メカニカル☆ウィッチ   作:星乃祈

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第78話「先輩たちの矜持」

 

 

 ——『戦地』のバトルフィールドがあるスタジアムの観客席にて。

 

「……と言う状況なの!」

「チッ! どうやら想像以上にヤバい状況になっているみてえだな! ワールドユニオンが裏でいろいろしているのは、親父から聞いていたが……まさかこんなことをしでかすなんて……!」

「それに……霧蠍君がワールドユニオンの刺客だったなんて……! いや、今は兎に角、襲われている美月さんたちと捕まっている白金会長たちを助けないと……!」

 

 心とヴァルゴの手助けによって脱出した咲良とキャンサーは、こうして王牙とレオ、それから歌とピスケスとどうにか合流していた。

 そして心たちから貰った変装を解きながら、見聞きした情報を全て話していた。

 

「ねえ、咲良先輩……! 冬馬が捕まってるって本当なん……!?」

「えらいことになっとるやんけ!」

「「大変なのですー!」」

 

 すると近くにいた、中学生チャンピオンバディ兼レキシキョウト校の一位で、冬馬の従姉妹でもある夏凛と千秋とジェミニたちが、心配そうな表情でそう問いかけて来た。

 

「焔君たちが捕まっているって本当なんだべ……!? それにうちの学校の蛇遣異ちゃんたちが、人間じゃ無かったなんて……!?」

「アイツらがそんな……!」

 

 さらに、確か……焔たちの一回戦の相手の闘子(とうこ)とトーラスが、バトルフィールドで戦っているカオスオフィウカスとカオスサーペンスを見ながら、そう問いかけて来た。

 まさか同じシゼンホッカイドウ校の後輩の正体がワールドユニオンが刺客として送り込んだ人外だなんて、予想だにしなかったのだろう。

 

「……ええ、本当よ。 だから運営が信用できない以上、美月たちを助ける為に、アタシたちが動かないといけないの! 王牙たちも歌たちも、後輩たちを助ける為に力を貸してちょうだい!」

「頼むでござる!」

「ああ! 当然だぜ!」

「任せるのであーる!」

「勿論です、咲良先輩!」

「私たちも力になるわ!」

 

 咲良たちが頭を下げると、王牙たちと歌たちは力強い声で返答してくれた。

 

「だっらうちらも!」

「ああ! 協力するで!」

「「手伝うのですー!」」

「オラたちもだ! 蛇遣異ちゃんたちを止めないと……!」

「ああ! うちの学校のもんはアタシたちが止めねえとな!」

 

 それから夏凛たちと闘子たちも協力すると言ってくれた。

 

「——今の話、私たちにも協力させてくれ」

 

 するとカイウンフクオカ校の一位の正義とリブラ、それからサンスイミヤギ校の一位の(じん)とアリエス、そしてオヤシロシマネ校の一位の大和(やまと)とサジタリウスがこちらへとやって来た。

 

「私たちの大切な全国大会の舞台を壊す様な真似など、絶対に許す訳にはいかないのだ。 それにしても……まさかあの雨水瓶たちが……」

「はい。 ですから、正義様。 同世代のワタクシたちが動かなければならないのです」

「そうっす! だから俺たちの大切な全国大会を守る手伝いをさせて欲しいっす!」

「ああ! 私と刃も力を貸そう!」

「その通りだぜ! 皆を助けて、悪い奴らをやっつけて、俺たちの大切な全国大会を取り戻そうぜ!」

「はい、大和兄様。 (せつ)も微力ながら力になります」

 

 この三組なら、その実力もそうだが、何よりも人柄が信用できるので、本当に心強かった。だってウィッチバトルが大好きだと言う真っ直ぐな気持ちが、長年のバトルを通りして自分にも伝わって来ていたから。

 

「——話は聞かせて貰ったよ!!」

 

 すると人混みは苦手だからとずっと控え室にいた御霊と、その付き添いをしていたプルート、それから彼女の妹の御影とカロンがやって来た。

 

「緊急事態と言うことで来てみたが……成程、状況は把握した! そう言うことなら、救出作戦の立案は私たちに任せたまえ! プルート!」

「了解ですよ、御霊。 『ハッキングシステム』起動」

 

