「はぁ…!はぁ…!」
3人が動き出した幾分か前、路地裏を駆ける女性が1人。
息も絶え絶え、汗を流しながらも決して足は止めない。
何故なら彼女は追われていたから。屈強な10人ほどの
男達が彼女の後方から迫ってくる。有無を言わさず迫る
追っ手を連れている以上、理由はどうあれ彼女には
逃げる以外の選択肢は無い。
「誰、か…!」
「大人しく捕まっといたほうが痛い目はみねぇぞッ!」
消え入りそうな彼女の願いは後ろの男達にはまるで
届かず、逆に男達の怒号ともとれる声が彼女の鼓膜を
震わせる。
チラリと彼女が後方を見れば男達の手には武器。
それも銃など遠距離からの攻撃が可能な
普通なら迷わず撃たれる筈のこの状況で撃たれないのは
彼女の
特殊な弾を撃ち出す物のために、あまり積極的に
撃たないのだろう。
しかして止まることは不可能であることに変わりはない。
彼女はなんと射線を切るように蛇行し、物陰を経由しながら
大通りを目指し走り続ける。
銃という武器においては射線を切られることが何より
効果的である事を知る彼女はタダ者ではないようだ。
少しずつ追っ手との距離が離れていく。
「このまま大通りに出れば人混みに隠れられる…!」
彼女は人混みを利用して追っ手を撒こうとしていた。
追われる際に人気の多い場所に混じり、紛れることは
とても有効である。それは間違いないのだが…如何せん
今回はその相手が悪すぎた。
ガ ァ ン !
「ッ!?」
彼女が大通りに出た瞬間、大きな銃声が響く。
追っ手の1人が上に向け、普通の銃を発砲したのだ。
そしてそれと共に、彼女以外が慌てて伏せる。
彼女は自身が傷つけられない自信があったが故に、
油断していた。
そう、彼女は失敗したのだ。大通りで隠れるどころか
逆に目立ってしまった。こうなってしまっては隠れる所も、
頼りの人混みもない、いわゆる『
「手こずらせてくれたな…だがここまでだ。」
「…そんな…ッ!」
彼女の目には焦りの色、肌には汗。元々乱れてた呼吸が
更に乱れる。目の前には
しゃがみこみ。
とてもじゃあないが
一度立ち止まってしまったが故に再度動く前に撃たれる
のが精々。動き続けていたならともかく、体力的にも
彼女は限界であった。
ガ ァ ン ッ!
ガ ァ ン ッ!
ガ ァ ン ッ!
ガ ァ ン ッ!
「(
彼女に弾丸が、近づく。近づいてくる。いやにスローに。
瞬間、
彼女の見る景色がモノクロに変わっていく。
いや、それだけじゃない。
周りの景色が…
彼女以外の全てが、建物が。
足下へと
「なっ」
「『
後ろを見れば、謎の男と
安物の帽子をクイッと上げ、程良くムカつくニヤリ顔で
彼は彼女を口説く。
「こんにちはマドモアゼル、あんなむさ苦しいレンチュー
とはお別れしてさ、オレ様と楽しい楽しいデートとでも
洒落込もうや。」