メカニカル☆ウィッチ   作:星乃祈

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第108話「太陽の力!クロノスサターン(サンユニット装備)!」

 

 

「——シンクロゾーンに至るなんて……御霊ちゃんとプルートは流石だよ!」

 

 サターンは驚きと称賛の声を上げながら、クロノスサターンにゴーストプルートの攻撃を捌かせていた。

 しかし、機体の動きが、まるで鎖に縛られている様に重い。やはり、罪の意識を感じているサン、それから自身が死人であることを気にしている陽太に引っ張られているのだろう。

 

「ほらほら、陽太君たち! 過去(後ろ)ばかり見ていないで、今を……そして、未来(これから)を見よう!」

「ええ……! 過去は変えられませんが……それでも、これから先の未来ならば、変えていくことができるのですから!」

 

 それに対して、御霊とプルートのゴーストプルートは、それはもう生き生きとした動きをしていた。

 

 十年前の事件で命を落とし、本来の精霊として蘇ったサターンは、学園リーグ戦でバトルすることになった妹の御影をキッカケとして、御霊のことを思い出した。

 その後、美月に隠れてコッソリと御霊のことを調べると、自分の記憶の中では弱気で臆病で、人見知りだった彼女は、今や大学生チャピオンバディにまで上り詰めていた。しかし、同時にまるで性格が変わった様な危うい雰囲気になっており、これだけ強くなって尚、満たされない様な表情をしていた。

 それを見て、気づいた。きっと彼女は今でも自分と交わした約束のことを覚えいてるのだろうと……。気にしているのだろうと……。

 だけど、もう人間でなくなった身として、そんな彼女に対して、どうすることもできないことに歯痒さを感じていた。

 

 しかし、そんな御霊は今、それを自らの手で乗り越えた。

 きっと果たせなかった約束が足枷となって今まで発動できなかったのであろうシンクロゾーンをこうして発動させた。

 そして、こうして自分たちにも発破をかけようとしてくれていた。

 だから、今度は自分たちがそれに応える番だった。

 

 クロノスサターンはゴーストプルートと一度大きく距離を取った。

 しかし、相手は追撃して来ない。待っているのだろう。信じているのだろう。自分たちが呪縛を抜け出すことに……。

 

 サターンは自分の中にいる陽太と対話した。

 

「陽太! 御霊ちゃんがこうして勇気を見せてくれているのに、このままで良いのか!?」

(だけど、僕はあくまでも死人で……)

「だ(・)か(・)ら(・)ど(・)う(・)し(・)た(・)! 僕だって、以前は陽太の偽物だと悩んで、結果的に美月に泣かれたんだぞ!」

 

 あれに関しては今でも反省している。自分のせいで妹をあんなにも泣かせてしまったのだから。

 

「美月は言っていた! 本物とか偽物と関係ないと! だから、生きていようが死んでいようが関係ない! 今ここに、僕と陽太がいる! それで十分じゃないか!」

(……!!)

「なあ、陽太は本当にこのままで良いのか?」

 

 サターンは改めて問いかけた。

 すると……。

 

(——良いわけないだろ! 僕だって、御霊ちゃんとの約束を果たしたい! サンとまた一緒にバトルがしたい! もう死んだ身だけど、美月とこれからも同じ時を生きていたい!)

 

 陽太は己の中の想いをぶちまけた。サターンが聞きたかった言葉を……。自分と同じ気持ちを……。

 ……全く、本当に頑固なんだから……。まあ、でも、自分もそうだったから、以前美月に流れることになったのだが……。

 やはり、自分と陽太は、コピーとオリジナルと言う関係とは言え、同じ黒土陽太と言う存在で間違いなかった。

 

「サン!」

 

 そして、陽太の本音を引き出したサターンは、今度はサンへと声をかけた。

 

「陽太……」

「御霊ちゃんたちも言っていただろう? 過去(後ろ)ばかり見ていていも、過去は変えられないって……。 だけど、未来ならば変えていけるって……。 だから、未来(これから)を見ようって……」

「しかし、我の犯した罪は永遠に消えないのだ……」

 

