メカニカル☆ウィッチ   作:星乃祈

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第19話「開幕!学園リーグ戦!」

 

 

 ――その日の放課後。学園の地下にあるメカニカルウィッチ学園第五スタジアムにて。

 

『――よろしくね、美月! それに、サターンも! こうしてタッグ戦のペアを組むのは実習授業の時以来だけど……今回こそは一緒に頑張ろうね!』

『前回はそれどころじゃなかったものね……。 でも、今回は私と焔君の良い所を見せてあげるわ! よろしくね!』

「はい、焔もマーズもよろしくおねがいしますわ」

「僕からもよろしく頼む」

 

 『遺跡跡』のバトルフィールドにアークサターンとブラッドマーズが立っていた。

 このバトルフィールドは周囲一体が深い森に囲まれており、そのあちこちに草木に飲み込まれた古い遺跡を模した建物が建てられていた。

 視界を遮る上に足元が躓きやすくなる木々に、水中戦も可能なくらい大きな川、そして屋内戦もできるが、倒壊するリスクのある古い遺跡と言った数々の要素により、どこでバトルするにせよ、地形の影響をもろに受ける仕様になっていた。

 

 今現在、そんな場所に焔たちと一緒にいる理由は……。

 

 ――時は一旦、お昼休みまで遡る……。

 

 生徒会室に乗り込んで来た御影は、大きな声で説明した。

 

『――私ちゃん、新一年生ちゃんたちの学園リーグ戦が正式に解禁される今日、この日になるのを、ずっと、ずーーっと、首を長ーーくして待っていたのです! そ・し・て!! そんな日に長らく学校をお休みしていた美月ちゃんが久しぶりに登校し、さらに焔君と同じチームに入ったとの情報を手に入れ、これはもうお二人とバトルするべき時が来たと、神様がお告げをくれたのだと理解し、そのお導きに従い、こうしてやって来た訳でございます!! ……と言う訳で、美月ちゃん、焔君、学園リーグ戦をしましょう!!』

 

 あまりのテンションの高さと、途中で息継ぎをしてるのか疑うレベルの勢いだったにも関わらず、妙に聞き取りやすい声だった。流石MCを務めているだけのことはある。

 

 それから歌が御影を一旦落ち着かせてから、要約する様に紹介してくれた。

 曰く、御影は人間とメカニカルウィッチの相棒たちの絆を見るのが大好きな子であり、それを特等席で見る為に、去年の学園リーグ戦が解禁されたその日に、九位の座を手に入れた。

 それからその特典を使って、学園で行われるほぼ全てのバトルでMCを務めていた。

 さらにそれだけではなく、自らが目にかけた子にバトルを挑んでおり、今回の様にバトルを申し込む為にあちこちに突撃するのを日頃から繰り返している。

 その結果、偶に負けて順位が落ちることもあるが、翌週には元の座に返り咲いており、いつからかこの学園の()()()と呼ばれる様になった、と。

 

 御影のことを紹介する歌はどこか自慢げな様子で、途中からテンションがどんどん高くなっていった。

 曰く、強さに大きくムラがあり、困った()があるものの、本調子の時は、この学園の外を含めても、二年生世代では間違いなく最強で、高校生の枠組みで見てもトップクラスの部類に入る。

 その為、見かけ上の順位は九位だが、五位の自分よりも強く、トップ三の三年生組に匹敵する実力を持っている、と。

 

 そんな御影は恥ずかしさからか顔を真っ赤にして反論していた。

 

『――私ちゃんの力などほんの僅かで、全部全部、相棒のカロンちゃんと、()()()()()()()()()()()()()()のおかげなんです!』

『――みーちゃんはテンションが高そうに見えて、意外と自分に自信がないと言うか……変な所で奥手になるので、実は割と律儀で真面目な子なんですよ』

 

 しかし、歌がすかさずフォロー?していた。

 

 どうやら朝一ではなく昼休みに一年生の教室に行ったのも、朝のホームルームで仮のライセンスが配られるまで律儀に待っていたからだそうだ。

 

