メカニカル☆ウィッチ   作:星乃祈

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第97話「新たなる相棒!クロノスサターン登場!」

 

 

『——この機体こそが、美月とサターン、そして陽太の三人専用の機体……クロノスサターンだ!」

「クロノスサターン……!」

「美月と僕……そして陽太の機体……!」

 

 美月たちは明日斗博士もとい、アースが用意した新たな機体に乗り換えたことで、思わず感動の声を上げていた。

 見た目は前の機体であるアークサターンと似ていて、黒を基調とし、紫の装飾が施された悪魔の様な機体だが、以前より全体的に洗練され、どこか生物染みた姿は、まるで竜の様にも見えた。

 そして武装の方は、本物の魔女である美月が一番得意とする杖の『クロノスX(クロス)ステッキ』を二本腰に装備し、さらにコアの魔石を武器に転用した胸部の『クロノスX(クロス)キャノン』、それからビームシールドの他に巨大なかぎ爪を搭載した両腕の『クロノスX(クロス)ガントレット』、そして以前よりも射程が伸びた腰部の『クロノスX(クロス)テール』を装備していた。

 

『美月! 陽太! 続けてこの『アークユニット』と合体(ドッキング)するんだ!』

 

 するとそんな中、アースは飛行艇のコンテナに搭載していた竜の様なサポートメカをこちらへと射出して来た。

 

「合体(ドッキング)……?」

『ああ! クロノスサターンは様々なサポートメカと合体(ドッキング)することで、陽太たちの近距離戦闘を得意とするバトルスタイルや、美月の遠距離攻撃を得意とするバトルスタイルなどの、様々なバトルスタイルに対応することができるんだ!』

「成程……確かにアークサターンは、僕のバトルスタイルに寄せて作られた機体だったからな……」

『アークユニットはアークサターンの今までの戦闘データを元に、美月と陽太の両方のバトルスタイルに対応できる様に作った物だ! だから……!」

「分かりました……! お兄様……!」

「ああ、美月!」

「「——合体(ドッキング)!」」

 

 クロノスサターンはアークユニットと合体(ドッキング)し、背部に竜の頭を模した『クロノスA(アーク)キャノン』と竜の翼を模した『クロノスA(アーク)ウィング』、そして竜の尾を模した『クロノスA(アーク)スタビライザー』を搭載したユニットを装備し、さらに両足に『クロノスA(アーク)ブースター』を装備した。

 そして主武装として、右手に巨大な銃槍の『クロノスA(アーク)ランス』を、左手に巨大な盾の『クロノスA(アーク)シールド』を装備した。

 それによりクロノスサターンの見た目が竜人へと変化した。

 

(良し……! これで戦うことが……皆を守ることができます……!)

 

 美月は目を閉じて、お守りのペンダントを両手で握り締め、勇気のお呪いを唱えた。

 

「——頑張れ、私! 頑張りなさい、わたくし!」

 

 美月はビッグバン(父)を前にして戻ってしまっていた素の精霊人格から、人間人格へと再び意識を完全に切り替え、お嬢様口調と共に、自分自身に喝を入れた。

 そして世界で一番の相棒である兄……サターンへと呼びかけた。

 

「お兄様……ううん、サターン! 今こそ、あの日病院で誓い合った通り……ムーンとサン、それからネメシスとクリサリスとバルカンを……わたくたちの大事な家族を止めますわよ!」

「美月……ううん、お嬢様! 一緒に明日斗博士たちを止めますよ!」

「「——シンクロゾーン!」」

 

 シンクロ率が百パーセントのその先へと至ったことで、人間である美月の紫水晶(アメジスト)の瞳にも、サターンの紅玉(ルビー)の瞳の色が混じり合った。

 文字通り、二人で一つの存在となり、一心同体、人機一体となった。

 さらに……。

 

「陽太も行くぞ! 魔王システム起動!」

「**(ウオ)**********(ォォォォォォォォォォ)*(ッ)ーー!!」

 

 クロノスサターンの胸部の装甲の一部が展開し、内部にあった魔石が剥き出しになると、そこから聞こえて来たもう一人の兄の叫び声と共に、機体が紫の炎を身に纏った。

 

 そして美月たちは、今も尚スタースピリットの面々をどうにか足止めしているネオンとネプチューンのマリンネプチューンの元へと向かった。

 

「ネオンさん! ネプチューン! 今援護しますわ!」

 

 クロノスサターンは銃槍に内蔵した銃口に、盾とブースターに内蔵した多数のビーム砲、そして胸部とバックパックを合わせた合計四問のキャノン砲から一斉にビームを放った。

 

『『『『くっ……!?』』』』

『***(ガアッ)……!?』

 

 それによりスタースピリットの面々が吹っ飛ばされた。

 凄い……!攻撃も防御もスピードもあらゆる面でアークサターンとは次元が違う……!

