『『『『『『合体連携マジカルスキル! トライスターバースト!』』』』』』』
「
バトルフィールドの花畑を吹き飛ばす程の威力を持つ二つの魔法がぶつかり合う。
しかし、サンが精霊の言葉で詠唱した火の魔法が生み出した業火の炎が焔たちの火と水と木の三つの力が合わさった魔法を打ち破った。
それによって体勢を崩された焔たちの機体を、サンは続けて生み出した炎で薙ぎ払った。
『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!?』
『小春ちゃん!?』
『うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!?』
『冬馬!?』
『冬馬!? 小春!? くっ……!』
『マーキュリー! ジュピター!』
その炎に冬馬とマーキュリーのウルフマーキュリーと、小春とジュピターのゴーレムジュピターが飲み込まれた。
シンクロゾーンが使える焔とマーズのブラッドマーズだけは咄嗟に反応できたが、それが限界でカバーに入れる訳ではなかった。
『アタシの目の前で、子供たちを殺させたりなんかしないよ!』
しかし、そんな冬馬たちを庇う様に、草刈のユニオンソルジャー
『リーダー! 私も手伝いますよぉ!』
『オイラもお供するでやんす!』
さらに水島と炎炉のユニオンソルジャー
炎により盾と草刈たちの機体の一部が溶解するが、その後ろにいた冬馬たちの機体は、マジカルバリアを破壊されて戦闘不能になるだけで済んでいた。
それを見たサンが追撃を加えようとするが……。
『サン!! アンタの相手はアタシたちよ! キャンサー!』
『拙者たちが磨き上げた技を受けるでござる!』
『『マジカルスキル!
そうはさせまいと、咲良とキャンサーのオーガキャンサーが、鬼ノ太刀と鬼ノ小太刀の十本の刀に炎を纏わせながら切り掛かった。
『ああ! 焔たちはやらせねえぜ! レオ!』
『吾輩たちの鍛え上げた力をぶつけるのであーる!』
『『マジカルスキル! レオキングタイム! そして、マジカルスキル! レオハンド!』』
続けて王牙とレオのキングレオも、機体に黄金のオーラを纏わせ、さらに巨大な魔法の拳を生成して殴りかかった。
『汝らは確かに強くなった……しかし、それはあくまでもお遊びの……偽物のバトルの話……。 我が今しているのは命を賭けた本物の戦いなのだ……』
サンは静かにそう告げると、機体の身の丈を遥かに超える大剣を二つに分割させ、それぞれを異形の両手で掴んだ。
そして、そのまま炎を纏わせた双剣で、咲良たちの攻撃を軽々と受け止め、そのまま薙ぎ払った。
『くうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ〜〜!?』
『咲良!?』
『ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ〜〜!?』
『王牙!?』
戦闘不能になったオーガキャンサーとキングレオの二機が吹き飛ばされる。
だが、草刈が指示していないにも関わらず、同じ様に動いたワールドユニオンの機体がそれを受け止めたことで、ことなきを得た。
『お嬢!? スコーピオ!』
『了解……』
『『マジカルスキル! スコーピオステルスバレット!』』
それを見ていた秀次とスコーピオのステルススコーピオが、ステルススナイパーライフルを筆頭に、機体各部に内蔵した火器を一斉に発射した。
その全弾が魔法によって
「ダメだ! それでは意味がない!」
それを遠くから見ていたサターンは咄嗟に叫んだ。
確かに普通なら不可視の攻撃だろうが、本来の精霊である自分には、魔力の流れからその軌道が見えていた。
それはつまり自分の同類であるネメシスと同等の力を持つサンとムーンには通じないことを意味していた。
『無駄じゃ!』
案の定、ムーンが杖を振って生み出した水の塊から創造した武器を飛ばして、その弾丸を横から撃ち落とした。しかも冷静さを取り戻したせいか、魔法の精度も上がっていた。
さらにそのまま秀次たちの機体にも攻撃を放った。
『ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!?』
『秀次!?』
不味い。秀次たちの機体は光学迷彩で姿を消していたせいで、その姿が見えなかった他の皆ではカバーに入れない。
サターンは即座に決断した。
「マジカルスキル! サターンスラッシュ!」
サターンはアークソードに魔力を纏わせ、魔法の斬撃を放った。
ムーンの魔法を打ち破るにはサターンアークブレイクしかないが、溜め時間があるので発動が間に合わない。その一方で、サターンスラッシュではムーンの魔法は打ち破れない。
だからサターンは苦肉の策として、秀次たちの機体を直接狙った。
ムーンが次々に飛ばしている武器に蜂の巣にされかけていたステルススコーピオを横からぶっ飛ばすことで、その場から無理やり離脱させる。
しかも都合が良いことに、戦闘不能になった秀次たちの機体をワールドユニオンの機体が受け止めてくれた。
『これ以上、好きにはさせません! カロンちゃん!』
『カロンちゃんも本気で行くよ……!』
『『マジカルスキル! カロンシャドウダイブ!』』
そんなムーンへと魔法で影に潜った御影のカロンのシャドウカロンが攻撃を仕掛けた。
『みーちゃん、援護します!』
『サポートは任せなさい!』
さらにそれを歌とピスケスのマーメイドピスケスが、
以前も見たが、御影たちの機体には当たらない完璧な援護射撃でムーンだけを攻撃する。
しかし……。
『そんな魔法は通じぬ!
