メカニカル☆ウィッチ   作:星乃祈

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第41話「友達とライバル」

 

 

『――アアァァァァァァァァァァッーー!?』

 

 サターンがサンとムーンと睨み合う中、魔法で拘束れていたヴィーナスが突如その枷を打ち破った。

 

 黒いオーラに包まれたノーブルヴィーナスが、苦しそうに頭を抑えながら、花畑に膝を突いた。

 その中にいる輝の焦った声が聞こえて来る。

 

『くっ……!? 外部からの侵食だけじゃない……()()()()()()()()()()()()()()……!? 何だこのシステムは!?』

『マ、マスター……! ニ、逃ゲテ……!』

『ヴィーナス……!? うわぁっ……!?』

 

 ヴィーナスは自身の魔石の中から輝を出し、機体の手に乗せて花畑の上に降ろした。

 しかし、それを終えた途端、もがき苦しむ様に上空に飛び立ち、身に纏う黒いオーラを爆発させた。

 

『――X(エックス)システム起動』

 

 発狂する様な声から一転して、感情が消えた機械の様な声となったヴィーナスがそう口にした。

 するとノーブルヴィーナスの瞳が、()()()()()()()へと変化し、背中にX(エックス)の文字を描く様に、赤い光の翼が現れた。

 

 さらに機体を包む黒いオーラが、赤いオーラが混じった赤黒いオーラに変化したかと思うと、先程サンに吹き飛ばされたワールドユニオンの軍用機へと、まるで繋がる様にそのオーラが伝播していった。

 するとそれに触れた軍用機も次々に赤黒いオーラを纏っていき、まるでヴィーナスに統制された様に動き出した。

 

『何だこれは……!? 機体の操作が効かない……!?』

『そ、それに機体の出力も異常な数値になってますよぉ!?』

『こんな機能、聞いてないでやんす!?』

 

 草苅たちの焦った声が聞こえて来る中、その光景を見たサターンは戦慄していた。

 サターンは、()()()()()()()()()()()()()()()()()へと変貌したヴィーナスの姿に、既視感を覚えていた。

 その姿は、十年前のメカニカルウィッチ研究所の事件で、自分と母と妹を襲って来た()()()()()を彷彿させた。

 

 そして、それはサンとムーンも同じらしく、ヴィーナスに黒い魔石を放った張本人でありながらも、予想外の事態に悪態をついていた。

 

『どうなっておる!? ()()()()()()()()()()()()じゃと!?』

『これは……X(エックス)の奴と同じ……となれば……』

『チッ! こ奴、()()()()()()()()()()()()か!?』

 

 そんなムーンたちに、暴走したヴィーナスは攻撃を仕掛けた。

 

『――デリート開始』

『『『……』』』

 

 操られたユニオンソルジャーA(エース)たちが、大型の銃剣であるユニオンソードライフルを構えながら、大型の実体盾である『ユニオンシールド』の上からビームシールドを発生させて、一斉に突撃した。

 

 元々、例え普通の機体ではない軍用機であってもネメシスたちスタースピリットの機体には手も足も出ない程の隔絶した差が存在していた。

 しかし、普通の機体ですら、その力を魔王システムを発動させたサターンやネメシスに近い領域まで上げるムーンの魔法を、ヴィーナスは取り込んでいた。

 その上、自身を始めとする魔石X(エックス)を搭載した軍用機に伝播させる形でその力を分け与えることで、三十機近い数の力も相まって、あの規格外の力を持つスタースピリットの機体を押さえ込んでいた。

 

『チッ! こ奴らを見ていると、嫌でも十年前を思い出すわい!』

『数も相まって……厄介だな……』

 

 それでも、個々としての力はムーンたちの方が上なのも相まって、両者拮抗した状況になっていた。

 その隙にサターンは、生身でいるこの場にいる輝の回収に向かった。

 

「輝! 早く乗れ!」

「で、でも……ヴィーナスが……!」

「ええい、許せ……!」

 

 サターンは狼狽えている輝を、自分の魔石の中のコックピットに無理やり押し込んむと、一旦この場を離脱することを選択した。

 