 そんなやり取りを挟みつつ、御影が改めて自分と焔、そして御影と歌による二対二対のタッグ戦による学園リーグ戦を申し込んで来た。

 学園リーグランキングは個人のランキングではあるが、バトルの内容と結果で変動する為、個人戦だけでは無く、タッグ戦でも、チーム戦でも良いらしい。

 巻き込まれた歌も、少し呆れた表情をしつつも割と乗り気だった。この二人は仲がとても良いみたいだ。

 

 当然、焔も乗り気になる中、輝が自分に気を遣ってくれた。

 

『――一応、今日から一年生も正式に学園リーグ戦に参加できるけど、普通は来週からなのが通例だし、美月さんは体調のこともあるから、無理せず断っても大丈夫だよ?』

 

 だけど、サターンと一緒に前に進むと母の前で誓った以上、いつまでもバトルから逃げ続ける訳にはいかない。

 だから、その申し込みを受けることにした。……後、断ったせいで、まだ体調が悪いんだと誤解されたくなかったのもあるけど……。

 

 ――そして、時は現在に戻り……。

 

 今回は学園リーグ戦と言うこともあり、入学式の日の焔たちとのウィッチバトルの時の様に、観客席にはたくさんの生徒たちがいた。

 前回とは違い、今回は広大なバトルフィールドで行われるスーパーウィッチバトルの為、そうそう観客席の声は聞こえて来ないとは言え、その視線はハッキリと感じていた。

 

 トラウマが頭を過ぎったせいで、体が固まってしまうのを感じた美月は、心を落ち着かせる為に母の形見であるペンダントを手に取った。

 

(……ごめんなさい、お母様……。 大切なペンダントに傷をつけてしまって……)

 

 ネメシスとの戦いの後、いつの間にか大事なペンダントにはヒビが入っていて、その一部が欠けてしまっていた。

 勿論、粗末に扱うなんてことは絶対にしてない。だけど、もしかしたら視力が落ちていた一週間の間に、どこかにぶつけてしまったのかもしれない。

 こうして傷の入ったペンダントを手に取る度に、母に申し訳なくなるけど、今は……。

 

(……大丈夫。 サターンと一緒に前に進むって決めたんですから……。 それに今回は焔も隣にいてくれる……。 だから大丈夫……)

 

 するとアナウンスの声が聞こえて来た。

 

『……さて、今回はいつもMCを務めている冥道さん自身がバトルをするから、代わりと言っては何だけど、生徒会長である僕が進行を務めさせて貰うよ』

 

 試合の進行を買って出たのは輝だった。

 

『今回の学園リーグ戦は、二対二対のタッグ戦で行う。 チームオールスターズの美月さんとサターン君、そして焔君とマーズさん。 それに対するは、チームラ・メールの冥道さんとカロンさん、そして魚波さんとピスケスさん。 奇しくも、チーム同士のバトルにもなったね』

 

 紹介の通り、御影と歌はどうやら同じチームに所属しているらしかった。……と言ってもチームメンバーはこの二人だけらしい。

 

『紹介が遅れたね、今回は特別にゲストとして美月さんたちのチームメンバーに来て貰ってるよ』

『はいはーい! 緑木小春です! 焔も美月ちゃんも頑張れ〜!』

『……青水冬馬です。 後、小春……MCは応援とは違うぞ』

 

 お友達の二人の声が聞こえたおかげで、固まっていた体も大分動く様になった気がする。大丈夫だ。大丈夫な筈だ。

 

『……両者準備が整った様だし、始めようか。 学園リーグ戦、バトルスタート!』

『よし、先手必勝だ!』

「ほ、焔……!?」

 

 バトル開始の合図と同時にブラッドマーズが全身のスラスターに火をつけ、飛び出して行った。

 

 慌ててアークサターンを動かそうとするが……。

 

『――申し訳ありません、お嬢様……』

『――美月や。 妾が死んだと言うのに……』

「――ッ!?」

 

 リンとムーンの幻聴が聞こえて来て、体が固まってしまう。

 だけど……。

 

「動きなさい、わたくし……! 前に進むとお母様に誓ったのですから……!」

 

 無理やり体を動かして、機体を前に進ませる。大丈夫だ、機体の動きが少し重いが、ちゃんと動ける。

 

「ご安心下さい、お嬢様。 僕が全力でサポートしますから」

「サターン、迷惑をかけますわ……!」

 

 サターンの助けもあって急いで焔たちを追いかける。この視界不良の森でペアを見失うのは流石に不味い。

 

(待って、焔……! ()()()()()()()()()()……!)

