「——行くよ、
「ええ、焔君! お姉ちゃんに任せなさい!」
「「——シンクロゾーン!」」
焔とマーズは、美月とサターンをこのまま永遠の眠りにつかせようとする、スーパーノヴァと言う目の前に立ち塞がる大きな壁を一緒に乗り越える為に、シンクロゾーンを発動させた。
シンクロ率が百パーセントのその先へと至ったことで、人間である焔の赤い瞳にも、マーズの紫の瞳の色が混じり合った。
文字通り、二人で一つの存在となり、一心同体、人機一体となる。
『『『『——シンクロゾーン!』』』』
さらに、シンクロゾーンを
そして、スーパーノヴァとマジカルモンスターたちを相手取り始めた。
焔とマーズのトゥインクルマーズも、トゥインクルウィングを閉じた『
創作の……物語の中では、仮面の魔法少女は、マジカルモンスターの素体となっている中の人を助ける為に、何も知らずにそのまま倒そうとする主人公たちを敵対してでも止めていた。そんな彼女は『浄化魔法』を使うことで、中の人を助けていたが、自分たちにはそんなものはない。
……とは言え、美月たちの命がかかっている以上、申し訳ないが躊躇する訳にはいかない。
それに、ここは意識だけの世界である集合無意識の世界である以上、マジカルモンスターを倒しても物語の中みたいに中の人にまでダイレクトダメージが入ることはない筈だ。人工精霊とメカニカルウィッチの関係みたいに……。
だから、焔たちは自分たちの最強のマジカルスキルを躊躇なく発動した。
「マーズ姉ちゃん! 美月たちの命がかかっている以上、本気で行くよ!」
「ええ、焔君! 美月ちゃんたちを助ける邪魔をするのなら、悪いけど躊躇はしないわ!」
「「簡易変形!
トゥインクルマーズはトゥインクルウィングを展開し、光の翼をはためかせると、全身に煌めく炎を纏い、まるで強化フォームの様な豪華な見た目に変身した。
そして、背中のトゥインクルリングで一気に加速しながら、トゥインクルツインロッドとトゥインクルリボンを両手に、展開したトゥインクルスフィアと共に、マジカルモンスターたちを一気に倒していく。
「「
倒されたマジカルモンスターたちは、黒いオーラが消え去り、元の意識だけの存在に戻って行った。
良かった。どうやら予想通り、中の意識にはダイレクトダメージは入っていない様だ。
マジカルモンスターは強大な敵だ。人間にとっては為す術はなく、それこそ物語の中の通り、魔法少女でもなければ対抗するのは不可能だろう。
だけど、自分たちには巨大なロボットのスーパーメカニカルウィッチと言う力がある。これならば自分たちでも物語の中の魔法少女たちの様に対抗することができる。
それに、先の全国大会を含めたこれまで培って来たバトルの腕と、アースから譲り受けたトゥインクルユニットにより生まれ変わったトゥインクルマーズの機体があれば、どんな相手にだって負けない……!
そんな焔たちの意気込みに続く様に、冬馬とマーキュリーのサーガマーキュリー、小春とジュピターのドリームジュピターも後に続いた。
『僕たちも行くぞ、マーキュリー!』
『フッ、任せろ、冬馬……!』
『『簡易変形!
サーガマーキュリーは四足歩行の姿になると、膨大な青いオーラを全身に纏って、巨大な狼へと変身し、さらにその余剰のオーラで狼の群れを生み出した。
『我も力を加そう』
『助かる!』
すると、サンがサーガマーキュリーの元へと向かい、巨大な武器となった自身を、巨大な狼に咥えさせることで装備させた。
そして、武器を加えた巨大な狼と、その群れがマジカルモンスターたちを蹴散らしていった。
『ジュピター! あたしたちも!』
『う、うん……! 行くよ、小春ちゃん……!』
『『簡易変形!
ドリームジュピターは固定砲台の姿になった。
『これを使うのじゃ!』
『ありがとう!』
すると、サポートメカの『ムーンユニット』となったムーンが、水から創造した巨神をドリームジュピターに渡した。
そして、自身を核に巨神となったドリームジュピターは、その圧倒的なパワーでマジカルモンスターたちを薙ぎ倒して行った。
冬馬とマーキュリー、小春とジュピターも勿論凄いが、サンとムーンの二人の力も凄い。
スーパーノヴァに操られて敵だった頃は、本当に恐ろしかったが、こうして味方になってくれたことで、今は本当に頼もしい存在になっていた。
そんな中、シンクロゾーンが使えない御霊とプルートのゴーストプルートも獅子奮迅の活躍をしていた。
『行くぞ、プルート!』
『はい……! 御霊……!』
『『完全変形!