 おそらくではあるが、魔王システム込みなら、あのスタースピリットの面々と同等の機体性能がある……!

 

 しかしそんな中、爆発の中からネメシスとクリサリスが飛び出して来た。

 

『黒土美月……! そしてサターン……!』

『***(ガアッ)……!』

 

 ネメシスたちは単騎ですら規格外の性能を持つ二機が合体している為か、スタースピリットの面々の中でも頭一つ抜けた強さをしていた。

 しかし……。

 

『『マジカルスキル! ウラノススカイウィング! そして、マジカルスキル! ウラノススカイカリバー!』』

 

 ネメシスたちの横から、巨大な光の翼を纏った麗とウラノスのスカイウラノスが、スカイバスターソードを依代にした超巨大な光の剣を携えながら突っ込んだ。

 

『皆はチャピオンバディである俺たちが守る!』

『ああ! 一番強そうなお前らの相手は、この俺様たちだぜ!』

『チッ!』

『***(ガアッ)……!』

 

 麗たちは機体性能の圧倒的な差に屈することなく、ネメシスたちを押さえ込んだ。流石はチャンピオンバディだ……!

 

 するとそんな中、この場にいたビッグバンが怒りの声を上げた。

 

「くっ……! 『精霊計画』の本(・)番(・)前(・)の(・)実(・)験(・)が失敗したのは、この際仕方が無い! だが美月と陽太、それからネオンとネプチューンは何が何でも連れて帰る!」

 

 ビッグバンはそう口にすると、その手を掲げた。

 そう言えば、ビッグバン(父)は元々人間だったにも関わらず、今はこうしてメカニカルウィッチと同じ機械の体になっていた。

 そして元の人間の体は、今は半身のアースが持っていた。美月の魔力が見える目で確認したから間違いない。

 ……と言うことは、まさか……!?

 

「——****(変身魔法)!」

 

 ビッグバンが精霊の言葉で詠唱すると、足元に巨大な魔法陣が現れ、その場が巨大な光に包まれた。

 そして光が収まると、その場に全長二十メートルはありそうな巨大な機体が現れた。

 黒を基調とし、紫の装飾が入った騎士の様な悪魔の様な機体で、右手に剣を装備し、鎧とマントを身に纏っていた。どこかアークサターンと似ている……?

 それにしても、まさか人間の身でありながら、本来の精霊である他の面々と同様に変身できるなんて……!?

 

『行くぞ、バルカン!』

『心得た。 援護は任せておけ』

 

 そして父の相棒であったバルカンと一緒に、ビッグバンが襲いかかって来た。

 しかし……。

 

『……ん。 美月はお前たちには渡さない……。 私(・)の(・)も(・)の(・)だ(・)か(・)ら(・)……。 行くよ、ネプチューン』

『はいは〜い♪』

 

 美月たちとビッグバンたちの間に、ネオンたちが割り込んで来た。

 

『『マジカルスキル。 海神の鏡盾(ネプチューンミラーシールド)。 +(プラス)海神の転移門(ネプチューンゲート)。 そして、マジカルスキル。 海神の波壁(ネプチューンウェーブウォール)。 +(プラス)海神の牢獄(ネプチューンプリズン)』』

 

 マリンネプチューンはマリンT(トライデント)ロッドを振ると、攻撃を反射する鏡の盾の鏡面と敵の周囲に展開した転移門を繋げた。

 そしてそれと並列して反(アンチ)魔法の効果を持つ波と内部の魔力を空にする牢獄を融合させた。

 

『『合体マジカルスキル。 海神の転移門(ネプチューンゲート)・反撃(カウンター)。 そして、合体マジカルスキル。 海神の牢獄(ネプチューンプリズン)・呪縛(ロック)』』

『くっ……!? ビッグバン様!?』

『おのれ!』

 

 それによりマリンネプチューンは、バルカンが惑星の軌道の様に展開した水晶型のドローン武器から放ったビームを全て相手に返して、その隙を狙って本来の精霊より力の劣るビッグバンを捕縛した。

 流石はもう一人のチャンピオンバディにして、自分と同じ本物の魔女だ……!