 暴走したヴィーナスは、輝がいるからか、こちらを攻撃して来る気配はなかった。

 だが、ワールドユニオンの軍用機を操っている今の彼女は、どう考えても正気とは言えず、いつその牙がこちらに向くかわからなかった。

 

 それに加え、サンとムーンだ。クリサリスと離れたネメシス単騎を相手にした時でさえ、サターン自身ともう一人の自分と美月、それか様々な条件が整ってようやく倒せたのだ。

 だが今は、美月がまともに戦える精神状態ではなくなっており、さらに相手は二機もいる。

 この状況を一人で全部何とかできるとなどと、思える筈がなかった。

 

(せめて……ネオンとネプチューン、それから麗とウラノスの二大チャンピオンバディと合流できれば……!)

 

 二大チャンピオンバディの強さを、その身を持って知っているサターンからすれば、彼女たちなら、機体のスペック差を考慮しても、スタースピリットたちの機体と互角に戦えるだろう。

 だが、その頼みの綱である二大チャンピオンバディが駆けつけて来る気配は今だになかった。

 

 するとこの場を離脱しようとするサターンの姿を見たムーンが、こちらへと突撃して来た。

 

『サンはそ奴らの足止めを頼む! 妾が美月を解放する!』

『……心得た』

 

 サンが大剣を振って業火の炎を生み出し、ヴィーナスたちを牽制する中、ムーンは杖振っていくつもの水の塊を生み出した。

 すると水の塊が巨大な槍へと変化し、次々にこちらへと飛んで来る。

 

(不味い!? 数が多い!?)

 

 ――サターンがそう思ったその時だった。

 

『『合体マジカルスキル! マーズブラッドサイス・(あかつき)!』』

『『マジカルスキル! マーキュリーウルフハント!』』

『『マジカルスキル! ゴーレムジュピターサモン!』』

 

 三日月の様な形をした巨大な星の鎌に、狼の形をした矢の群れ、それから花の生えた巨人が、巨大な槍の前に割り込み、その起動を僅かに逸らした。

 明後日の方向に飛んでいった巨大な槍が観客席を破壊する中、現れたブラッドマーズ、ウルフマーキュリー、ゴーレムジュピターの三機が苦しそうに膝を突いた。

 

『くっ……! まだマジカルスキルを一回しか使っていないのに……!?』

『注意して、焔君! 私たちの普通の機体では、直ぐに魔力切れになってしまうわ!』

 

 そんな焔たちの機体を、ムーンは憎悪の目で睨んだ。

 

『その赤い機体!! 妾の美月に手を出した虫ケラの機体じゃな!! その罪、今こそ贖って貰うぞ!!』

「止めろ、ムーン!!」

『ムーン……? じゃあまさか、美月の亡くなった筈の最初の相棒なの……!?』

『何……!?』

『嘘……!?』

 

 正体不明機(アンノウン)の正体を知った焔と冬馬と小春が驚愕の声を上げる中、ムーンは三人の機体へと狙いを定めた。

 

『――****(契約魔法)!!』

 

 ムーンは精霊の言葉で詠唱し、杖の先端に三つのドス黒く禍々しい魔力に満ちた魔石を生成した。このままでは……!

 サターンは咄嗟にアークサターンを前に出した。

 

『―― 目覚めよ、精霊たちのあるべき姿へ!!』

「そうはさせない!!」

『何!?』

 

 それをサターンは、アークサターンを盾にすることで受け止めた。

 

「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッーー!?」

 

 魔王システムによって紫の炎に包まれていたアークサターンが、黒いオーラに包まれた。

 自分の中に、人間に対する……世界に対する絶望を始めとした、ありとあらゆる負の感情が込められた魔力が流れ込もうとして来る。

 だがそれを、もう一人の自分である陽太のこの世の全てを呪う様な魔力が喰らいつくした。

 何とか解放されたサターンは、苦しそうに機体ごと膝を突いた。

 