 それでもサンは暗い顔をしていた。

 いくらスーパーノヴァ(母)に操られていたとは言え、やはり自身を許せないのだろう……。

 それならば……。

 

「——だったら、僕も……僕たちも一緒にその罪を背負う!」

(そうだな……)

「ああ、僕もだ!」

「なっ……!? の罪を陽太たちが背負う必要など……」

「あるさ! だって僕たちはサンの相棒だからな!」

「……!!」

「だから、僕たちはサンの罪を一緒に背負って、これからの未来を一緒に生きたい! サンはどうしたい……?」

「我は……」

 

 サターンの問いかけにサンは言葉を詰まらせたが、やがて内に秘めていた本音を漏らした。

 

「——我も……もし許されるのなら、陽太たちとこれからの未来を一緒に生きたい……! もう一度、共にバトルがしたい……!」

 

 そして、サンの願いが響き渡ると、自分たちのことを静かに見守っていた御霊たちが口を開いた。

 

「なら、それで良いじゃないか……。 難しく考えることなんてないんだ……。 その願いに素直になれば良い……。 今はウィッチバトルを楽しめばそれで良いんだ……」

「はい。 確かに、罪には罰が必要でしょう……。 でも、だからと言って必要以上に自分を罰し続けてはいけません……。 人間だって……人工精霊だって……やり直すことができるのですから……」

 

 全部全部、御霊たちの言う通りだった。

 だから、サターンは陽太とサンへと改めて声をかけた。

 

「陽太! サン! 十年前の事件で、僕たちの関係はバラバラになってしまったけど……それなら、もう一度ここからリスタートしよう! その為にも、今はウィッチバトルを心の底から楽しもう!」

(そうだね……)

「僕も御霊ちゃんたちのウィッチバトルを楽しみたい……!」

「ああ……! 我もだ……!」

 

 陽太たちはかつて小学生チャンピオンバディになった見だが、それでも当時はまだ幼かった為、シンクロゾーンにまでは至らなかった。

 しかし、今は違う。十年前の事件の際に生まれた自分(サターン)、呪いとなった陽太、一度闇に落ちたサン。波瀾万丈の十年だったが、それでもこうして再び集うことができた。

 そして、お互いを心から信頼しあったそんな陽太たちとサンの目の前には、過去の呪縛と言う目の前には立ち塞がる大きな壁があった。

 だから……!

 

「陽太! サン!」

(ああ……! 行くぞ、僕……いいや、サ(・)タ(・)ー(・)ン(・)! それに、サンも!)

「行くぞ……! 陽太たちよ……!」

「「——シンクロゾーン!」」

 

 お互いを心から信頼しあった陽太たちとサンは、過去の呪縛と言う目の前に立ち塞がる大きな壁を乗り越える為に、限界を超えた。

 シンクロ率が百(・)パ(・)ー(・)セ(・)ン(・)ト(・)の(・)そ(・)の(・)先(・)へと至り、文字通り一心同体、人機一体となった。

 

「「マジカルスキル! プラネットダーク!」」

 

 そして、続けてクロノスサターンの全身に黒い炎を纏わせ、魔王システムを擬似的に発動させた。

 

「フハハハハハ……!! それでこそだよ! さあ、陽太君たち! 今こそ、本気のバトルをしようか!」

 

 すると、それを見た御霊が、昔の彼女にはなかったハイテンションな一面を見せながら、突っ込んで来た。

 

「プルート!」

「ええ……! ここからが正真正銘の本番ですからね……!」

「「マジカルスキル! プルートアルターエゴ!」」

 

 ゴーストプルートは中に乗っている御霊たち以外は完全に同一の分身を生み出した。

 そして、片方は幽霊(ゴースト)モードのゴーストツインライフルとゴーストコアキャノンとゴーストロッドの遠距離攻撃を中心に、もう片方は夜(ナイト)モードのゴーストソードとゴーストマルチシールドとゴーストマルチドリルの近距離攻撃を中心に、フォーメーション攻撃を仕掛けて来た。

 しかし……。

 

「さあ、久しぶりに見せるぞ!」

「ああ……! 我らの本来の魔法をな……!」

「「マジカルスキル! サンスラッシュ!」」

 

