ジョジョの“よう”な冒険   作:星城 丈人

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【 『一枚』上手なのは 】

 

 

『ハァッ!ハァッ!…ッ!………ハァ…』

 

 

ハインツは呼吸が乱れ、なんとか整えようとするも…

この世界のことを思い出した。

 

 

 

 

 

『ああ~…忘れてはいなかったようだな。この()() には

 空気がロクに無いってことを。』

 

 

 

『…スゥー…ハァーッ…そう、そうだった…なァ…!

 

 だが…貴様のスタンドは戦闘向きじゃあないッ!

 そして我がスタンド(プレッシャー・ゾーン)で掴んでいた…このサブマシンガン

 も一緒に引き入れたのは失敗だっただろうッ!』

 

 

 

 

 

 

と、右手でサブマシンガンを構えながらスタンド(プレッシャー・ゾーン)

隣に(はべ)らせるハインツ。

 

 

 

 

そのまま、今は何も持っていない左手でポンポンと

両ポケットを触る。予備の弾倉はまだある様子。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガ ガ ガ ガ ガ ガ ッ !!

 

 

 

 

 

 

 

 グ ゥ オ ォ ォ ー ー ン ッ !

 

 

 

 

 

 

 

 

ハインツは迷いなく引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…が。その弾が目の前で()()()

 

 

 

 

 

 

 

『な…なにィーッ!?』

 

 

 

 

『おいおい…無駄なことするねぇ~?確かにお前サンと

 その銃は一括りにオレ様が引き入れたがよ…その射出

 された『()()』は違う。引き入れたオレ様から離れ

 てもそのまま居られるのは『人』だけだし、ましてや

 その状態で人から『更に離れた』物はこの世界じゃあ

 ただの『障害物(ジメン)』扱いだぜ?』

 

 

 

 

 

 

『じゃ、じゃあこの世界で武器は…』

 

 

 

『もっちろーん。オレ様が意図的に(・・・・)引き入れといたヤツ

 以外は勝手に『異物』扱いで弾き出される。

 

 

 ここじゃオレ様がルール、だ。』

 

 

 

 

 

 

『…ならば…()()()()()で直接ブン殴るまでだッ!!

 『プレッシャー・ゾーン』ッ!

 

 

 

 

ならば今度は、とプレッシャー・ゾーンをけしかけるも

ワルターはまだニヤニヤと余裕の表情を崩さない。

 

 

 

 

 

 

『余裕かぁッ!?喰らえッ!!』

 

 

 

 

 

と、意気揚々と叫ぶも…スタンド(プレッシャー・ゾーン)が少しハインツから

離れただけで、一気に失速。

 

 

 

 

 

 

 

 グ グ ッ … ピタ ァッ

 

 

 

失速というより…最早マトモに()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

『お…()()ッ!!』

 

 

 

『だーかーら~、言ってるだろぉがよ?『お前』から

 離れればそれはもう『異物』なんだっつの。』

 

 

 

 

 

 

 

ここ(地図世界)は本来なら他者のスタンドも入れることすら

叶わない空間であり、例外的にプレッシャー・ゾーンは

『ハインツ()()()()』だから連れてこれただけ。

 

 

 

しかしこの空間は『人』以外は弾き出されるところを、

お互いの精神力のぶつかり合いによって辛うじて弾き

出されていないだけなのだ。

 

 

 

 

 

 

つまり、この中では…『ワルター本人』と『只の人間』

しか自由には動けないということである。

 

 

 

 

 

 

 

 

Do you under - stand (理解(分か)ったかよ)?

