——一方その頃。バトルフィールドへと繋がる選手用の通路にて。
「——今現在、バトルフィールドはテロリストが暴れていて危険な為、例えチャンピオンバディだろうと、一般人は立ち入り禁止です」
「……ですが、『
「それなら俺たちだって通してくれても良いじゃないか! ネオンたちと同じ二大チャンピオンバディなんだから!」
「そうだぜ! お前らの言い分は思いっ切り矛盾してるじゃねぇか!」
この場を封鎖しているワールドユニオン軍の軍人たちに、麗とウラノスが必死に説得を行っていた。
もし相手が非公式の特殊部隊だったら無理やり通れたが、今回は相手が正規部隊の為、そうする訳にはいかなかったのだ。
そんな麗たちの姿を見ながら、ネオンはネプチューンと小声で話していた。
「……どうやら奴らの狙いの中に、ネオンちゃんとあたしも入っているみたいだね……。 これはもしかしたら……先日の事件の際に、魔女の力を使ったのがバレちゃったのかもね……」
「……ん。 でもあれは……美月を助ける為には仕方が無かった……」
先日の事件の際に、ネオンたちはワールドユニオンの罠から脱出し、狙われていた美月とサターンを助けに行く為、本物の魔女の力を人前で行使した。
だってやっと見つけた自分と同じ本物の魔女を……この世界の異物同士として手を取り合える、ほぼ唯一の存在を絶対に失う訳にはいかなかったから……。自分が守らねばならなかったから……。
だからあの時の選択に後悔なんてなかった。
それにどの道バレているのならば、多少派手に暴れても大丈夫だろう。
さっき一応、
「……行くよ、ネプチューン……」
「了解だよ、ネオンちゃん♪ どの道コイツらは、鼻からあたしたちを通す気なんてないだろうからね♪」
「「マジカルチェンジ」」
変身魔法が発動したことで、足元に巨大な魔法陣が出現し、巨大な光と音と共にスーパーメカニカルウィッチとなったマリンネプチューンが現れた。
「なっ……!? 貴様……!?」
「おい、止まれ……!?」
「邪魔……」
「バイバーイ♪」
ネオンたちはそのまま、ワールドユニオン軍の封鎖を無理やり突破した。
勿論、人間には被害が出ない様に気は使った。足元には麗たちもいたし……。
そして『擬似宇宙のバトルフィールド』に突入すると、多数のユニオンクローンが襲って来た。
『海姫ネオン並びにネプチューンは、我々ワールドユニオン軍の指示を無視して勝手な行動を取った。 故にテロリストと繋がっている可能性がある。 よって制圧の為に戦闘を許可する』
『『了解!』』
……と口では言っているものの、ネオンからすれば、自分の魔女の力である『空間魔法』により、ユニオンクローンとそのテロリストの機体の魔力パスが繋がっていることは丸分かりだった。
やはり犯人はワールドユニオン……。とんだマッチポンプだ……。
だけどこれでもう手加減なんていらないだろう。
「リミッター解除っと……」
ネオンたちは機体のリミッターを解除して、実戦仕様の軍用機相手でも戦える様にした。
これでも白金代表から聞いた魔石
「「マジカルスキル。
マリンネプチューンはマリン
しかし直ぐにユニオンクローンとユニオンエデンの増援がやって来た。
それも別勢力であることをアピールする様にわざわざ別々の方向から……。
「「マジカルスキル。
マリンネプチューンは今度は、マリン
そしてそれを明らかに厄介そうな謎の機体たちへと飛ばした。
すると一応倒せたものの、一部撃ち漏らしが発生してしまった。
マジカルスキルに匹敵する火力を持つ銃に、マジカルスキルでなければまともにダメージが入らない程の防御力を持つ盾と装甲、そして圧倒的なスピードと言う、軍用機のユニオンクローンを遥かに凌ぐ機体性能を持つ謎の機体……。その上数も多い……。
そしてそれに気を取られている内に、別方向からユニオンエデンがユニオンライフルのビームを撃って来た。
しかし……。
『『マジカルスキル! ウラノスバリア!』