 クロノスサターンはクロノスS(サン)バスターソードに炎を纏わせると、赤い魔力の斬撃を放った。

 サ(・)タ(・)ー(・)ン(・)ス(・)ラ(・)ッ(・)シ(・)ュ(・)の(・)原(・)型(・)となった魔法だけあって似ているが、そ(・)の(・)威(・)力(・)は(・)ま(・)る(・)で(・)別(・)物(・)だ(・)。

 元々パワー特化だったのに加え、サンの火の魔法の力が加わったことで、合体マジカルスキル並みの威力となった斬撃が、周りの建物ごとゴーストプルートを消し炭にした。

 

「フフフ……! 十年前とは桁違いのパワーだ!」

「プルートアルターエゴを一撃で消し飛ばせる威力……本体も喰らえば一撃で終わりですね……!」

 

 御霊たちが乗っている方は遠距離攻撃をしていた方だった為、どうにか先程の攻撃から逃れることができていた。

 そんな御霊たちは、クロノスサターンに臆した様子はなく、寧ろ楽しそうにしていた。

 

「「完全変形! 生物(クリーチャー)モード!」」

 

 ゴーストプルートはゴーストマルチドローンを各部に装備すると、生物の様な姿に完全変形した。御霊のシャドウカロンと似たシルエットになっているが、それを手掛けたのは御霊なので当然だろう。

 そして、幽霊(ゴースト)モードが防御より、夜(ナイト)モードがバランスよりとするなら、生物(クリーチャー)モードは攻撃寄りの形態だった。

 

「「はあぁぁぁぁぁーーッ!!」」

 

 ゴーストプルートは四肢のゴーストクローを展開しながら攻撃して来た。

 クロノスサターンも、クロノスS(サン)バスターソードを分離させて、二振りのクロノスS(サン)ソードにすることで迎え撃った。

 

「御霊ちゃんたちは本当に強くなったね!」

「お褒め頂き光栄だよ!」

 

 ゴーストプルートは一見すると野生の獣の様に直感で攻撃している様に見えるが、時折左腕のゴーストマルチドリルのパイルバンカーや、腰部のゴーストマルチユニットの確実でのビームソードによる攻撃を織り交ぜて来ていた。

 

「「マジカルスキル! カロンブレード!」」

 

 そんな中、ゴーストプルートは足元の影から、影の刃を発生させた。

 やはり妹の御影たちが姉の御霊たちのマジカルスキルを支える以上、その逆も可能だった様だ。

 

「「マジカルスキル! プラネットツリー!」」

 

 それに対して、クロノスサターンは足元の地面から生やした木の根でできた、自然の盾を作り出すことで防いだ。

 一見すると防いだ様に見えるが、そんなクロノスサターンの足元の影が揺れた。

 来る……!

 

「「完全変形! 潜水艦(サブマリン)モード! そして、マジカルスキル! カロンシャドウダイブ!」」

 

 ゴーストプルートは今度はスピードよりの潜水艦の姿に完全変形した。

 そして、クロノスサターンの足元の影から飛び出しては、直ぐに隠れるヒットアンドウェイの攻撃を仕掛けて来た。

 しかし……。

 

「そこだ!」

「ぐっ……!?」

 

 クロノスサターンはクロノスS(サン)シールドを巨大な腕へと変形させて、ゴーストプルートを殴り飛ばした。

 

「それならば!」

 

 ゴーストプルートは吹っ飛ばされながら、右腕のゴーストマルチシールドをブーメランの様に飛ばして来た。さらに、それを目眩しに、ゴーストマルチユニットに内蔵したアンカーを発射して来た。

 

「甘い!」

 

 クロノスサターンはゴーストマルチシールドを、クロノスS(サン)シールドで受け止めて、そのまま握りつぶすと、続けてクロノスS(サン)ソードでアンカーを切り裂いた。

 しかし……。

 

「一瞬でも足止めできればそれで十分さ! プルート!」

「はい、御霊……!」

「「マジカルスキル! プルートゴーストブラスター!」」

 

 ゴーストプルートはゴーストコアキャノンの上に何重もの魔法陣を重ねる様に展開すると、辺り一面の魔力をまるでブラックホールの様に集めて、そこから超巨大なビームを発射した。

 御影たちが使った時よりも、溜めが短い。それに威力も違う。これが本家本元か……!