 プルートが空中にモニターを浮かび上がらせると、そこに競技場内の地図や監視カメラの映像、それから自分にはちょっと理解不能ないろんなデータが次々に映し出されていった。

 凄い……!だけど……普通のメカニカルウィッチはここまでの機能を持っていない筈なのだが……。

 

「お姉ちゃんは趣味でプルート君とカロンちゃんにいろんな機能を組み込んだんですよ! そのおかげでこうしてスーパーコンピューター並の能力を得ることができたんです!」

「まあでも、グレーゾーンギリギリの物もあるから〜。 このことはオフレコでお願いするね〜」

 

 御影たちの説明で大体分かった。成程、流石は未来の明日斗博士と呼ばれている御霊だ。

 御霊たちは未来のチャンピオンになりうる強さを持つ大学生チャンピオンバディとして有名だったが、プレイヤーとしての腕前は兎も角、メカニックとしての素質はもう既に、二大チャンピオンバディの麗とウラノス、それからネオンとネプチューンを超えていると言っても過言では無いみたいだった。

 

「……流石にワールドユニオンが相手ですので、セキュリティがかなり強固で、僕一人では厳しいですね……。 御霊、貴方の頭脳を貸して下さい」

「勿論だ! 任せたまえ、プルート! 皆、私たちはこの場所からワールドユニオンのセキュリティを崩して君たちのサポートを行う! それから、もしもの時は私たちが駆けつけるから安心したまえ!」

 

 麗たちとネオンたちと言う信頼できる大人が捕まっているので不安だったが、まだ一応は大学生とは言え、大人の御霊たちは本当に頼もしかった。

 これなら行ける……!

 

「——良し! 皆、今も尚、戦っている美月たちと、捕まっている輝たちを助けに行くわよ! そしてアタシたちの大切な全国大会をワールドユニオンから取り戻すのよ!」

「「「「「「「「「オーッ!!」」」」」」」」」

 

 

*****

 

 

 ——バトルフィールドへと繋がる選手用の通路にて。

 

 御霊たちが立案した救出作戦により、夏凛たちが麗たちを、正義たちと闘子たちがネオンたちを、刃たちと大和たちが輝たちをそれぞれ救出しに行くことになった。

 それから王牙たちと歌たち、それから咲良たちと御影たちはそれぞれの選手用の通路から、こうして美月たちの救出に向かうことになった。

 咲良の言によれば、先程の試合ではこの場所から秀次たちから横槍を入れられたらしい。それならここには間違いなくワールドユニオンの刺客がいる筈だろう……。

 

 するとバトルフィールドとの境界線の前に、菜々とアクエリアスのレインアクエリアスが待ち構えていた。

 それを見た王牙とレオのキングレオと歌とピスケスのマーメイドピスケスは一度足を止めた。

 

『……まさか本当に来るとは……。 心……貴方の責任ですよ』

 

 菜々がそう言うと、心とヴァルゴのハートヴァルゴが現れた。

 

『うぅ……菜々会長……』

『一回戦での調査任務はきちんと果たしていたので、一回目の勝手な行動には目を瞑りましたが……流石に二回目はそうは行きません……。 だから……ここで挽回して見せなさい』

『分かり……ましたわ……』

 

 するとハートヴァルゴはハートアックスをこちらへと向けた。

 

『心……貴方の両親の為にも、敵を排除しなさい。 後、言っておきますが……三回目はありませんからね?』

『分かって……います』

 

 菜々からの圧を受けた心の口調が変化した。今までは美月みたいなお嬢様口調だったのに……。

 

『お姉様……本当に……本当に申し訳ございません。 それから王牙様とレオ様、それに歌様とピスケス様も……願わくば、()()()()()()()()()を止めて下さい……!』

『どうかお願いします……!』

 

 心たちはそう言うと、ハートヴァルゴの全身のスラスターに火をつけた。

 そしてそんなハートヴァルゴと一緒に、レインアクエリアスもこちらへと突っ込んで来た。

 

 それを見たキングレオとマーメイドピスケスが臨戦体制を取った。

 

