メカニカル☆ウィッチ   作:星乃祈

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第3章「大切な宝物」
第33話「チャンピオンバディ」


 

 

 ――(ほむら)たちとの学園リーグ戦から一週間が経った月曜日の朝。チームオールスターズの部室にて。

 

「「――マジカルスキル! サターンスラッシュ!」」

「「――マジカルスキル! マーズブラッドサイス!」」

 

 二つのマジカルスキルが激突したことで、荒野のバトルフィールドに激しい光と大きな音が起こった。

 両者の魔法は一瞬、拮抗した様にも見えたが、そのままサターンスラッシュが、マジカルスキルごとブラッドマーズのマジカルバリアを破壊した。

 

「負けた〜〜!! 悔しい〜〜!! せっかく美月(みづき)たちに少しは追いつけたと思ったのに〜〜!!」

「どうした、焔ッ!! 僕はまだ貴様のことを認めていないからなッ!! この僕に勝たない限り、みづ……お嬢様はやらんからなッ!!」

 

 バトルに負けた悔しさを叫ぶ焔に、サターンは機体の剣を向けながらそう宣言していた。

 その様子を見た美月は、恥ずかしさで顔を赤くすると、慌ててウィッチバトル用のスタジアムいるサターンを回収した。

 

「おに……サターン、止めて下さい!!」

「そうよ、サターン。 あなたの気持ちは分からなくもないけど……あまりやり過ぎると美月ちゃんに……妹ちゃんに嫌われるわよ?」

「グハッ……!?」

 

 マーズの言葉に致命傷を受けたサターンは、比喩ではあるが血を吐いた様に倒れ、自分の手のひらの上で動かなくなった。

 先日の一件以来、サターンが焔に対してやたら強く当たる様になった為、こうしてマーズと一緒にそれを宥めることが多くなっていた。

 

「ご、ごめんなさい、焔! ()が後でちゃんとサターンに言い聞かせておきますから!」

「ううん、サターンの言う通り、こうして学園リーグランキングの七位になれたとは言え……まだ美月たちに勝ててないのは事実だがら! 俺はいざと言う時に美月のことを守れる様に、もっと強くなりたいんだ!」

「〜〜!!」

 

 美月は結局、前回の学園リーグ戦の時に、焔が口にした好き?の意味を、未だに聞けずにいた。

 今までは明日斗博士の娘として、周囲からは住む世界の違うお姫様みたいに扱われていたせいで、家族以外の他人から面と向かって好きと言われたのは、焔が初めてだった。

 そのせいで、本で読んだ知識こそあれ、恋愛経験がない美月は、こう言う時にどうすれば良いのかが分からなかった。

 何なら、自分の焔に対するこの気持ちが恋なのかどうかさえ、分かっていなかった。

 

 だから、こうして焔に触れられそうになる度に、思わず挙動不審になる様になってしまっていた。

 せっかく焔だけではなく、冬馬(とうま)小春(こはる)の前でも、本来の自分を出せる様になったのに、これでは変だと思われてしまう。

 

「あたしだって同じだよ! あたしとジュピターも、学園リーグランキングの十位になれたけど、もっと強くなるんだから! 今度こそ御影(みかげ)先輩たちの登竜門を超えてみせるよ!」

「そ、そうだね……小春ちゃん……! リベンジ頑張ろうね……!」

「僕も同じだ……! 僕とマーキュリーも、御影先輩たちに勝ったことで、学園リーグランキングの八位になれたが、同じ作戦は二度は通用しないだろうからな……もっと強くならなければ……!」

「フッ、そうだな、冬馬。 ここからが本番だ」

 

 焔たちとの学園リーグ戦の後、冬馬とマーキュリー、それから小春とジュピターにも、美月は本来の自分のことを打ち明けた。

 すると冬馬と小春も、焔みたいに最初からではないが、既に気づいていたと言う。

 どうやら、自分は熱でボーッとしていた為、あまり覚えていなが、以前お見舞いに来てくれた時に、皆の前で本来の自分を見せてしまっていたらしい。恥ずかしい……。

 それでも皆が、本来の自分とお嬢様人格の自分の両方を受け入れてくれて、これからもずっと友達だと言ってくれたことは本当に嬉しかった。

 

