだよ!」
ケタケタと笑うワルターに対してギルバートが
抗議の声をあげる中、ジョージはビクッとしつつも
猫の特徴を依頼書を見ながら確認する。
【依頼内容:猫探し】
『私の猫を探してほしい。報酬はいくらでも出す。』
『詳細:猫の特徴は栗毛のメス。
赤い首輪の裏にこのマークが刻印されている。
また、首元に一カ所傷がある。要確認。』
…と、依頼書にはマークのデザインも描かれており…
それを見ながらジョージは栗毛の猫の赤い首輪の
裏をチェックする。
「…むぅ…無い。残念ながらコイツでもないようだ…
傷も見当たらない、しな。お前が頼りなんだ…
頼むぞワルター。本当に…」
「かァーッ!またハズレかよォッ!流石に動いてるの
捕まえてる最中に確認はできねーから仕方ないが…」
ワルターがグシャグシャと髪をかく。
同じような特徴の猫自体が少ないとはいえもう通算で
7匹目。そしてその全てを捕まえているワルターにも、
流石に疲労の色が見える。
「そもそも特徴はともかく街が広いんだよッ!いくら
オレ様でも流石に骨が折れるってモンだぜこれ…」
「お前が言うとまるで複雑骨折したみたいに聞こえる
よなぁそれ。カルシウム足りてる?」
「やかましいッ!」
本人達にしかよく分からない返しをするギルバートを
やかましいの一言で一蹴すると、ワルターは空いた席に
ガラ悪ーくドカッと座り、ギルバートが飲んでなかった
水の入ったグラスをひったくる。
提供されて時間が経っているからか少々グラスが濡れて
いるが、ワルターはそれでも構わずグイッと一気に
飲み干した。相当お疲れのようだ…
「しかし、居ないなぁ特徴に合致する猫ォ…元々飼い猫
なら野良化してもそんな遠出しないだろうに…」
「確かに…他よりは難しくないと先に依頼人には言われて
いたが想像以上だ…成し遂げない選択肢こそ無いが
帰ったら文句でも言うか…」
というギルバートの言葉に対して、ジョージが愚痴
混じりに同意する。
「はー…気分転換になーんか事件でも起きねぇかな…
ちょーっと今はどこの誰でも良いから取り押さえたい
気分だわオレ様。」
「オイ物騒だなッ!?お前今じゃあ看守でもなければ
そもそも警察でもないだろうに…」
などと言うワルターとギルバートがふと街道の向かい側
へと目をやると、いつの間にやら騒がしい様子。
事件か事件か!?と途端にワルターはまたしても
『ウキウキモード』に早変わりだ。
「…まあ、確かに気分転換にはなるか。ギル、猫探しは
一旦中断だ。代わりに事件を探すぞ。」
「ムムム…まあいいか。バレなきゃ問題ないもんな。」
猫探しにいい加減ウンザリしていた様子のジョージと
ギルバートもなんだかんだ乗り気になっていた。
「さてと。」
ワルターが帽子のツバをクイッと上げる。
「ここからはサービスタイムといこうじゃないの。」
そんなワルターの言葉と共に、いかにも怪しげな3人は
事件現場へと向かっていった。