 

 クロノスサターンはクロノスS(サン)ソードを再び合体させて、クロノスS(サン)バスターソードを作り上げた。

 さらに……!

 

「「マジカルスキル! プラネットウォーター!」」

 

 いつもの水から武器を生み出す使い方ではなく、既に存在する剣に水を纏わせることで、巨大な盾を作り出した。

 

「ぐっ……!」

「凄まじい威力だな……!」

 

 そして、プルートゴーストブラスターを真正面から受け止めた。その余波で周りの建物が破壊されていく。

 本当にとんでもないパワーだ。だけど、力勝負ならこっちだって負けない。

 クロノスサターンは背中のクロノスS(サン)リングに火を灯し、その圧倒的な出力で超巨大なビームを押し返した。

 

「これで……! ーーッ!? ゴーストプルートは……!?」

 

 クロノスサターンはなんとか超巨大ビームを跳ね除けたが、それを撃ったゴーストプルートが姿を消していた。

 そんな中、サンが声を上げた。

 

「陽太……! あそこだ……!」

「あんな遠くに……!」

 

 すると、ゴーストプルートは遥か遠くにある建物の屋上で、巨大な魔力の黒とピンクの球体をそれぞれ両手に発生させていた。

 あれは確か……御影たちが全国大会で焔たち相手に使っていた魔法……!それも最強のマジカルスキルであるフィールド魔法……!

 

「陽太たちならきっと、プルートゴーストブラスターを防ぐと思っていたよ! だから、こっちはそれを囮に本命の攻撃を撃たせて貰う!」

「本来ならば……ゴーストプルートとシャドウカロンの二機で発動させる魔法ですが……今の僕と御霊ならまあ、何とかなるでしょう……!」

「「マジカルスキル! プルートカロンフュージョン!」」

 

 そして、ゴーストプルートは融合させた巨大な魔力の黒とピンクの球体を解放した。

 バトルフィールドの全てを吹き飛ばす程の超広範囲攻撃。自身諸共消し飛ばす自爆技紛いの魔法。正直言って、大分狂った魔法だと思うが、純粋に本当に凄いと思った。

 

 このままいけば多分引き分けで終わるだろう。だけど、こっちにはそんなつもりはない。

 確かに御霊たちは強くなったが、まだまだ負けるつもりはなった。だって、彼(・)女(・)に(・)は(・)自(・)分(・)の(・)カ(・)ッ(・)コ(・)い(・)い(・)と(・)こ(・)ろ(・)を(・)見(・)せ(・)た(・)か(・)っ(・)た(・)か(・)ら(・)……。

 だから……!

 

「サン! 御霊ちゃんたちのマジカルスキルを真正面から破って勝つよ!」

「ああ……! それこそが我らのバトルスタイルであるからな……!」

「「マジカルスキル! サンダスクブレイク!」」

 

 クロノスサターンはクロノスS(サン)バスターソードを依代に、超巨大な炎の剣を作り出した。

 この魔法こそが、サターンアークブレイクの原型となったもので、陽太たちが、かつて小学生チャンピオンバディになる為に生み出した、最強のマジカルスキルだった。

 そして、サンの火の魔法を思わせる業火が、バトルフィールドを消し飛ばす超巨大な爆発に真正面から切り掛かった。

 

「「うおぁぁぁぁぁーーッ!!」」

「「はあぁぁぁぁぁーーッ!!」」

 

 お互いの最強のマジカルスキル……それもこの十年間の想いを込めた魔法がぶつかり合った。

 その余波で、市街地の建物が消し飛び、どんどん更地になっていく。

 だけど、お互いに一歩も引いたりはしなかった。

 それでも……。

 

「ありがとう、御霊ちゃん! 御霊ちゃんのおかげで、僕たちはこうして戻ってくることができた! そして、またこうしてバトルすることができた!」

「陽太君……!」

「プルートにも例を言わねばな……。 汝らのおかげで、我はこうして再び前に進む決心が着いた……」

「いえ、当然のことしたまでですよ……」

「「だからこそ、御霊ちゃん(プルート)たちに勝って、そのお礼をするよ(のだ)!」」

 