 そんな小春と冬馬も、進化する焔に負けじと、著しい成長を見せていた。

 この学園の登竜門と呼ばれている御影たち相手に、小春たちは負けはしたもの、それなりに惜しい所まで追い詰めた為、学園リーグランキングの十位になっていた。

 一方で冬馬たちは、まさかまさかの最初の狙撃で御影たちを倒したことで、学園リーグランキングの八位になっていた。

 確かに、御影たちは何をして来るか分からない怖さがあるので、最初から何もさせないのが一番の対策と言えるだろう。本人の言う通り、二度は通じないだろうが……。

 

 ちなみに、美月とサターンは相変わらず学園リーグランキングの六位ままだった。

 流石に休んでいた分の補習を先に片付ける必要があった為、焔たち以外と学園リーグ戦をする暇がなかったのだ。

 でも、王牙(おうが)から直接謝罪された際に、改めて決着を着けることを望まれたことで、六月になったら三対三の学園リーグ戦を再び行う予定になっていた。

 

 そして、まだチームの朝練の時間ではあるが、この後予定がある美月は、焔たちに断りを入れた。

 

「あ、時間だ……。 私、学園長先生に呼ばれているので、先に失礼しますね……」

「うん、分かった! 確か……凄い人たちに会うんだっけ?」

「は、はい……!」

 

 美月はこの後、とある人物たちと顔合わせをして、事情を共有する予定になっていた。

 だけどその人物が学園に来ると広まったら大騒ぎになるので、焔たちにも誰と会うかは話せずにいた。

 

 そして、部室の自動ドアが開くと、その人物と思わしき男性が、生徒たちに問い詰められていた。

 その様子を見た美月は、まだ焔たち以外には本来の自分を出せない為、お嬢様人格に切り替えた。

 

「ええっと……どう言う状況ですの?」

「あ、美月様! この怪しい男が、外から美月様たちの部室を覗いていたんです!」

「ええい、美月様を狙う怪しい奴め! 早くその帽子とサングラスを取って正体を明かせ!」

「ま、待ってくれ! 俺はただ、弟の様子を一目見に来ただけなんだ! それに、俺がここで正体を明かしたら……!」

 

 焔たちとの学園リーグ戦の際に、人前で泣き顔や、笑顔、それから赤くなった顔を見せてしまったせいで、良くも悪くも今までの完璧超人のお嬢様と言う美月のイメージは完全に壊れることになった。

 それによって生徒たちの反応も変化することになった。

 

 相変わらず明日斗博士の娘として見てくる生徒たちはまだまだ多かった。

 でも、同じクラスや子や、同級生の女子たちを中心に、焔たちを見習って、美月に話しかけてくれる生徒たちも増えて来ていた。本当に嬉しかった。

 

 だけど、そんな中で、美月の見せたギャップにやられ、ファンになった男子と一部の女子たちが作ったファンクラブなるモノができていた。

 一応、美月を個人として慕ってくれているとは言え、どう対応すれば良いのか少し困っていた。

 さらにファンクラブの生徒たちは、焔のこと尊敬の目で見ながら、勇者と呼ぶ様になっていた。

 

 そんな焔が騒ぎを聞きつけて、様子を見に来た。

 

「美月、何かあったの……って、()()()()()!?」

「何で!?」

 

 焔とマーズが急に大声を上げたことで、その場にいた生徒たちの視線が一気に彼に集中した。

 

「え? 勇者君のお兄さんなの?」

「ん……? (うらら)……?」

 

 すると焔たちは「やばい……!」と口にしながら、麗と呼んだ男性の元に駆け寄ると、手を引っ張る形で部室の中へと連れ込んだ。

 

「うら……兄ちゃんが失礼しました!!」

 

 焔はそのまま部室の自動ドアを人力で無理やり閉めると、慌てた様子で口を開いた。

 

「あ、えっと、美月……! うら……兄ちゃんは怪しい人じゃなくて……!」

「焔、大丈夫です……わ……! 分かっています……わ……!」

 