バトルフィールドへと繋がる選手用の通路から出て来た麗とウラノスのスカイウラノスが、スカイロッドを手に機体の周囲に青いバリアを生成し、その攻撃を受け止めた。
『『マジカルスキル! ウラノスドローン!』』
さらに両肩の盾や腰部のコンテナ、さらに背部のバッグパックなどの機体の各部に装備した、大量の武器のスカイウェポンを展開すると、魔法でドローン武器の様に操って突撃させた。
それによりユニオンクローンたちは次々に戦闘不能になっていった。
『無事か、ネオン……! それにネプチューンも……!』
『全く、無茶しやがってよ……!』
「……ん。 平気……。 だけど……美月を助けに行く為にはこうするしかなかった……」
「そうそう♪ ワールドユニオンが真っ黒なのは、麗たちだって分かっていたでしょ?」
ネオンたちと麗たちは言葉を交わし合いながら、増援としてさらに現れたユニオンクローンと謎の機体へと武器を構えた。
「数が多い……。 これじゃ、いつまで経っても美月の元に行けない……」
『くっ……! 早く助けに行かないといけないのに……!』
ワールドユニオンの機体は次から次へと湧いて出て来た。これが『軍』の力……。これでは本当にキリがない……。
すると……。
『『マジカルスキル!
『『マジカルスキル! レオキングタイム・
『『マジカルスキル! スコーピオステルスショット!』』
『『マジカルスキル!
咲良とキャンサーのオーガキャンサー、王牙とレオのキングレオ、秀次とスコーピオのステルススコーピオ、歌とピスケスのマーメイドピスケスが現れ、ワールドユニオンの機体たちを相手取った。
普通の機体では出力の違う軍用機を相手にするのは無理な筈なのに……いや、あれはサターンの魔力の残穢?
そう言えば確か……以前メカニカルウィッチ学園で起きた事件の際に、サターンが契約魔法?で本来の精霊としての力を別の機体に分け与えたと、美月が言っていた気がする……。
成程……その魔力が緊急事態を察知して、実戦用の機体に近い出力を生み出したのか……。
『海姫さんにネプチューンさん! それから天王寺さんにウラノスさん! ここは私ちゃんたちが引き受けます!』
『だから二大チャンピオンバディは、美月ちゃんたちの助けに向かって欲しいんだ〜』
さらに同じ状態のシャドウカロンに乗る御影とカロンがそう言って来た。
しかしそれでもユニオンクローンは何とかなっても、あの謎の機体は無理だろう。
「でも……」
『ああ、それは……』
『——安心してくれたまえ!!』
そんなネオンたちの不安を御霊の大声が遮った。
すると全身の殆どが黒く染められ、全体的にどこかキメラの様なアシンメトリーなシェルエットをした機体である、ゴーストプルートが、搭載した様々な武装を展開していた。
『ここは大学生チャンピオンバディであるこの私とプルートが、残って皆の指揮を取るから大丈夫だ!』
『はい。 絶対に誰一欠けさせないことを誓います』
ゴーストプルートにはサターンの魔力の残穢は無かったが、それでも
『それに
御霊がそう呟くと、この全国大会の出場者である、夏凛と千秋とジェミニたちのデュアルジェミニ、正義とリブラのエンジェルリブラ、刃とアリエスのゴールデンアリエス、大和とサジタリウスのクニツサジタリウス、闘子とトーラスのレイジトーラス、雷牙とイーグルのキングイーグル、音牙とオルカのキングイーグルが現れた。
『うちらの大切な全国大会の舞台をまた壊そうとするなんて……絶対に許せないんよ……!』
『今回は俺も一緒に戦うで!』
『『行くのですー!』』
さらにワールドユニオンの刺客だった心とヴァルゴのハートヴァルゴ、菜々とアクエリアスのレインアクエリアス、天魔とカプリコーンのハイドカプリコーンも現れた。
『さあ、お姉様を助けて、ついでにわたくしたちの汚名を返上する機会がやって来たのですわ!』
『や〜ん、心姉様〜! ヴァルゴも頑張るのですっ〜!』