「ハァ……! ハァ……!」

『何をやっておるのだ!? 陽太の力が妾の力を上回ったから良かったものの!! 美月を守る役目を持つお主が、他の人間なんぞ為にその身を盾にするなど!?』

 

 そんな自分の姿を見たムーンは、信じられないと言わんばかりに叫んでいた。

 確かに、以前の自分だったら、きっとムーンと同じことを言っただろう。だけど……。

 

「そうだ……な……! 僕にとって美月は……妹は……世界で一番大切な宝物だ……! でも……そんな美月と……それからこんな僕とも……友人に……友達なってくれた焔とマーズ……冬馬とマーキュリー……小春とジュピターの皆も……同じくらいに大切な宝物なんだ……!」

 

 以前の自分は美月さえ……妹さえ守れれば、それ以外の人間なんてどうでも良かった。自分自身の命さえどうでも良かった。

 でも、黒土邸で妹と思いっきり喧嘩したことで、美月がこんなにも思ってくれる自分のことも大切にしようと思えた。

 それから、何度巻き込まれても、美月の友達でありたい言ってくれた焔たちのことも大切にしようと思ったのだ。

 

 するとそんなサターンの思いに同調する様に、アークサターンが……もう一人の自分が、背後にいる焔たちを守る様に、その身から無限に等しい膨大な魔力を放出させた。

 それを見たサターンはとあることを思いついた。

 

 ムーンは自身の魔力を使って黒い魔石を生み出すことで、普通の機体に元とは比べ物にならない程の力を与えていた。

 ヴィーナスも自身の魔力を伝播させることで、ワールドユニオンの機体に元とは比べ物にならないならない程の力を与えていた。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 サターンはムーンが使っていた魔法を真似る様に詠唱した。

 

「――契約魔法!」

 

 サターンの声と共に、アークサターンの無限に等しい膨大な魔力の一部がブラッドマーズ、ウルフマーキュリー、ゴーレムジュピターへと注がれた。

 するとその力を受け取った三機が動き出した。でも、その動きは決して操られたものではなく、自らの意思によるものだった。

 

『バカな!? 自らの力を託したと言うのか!? 人工精霊は兎も角、人間相手に!?』

 

 それを見て驚愕の声を上げるムーンの元に、焔たちは突っ込んで行った。

 

『ありがとう、サターン! 美月の最初の相棒は……ムーンは、俺たちが絶対に止めてみせるから! 行くよ、()()()()()()()!』

『ええ、焔君! お姉ちゃんに任せなさい!』

『『――シンクロゾーン!』』

 

 焔たちはそのままシンクロゾーンを発動させた。

 文字通り二人で一つの存在となり、一心同体、人機一体となったブラッドマーズを見たムーンが、舌打ちしながら杖を掲げた。

 

『チッ! 陽太の力を託されたところで、お主らなど妾の相手にもならぬわ!』

 

 ムーンはいくつもの水の塊を生み出し、それを剣や槍や矢と言った様々な武器に変化させて飛ばして来た。

 実戦で戦える様になったと言っても、個々としての力は圧倒的にムーンの方が上だ。

 それでも焔たちは、息の合った連携でその攻撃を迎撃しながら、前へと突き進んだ。

 

『一機じゃ敵わないなら……()()()()()()()()()()()()()()()! 行くよ、マーズ! それに、皆も!』

『ええ、焔君! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()わよ!』

『ああ、焔! 幼馴染である僕たちの力を見せるぞ! マーキュリーも、行くぞ!』

『フッ、任せろ、冬馬……!』

『うん、焔! あたしたちの力を一つに纏めちゃって! ジュピターも、行くよ!』

『ま、任せて……小春ちゃん……!』

 

 ブラッドマーズとウルフマーキュリーとゴーレムジュピターの三機は、ムーンの攻撃を躱す様に空中へと飛び上がった。

 焔たちを中心にトライアングルの陣形を作ると、その中心にそれぞれの武器である、ブラッドロッド、ウルフボウ、ゴーレムマルチシールドを重ね合わせた。

 

『『(ファイア)!』』

『『(ウォーター)!』』

『『(ツリー)!』』

『『三つの魔力よ一つとなれ!』』

 