「ーーッ!? 行くぞ、レオ! それから歌たちも!」

「了解であーる、王牙!」

『はい、王牙先輩! サポートは私たちに任せて下さい!』

『ええ、行くわよ!』

 

 

*****

 

 

 ——バトルフィールドへと繋がるもう一方の選手用の通路にて。

 

『——お嬢、どうして戻って来たんっすか……?』

「秀次……!」

 

 咲良とキャンサーのオーガキャンサーと秀次とスコーピオのステルススコーピオが向かい合っていた。

 

 するとそんな両者の間に割って入った天魔とカプリコーンのハイドカプリコーンが、ハイドソードライフルを向けて来た。

 確か……美月たちの五回戦の相手だった筈……。まさか天魔たちもワールドユニオンの刺客だったとは……。

 

『悪いな、兜蟹先輩。 ここから先は通行止めだ。 それから冥道御影もな……!』

 

 天魔はヘラヘラとした口調だったが、御影の名前に関してだけはやけに感情が籠った声になっていた。

 

 すると御影とプルートのシャドウカロンが前へと進み出た。

 

『山羊沼君たちの相手は私ちゃんたちに任せて下さい! だから咲良先輩たちは霧蠍君たちを!』

『うんうん、決着をつけて来なよ〜』

「ありがとう、御影! カロン! 助かるわ!」

「恩に切るでござる!」

 

 自分たちがらそんなやり取りをしていると、ハイドカプリコーンがハイドソードライフルをガンッ、と地面へと叩きつけた。

 

『上等だぜッ!! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ッ!!』

『逆恨みでも何でも良いッ!! しあくの受けた苦しみをを倍にして返してやるわッ!!』

 

 そして突っ込んで来たシャドウカロンとハイドカプリコーンが戦闘を開始した。

 

 そんな中、オーガキャンサーが鬼ノ太刀を引き抜くと、ステルススコーピオもステルススナイパーライフルを構えた。

 

「行くわよ、秀次!」

「さっきの借りを返させて貰うでござる!」

『悪けど……それは勘弁っすね、お嬢……』

『指示通りに敵を迎撃する……』

 

 

*****

 

 

 ——一方その頃。

 

『『——マジカルスキル! レオキングタイム! そして、マジカルスキル! レオハンド!』』

『『マジカルスキル! アクエリアスダブル!』』

 

 黄金のオーラを纏ったキングレオが放った巨大な魔法の拳と、レインアクエリアスが放った魔法によって分身した十本の槍が激しくぶつかり合っていた。

 

 パワーでまさるこちらの魔法が打ち勝つが、レインアクエリアスはそのスピードを活かして回避する。

 さらにレインツインスピアを二本のレインスピアへと分離させ、脚部のレインブレードシューズと合わせてヒット&ウェイを繰り出して来る。

 

「チッ!」

 

 自分たちも鍛えた上げた直感により攻撃を受け流しながら、キングレオにキングナックルで反撃させる。

 そんな中王牙は思わず声を上げた。

 

「雨水瓶! アクエリアス! 俺様たちはお前たちのことを、長年のライバルで凄い奴らだと思っていたんだけどな! こんなことをする何てガッカリだぜ!」

『何を……! 貴方だって、わたくしたちと同じ穴のムジナでしょうに……!』

「何だと!?」

『ワールドユニオンからの黒土美月とサターンのアークサターンを調べるようにと指示を受けた獅子谷玩具の社長を務める貴方のお父上が、競技ルールを捻じ曲げてまでハイパーキングレオを貴方たちに使わせたことを、忘れたとは言わせませんよ……! 最も、貴方にはワールドユニオンの刺客としての自覚が無かったのでしょうけど……!』

「……!!」

 

 父がワールドユニオンとちょくちょくやり取りをしているなは知っていたが、まさか美月たちとバトルしたあの学園リーグ戦の裏にそんな意図があったなんて……!知らなかった……。

 だけど……!