 

 これで自分たちはムーンとサンを……かつての相棒たちを相手取ることができる……と言いたいところだったが、この場にはまだ、ビッグバンの『精霊計画』が止まったことによって再び動き出した、ワールドユニオンのユニオンエデンとユニオンクローン、そしてセブンたちガーディアンズが残っていた。

 

『黒土美月並びにサターン、それから明日斗博士! そして海姫ネオンとネプチューンを必ずここで捕縛せよ! それが養父(とう)さんの指示だ!』

『『『『『『了解!』』』』』』

『ワールドユニオンを殲滅しろ。 そしてビッグバン様を守れ』

『『了解』』

 

 するとセブンたちワールドユニオンとX(エックス)たちスタースピリットが、互いに牽制しながらこちらへと戻ろうとしていた。

 しかし……。

 

『セブンさんたちとX(エックス)たちは私たちが抑えるわ! ポラリス!』

『うん、きららちゃん! 美月ちゃんたちを守るよ!』

『『マジカルスキル! ポラリステディベアユニバース!』』

 

 きららとポラリスのテディベアポラリスは、テディベアステッキを振って、最強のマジカルスキルであるフィールド魔法を発動させた。

 そして争い合うセブンたちとX(エックス)たちへと、生み出した無限を体現した星を発射して牽制した。

 流石は初代チャンピオンバディにして、自分の恩人であり憧れの人でもあるきららたちだ……!

 

 これで残るはユニオンエデンとユニオンクローンを何とかするだけ……。

 すると……。

 

『ユニオンエデンとユニオンソルジャーは私たちが引き受けよう! プルート!』

『はい、御霊……! 全力で行きますよ……!』

『『マジカルスキル! プルートアルターエゴ! そして、マジカルスキル! プルートゴーストブラスター!』』

 

 中に乗っている御霊とプルート以外は完全に同一の存在の分身を引き連れたゴーストプルートが現れ、超巨大なビームでユニオンエデンたちを薙ぎ払った。

 さらにその後ろから、ミライトウキョウ校の面々と、この全国大会で出会ったライバルたちが後に続いた。

 

『みーちゃんたち! 道は私たちが作ります!』

『だから思う存分に暴れて来なさい!』

『ありがとうございます、うーちゃんたち!』

『助かるよ〜』

『『マジカルスキル! 人魚の水場(ピスケスウォーター)! そして、合体マジカルスキル! 人魚の歌う領域(ピスケスマーメイドフィールド)・大嵐(おおあらし)!』』

『『マジカルスキル! カロンシャドウダイブ!』』

 

 歌とピスケスのマーメイドピスケスが、水場から生み出した分身たちを繋げて影の道を作ると、その陰に潜った御影とカロンのシャドウカロンが、ユニオンエデンたちに次々に奇襲を仕掛けていった。

 

『『兄貴!』』

『『レオ!』』

『おっしゃ! 雷牙! 音牙! イーグル! オルカ! 久々に合体と行こうぜ!』

『久しぶりの本家本元のハイパーキングレオなのであーる!』

『『『『『『合体変形! 爆誕! ハイパーキングレオ! そしてマジカルスキル! レオキングタイム・HM(ハイパーモード)!』』』』』』

 

 王牙とレオのキングレオと雷牙とイーグルのキングイーグルと音牙とオルカのキングオルカの三機が合体して、ハイパーキングレオが爆誕した。

 さらにハイパーキングレオの形をした黄金のオーラを纏って、その圧倒的なパワーでユニオンエデンたちを吹っ飛ばした。

 

『秀次たち! 背中は任せたわよ!』

『拙者たちの援護を頼むでござる!』

『……!! はいっす、お嬢!』

『任せてくれ、キャンサー』

『『——シンクロゾーン! そして、マジカルスキル! 兜蟹流(かぶとがにりゅう)・拾式(じゅっしき)!』』

『『マジカルスキル! スコーピオステルスショット!』』

 