ムーンが精霊の言葉で詠唱した水の魔法が、今度は武器だけではなく、機体までも生み出していた。
それは歌たちの水でできた実体を持つ分身たちとは違う、
生み出された機体は御影たちと歌たちの攻撃をアッサリと受け止めると、先程までとは質も量も遥かに上の武器と共に蹂躙し始める。
数こそは二機だけだが、ムーンと同じ力を持っているせいで、実質的にムーンが三機に分身した様な状態になっていた。
『うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!?』
『御影ちゃん!?』
『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!?』
『歌!?』
『皆! くっ……! ヴィーナス!』
『はい、マスター……!』
蹂躙の中、輝たちが咄嗟にノーブルマルチウィングにそれぞれのカバーに入らせたおかげで、御影たちと歌たちの機体はマジカルバリアを破壊されて戦闘不能になるだけで済んだ。
それを死線を掻い潜って来たワールドユニオンの機体が回収する。
『妾を前に自ら武器を捨てるとは余裕じゃな? ほれ、さっきの礼じゃ!』
ムーンは今度は、ドローン武器を失った輝とヴィーナスのノーブルヴィーナス目掛けて武器を発射した。
『うぐっ……!?』
『マスター、このままでは不味いです……!』
シンクロゾーンを使える輝たちはどうにかそれを回避しているが、手数を失ったせいで防戦一方になっていた。
そんな中、生み出した二機に輝たちの相手を任せたムーンがアークサターンの元へと突っ込んで来た。
さらにサンまでもが、双剣を携えてやって来る。
『さあ、美月や! 今度こそ試練を始めようか!』
『……陽太たちよ。 お前たちの力を見せて貰うぞ……』
「くっ……!?」
ムーンは水の魔法で、剣や槍に、銃や弓、果ては盾と言った様々な武器を創造し、ドローン武器の様に操り攻撃して来た。
その一方でサンは、火の魔法によるパワーと、かつて自分と一緒に磨き上げた剣捌きで切りかかって来る。
お互いに好き勝手に動いている様に見えるが、二機の攻撃は完璧な連携攻撃となっていた。
強力な魔法を使うムーンと磨き上げた技をを使うサンを相手にするのは、二大チャンピオンバディのネオンとネプチューン、麗とウラノスを同時に相手にしている様なものだった。
『どうした、美月? 妾とは戦えぬのか?』
『お前たちは力はこんな物ではない筈だ……陽太たちよ……』
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッーー!!」
魔王システムによる無限の魔力のおかげで、ゾンビ戦法の様にダメージを受けても修復できるが、今はシンクロゾーンが使えないサターンではそれに抗うことはできなかった。
両腕ごとアークソードとアークシールドを切り飛ばされたせいでアークガントレットまで失い、さらにアークウィングとアークテールまで切り落とされた。
「くっ……!? 不味い!?」
そして、武装を全て失いボロボロになったアークサターンを、ムーンが創造した鎖が雁字搦めに拘束した。
『美月! サターン! 今、助けるよ! マーズ姉ちゃん!』
『ええ、焔君!』
『『マジカルスキル! マーズブラッドムーン!