 美月は、事前情報と男性が首にかけているトレードマークのゴーグルから正体が分かっていた為、別に警戒してていなかった。

 だけど、それを知らない小春と冬馬が疑問を口にした。

 

「あれ……? 焔って一人っ子じゃなかったっけ……?」

「でも確か……従兄弟の兄がいるって言ってたな……。 この人がそうなのか?」

「ええっと……!」

 

 二人からの疑問に焔が慌てていると、男性が決心した様子でその口を開いた。

 

「ん〜? まあ、焔の友達なら問題ないか! もう隠れなくて良いぞ、()()()()!」

「ハッ、ようやくかよ! じっとしてるのは疲れたぜ、麗!」

 

 男性は、かけていたサングラスを外すと、深く被っていた帽子を取った。

 それと同時に、マジカルウォッチの中に魔石の状態で隠れていたメカニカルウィッチが姿を現し、男性の肩の上に着地した。

 

 そして、露わになったその顔を見たジュピターとマーキュリーが思わず声を溢した。

 

「ふ、ふえぇ〜!?」

「まさか……!?」

 

 さらに驚きのあまり、小春と冬馬が大声を上げた。

 

「「チャ、チャンピオンバディ〜〜!?」」

 

 ――その正体は、今年の冬に行われた世界大会で優勝し、世界で一番の相棒であるチャンピオンバディになった天王寺麗(てんのうじうらら)とウラノスだった。

 

 

*****

 

 

 ――その後、一同は学園長室に来ていた。

 

 元々焔たちは呼ばれていなかったが、美月のお見舞いに行った際に、事情を知ったと言うことで、特別に同席が許されることになった。

 そんな学園長室には、学園長の他に、(ひかる)とヴィーナス、それから二大チャンピオンバディの海姫(うみひめ)ネオンとネプチューンがいた。

 

「――麗、()()()()()()()()()()()()()……? ()()()()()()()()()()()()()()()()……麗の嘘つき……」

「す、すまん、ネオン! 弟の様子を一目見に行ってただけなんだ! 弟と相談に上がった子の仲がどうなっているのか気になって……!」

 

 来賓用のソファに座っているネオンは、隣に座っている麗の服の袖をギュッと掴みながら、不機嫌そうに俯いていた。

 

 その様子を見た学園長は、二人がいる理由を先に説明し始めた。

 

「美月さんと生徒会長は既に聞いているだろうが……改めて説明しておこう。 四月に起きた正体不明機(アンノウン)の侵入事件や、謎の暴走事件のことは、当事者でもある君たちも良く知っているだろう。 そこで国は、本来の計画を前倒しにする形で、二大チャンピオンバディの天王寺麗と海姫ネオンの二人を、特別講師として赴任させることにしたのだ」

「「「……!!」」」

 

 二大チャンピオンバディが学園に来ると言う話に、焔たちは驚きと興奮を隠せないでいたが、事情が事情なので、叫ぶ様なことはなかった。

 

 すると既に話を聞いていた輝が補足する様に説明した。

 

「……この計画は元々、プロ選手を特別講師として名学園に派遣することで、生徒たちのレベルアップを目的にしていたんだ。 本来ならばまだ先の話だったんだけど……今は有事の際に備えて、増員した警備員の他にも、プロの選手に常在して貰うことになったんだ」

「無論、二大チャンピオンバディの二人は多忙な身でもある為、学園に来られない日も多いだろう。 その時は、別のプロ選手が交代で常在することになっているので、安心して欲しい。 最後に、一般の生徒たちを無闇に不安にさせない為にも、事情を知る者以外にはこの話をしない様に」

「「「はい!」」」

 

 焔たちが返事をする中、美月は輝とヴィーナスの方にチラリと視線を向けていた。

 

(輝先輩……)

 

 ここ最近、輝たちは忙しいのか、顧問としてチームに顔を出すこともなくなっていた為、美月も本来の自分のことをまだ打ち明けられずにいた。

 そのことで悩んでいる内に、どうやら麗もネオンを宥め終えたらしく、学園長が二人に声をかけていた。

 