ゴーストプルートは九つのドローン武器のゴーストマルチドローンをローブの様に身に纏い、両足を折りたたむと、幽霊の様な姿に完全変形した。
そして、右手に装備したビームライフルとレールガンを兼ねたゴーストツインライフルを筆頭に、胸部の『ゴーストコアキャノン』、左手に装備した『ゴーストロッド』、腰部の『ゴーストマルチユニット』に内蔵した内蔵型アンカーとビームバルカン、両脚の『ゴーストマルチブースター』に内蔵したビーム砲などの火器を総動員して、マジカルモンスターたちを撃ち落としていった。
『プルート! 次だ!』
『了解です……!』
『『完全変形!
ゴーストプルートは今度はゴーストマルチドローンを武器をマントの様に左肩に集めると、騎士の様な姿に完全変形した。
そして、右手に『ゴーストソード』を装備すると、右腕の『ゴーストマルチシールド』をブーメランの様に飛ばし、左腕の『ゴーストマルチドリル』でパイルバンカーの様に敵を貫き、腰部のゴーストマルチユニットの隠し腕とビームソードを展開して、マジカルモンスターたちを切り裂いていった。
凄い……!遠距離戦闘と近距離戦闘のどちらも、とんでもないレベルだ……!
『私は必ず陽太たちを連れ戻すんだ!』
御霊の事情は昨日聞いたが、本当に凄い気迫だ。
すると、そんな光景を見ていたスーパーノヴァが、微塵も焦った様子を見せずに、くすくすと笑い出した。
「あらあら……まさかマジカルモンスターたちがこうも簡単に負けてしまうなんて……これも時代の流れなのですわね……」
『『マジカルスキル……!
そんなスーパーノヴァへと、ネオンとネプチューンのマリンネプチューンが放った追尾性能を持つ魔法の槍と、竜巻を起こす無数の水竜たちが襲いかかった。
「無駄ですわ……。
しかし、スーパーノヴァが精霊の言葉で詠唱した水の魔法が創造した武器と、風の魔法が巻き起こした暴風がそれを打ち消した。
さらにそのままマリンネプチューンへと襲いかかる。
『『マジカルスキル……!
「無駄だと言った筈ですわ……」
『あぐっ……!?』
『ネオンちゃん!?』
マリンネプチューンは攻撃を反射する鏡の盾と、敵を取り囲む様に展開した転移門を繋げた防壁を展開するが、あっさりと破られてしまった。
『『うおぉぉぉぉぉーーッ!!』』
『『はあぁぁぁぁぁーーッ!!』』
そんな中、スーパーノヴァの元へと、麗とウラノスのスカイウラノスと、きららとポラリスのテディペアポラリスが突っ込んだ。
「何度やっても無駄ですわ。 貴方たちでは
『うわぁぁぁぁぁ〜〜っ!?』
『麗!?』
『きゃあぁぁぁぁぁ〜〜っ!?』
『きららちゃん!?』
しかし、スーパーノヴァが精霊の言葉で詠唱した火の魔法の業火により、スカイウラノスは薙ぎ払われ、雷の魔法のスピードにより、テディベアポラリスはカウンターを喰らわせられた。
チャンピオンバディの三人が手も足も出ないなんて……!
「さあ、最初からやり直しですわ」
さらに、スーパーノヴァがそう口にすると、倒した筈のマジカルモンスターたちが次々に復活していった。
中の意識にダイレクトダメージが入らないのは良いことだが、逆にそのせいでこうして何度も復活する様になっていた。
このままでは質の面でも量の面でも負けてしまう……!
すると、ムーンとサンがお互いに顔を見合わせると、スーパーノヴァの元へと突撃した。
「ムーン……? サン……? 何を……?」
『妾たちが道を切り開く! だから、すまぬが、援護をしてくれ!』
『ああ! 乃亜様は我らが止める! だから、マジカルモンスターたちの相手を頼む!』
ムーンとサンはこちらの返事を聞かずに行ってしまった。
こうなったらやるしかない……!