そんな中、自分たちを助けるべく、ブラッドロッドを依代に、三日月の様な形をした巨大な星の鎌を生み出したブラッドマーズがこちらへと突っ込んで来る。
『美月ちゃんとサターン君は、僕たちが守る! ヴィーナス!』
『はい、マスター……!』
『『マジカルスキル! ヴィーナスセイバー!』』
さらに遠目にムーンの生み出した二機をワールドユニオンの機体たちが必死に足止めするのが見える中、ノーブルヴィーナスもヴィーナスガンソードの銃身に光の剣を生成させてこちらへと向かって来た。
『させぬ……』
『『くっ……!?』』
しかし、焔たちと輝たちのマジカルスキルを、サンが炎を纏わせた双剣で割り込む形で受け止めた。
その隙に、ムーンが身の丈に迫る巨大な杖の先端にあるドクロの形をした宝玉から光の鎌を発生させ、切り掛かって来た。
『さあ、美月や! 今こそ、妾の手で解放してやろう!』
『美月!!』
『美月ちゃん!!』
——焔と輝の叫び声が聞こえる中、ムーンの死神の鎌がアークサターンへと振り落とされた……その時だった。
『美月様はやらせないよ!!』
草刈のユニオンソルジャー
しかし、サンの炎でボロボロだった盾はあっさりと切り裂かれ、そのまま機体本体のマジカルバリアごとコックピットのある魔石部分をバッサリと引き裂いた。
『ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッーー!?』
——皆の様な恐怖による本能的な叫びとは違う、苦痛による草刈の叫び声が響き渡った。
*****
「——あぁ……!?」
自分たちを庇った草刈の機体が、糸が切れた人形の様に地面に崩れ落ちるのを見た美月は、あまりのショックに目を大きく見開いていた。
目の前で起きた惨劇を見た美月は、もはや過呼吸どころか息すらできず、言葉を失っていた。
『『リーダー!!』』
『消えろ!! ワールドユニオン!!』
『『ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッーー!!』』
そんな中、草刈を助けようと突っ込んできた水島と炎炉の機体が、かつての自分の相棒によるムーンの手によって撃墜された。
草刈と同様、盾を貫通する形で機体の魔石部分を切り裂かれたことで、水島と炎炉の苦痛による叫び声が響き渡った。
「嫌……! もう嫌……! どうして……どうして……こうなるの……?」
かつての相棒のムーンが、自分の見知った人間を手にかけると言う目の前の惨劇を見た美月は、その
草刈と水島と炎炉の三人は、母と兄とムーンたちの仇であるワールドユニオンの刺客だった。自分を狙って何度も何度も襲って来た。
メカニカルウィッチ研究所で輝の姪であるレイを含めたたくさんの人たちを巻き込んだ。
黒土邸で美月の生まれ育った家に火をつけ、めちゃくちゃにした。
メカニカルウィッチ学園で学園リーグ戦に介入して、真剣勝負を踏みいじって台無しにした。
絶対に許すことなんてできない。だけど……。
『『『——おはようございます、美月様』』』
『ごきげんよう、草刈さん、水島さん、炎炉さん。 今日もよろしくお願いいたしますわ』
裏では裏切られていたとは言え、この十年間ずっと自分の護衛として側にいてくれた。
決して親しい仲だった訳ではないけど、それでもこの十年の思い出を綺麗さっぱり忘れることなんてできなかった。
『くっ……!? 美月……!』
『くっ……!? 美月ちゃん……!』
「焔……! 輝ちゃん……!」
しかも悪夢はこれで終わりではなかった。
サンの双剣に弾き飛ばされた焔たちのブラッドマーズと輝たちのノーブルヴィーナスが花畑の上に倒れ伏した。
そんな二機へとムーンとサンがそれぞれ武器を向けた。
『チッ! 妾の美月に手を出したその赤い機体はどの道消すつもりじゃったが……こうなったら先に
『ああ……もう二度と邪魔ができぬ様に……今度は確実に
「止めて……! 止めて……!!」
かつての相棒のムーンと家族のサンが、焔と輝を手にかけようとする光景を見て、美月はボロボロと涙を流しながら、縋り付く様に母の形見であるペンダントを握りしめていた。
もうこれ以上、ムーンとサンが誰かを手にかけるのを見たくなんてなかった。
自分を救ってくれて、ずっと隣にいると約束してくれた焔が死ぬのなんて見たくはなかった。
幼い頃に交わした約束を守る為に、いつも自分を守ってくれた輝が死ぬのなんて見たくはなかった。
——ほぼ不死身である人工精霊が自我崩壊を起こすレベルの精神的なダメージを受け、極限のストレスにさらされた美月は、現実を拒絶する様に絶叫した。
「もう止めてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッーー!!」