 

「それでもあの学園リーグ戦は、途中で邪魔が入ったとは言え……俺様たちも美月たちも真剣勝負としてバトルしていたぜ!」

「王牙の言う通りですなのであーる! 吾輩たちはこんな真剣勝負を穢す様な無粋な真似だけはしなかったのであーる!」

 

 そしてキングレオはレインアクエリアスに強烈なパンチを喰らわせて吹っ飛ばした。

 

『くっ……! アクエリアス……!』

『了解です、菜々様!』

 

 するとレインアクエリアスは背中のレインマルチブースターからオート操作のドローン武器として発射された無数のビームの弾丸をこちらへと放って来た。

 厄介な攻撃だ……!

 

「チッ!」

『『マジカルスキル! 人魚の蒸気(ピスケススチーム)!』』

 

 するとそんな無数のビームの弾丸を、マーメイドピスケスが展開した蒸気の熱が燃やし尽くした。

 

 

*****

 

 

『サンキュー、歌! ピスケス!』

『助かったのであーる!』

「はい!」

「良かったわ!」

 

 今いるバトルフィールドへと繋がる選手用の通路には水場が無い為、マーメイドピスケスは『人魚の水場(ピスケスウォーター)』で足元の魔法陣に水場を作り出すことで、その水を利用してマジカルスキルを使用していた。

 

『くっ……! 心、何をやっているのですか……!? 早く敵を片づけなさい……!』

『ヴァルゴも手を抜かずにやりなさい!』

『分かっています、菜々会長!』

『ヴァルゴたちも全力でやってるんです!』

『『マジカルスキル! ヴァルゴスラッシュ!』』

 

 するとハートヴァルゴはハートアックスで魔法の斬撃を放って来た。

 

「ピスケス!」

「分かっているわ、歌!」

「「マジカルスキル! 人魚の氷装(ピスケスアイス)!」」

 

 それに対し、マーメイドピスケスは氷の槍と盾を生み出して装備することで、その攻撃を迎撃した。

 

 心たちは最初に宣言した通り、全力でこちらを排除しようとして来ていた。

 だけど自身たちを止めて欲しいと願っていた通り、とても苦しそうにしていた。

 それでも立場上、手を抜くわけには行かないのだろう……。

 

『一気に行きますよ、ヴァルゴ!』

『はい、心様!』

『『マジカルスキル! ヴァルゴハートブレイク!』』

 

 ハートヴァルゴはハートアックスで暴力的なまでの黄色の魔力の光を放って来た。

 

 心たちは本来ならばもっと強いのだろう。美月たちとの一回戦の時は本当に生き生きとバトルしていた。

 だけど今は半ば無理やりやらされているせいか、やはりどうしても隙があった。

 だから迷わずそこを突く。早く心たちを望まぬ役割から解放してあげる為にも……!

 

「ピスケス! 早乙女先輩たちを止めますよ!」

「ええ、歌! それが彼女たちの願いですものね!」

「「マジカルスキル! 人魚の歌う領域(ピスケスマーメイドフィールド)! (プラス)人魚の水流(ピスケスストーム)! 合体マジカルスキル! 人魚の歌う領域(ピスケスマーメイドフィールド)大嵐(おおあらし)!」」

 

 マーメイドピスケスは最強のマジカルスキルであるフィールド魔法を発動させた。

 人魚の水場(ピスケスウォーター)による水場しか無い為、完全な状態では無いし、生み出せた実体を持つ分身の数も四体とかなり少ないが、その代わりに瞬時に発動することができた。

 そして本体と分身たちは水の柱を身に纏うと、ヴァルゴハートブレイクを回避しながら、ハートヴァルゴを中心に渦を描く様に飛び回った。

 

『くっ……!? ありがとう……ございます……』

『心からの……感謝を……』

 

 そして大嵐に飲み込まれたハートヴァルゴは、マジカルバリアを破壊されて戦闘不能になった。

 

 

****

 

 

「心!?」

「ヴァルゴ!?」

 

 ハートヴァルゴが撃破されたのを見た菜々たちは焦った声を上げていた。

 不味い。カガクアイチ校の一位の自分たちよりも強い王牙たちだけでも勝てるかどうか怪しいのに……!それなのに一対二の状況になってしまった。

 

「くっ……!?」

 

 菜々に敗北は許されない。ただでさえ四回戦で咲良たちに負けて、五回戦でオフィウカスとサーペンスの最終調整の役割を果たせずに、こうして計画の崩壊の原因を作ってしまったと言うのに……!