 それぞれの機体の固有の魔力である火と水と木を、合体マジカルスキルを生み出した焔たちが、シンクロゾーンで極限まで高まった集中力で一つに纏め上げた。

 

『『『『『『()()()()()()()()()()()! トライスターバースト!』』』』』』

 

 前代未聞の三機のメカニカルウィッチによる()()()()()()()()()()()が発動する。

 火と水と木の三つの力が融合し、赤と青と緑の三色が混じり合った巨大な光となって、ムーンへと降り注いだ。

 それはムーンが水の塊を変化させた武器を飲み込む程の威力だった。

 

『チッ! ****(防御魔法)!』

 

 それを見たムーンは舌打ちしながら精霊の言葉で詠唱すると、水の塊で自身を包み込んだ。

 ムーンを円形で何重にも囲った水の塊が巨大なシールドへと変化した。

 しかし……。

 

『『『『『『いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッーー!!』』』』』』

『ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッーー!?』

 

 それすらも焔たちの合体連携マジカルスキルを防ぐことはできなかった。

 防御魔法を破られたムーンは、そのままバトルフィールドの奥へと吹っ飛ばされて行った。

 

 

*****

 

 

「す、凄い……! 合体マジカルスキルだけじゃなく……合体連携マジカルスキルを生み出すなんて……!」

 

 アークサターンのコックピットにいる輝は、またもや進化した焔たちの力を見て、驚きの声を上げていた。

 

「ハァ……ハァ……焔……皆……うぐっ……!」

「み、美月ちゃん……! しっかりして……!」

 

 美月は今だに過呼吸のままで、苦しそうに胸を抑えており、その顔色もどんどん悪くなっていた。

 コックピットシートに座っている美月の横に立っている輝は、そんな彼女の背中を優しく摩っていた。

 

 するとそんな輝の耳に、生徒会メンバーの声が聞こえて来た。

 

『――サターン! 一年生の子たちの機体にやったヤツは、アタシたちの機体にもできるかしら?』

『拙者たちも共に戦うでござる!』

『ああ! 焔たちだけに戦わせる訳にはいかねえぜ! そして何より、今度は俺様たちが助ける番だぜ!』

『吾輩たちを二度も助けてくれた借りを返す時が来たのであーる!』

 

 アークサターンの側に、咲良とキャンサーのオーガキャンサーと、王牙とレオのキングレオが飛んで来た。

 だが、普通の機体であるが故にその動きは重く、着地してそうそう苦しそうに膝を突いていた。

 するとその反対側から二つの影が飛んで来た。

 

『はい! これ以上、この学園で好きにはさせません!』

『私たちも力になるわ!』

『その通りです! 私ちゃんとカロンちゃんも協力しますよ!』

『緊急事態だし、カロンちゃんも本気出しちゃうよ〜』

 

 歌とピスケスのマーメイドピスケスと、御影とカロンのシャドウカロンが飛んで来て、アークサターンの側に着地した。

 そして、今度は背後からも影が一つ飛んで来る。

 

『ああ、もう! これでもし、お嬢になんかあったら、寝覚めが悪過ぎるんすよ! やるっすよ、スコーピオ!』

『……秀次の指示ならば……』

 

 秀次とスコーピオのステルススコーピオまでもが、アークサターンの元へと集まって来た。

 

 確かに咲良が生徒会メンバーで自主的な見回りをするとは言っていたが、焔たちとは違って美月の事情を詳しく聞いていない皆までもが、この戦いに自ら参戦して来るなんて……。

 借り物の勇気しかない自分がもし同じ立場だったら、絶対にできないであろう行動力だった。

 

 すると、そんな生徒会メンバーと御影の決意を聞いたサターンが、少しの間悩みながらも、直ぐに決断し叫んだ。

 

「……分かった! みづ……お嬢様と、この学園を守る為に、皆の力を貸してくれ! 契約魔法!」

 

 サターンの協力を要請する声と共に、オーガキャンサー、キングレオ、ステルススコーピオ、マーメイドピスケス、シャドウカロンに、アークサターンの無限に等しい膨大な魔力の一部が注がれた。