流石に現れた機体たちは普通の機体だったものの、それでも全国大会の出場者と言うだけあって、その技量で軍用機のユニオンクローンと渡り合っていた。
それを見たネオンたちは迷った後、皆にこの場を任せて自分たちは先に美月たちの元へと行くことにした。
『……分かった。 だけど皆もくれぐれも気をつけてくれよ!』
「……ん。 後、一応……ユニオンクローンを倒せば、あの謎の機体も連動して止まるから……」
するとそんな中、小春と冬馬、それからジュピターとマーキュリーが声をかけて来た。
『ネオンさん! 麗さん! あたしたちを連れて行って貰えませんか! 焔たちを助けに行きたいんです!』
『はい! 戦闘不能になっている焔たちと輝先輩たちの機体を運ぶ人手もいるでしょうし……!』
『ぜ、絶対に足手纏いにはならないから……!』
『フッ、どうか頼む……!』
それには一理あったので、マリンネプチューンがゴーレムジュピターを、スカイウラノスがウルフマーキュリーを牽引して行くことにした。
彼女たちはシンクロゾーンも使えるし、それくらいの役目なら大丈夫だろう。
そしてゴーストプルートが指揮を取って、ユニオンクローンと謎の機体を相手取る中、四機は擬似宇宙の中心へと向かって行った。
*****
——同時刻。美月たちのいる方では……。
ムーンたちスタースピリットと、セブンたちワールドユニオンが開戦していた。
美月たちはアークサターンが修復中の為、その様子を見ていることしかできなかった。
『——妾の美月に手を出したワールドユニオンのゴミ共はここで殺す!!
ムーンが精霊の言葉で詠唱した水の魔法が、同じ力を持つ二機の本物の機体を想像した。
そしてその二機と一緒に、剣や槍に、銃や矢、果ては盾と言った様々な武器を創造し、ドローン武器の様に操りながら攻撃した。
『……トゥーの家族はやらせない……。 マジカルスキル。 コマンドコード
それに対し、ユニオンメグレスは構えた『ユニオン
『くっ……!』
しかし機体性能と魔法の圧倒的な差により、押し切られそうになる。
『トゥーちゃん、今カバーに入るわ〜。 スリーちゃん、ちゃんとアタシに合わせてね〜』
『その言葉、そのままそっくりお返ししますよ、フォー!』
そんな中、ユニオンメグレスの背後から、ユニオンドゥベーとユニオンアリオトが飛び出して来た。
『マジカルスキル! コマンドコード
『マジカルスキル! コマンドコード
ユニオンドゥベーはユニオン
その一方でユニオンアリオトはそれを目眩しに使いながら、ユニオン
しかし……。
『甘いわ!!』
『『『きゃあっ……!?』』』
ムーンは規格外の力である水の魔法を使って、炎の弾丸と氷の矢と木の盾ごと三機を吹き飛ばした。
『死ね、ワールドユニオン!!』
そしてそのまま文字通りトドメを刺そうとするが……。
『フォーたちはやらせん……! シックス……!』
『分かっています……! 行きますよ、王……!』
『マジカルスキル! コマンドコード
『マジカルスキル! コマンドコード
ユニオンミザールがユニオン
さらにユニオンアルカイドがそれに合わせる様に、ユニオン
『ファイブ……!』
『今のうちにフォーたちの機体を……!』
『了解です、王さん……! シックスさん……!』
その隙にユニオンフェクダはダメージを負ったユニオンドゥベーたちの元に向かった。
『マジカルスキル! コマンドコード
そして展開したユニオン
『チッ! 忌々しい虫ケラ共が……!』
機体性能も魔法も圧倒的にムーンが上だが、それでもワールドユニオンはその完璧な連携でどうにか対抗していた。
そしてその一方で、サンとユニオンビッグベアも激しい攻防を繰り広げていた。
『ワールドユニオン……! 我の陽太たちに手を出した罪……その命を持って贖って貰うぞ……!
サンは精霊の言葉で詠唱した火の魔法が生み出した業火の炎を放った。
『スタースピリット……!