 

 

 

 

 

 

 

これが(ワルター)のスタンドの最大の利点。

ここに連れ込まれたら最後、スタンドはもうほとんど

纏ってるような距離でしか使えず、当然武器なども

マトモに機能しない。

 

 

 

 

 

 

 

つまり、今ハインツがこの世界から帰国(脱出)するため

には(おの)ずと『生身』のみで戦う必要があるのだ。

 

 

 

故に、一度捕らえてしまえば対スタンド使いとしては

最強クラスの能力になるのである。ましてや、事前に

縛られでもしたら…気絶するまで何もできないまま、

なんてのもザラだ。

 

 

 

 

 

 

 

『徒手、空拳…しかないと言うことか…!しかし貴様は

 あくまでもパワータイプじゃあない。捕まってない

 状態ならば…貴様に負ける私ではないぞッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

やむなくスタンドを戻し、ハインツはサブマシンガンも

投げ捨てて戦闘態勢をとる。こうなってしまったらもう

ヤケクソに殴りかかるしかない、と彼も腹を決めたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『おーおー、見苦しい抵抗してきそうだねぇ。』

 

 

 

 

 

それに対してもなお、眉毛を八の字にして笑顔で

煽ってくるワルター。

 

 

実際彼もスタンドも戦闘向きでないため、近接格闘(インファイト)

仕掛けられたら超絶不利なハズなのに…何故かまるで

余裕が崩れない。

 

 

 

 

 

 

 

『何故そんなに余裕なのだ…ッ!少なくとも貴様よりは

 パワーはあるぞ、こちとらッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

『いーや、だってさ。』

 

 

 

 

 

 

と、ワルターは人差し指をピンと立て…次にそのまま

ハインツの足元を指差す。ちなみに、ちゃーんと首を

傾げる素振りを見せる辺り煽りも忘れていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

『もう決着付くんだもん。』

 

 

 

『…は?』

 

 

 

 

 

 

 

足元にあったのは…C()-()4()()()

 

 

間違いなく、ハインツ本人が仕掛けていた筈のソレ(C-4)が何故

()()()()()()()()のか、ハインツはまるで理解できない。

 

 

異物扱いはどうした!?と思うばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

『言ったよな、先刻(さっき)。オレ様が()()()()引き入れといた

 ヤツは別だって。意図的に引き入れとけば元々在った

 場所と()()()()にずーっと存在できるんだよ。』

 

 

 

 

『同じ…座標ッ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッと、ハインツは思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

確か、2階の…部屋の中!

 

 

()()()は何故か爆発せず、整備不良と思っていて

気に留めていなかったC()-()4()

 

 

 

 

 

 

そのC-4が爆発しなかったのは、この『世界』に来て

いたからだったのだ。

 

 

あの時、ワルターはC-4を手掴み後即座に地面へと

設置(ポイ)し、『脚で踏んでいた』。その状態から能力を

一瞬使用し『爆弾()()』をこの地図世界に

放り込んでいたのだ。

 

 

 

 

地図世界は『空気』すら遮断する世界。

ならばワンチャンで『電気信号』も遮断できるのでは

ないか、と彼は試すことにしたのだ。

 

 

最悪でも向こう側(地図世界側)で爆発するために、ダメージも無い

というメリットもある。

 

 

 

 

 

そして結果は成功。機械が既に『真空状態』ゆえに、

機械そのものが絶縁体へと変わっているため…起爆用の

電気信号自体が発生しなかったのだった。

 

 

 

 

 

その後は地図世界(こちら)側にあるために何度も能力を使う度に

その場所のその座標(高さ)で出現するので、高さを無視して

勝手に付いてくるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『そんで今、テメーはそのまさしく『真上』に居る。

 拘束した段階からちょっとずーつ誘導してたんだが…

 上手く行きそうだな。』

 

 

 

 

 

そして先程、背後からハインツを拘束した時には既に

コッソリとバッグから回収していた『()()()()』を、

ワルターはこれ見よがしに見せつけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『これで、ちゃんと分かっただろ?一枚上手なのは

 ()()()()()オレ様ってこった、ハインツ。』

 

 

 

 

 

『う…おおおおおおおおおッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ここがテメーの終着駅(旅の終わり)だぜ。』

 

 

 

何の迷いもなく、起爆装置を起動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ズ ド ォ ォ オ オ オ ン ッ ! !

 

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