 シンクロゾーンを発動させた咲良とキャンサーのオーガキャンサーは、秀次とスコーピオのステルススコーピオとの長年の息の合った完璧な連携で、ユニオンエデンたちをどんどん相手取っていった。

 

『例え機体性能で劣っていても、うちらには相棒と一緒に磨き上げて来た技術(もの)があるんよ!』

『ああ! それを見せたるで!』

『『見せるのですー!』』

『『『『——シンクロゾーン! マジカルスキル! 双子の狼変化(ジェミニデュアルチェンジ)!』』』』

『『マジカルスキル! トーラスレイジアタック!』』

『『マジカルスキル! 天秤の裁きの空間(リブラエンジェルフィールド)!』』

『『マジカルスキル! アリエスゴールデンアーマー!』』

『『マジカルスキル! サジタリウスクニツインフィニティ!』』

 

 シンクロゾーンを発動させた夏凛と千秋とジェミニたちのデュアルジェミニを始めとする、闘子とトーラスのレイジトーラス、正義とリブラのエンジェルリブラ、刃とアリエスのゴールデンアリエス、大和とサジタリウスのクニツサジタリウスも、機体性能の差に負けることなくユニオンクローンたちを相手取っていた。

 

『チッ! 秀次たちだって頑張ってんだ! 俺たちだって庇ってくれた姉ちゃんの為にも……そしてレイを守る為にもやってやんよ!』

『しあくとレイに嫌われる訳にはいかないのよ!』

『『マジカルスキル! カプリコーンハイドアンドシーク!』』

『『マジカルスキル! ヴァルゴハートブレイク!』』

『『マジカルスキル! アクエリアスレインサウザンド!』』

 

 ワールドユニオンの刺客だった天魔とカプリコーンのハイドカプリコーン、心とヴァルゴのハートヴァルゴ、菜々とアクエリアスのレインアクエリアスも、ユニオンクローンたちを必死に相手取っていた。

 

 皆の協力の甲斐もあって、これで自分たちはかつての相棒たちを相手取ることができる様になった。

 

 するとそんな中、ムーンとサンがこちらへと攻撃を仕掛けて来た。

 

『『——さあ、妾(我)が今こそ、美月(陽太たち)をこんな世界から死なせ、解放して、救って見せる……!』

「ムーン……!」

「サン……!」

「「くっ……!?」」

 

 クロノスサターンは銃槍と盾で、ムーンたちの杖と大剣を受け止めた。だけどやはり一対二と言うこともあって、押されてしまっていた。

 いくらムーンたちを止める為に、高校生チャピオンバディになれるくらいにまでに強くなったとは言え、やはり自分たちの力だけでは……仲間の力無しでは限界があった。

 

『『美月ちゃん(さん)!』』

『『サターン!』』

 

 すると小春とジュピターのゴーレムジュピターと、冬馬とマーキュリーのウルフマーキュリーがこちらの援護に向かって来た。

 しかし……。

 

『『邪魔だ!!』』

『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!?』

『小春ちゃん!?』

『うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!?』

『冬馬!?』

 

 ムーンたちの虫を払う様な攻撃を喰らった二機が、一撃で戦闘不能寸前まで追い詰められた。

 

『くっ……! 俺たちだって美月たちの力になりたいのに……! 今のブラッドマーズの状態じゃ……!』

『焔君……』

『くっ……! 美月ちゃんたちが危ないのに、僕たちは見ていることしかできないのか……!?』

『マスター……』

 

 そんな中、戦闘不能になったブラッドマーズとノーブルヴィーナスから、自身の無力感に苦しむ焔とマーズ、それから輝とヴィーナスの声が聞こえて来た。

 すると……。

 

『赤火焔君! マーズ! 青水冬馬君! マーキュリー! 緑木小春さん! ジュピター! 白金輝君! ヴィーナス! 美月と陽太を助ける為に、娘の友人である君たちの力を貸して欲しいんだ! その為に……コ(・)レ(・)を使ってくれ!』

 

 アースは焔たちにそう呼びかけると、飛行艇のコンテナに搭載していた四機のサポートメカを射出した。

 

『クロノスサターンのサポートメカの『トゥインクルユニット』と『サーガユニット』と『ドリームユニット』と『ロイヤルユニット』は、君たちの機体を参考に作った物だ! だから君たちの機体でも問題なく使える筈だ!』

