ジョジョの“よう”な冒険   作:星城 丈人

4 / 32
【 逃亡者 】

 

 

「はぁ…!はぁ…!」

 

 

 

 

3人が動き出した幾分か前、路地裏を駆ける女性が1人。

息も絶え絶え、汗を流しながらも決して足は止めない。

 

何故なら彼女は追われていたから。屈強な10人ほどの

男達が彼女の後方から迫ってくる。有無を言わさず迫る

追っ手を連れている以上、理由はどうあれ彼女には

逃げる以外の選択肢は無い。

 

 

 

 

 

「誰、か…!」

 

 

「大人しく捕まっといたほうが痛い目はみねぇぞッ!」

 

 

 

 

 

消え入りそうな彼女の願いは後ろの男達にはまるで

届かず、逆に男達の怒号ともとれる声が彼女の鼓膜を

震わせる。

 

 

 

 

チラリと彼女が後方を見れば男達の手には武器。

それも銃など遠距離からの攻撃が可能な獲物(ブツ)

 

普通なら迷わず撃たれる筈のこの状況で撃たれないのは

彼女の()()が関係していた。恐らくは麻酔弾など

特殊な弾を撃ち出す物のために、あまり積極的に

撃たないのだろう。

 

 

 

 

しかして止まることは不可能であることに変わりはない。

彼女はなんと射線を切るように蛇行し、物陰を経由しながら

大通りを目指し走り続ける。

 

 

銃という武器においては射線を切られることが何より

効果的である事を知る彼女はタダ者ではないようだ。

 

 

 

 

少しずつ追っ手との距離が離れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このまま大通りに出れば人混みに隠れられる…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は人混みを利用して追っ手を撒こうとしていた。

追われる際に人気の多い場所に混じり、紛れることは

とても有効である。それは間違いないのだが…如何せん

今回はその相手が悪すぎた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガ ァ ン !

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

 

 

彼女が大通りに出た瞬間、大きな銃声が響く。

追っ手の1人が上に向け、普通の銃を発砲したのだ。

そしてそれと共に、彼女以外が慌てて伏せる。

 

 

 

彼女は自身が傷つけられない自信があったが故に、

油断していた。

 

 

 

 

 

そう、彼女は失敗したのだ。大通りで隠れるどころか

逆に目立ってしまった。こうなってしまっては隠れる所も、

頼りの人混みもない、いわゆる『詰み(チェック)』である。

 

 

 

 

 

 

 

「手こずらせてくれたな…だがここまでだ。」

 

 

 

「…そんな…ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

彼女の目には焦りの色、肌には汗。元々乱れてた呼吸が

更に乱れる。目の前には連中(ポーン)が迫り、他の皆は

しゃがみこみ。周りの人(障害物)に頼ることもできない…

 

 

とてもじゃあないが詰み(チェック)の様相。思案は巡れど、

一度立ち止まってしまったが故に再度動く前に撃たれる

のが精々。動き続けていたならともかく、体力的にも

彼女は限界であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガ ァ ン ッ!

 

            ガ ァ ン ッ! 

 

 

    ガ ァ ン ッ!

 

                 ガ ァ ン ッ!

 

 

 

 

 

  

「(投降(リザイン)しか…ないの…ッ?) ッ…!!」

 

 

 

 

彼女に弾丸が、近づく。近づいてくる。いやにスローに。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の見る景色がモノクロに変わっていく。

 

 

いや、それだけじゃない。

 

 

 

 

周りの景色が…()()()()()

彼女以外の全てが、建物が。

 

 

 

 

足下へと()()()()()ッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ」

 

 

 

 

 

 

 

スケルトン・キー(ありそうで無い鍵)』。

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろを見れば、謎の男と()()()()()()()()()()

 

 

 

安物の帽子をクイッと上げ、程良くムカつくニヤリ顔で

彼は彼女を口説く。

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちはマドモアゼル、あんなむさ苦しいレンチュー

 とはお別れしてさ、オレ様と楽しい楽しいデートとでも

 洒落込もうや。」

 

 

 

 

 

 

ワルター(嬉しくないナイト)が、そこに居た。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。