 

 機体の全身のスラスターと、背中のブースターをフル稼働させ、全力で追いかける。

 

 幸いにも大きな川に差し掛かった辺りで、追いつけそうになるが、それと同時に魔力の見える目が水中にいる機体の存在をとらえた。

 

「焔、水中から来ますわ!」

『え!?』

 

 警告するのと同時に、水中から潜水艦の様な形をした漆黒の機体が現れた。

 

『遅いですよ!』

『ドーーン! だね〜』

『うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ〜〜!?』

『焔君!?』

 

 聞こえて来た声からして御影たちのであろうその機体は、そのままブラッドマーズへと体当たりをかまし、遠くへと吹っ飛ばすと、ガチャガチャと人型へと変形した。

 

(焔たちの様な簡易変形じゃなく完全変形の機体……!?)

 

 機体の中身が人型の関係上、非人型への完全変形は難易度が高い上に、その操作も難しい筈なのに、御影たちの機体はほぼ一瞬で変形プロセスを完了していた。

 その機体は、全身の殆どが黒く染められ、全体的にどこか生物染みたトゲトゲしいシェルエットをしていた。

 それでいて、剣や杖と言った武器の様な物を持っていない代わりか、その両腕自体が巨大な物になっていた。

 

『私ちゃん&カロンちゃんの機体『シャドウカロン』参上!! さあさあ、楽しい楽しいバトルの始まりですよー!』

『カロンちゃんも頑張るぞ〜』

 

 御影たちの機体はわざわざ名乗りを上げると、両腕の『シャドウマルチガントレット』に内蔵された銃口からビームの銃弾をバルカンの様に乱射して来た。

 

「くっ……!?」

「何て威力だ!?」

 

 機体に咄嗟にアークシールドを構えさせ防御させる。

 だけど相手の攻撃があまりにも痛過ぎる。この威力と連射性能を両立させている上に、先程の完全変形と言い、機体の完成度が異常に高い。

 

『これを防ぎますか! なら……!』

 

 何とか盾で防御していると、御影たちの機体が距離を詰めて来る。

 こっちも急いでアークソードを構えるが……。

 

『最初から全力で行きますよ、カロンちゃん!!』

『了解だよ〜御影ちゃん』

『『マジカルスキル! カロンシャドウダイブ!』』

 

 シャドウカロンは再び潜水艦へと完全変形すると、森の中と言うこともあり、辺り一面影となった地面の中に()()()()()()()

 

「これはっ……!?」

「チッ!」

 

 そして、影の中から現れて体当たりを繰り返しては、再び影に潜るのを繰り返す。

 トゲトゲしいシルエットのせいで機体自体が武器になっている。

 

 一手先が見える魔力が見えるこの目が、動きの重さのせいで帳消しになっていることもあるが、単純に相手のスピードが速過ぎるせいで後手に回ってしまう。

 

「サターン、一旦離脱しますわ!」

「了解です、お嬢様!」

 

 機体にダメージが蓄積していき、このままでは不味いので、全身のスラスターと背中のブースターをフル稼働させ、この場を一気に離脱する。

 だけど、相手が潜水艦に変形できる以上、下手に川に近づく訳にはいかないので、仕方なしに一度後ろへと戻った。

 しかし……。

 

『美月! サターン! 今助けるよ!』

「え、焔!?」

 

 離脱した先にはこちらに真っ直ぐに突っ込んで来るブラッドマーズがいた。

 相手の攻撃から逃げることに集中していたせいで、焔たちの位置関係を失念していた。だけど今更気づいてももう遅い。

 