 それに加え、ここでまた負けて、計画の邪魔をする者たちを排除すると言う役目を果たせなかったら終わりだ。()()()()()()()()()()()()()……!

 

「絶対に負けられない……! わたくしは今度こそ、お父様とお母様からの指示を果たさなければならないんです……! お願い、アクエリアス! 敵を倒して下さい……!」

「大丈夫ですよ、菜々様! 私が貴方様を煩わせるものを全て排除しますから!」

「「マジカルスキル! アクエリアスレインサウザンド!」」

 

 レインアクエリアスはレインマルチブースターから発射した無数のビームの弾丸を貫通力を持つ槍へと変化させ、視界を埋め尽くす雨の様に一斉に放った。

 

『させるか! レオ!』

『分かったのであーる、王牙!』

『『マジカルスキル! レオキングタイム・HM(ハイパーモード)!』』

 

 それに対し、キングレオはマーメイドピスケスを庇う様に前に立つと、黄金のオーラを纏いながら、その余剰のオーラで作り出したキングイーグルとキングオルカと合体した。

 

『『合体変形! ハイパーキングレオ!』』

 

 そしてハイパーキングレオは槍の雨を真正面から受け止めると、こちらに向かって爆発的なスピードで突っ込んで来た。

 

『雨水瓶! 俺も親父の力になりたいって言う想いがあるからな……お前の両親の為にって言う気持ちは分かるぜ! だけど……こんなやり方に黙って従う人形にはなっちゃいけねぇんだ!』

「ーーッ!?」

 

 王牙の指摘に菜々は思わず固まった。

 

(人形……? 違う、これはわたくしの意思で……!)

 

 だけどそんな迷いが生まれた菜々に引っ張られたレインアクエリアスのスピードが完全に死んでしまった。

 そしてそんなレインアクエリアスにハイパーキングレオの渾身の一撃が入った。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!?」

「菜々様!? くっ……!?」

 

 吹っ飛ばされたレインアクエリアスのマジカルバリアが破壊されて戦闘不能になる中、菜々の脳内に、父の雨水瓶豪雨(うみずがめごうう)と、母の雨水瓶霧雨(うみずがめきりさめ)の声が聞こえて来た。

 

『——菜々。 お前は我が雨水瓶自動車の跡取りなのだぞ!? こんな体たらくでどうするんだ!?』

『そうですよ、菜々! 何故、こんな簡単なこともできないのです!?』

 

「嫌あっ……!?」

「菜々様!?」

 

 その声を聞いた菜々は発狂した声を上げた。

 

 ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。()()()()()()()()()()()()()()

 

 菜々はアクエリアスに叫ぶ様に指示を出した。

 

「アクエリアス……! ()()を使いなさい……!」

「し、しかし……! ()()を使えば菜々様の身にも危険が……!」

 

 それに対し、アクエリアスは狼狽えた様子で反論して来た。

 時間が無いと言うのに……!()をバトルフィールドに入らせたら、受けた指示を果たせなかったことが両親に露見すると言うのに……!

 菜々は発狂した声で叫んだ。

 

「わたくしのことなどどうでも良いのです……! 良いからやりなさい、アクエリアス……!」

「っ……! 分かりました……!」

 

 ——次の瞬間、バトルフィールドへと繋がる選手用の通路には仕掛けられていた爆弾が一斉に起爆した。

 

『『『『ーーッ!?』』』』

 

 王牙たちと歌たちが驚愕する中、爆発によって天井が崩落し、バトルフィールドへの道を塞いだ。

 それと同時にこの場にいる四機が瓦礫に埋もれていった。

 

『菜々会長……貴方はそこまで……』

『アクエリアス……』

 

 そんな中、心たちの悲しそうな声が菜々の耳に届いた。

 それでも……。

 

「これで……お父様とお母様の指示を果たせました……」

「菜々様……」

 

 ——菜々にはこの選択に後悔など微塵も無かった。

 

 

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