美月の叫び声と共に、母の形見であるペンダントが眩しい程の光を放った。
するとネメシスとの戦いの後いつの間にか入っていたビビを起点に、亀裂がどんどん広がっていく。
そして、大きな光と音と共に砕け散ると、
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッーー!?」
「美月!? どうしたんだ、美月!?」
美月は
体が燃えるように熱い。心臓の音がうるさい。頭が割れる様に痛い。そして何より、目が焼け落ちる様に痛かった。
美月が思わず両目を閉じて手で押さえると、熱い液体の感触が伝わって来た。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッーー!?」
「美月!! しっかりするんだ!!」
そして、一向に収まる気配のない謎の力に美月が絶叫を上げながら目を見開くと、その
——そして、次の瞬間、美月の視界から色が失われ灰色の世界へと変化した。それだけではない。視界に映る花畑に、ムーンやサン、それからブラッドマーズやノーブルヴィーナスと言った全ての物が、まるで時が止まった様に停止していた。
「ハァ……ハァ……! 焔と……輝ちゃんは……やらせない……!」
「美月!?」
時が止まった世界の中で、サターンの声とマジカルウォッチのエラーを告げる音だけが聞こえて来る中、美月は動き出した。
魔王システムによる無尽蔵の魔力に、美月の魔力が加わったことで、機体を拘束していたムーンの鎖を一瞬で破壊した。
さらに辺りに散らばっていた武装や切り飛ばされた腕などに魔力を飛ばして回収すると、そのまま修復ではなく、
そして、アークサターンにアークソードとアークシールドを合体させ、アーク
『ぐはっ……!?』
美月の攻撃を受け吹っ飛ばされたムーンの時間が動き出すが、直ぐにその時間が再び停止した。
そのまま今度は輝たちの攻撃しようとして停止しているサンの元へと突撃し、ムーンと同様殴り飛ばす。
『があっ……!?』
サンをムーンが停止している場所へと吹っ飛ばしたことで、二人が同じ様な位置で停止した。
「この力は一体……!? まさかこれが、ネオンが言っていた美月の魔女としての力なのか!? ネメシスが言っていた『時間魔法』なのか!? いや、でも……
その光景を見ていたサターンが混乱した様に何かを口にしていた。
しかし、美月はそれを少しも気に留めることなく、
「マジカルスキル! サターンアークブレイク!」
魔王システムによる無尽蔵の魔力と美月の魔力が合わさって発動した魔法は、ネメシスを打ち破った黒土邸での戦いの時に並ぶ程の威力を生み出した。
その力を内包した巨大な紫色の光の剣が、停止していて動けないムーンとサンを薙ぎ払った。
『『ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッーー!?』』
*****
アークサターンのマジカルスキルをまともに受けたムーンとサンは、その後もまるで瞬間移動の様に現れては消えるアークサターンの攻撃を喰らい続けていた。
だがこれは、瞬間移動などと言う生温いものではなかった。
「これは……ぐっ……! まさか……!?」
『ああ、あの魔女と同じ力の……ぐっ……! 『
「ハハッ! ついに……ぐっ……! 美月の力が覚醒したのじゃな!!」
ムーンとサンの機体はダメージがどんどん蓄積していき、ボロボロになっていた。
しかし、ピンチにも関わらずまるで焦った様子はなかった。寧ろ高揚した声を上げていた。
美月の攻撃を受けた瞬間に一瞬だけ入れる灰色の世界では、全ての時が停止していた。
自分たちには知覚できないが、今の美月は世界そのものに干渉してその時を止めている。
あの最強にして最悪の魔女と同じ、この規格外の力こそが、あの方が欲しているものだった。
そして、
「さあ、美月や!!」
ムーンは歓喜の声を上げながら、機体の両手を大きく広げた。
それはまるで、攻撃を受け入れる様にも、美月の乗っているアークサターンを抱き止め様としている様にも見えた。
そして、隙だらけの胴体に攻撃を喰らった瞬間に、アークサターンの斧を両手で捕まえた。
「ハハッ!」
『ーーッ!?』
狂気的な笑い声を上げながら無理矢理時が停止した世界へと入り込んで来たムーンに、美月が一瞬反応を示した。
だが、このままで直ぐに突き放されて元の世界に戻されてしまうだろう。
だけど、それで問題なかった。だってあくまでも、美月にこの思いを伝える為に入り込んで来たのだから。
「美月や!! その力を完全に覚醒させて、
すると突如、ムーンの機体をドス黒く禍々しい魔力によってできたオーラが包み込んだ。
それによりムーンは苦痛の声を上げて、一度言葉を途切らせたが、そのまま再び口を開いた。
「そして、