「きゃあっ!?」

『うわあッ!?』

 

 味方同士で想定外の衝突事故を起こした二機の元へ御影たちの機体が突っ込んで来る。

 

『味方との声かけは基本中の基本ですよ!』

『うんうん、大事だね〜』

 

 そのまま一瞬で人型へと変形すると、凄まじいパワーで二機をまとめて蹴り飛ばした。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!?」

『うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ〜〜!?』

 

 吹っ飛ばされたアークサターンとブラッドマーズがドボンと言う大きな音と共に大きな川へと落ちた。

 不味い。このままだと明らかに不利な水中戦に持ち込まれる。

 そう考えたのは焔たちも同じなのか、二機は直ぐに武器を構え直した。

 

 しかし、いつまで経ってもシャドウカロンは水中に入って来ず、代わりに御影の声が聞こえて来た。

 

『――どうしたのですか、美月ちゃん! それに焔君も! 私ちゃんのレーダーにビビッとは反応したお二人の相棒との絆はこんな物ではない筈です! カロンちゃんは兎も角、私ちゃん程度に苦戦してどうするんですか!?』

 

 水中から様子を伺うと、御影たちの機体は川の近くで無防備な状態で棒立ちしていた。

 一見すると、慢心している様にも見えるが、その声はどこまでも真剣だった。

 

 だったら、こっちも遠慮なく行かせて貰う。今度こそちゃんと焔たちと息を合わせ、同時に水中から飛び出した。

 

「「マジカルスキル! サターンスラッシュ!」」

『『マジカルスキル! マーズファイア!』』

『それに……ホワッツ!?』

 

 御影がまだ何かを口にしていた為、不意打ち気味になってしまった。

 そのまま、魔法の斬撃と炎が無防備なシャドウカロンに直撃しそうになった……その時だった。

 何かが咄嗟に間に割って入って、その身を盾にした。

 

『た、助かった……! ありがとう、うーちゃんたち!』

 

 御影たちを庇ったのは、女性の様な細身に体型に加え、腰のスカートで足を隠すことで、人魚の様なシェルエットをしている、()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。

 攻撃を受けたことで、その場で水へと戻り崩れ落ちる。

 しかし、これはあくまでも()()で、本体ではない。

 

 すると背後の大きな川から声が聞こえて来た。

 

『みーちゃん、相手の本気を引き出したいのは分かりますが、それでいつも油断する()は良い加減に直した方が良いですよ?』

『毎回フォローすることになるこっちの身にもなって欲しいわ』

 

 その声と共に大きな水飛沫が上がり、水色を基調とした本体が現れる。

 人魚の様な見た目の機体の周囲に、杖系の武器でありながらドローン武器の様に手に持たずに使える水晶型の武器が五つ展開していた。

 

 それだけじゃない。川の中から続々と半透明の分身たちが現れる。

 しかも、それは焔たちの実体を持たない影分身とは違う、()()()()()()()だった。

 

(バトルフィールドそのものに干渉する魔法……! これはまさかっ……!?)

 

 美月はそれに心当たりがあった。

 メカニカルウィッチが使うマジカルスキル中でも最強クラスの効果を持つのと同時に、最高クラスの難易度を誇る魔法のことを。

 

 その名は『フィールド魔法』。その発動と維持に機体の魔力の大半を喰われる為、基本的に他のマジカルスキルとは同時には使えないデメリットはあるが、それを補って余りあるバトルフィールド全体の魔力を使えると言うメリットを持つ、最強のマジカルスキルだった。

 そして、これはまだ未解明な部分が多い『()()()()』の一種とされていた。

 

 それを使っている歌たちが自慢気な様子で口を開いた。

 

『……さて、みーちゃんたちが()()()()をしてくれたおかげで、こうして無事にフィールド魔法が発動できたことですし……。 せっかくですからみーちゃんを習って私たちの機体も紹介しましょうか? これが私とピスケスの機体『マーメイドピスケス』です。 性能だけじゃなく、見た目にも拘ってるんですよ?』