それに対し、ユニオンビッグベアは胴体の『ユニオン
そしてそこから究極を体現した超巨大なビームを放った。先程美月たちに放たれた魔法だ。
それによりサンの火の魔法をどうにかしのぎ切るが、流石にワールドユニオン軍最強でも、その機体性能と魔法の差には苦戦している様だった。
『チッ!
するとユニオンエデンたちがセブンたちを援護し始めた。
今までは一応は言い訳が効く様に別勢力を装っていたのに……。
もしかしたらユニオンエデンは自分たちを捕縛する為だけじゃなく、ムーンたちスタースピリットの対抗策の為に投入して来たのかもしれない……。
しかし……。
『——
凄まじい咆哮と共に現れた機械仕掛けの竜が、すれ違い様にユニオンエデンたちを蹴散らした。
「あれは……クリサリス……!?」
「それにネメシスか……!?」
亡き母の相棒たちの登場に、美月たちが思わず声を上げる中、ネメシスたちはセブンたちへと襲い掛かった。
『……バルカン。 そちらは任せた……』
『——心得た』
さらにそんな中、小惑星の地面に現れた魔法陣から大きな扉が迫り上がって来ると、その中からバルカンが現れた。
そしてそのまま惑星の様に展開した水晶型のドローン武器で、援軍として現れたユニオンエデンたちを相手取った。
するとそれにより手が空いたムーンとサンが、美月たちへと武器を向けて来た。
『『——さあ、妾(我)が今こそ、美月(陽太たち)をこんな世界から死なせ、解放して、救って見せる……!』』
「「ーーッ!? ムーン(サン)……!」」
さっきはワールドユニオンから守ってくれたものの、やはり狙いは自分たちの様だった。
不味い。アークサターンはまだ機体の修復が終わっていないと言うのに……!
しかし……。
『『マジカルスキル! ウラノスブースト!』』
『『チッ!』』
飛んで来た巨大な魔法の斬撃が、ムーンたちを横から吹っ飛ばした。
さらに……。
『『マジカルスキル。
アークサターンの目の前に現れた魔法陣からマリンネプチューンが現れると、
そしてそんなマリンネプチューンの隣にスカイウラノスが降り立つ中、一緒に現れたゴーレムジュピターとウルフマーキュリーがそれぞれブラッドマーズとノーブルヴィーナスの元へと向かって行った。良かった……これで一安心だ……。
すると二大チャンピオンバディの機体を見たムーンたちが憎悪の声を上げた。
『ええい!! 海姫ネオンとネプチューン!! また妾の邪魔をする気か!!』
『天王寺麗とウラノス……! また汝らか……!』
『……ん。 美月はお前たちには渡さない……』
『ああ! お前たちの相手はこの俺たちだ!』
そしてこの場が、スタースピリットとワールドユニオン、それから二大チャンピオンバディを擁する美月たちの三つ巴の状況となり、そのまま攻略状態に陥った。
——その時だった。
『擬似宇宙』のバトルフィールドの空間が歪んだかと思うと、超巨大なゲートが現れた。
『『「「ーーッ!?」」』』
その場にいた一同が驚愕の声を上げる中、それを見ても動じる様子の無いスタースピリットの面々が口を開いた。
『——
『……』
『
『ああ、
『陽太たちと美月がここにおります……!』
すると超巨大なゲートの向こう側に、見知らぬ国……いや、
美月の魔力が見える目が示している。あの世界は魔法で作られた
そんな中、その見知らぬ世界の王国?と、その上空に浮かぶ巨大な要塞?を背景に、巨大なホログラムの人物が現れた。黒い髪に、青い瞳をした、若い男性だった。
自分たちの知る姿とは違ったものの、美月とサターン……陽太は、亡き母に昔見せて貰った若い頃の写真で、その姿を見たことがあった。
「嘘……!? そんなっ……!?」
「馬鹿な……!? あり得ない……!?」
確かにその人物はスタースピリットを率いる黒幕として名が上がっていた。
しかしこうして兄であるサターンとアークサターンを用意し、ワールドユニオンとスタースピリットの魔の手から美月を守ろうとしていたことから、違うと思われていた。
だけど
美月と陽太は震える声で口を開いた。
「お父……様……!?」
「明日斗博士……だと……!?」
——その人物は、父である