 その力を受け取ったことで、皆の機体が力強く立ち上がった。

 

『皆、今から指示を出すから聞きなさい! 暴走したヴィーナスを助ける為に、操られたテロリストの機体を利用しながら、正体不明機(アンノウン)の足止めをするわよ!』

 

 咲良はオーガキャンサーの鬼ノ太刀を掲げながら指示を出した。

 

『一年生の子たちはそのまま青紫の正体不明機(アンノウン)の足止めを続けなさい!』

『『『はい!』』』

 

 操られたワールドユニオンの機体に囲まれて尚、執拗に美月のことを狙って来るムーンへと、ブラッドマーズとウルフマーキュリーとゴーレムジュピターの三機は突っ込んで行った。

 

『秀次たちは一年生の子たちの援護を最優先にしつつ、狙撃で皆のサポートを!』

『了解っす、お嬢!』

 

 ステルススコーピオはバックパックの『ステルスドローン』を展開すると、光学迷彩を発動させてその姿を消した。

 

『歌たちはフィールド魔法の分身で、こっちにも攻撃して来る、操られたテロリストの機体の抑えなさい! それから、御影たちは遊撃として動きつつ、フィールド魔法を使っていて本体が虚弱になっている歌たちの護衛を!』

『分かりました、咲良先輩!』

『お任せ下さい、咲良先輩!』

 

 マーメイドピスケスはフィールド魔法を展開する為に、花畑の中で水場のある小川のある場所へと移動して行った。

 その護衛をする様に、シャドウカロンも後に続く。

 

『……後はアタシたちと王牙たちで、赤黄の正体不明機(アンノウン)の足止めをするから、輝は美月たちとヴィーナスを助けに行きなさい』

「……どうして、皆は戦えるんだ……? そんなにも勇気があるんだ……?」

 

 正体不明機(アンノウン)とテロリストの機体相手に、勇敢に立ち向かって行く皆の姿を見た輝は、独り言の様にそう呟いた。

 それを耳にした咲良と王牙が喝を入れて来た。

 

『何弱気になってんのよ、輝! ヴィーナスを助けるんでしょ?』

『そうだぜ! いつものお前らしくねえぞ?』

「……それはそうだよ……。 だって、二人が見ていたのは、必死に努力して、せめ外面だけは完璧に見える様にした()()()()()()()()()なんだから……。 美月ちゃ……さんのことも……ヴィーナスのことも守れない……何もできない弱虫な僕こそが……本当の僕なんだよ……。 失望しただろ……?」

『『……』』

 

 輝の弱音を咲良と王牙は黙って聞いていた。

 今までガワだけでも完璧な生徒会長として振る舞って来てておきながら、中身はこのザマだった自分のことを知って、二人も内心失望していることだろう。

 すると案の定、咲良たちがため息を吐いた。

 

『はぁ……どうりで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()訳だわ……』

『……確かに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()|と思っていたけどよお……』

「……え?」

 

 だけどそれは失望のため息ではなく、呆れてのため息だった。

 咲良と王牙は何事もなかった様に、自身の機体をサンの元へと歩かせて行く。

 そして、その途中で機体の顔ごとこちらを振り返った。

 

『……でも、やっとその理由が……素のアンタのことが知れてスッキリしたわ。 それにね、この学園で出会ってからもう二年以上の付き合いになるのよ? 今更、この程度のことで失望する訳ないじゃない?』

『……だな! 俺様たちを散々ボコボコにして来た奴が今更、何言ってやがるんだ! 俺様たちはその強さを……()()()()()()()()()()()を、この身を持って知ってるんだからよ!』

「……どうして、そんなにも僕のことを……?」

 

 弱虫な自分の素を知っても見限らなかった咲良と王牙に、輝は縋る様に問いかけた。

 すると咲良たちは当たり前と言った声で答えた。

 

『……だって、アンタはアタシの』

『……だって、お前は俺様の』

『『――仲間でライバルで……友達だから!』』

 

 

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