『煌めき凄いや! 良ーし! マーズ!』

『ええ、焔君!』

『『合体(ドッキング)! 『トゥインクルマーズ』!』』

『マーキュリー! 僕たちも!』

『フッ、そうだな、冬馬……!』

『『合体(ドッキング)! 『サーガマーキュリー』!』』

『ジュピター! あたしたちも!』

『う、うん……! 小春ちゃん……!』

『『合体(ドッキング)! 『ドリームジュピター』!』』

『行くよ、ヴィーナス!』

『はい、マスター……!』

『『合体(ドッキング)! 『ロイヤルヴィーナス』!』』

 

 それぞれのサポートメカと合体(ドッキング)したブラッドマーズとウルフマーキュリーとゴーレムジュピターとノーブルヴィーナスの四機は、その名と共に新たな機体へと生まれ変わった。

 それだけじゃない。

 

『『『『『『『『——シンクロゾーン!』』』』』』』』

 

 焔たちと輝たちと冬馬たちと小春たちはさらにシンクロゾーンを発動させた。

 シンクロ率が百パーセントのその先へと至ったことで、文字通り、二人で一つの存在となり、一心同体、人機一体となった四機が、ムーンたちを押し返した。

 

『ええい!! 早う美月を死なせ、解放せねばならんと言うのに!! その邪魔をするなら殺(・)し(・)て(・)やる!!』

『ああ……! 陽太たちを救う邪魔をするのと言うのならば……子供であろうと殺(・)す(・)……!』

『『ウガァァァァァァァァァァッーー!!』』

 

 するとムーンたちはドス黒く禍々しい魔力によってできたオーラに包まれた。

 まるで以前メカニカルウィッチ学園で暴走した機体と同じ状態だ。あれはムーンたちの手によるものだと思っていたが、もしかしたらその裏にさらに黒幕がいるのか……?

 だけど今は兎に角……!

 

「サターン! ムーンたちが人間を殺す最後の一戦を超えるのだけは絶対に止めますわよ!」

「はい、お嬢様! そしてサンたちを倒して、あの黒いオーラから助け出しましょう!」

「「完全変形! 悪魔竜(ドラグーン)モード!」」

 

 クロノスサターンは竜の様な姿をした飛行形態に一瞬で完全変形した。

 そしてその圧倒的なスピードでムーンたちの攻撃を回避しながら、囮の役目を買って出る。

 そうすれば……。

 

『『マジカルスキル! マーズファイア!』』

『『マジカルスキル! マーキュリーアロー!』』

『『マジカルスキル! ジュピターウォール!』』

『『マジカルスキル! ヴィーナスセイバー!』』

『『グッ……!?』』

 

 すると期待通り、その隙に焔たちはマジカルスキルでムーンたちの動きを止めてくれた。

 今がチャンスだ……!

 

「「完全変形! 悪魔(デーモン)モード!」」

 

 クロノスサターンはそのままムーンたちの元へと突撃しながら、再び竜人の様な姿をした人型に一瞬で完全変形した。

 そして……。

 

「「合体マジカルスキル! サターンクロノスワールド・土星(どせい)!」」

 

 クロノスサターンは周囲の景色から色を奪って灰色の世界にすると、まるで時を止める様にその動きを極限にまでスローにした。

 そして最強のマジカルスキルであるフィールド魔法の力を取り込むことで、超巨大な黒い炎の龍へと変身して突撃した。

 

「ムーン!」

「サン!」

 

 ムーンたちの纏った黒いオーラに阻まれながらも、美月たちは必死に手を伸ばした。

 

「「——わたくし(僕)たちは絶対に……! 大切な家族を……! 大好きな姉妹(兄弟)を……! そして世界で一番の相棒を……! 止めて……! 助けて……! 救うんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッーー!!」」

 

 そしてそんな自分たちの願いが、美月の魔女の力である『時間魔法』を発動させた。

 まるで時が止まった様な灰色の世界の中で、美月とサターンと、自分たちに触れているムーンとサン以外の周りの景色が変化していった。ま(・)る(・)で(・)時(・)が(・)巻(・)き(・)戻(・)る(・)様(・)に(・)……。

 

 ——そして美月とサターンは、ムーンとサンの記憶の世界に入り込んだ。

 

 

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