「冬馬! 小春!」
「マーキュリー! ジュピター!」
『『『『分かった!』』』』
『『『『「「合体連携マジカルスキル! トライスターバースト!」」』』』』
トゥインクルマーズとサーガマーキュリーとゴーレムジュピターの三機は、火と水と木の三つの力が融合し、赤と青と緑の三色が混じり合った巨大な光を放った。
『ヴィーナス! 僕たちも!』
『はい、マスター……!』
『『マジカルスキル! ヴィーナスロイヤルシャイン!』』
ロイヤルヴィーナスは背景に無限の星を思わせる、数え切れないくらいの魔法陣を発生させると、その全てから光のビームを一斉に放った。
『みー! プルート! カロン! 私たちも行くぞ!』
『はい、お姉ちゃん!』
『了解です』
『はいは〜い』
『『『『マジカルスキル! プルートカロンフュージョン!』』』』
ゴーストプルートは御影とカロンのシャドウカロンと共に、それぞれが生み出した巨大な魔力の黒とピンクの球体を一つに融合させた。
そして、最強のマジカルスキルであるフィールド魔法を発動させ、まるでブラックホールの様に辺り一面を吹き飛ばした。
そんな焔たちの奮闘により、復活したマジカルモンスターたちが一掃された。
そして、ムーンとサンはその隙にスーパーノヴァの元へと突撃し……大爆発を起こした。じ、自爆……!?
あまりの予想外の手段に焔たちが言葉を失う中、ムーンたちの声が聞こえて来た。
『今がチャンスじゃ!
『我らのことは気にするな……! それがせめてもの罪滅ぼしなのだから……!』
ムーンたちは自爆でボロボロになりながらも、そのままスーパーノヴァに必死にしがみついていた。
スーパーノヴァはそんなムーンたちを引き剥がそうとしているが、言う通りにする訳には……。
そんな中、マリンネプチューンがマリン
『……分かった』
『なっ……!? そんなのダメだ、ネオン!』
『それは流石にダメだろうがよ!?』
『そうよ、ネオンちゃん! 美月ちゃんたちの相棒を犠牲にしてはダメよ!』
『そんな方法で助けても意味がないよ!』
『美月を助ける為なら、文字通り何でもする覚悟は私も彼女たちも同じ……。 だから、私もそれに応える……』
それを見た麗たちときららたちが必死に説得するが、ネオンは聞く耳を持たなかった。
『『マジカルスキル……!
マリンネプチューンは両手のマリン
さらに最強のマジカルスキルであるフィールド魔法同士を合体させ、世界を書き換えて海の世界を作り出すと、その圧倒的な力でムーンたちごと、スーパーノヴァを押し潰した。
「
『『させぬ!』』
スーパーノヴァも精霊の言葉で詠唱した土の魔法で作った岩壁で防御しようとするが、それをムーンたちが妨害した。
そんなムーンたちの捨て身の姿勢と、ネオンの仲間のことを試みない攻撃をに、スーパーノヴァも初めて焦った声を上げていた。
「ーーッ!? ムーン……! サン……!」
そして、スーパーノヴァの余裕な態度が初めて崩れた。
『ウラノス!』
『おう!』
『『マジカルスキル! ウラノススカイウィング! そして、マジカルスキル! ウラノススカイカリバー!』』
スカイウラノスは光の翼をはためかせて猛スピードで飛び立つと、スカイバスターソードを依代にした、機体の大きさを優に超える超巨大な剣で、スーパーノヴァを切り裂いた。
そして、それと同時にムーンとサンを回収した。
「くっ!?」
『きららさん! ポラリス! 今です!』
『分かったわ、麗君! 行くわよ、ポラリス!』
『うん、きららちゃん!』
『『マジカルスキル! ポラリステディベアユニバース!』』
テディベアポラリスはテディベアステッキを振って、最強のマジカルスキルであるフィールド魔法を発動させると、無限を体現した星を生み出し、スーパーノヴァへと突撃させた。
「不味いですわ……!」
『『マジカルスキル……!
「しま……っ!?」
そして、マリンネプチューンが動きが止まったスーパーノヴァを、
今がチャンスだ……!