『そして、これが私たちだけの最強のマジカルスキル。 人魚の歌う領域(ピスケスマーメイドフィールド)よ。 見ての通り、水の魔力があれば無限に実体を持つ分身を生み出し続けられるわ』

 

 歌たちが余裕そうな態度なのも当然だ。

 フィールド魔法はマジカルスキルの扱いに長けた杖系の武器を装備した機体の切り札だ。……と言うかそれ以外の武器種ではまともに発動できない。

 さらにあまりにも強力過ぎる為、大真面目にその対策が発動自体をさせないことと言われているので、最早その手も使えない。

 

 すると焔が自分たちにだけ聞こえる回線を繋げて来た。こちらもその回線に繋げる。

 

『ごめん、美月! それにサターンも! ついいつもの癖で、開始早々俺たちだけで突っ込んじゃった!』

「いえ、わたくしの方こそ申し訳ありませんわ……。 実は誰かとチーム戦をやったことがなくて……どうサポートすれば良いのか分からないのですの……」

 

 事実、御影たちも単騎で突っ込んで来ていたが、歌たちはそれを上手く利用してフィールド魔法を完成させていた。

 それに比べて自分は……。今までバトルから逃げて来たツケが回って来たのだ。

 

『いや、俺の方が……じゃなくて! 反省は大事だけど後でするとして! 実は俺とマーズには、まだ未完成だけどずっと練習中の、煌めき凄いフィールド魔法があるんだ!』

「……!」

 

 焔の提案は、この詰みに近い状況をひっくり返せるかもしれない物だった。

 

 フィールド魔法のもう一つの対策。それはこちらも同じ様にフィールド魔法を使うことだった。……とは言えこの手を使える者は限られている。

 

『焔君はここ最近、美月ちゃんたちに追いつく為に特に頑張って練習していたの!』

『うん! 本当にもう少しで完成しそうなんだ! だから……!』

 

 焔たちが頼みたいことは分かる。簡単な話、時間稼ぎだ。

 でも、この状況、無理難題を頼むことになると分かっているのだろう。

 でも……。

 

「焔、マーズ、何分稼げば良いのですの?」

『……! 五分……いや、三分で良い! その時間で俺たちは絶対に完成させてみせる!』

『ええ、私と焔君を()()()! ただその間……私たちの機体は無防備になるけど……』

 

 それなら問題ない。焔たちならきっとできる筈だ。そう信じている。

 

 美月は機体にアークサターンと剣と盾を合体させて、アークX(クロス)アックスを作り出した。

 

『作戦会議は終わりましたか?』

 

 それを見た御影が問いかけて来る。どうやら律儀に待ってくれていたみたいだ。

 

「……焔、マーズ、()()()()()()()()()……!」

『うん! 任せ……うわぁ!?』

 

 そのままダメージを与えない様に巨大な斧の平面の部分で焔たちの機体を遠くへと吹っ飛ばした。

 流石にシャドウカロンに加え、マーメイドピスケスの分身に包囲されている状況で、守り切るのは不可能だし、離脱させるにもこの方法しかなかった。

 

 シャドウカロンが武器を構え直すと、それに合わせる様にマーメイドピスケスも水晶型の『マーメイドスフィア』と分身たちの照準を合わせて来た。

 

「……チッ、何故お嬢様がサポートを……。 僕はみづ……お嬢様の活躍が見たいのに……」

「サターン、何か言ったかしら??」

「な、何でもありませんよ、お嬢様!!」

 

 サターンが……兄が、ハメを外して素を出す様になったのは勿論良いことなのだが、流石に今は自重して欲しかった。

 

(……でも、サターンの言う通り、焔たちをサポートするのがこのバトルでの私の役目……!)

 

 後は全力で三分間稼ぐだけだ。

 美月は既にお嬢様人格になっているが、さらに気合いを入れるべく、重ねがけする様に勇気のお呪いを唱えた。

 

「――頑張れ、私! 頑張りなさい、わたくし!」

 

 

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