 クロノスサターンはクロノスS(サン)リングの大出力ブースターをフル稼働させた。

 それにより、さらにパワーを増したサンダスクブレイクがプルートカロンフュージョンを破り、そのままゴーストプルートを吹き飛ばした。

 そして、ゴーストプルートはマジカルバリアを破壊されて、戦闘不能になった。

 

 それを見たMCの御影とカロンがバトルの決着を宣言した。

 

「き、決まったーー! 陽太君たちがお姉ちゃんたちを打ち破ったーー! 本当に凄いバトルでした! これはかつて果たせなかった約束を果たしただけではなく……新たなリスタートになったのではないでしょうか!」

「うんうん、やっぱりウィッチバトルはこんな風に楽しいものでないとね〜」

 

 

*****

 

 

 バトルの後、人間と同じ大きさの姿に変身したサターンが、御霊と握手を交わしながら言葉を交わしていた。

 

「——御霊ちゃん、本当に強かったよ! 本当に……本当に強くなったね!」

「えへへ……! それ程でもないよ〜! 私なんかまだまだで〜!」

「ほら、陽太も何か言わないと! ……分かった。 御霊ちゃん、本当に楽しいバトルだったよ。 ま(・)た(・)や(・)ろ(・)う(・)ね(・)」

「……!! うん!! うん!! 勿論!! 約束だよ!!」

 

 御霊は初めは嬉しさのあまり、顔が解けた様な笑顔を浮かべていたが、もう一人の兄のま(・)た(・)と言う言葉を聞いて、ボロボロと涙を溢し始めた。

 きっと十年前の事件が原因で果たせなくなっていた約束を果たせただけではなく、これからもまたバトルできることが嬉しいのだろう。

 

「プルート……汝も見違える程に強くなったな……」

「ふふっ、そうでしょう……! 何て言ったって、僕と御霊は世界で一番の相棒ですからね……! チャンピオンバディを目指すかどうかはまだ分かりませんが……それでも貴方たちには負けませんよ?」

「そ(・)う(・)だ(・)な(・)……。 だが、今日のところは、望むところだと言っておこうか……」

 

 サンとプルートもそう言葉を交わしていた。

 どうやら、サンは罪の意識から大分解放された様だった。

 

 そして、そんな様子を美月は見守っていた。

 

(お兄様……御霊先輩との約束を果たせて良かったですね……)

 

 美月はそのままチラリとムーンとリンの様子を見た。

 

 美月の相棒は三人いる。

 今の相棒の兄でもあるサターン。

 亡くなったムーンの代わりに相棒になってくれたリン。

 そして、十年前の事件で離れ離れになっていたムーン。

 サターンとは、今もこうして一緒にバトルをしていて、高校生チャンピオンバディにもなることができた。

 リンとは、一緒にバトルをしたものの、美月の本物の魔女の力のせいで彼女を壊してしまい、もう二度と一緒にバトルができなくなってしまった。それでも、彼女はずっと相棒として美月の側にいると言ってくれた。

 そして、ムーンはかつて一緒に世界で一番の相棒であるチャンピオンバディになろうと約束したものの、十年前の事件のせいで、今(・)ま(・)で(・)一(・)度(・)も(・)一(・)緒(・)に(・)バ(・)ト(・)ル(・)し(・)た(・)こ(・)と(・)が(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)。

 だから、これを機にムーンを罪の意識から解放して、一緒にバトルをしたいのだが……。

 

 すると、そんなムーンは先程のバトルを見たせいか、まるで眩しいものを見る様な目をしていた。

 

「妾は……妾も……」

 

 その姿に美月は見覚えがあった。かつて自分が街中で出会った焔たちに向けていた憧れと諦めの姿だ。

 ムーンにもバトルをしたいと言う気持ちはあるのだろう。だけど、きっとまだ罪の意識が邪魔をしてしまっているのだろう。

 それならば……。

 

(ムーンとちゃんと話をする必要がありますね……)

 

 ——今度は美月の番だった。

 

 

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