大人組が作ってくれたチャンスを前に、焔たち子供組は、美月たちの元へと急いだ。
『「美月(ちゃん)!」』
『「サターン(さん)!」』
そして、サーガマーキュリーとドリームジュピターとゴーストプルートとシャドウカロンの四機が、ドス黒く禍々しい魔力でできた檻をこじ開けている内に、トゥインクルマーズとロイヤルヴィーナスがそれぞれ美月とサターンを回収した。
*****
『——子供たちは美月たちを連れて先に行くんだ! 入って来た場所に元の世界へと繋がる出口がある!』
『『分かりました!』』
アースの指示の元、美月たちを回収したトゥインクルマーズとサーガマーキュリーとドリームジュピターとロイヤルヴィーナスの四機が先に離脱した。
『チャンピオンバディの皆も子供たちの声を頼む!』
『言われるまでもない……。 美月は私が今度こそ守る……』
さらに、マリンネプチューンが先に離脱した美月たちを追いかける様にこの場から去って行った。
『御霊さんたちも早く離脱するんだ!』
「で、でも……もう一人の陽太は……!?」
そんな中、サターンではない方のもう一人の陽太が気がかりだった御霊たちと、そんな姉を心配した御影たちはこの場にまだ残っていた。
するときららたちがアースたちに声をかけた。
『それならアース博士たちも早く……!』
『いや……』
しかし、アースはその提案を否定すると、スーパーノヴァが捕えられた牢獄へと目を向けた。
『私は皆が無事にここを出るまで、彼女の足止めをしなければならないんだ……』
そして、アースがそう口にすると、スーパーノヴァが牢獄を打ち破る形で出て来た。
「——美月も……陽太も……誰一人このから逃しませんわ……。 皆ここで永遠の眠りにつくのですわ」
スーパーノヴァは声こそ静かなものの、まるで怒っている様に、先程までとは比べ物にならない程のドス黒く禍々しい魔力を纏っていた。
もはや規格外どころか、次元が違う。こんな相手に勝てるのか……?いや、逃げられるのか……?
そんなスーパーノヴァはドス黒く禍々しい魔力を怨念の様な無数の手へと変化させながら、こちらを追いかけて来た。
不味い……!?
『くっ! 私が足止めを……!』
「皆はやらせない!」
するとアースが動く前に、陽太がスーパーノヴァの前へと立ち塞がった。
「僕は皆と違って、既に死んだ身だ! だから、スーパーノヴァは僕がこのまま足止めする! だから、皆は今の内に早く逃げ……!」
「——そんなの絶対ダメだ!!」
そんな自ら犠牲になろうとせる陽太に、御霊は思わず声を上げた。
「御霊ちゃん……」
「やっと……! やっと、こうしてまた陽太君と出会えたのに……! またお別れなんて絶対に嫌だ……! 私は絶対に、陽太君と一緒に元の世界に帰るんだから! うぅ……ぐすっ……!」
御霊は思わず自分の想いをぶちまけた。
しかし、スーパーノヴァはそんなのお構いなしに迫って来る。
——その時だった。
どこからともなく現れた三つの光がスーパーノヴァを止めた。
「貴方たちは……!?」
『君たちは……!?』
それを見たスーパーノヴァとアースは何か心当たりがある様な声を上げた。
そんな三つの光は
そして、その中でも妖狐の様な少女と天狗の様な少女は、それぞれムーンとサンの方をチラリと振り返った。
『**なのか……?』
『*なのか……?』
ムーンたちは何か名前の様なものを口にしたが、何故か聞き取ることはできなかった。
それでも少女たちは顔は見えないのに確かに微笑んだ様な気がした。
そして、真ん中にいた鬼の様な少女の不思議な力によって、その場にいた一同は出口がある方へと突き飛ばされた。
『**……!』
「アース博士!」
『**……!』
『ムーンちゃん!』
『*……!』
『サン!』
思わず少女たちの元へと戻ろうとするアースとムーンとサンを、きららたちと御影たちと麗たちがそれぞれ必死に抑えていた。
そんな中、御霊たちは陽太を今度こそ決して離すまいと、ゴーストプルートの手で掴んでいた。
「——陽太君! 一緒に帰るよ、
「でも……僕はもう既に……」
「大丈夫ですよ。 あなたも知っての通り、御霊は天才ですから。 こうして簡易版の『擬似集合無意識』を作る手伝いをしたみたいに、きっと何とかしてくれますよ」
「うん! だから、一緒に行こう、陽太君!」
「……! うん……!」
——そして、謎の少女たちの助けもあって、スーパーノヴァの残穢から逃げることに成功した御霊たちは、元の世界へと帰還した。