「……では二人共、先ずは自己紹介を……」

「はい、学園長先生!」

 

 麗は元気よく返事をしながら立ち上がった。

 

「じゃあ、改めて! 俺は(うらら)! 天王寺麗(てんのうじうらら)! この学園の卒業生で、今はプロリーグの選手をしてるんだ! それに、皆も知っての通り、今年の世界大会で優勝した、今のチャンピオンバディなんだ! そして、彼が俺の最高の相棒の……」

「全員平伏しやがれ!! 俺様こそが、麗の最高の相棒にして、世界最強のメカニカルウィッチであるウラノス様だぜ!! ガハハハハハッーー!!」

 

 麗は空の様なターコイズブルーの髪に、五芒星の模様が入った瞳をしており、頭部にトレードマークであるゴーグルをつけ、その上に大きなアホ毛が一本伸びている男性だった。

 麗はその明るく真っ直ぐな性格に加え、身長も一八〇はありそうな頼もしい体格をしていることもあって、何処か太陽の様な雰囲気をしていた。

 そんな彼の相棒であるウラノスは、銀色の髪に、青い瞳をした男性で、その口ぶりからして尊大な性格なのが見て取れた。

 

「……皆も気になっていると思うけど、焔は俺の父さんの弟の子……つまり、従兄弟なんだ! だけど、焔が周りから俺の弟だと言うレッテルを貼られない為にも、このことは他言無用で頼むぜ!」

(確かに、私も同じだったから分かります……)

 

 美月は自分の苦い過去を思い出しながら、麗が焔との関係を隠していた理由を理解した。

 

 世界で一番の相棒であるチャンピオンバディの称号を持つ者は毎年変わる為、流石に明日斗博士やアダム議長レベルの影響力がある訳ではない。

 しかし、麗たちに関しては別だ。彼らはチャンピオンバディになる前から有名人だった。

 当時、()()()()の記録を持ち、()()()()にして、()()()()()()と言われていたネオンとネプチューンを相手に、麗とウラノスが()()かかっても挑み続け、その果てに初勝利を収めたのは、有名な話だった。

 そして、その後も()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のネオンたちに唯一勝てるからこそ、こうして二大チャンピオンバディと呼ばれているのだ。

 

 そんな麗が促す様に、ネオンの背中を優しく叩いた。

 

「ほら、次はネオンの番だぜ!」

「……ん。 分かった……」

 

 ネオンはソファに座ったまま、俯いていた顔を上げると、ゆっくりと口を開いた。

 

「……ん。 私は海姫(うみひめ)ネオン……。 麗と同じで、この学園の卒業生で、プロリーグの選手……。 後、えっと……今年の世界大会で準優勝だった……。 そして、彼女が()()()()()()()の……」

「どもども〜♪ あたしはネプチューン♪ ネオンちゃんの()()()()()……と言うか()なんだ♪ あ、言っておくけど、あたしのネオンちゃんが最強なんだからね! 今年は、偶・然、運・悪・く、負けただけなんだからね!」

 

 ネオンは腰まで届くウェービーロングヘアの、海の様な青緑をツーサイドアップにした、宝石の様に綺麗な紫水晶(アメジスト)の瞳を持つ女性だった。

 ネオンはその無表情で口数の少ないダウナー気味の性格に加え、身長も一五〇に届かない小春よりも低いこともあって、何処か子供の様な……人形の様な雰囲気をしていた。

 そんな彼女の相棒であるネプチューンは、ネオンと同じ青緑の髪に、紫水晶(アメジスト)の瞳をした女性で、その口ぶりからして子供っぽい性格をしていた。

 そして、何より、ネオンとネプチューンは大きさ以外は双子に見えるくらい瓜二つな容姿をしていた。

 

(……この人、凄く精霊に好かれてます……)

 

 美月の魔力が見える目以外には見えていないだろうが、ネオンの周りには凄い数の()()()()()たちが集まって来ていた。

 本来の精霊と言っても、サターンやネメシスの様に独立した自我や実体を持っている訳ではなく、あくまでも魔力に宿っている集合無意識の様なものだ。

 ……とは言え、好みの様な物はあるらしく、この特別な力を持つ自分の元にも結構な数が集まっていた。

 

「……」

「……!?」

 

 すると不意にネオンと目があった。いや、違う……ネオンも自分のことを見つめていたのだ。

 美月がそのことに気づいた……その時だった。

 

 学園長室の扉が突如、大きな音と共に開かれた。

 

「と、突然すみません!! 私の憧れのネオンさんたちが来てるって聞いたんですけど!? 本当ですか!?」

 

 現れたのは御影……ではなく、何と(うた)だった。

 御影は寧ろ、テンションがぶっ壊れた歌の腰にしがみついて必死に止めようとしていた。

 

「す、ステイ! ステイですよ、うーちゃん! 私ちゃんですら、学園長室に突撃したことはないのに!?」

「ほわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!? 本当にネオンさんたちがいる!!」

「へ、ヘルプ! 誰か手を貸して下さい!」

 

 さらに、いつもなら厳格なオーラを放つ学園長を恐れて静かになっている学園長室の前には、噂を聞きつけた生徒たちがたくさん集まっていた。

 やっぱり、焔が麗の名をポロッと口にしたり、小春と冬馬がチャンピオンバディと叫んだりした為、誤魔化しきれなかった様だ。チャンピオンバディの人気は伊達ではない。

 

「……」

 

 でも、騒がしくなったことに加えて、元々予定していた事情の共有どころではなくなったせいで、学園長が明らかに怒っているオーラを放っていた。

 するとそれを見た麗が、すかさず学園長に頭を下げた。

 

「すみません、学園長先生! ここまで騒ぎが大きくなったのは俺の責任です! だから、提案なんですけど! 俺たちと学園リーグランキングのトップ十の子たちでエキシビジョンマッチをするのはどうでしょうか? それが本来の計画ですよね?」

「あ、俺もうら……チャンピオンバディとバトルしたいです!」

「あたしも! あたしも!」

「僕もです!」

「はい!! はい!! 私も是非、ネオンさんたちとバトルしたいです!!」

「うーちゃん、落ち着いて下さい! あ、私ちゃんもです!」

 

 麗の提案に、焔と小春と冬馬、それから歌も賛成する様に手を上げた。

 御影も歌を止めながら、ちゃっかり手を上げていた。

 

「その提案……アタシも賛成だわ。 チャンピオンバディとバトルできる機会なんて滅多にないもの」

「俺様もだぜ! 最強を名高い存在にどこまで通用するか試してみてえ!」

「え〜? 本気(マジ)で言ってるんすか〜?」

 

 さらにいつの間にか、輝から教えて貰った副会長の咲良(さくら)に、王牙と秀次(しゅうじ)までもが入り口の前に来ていた。

 

 そんな生徒たちの様子を見た学園長は、怒りのオーラを静めて、ため息を吐いた。

 

「……良いだろう、生徒たちのレベルアップに繋がる以上、許可しよう。 では、本日のお昼休みにエキシビジョンマッチを行うこととする」

「ありがとうございます!」

 

 麗は頭を上げると、改めて美月たちの方を見ながらその口を開いた。

 

「良し! じゃあ、ルールは一対五の変則集団戦で、ハンデとして、俺たちは五人全員を倒したら勝ち、皆は俺たちに一度でも明確なダメージを与えたら勝ちってことにしようぜ! ネオンもそれで良いか?」

「……ん。 分かった……。 ()()()()()()()()()()()けど……麗が言うなら、私もそれで良いや……。 あ、でも一つだけ条件がある……」

「ネオンにしては珍しいな? 何だ?」

 

 ネオンはソファからゆっくりと立ち上がると、麗ではなく美月の方をじっと見つめた。

 

「貴方……黒土美月(くろつちみづき)……だっけ? 私とのバトルの方に出て来て……」

「わ、わたくしですか……!?」

 

 ――二大チャンピオンバディとのエキシビジョンマッチで、美月はまさかまさかの逆指名を受けることになったのだった。

 

 

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