成り代わりたちの強くてニューゲームな世界再構築 作:冴月冴月
「なんだよふざけんなよなんでこんな頑張ってガラじゃないことしたのに海賊扱いされなきゃならないんだよオレの努力なんだったんだよ………」
「シドー、息継ぎしてシドー、怖いから」
からっぽ島、砂浜。時刻は日の出が始まった頃。
そこではツンツンヘアの男2名が黄昏れていた。
その内黒髪の方は砂の地面に胡座をかき、木の枝で昆布の束をぐりぐりと突いている。その姿は完全に、拗ねた子どもの図だった。
男2人、ビルドとシドーはあの後、クリエによって小屋の外に蹴り出されていた。
ルルが錯乱している諸悪の根源*1がシドーだとはいえ、怖がられて追い出されてとあまりにもな扱いである。
「努力が報われない世界とか終わってるだろこんな世界ぶっ壊れちまえばいいのによぉ………」
「シドーがそれ言うと冗談に聞こえないからやめてね」
ビルドが遠い目になりながら諌める。いじけた破壊神によって世界滅亡は流石に笑えない。本人(本神?)は真剣なのだろうが。
「……まあ、ここで拗ねててもどうにもならないし、俺らで素材と食料集めをしようよ。ルルにはクリエが色々説明してくれてると思うし」
重い腰をえっちらと上げながらビルドが言う。背中に差していたひのきの棒を抜き、近くに落ちていた流木をベシリと叩いた。すると流木が砕け、それがあった場所に直方体の塊が現れる。
ビルダーズの世界には、現実となっても『素材化』『アイテム化』という概念があった。
流木や生えている木を壊せば何の加工もしていなくとも『木材』になる。壁のブロックを壊せば小さなキューブ状になる。懐に収めると更に縮小して嵩張らなくなる。
その事に誰も疑問を持ったりはしない辺り、この世界では『そういうもの』と認識されているらしい。
「…仕方ない、やるか」
それを見たシドーものそりと立ち上がり、崖沿いの砂場まで走って行くと、その辺の枯れ草を引き抜き始めた。わらベッド用の草はこれで集まるだろう。
ビルドはそれを横目で確認しつつ、自分は水に浸かったエリアに残って、流木や昆布の採取、埋まっているモモガイの発掘に勤しんだ。
そうしている内に日が完全に昇り、周囲にはいつの間にか、青い雫型のモンスター『スライム』が跳ね回っていた。
ひのきの棒でサクッと倒し、落ちた油を瓶に拾い集める。
「はい、焚き火用……5個分くらい取ってこうか」
料理は一気にできた方が楽である。
効率厨の気質もあるクリエにとって、焚き火はあればあるほど嬉しいらしいので、多く作れるように少し余分に油を採った。ちなみにまだ丸腰のシドー*2の方は、拳だけでなく蹴り技まで駆使してスライムをシバいており、定期的に「ピキィーン!(泣)」とスライムの悲鳴が聞こえてきた。中々可哀想な光景に、ビルドは静かに合掌した。
シドーには早く棍棒を作ってさしあげろ。これから相対する敵たちの為にも。
それから更に数分後。
懐を素材でギチギチにしたビルドたちは、小屋に帰宅(?)した。
木の扉をノックすると、向こうから『どうぞー』と気の抜けた声が返ってきたので、軋んだ音を立てるドアを押す。
相変わらずのボロ家の隅にはルルが膝を抱えており、砂浜の砂を全身に着けた姿の2人を不安げに上目遣いで見ていた。横ではクリエが生の昆布を頬張りながら、ビルダーの書に何か書き込んでいる。
「おかえり。結構長いこと出てたね」
「そりゃあもう、この辺の素材根こそぎ採って来たからね。ほら」
ビルドが引っ張り出したのは数々の素材と食料。木材、昆布、モモガイ、枯れ草、油、インテリア代わりにと壊さず担いで来た丸太の流木、エトセトラ。
「うわぁ大漁、しばらく素材集め要らないねコレ」
クリエが素材の山を覗き込んで息を吐く。
少し大胆に消費してもすぐに無くなることは無さそうだった。
「後で収納箱作らなきゃ」
「早いとこ袋が欲しいね」
「それはもう少し後な……で、そっちは落ち着いたか?」
部屋の隅に設置した流木の上に胡座をかいたシドーが、再び部屋の隅に視線を向けた。
未だに縮こまっていたルルが、びくりと肩を跳ねさせた。
「さっきのはこんなナリしてたオレも悪かったよな。驚かせてすまなかった」
「うわ、さっきあんなに拗ねてたのにめちゃくちゃ大人な対応してる」
「おいそこ黙ってろ」
「ぐぇう」
後ろから余計な事を言ったビルドの額に、シドーが投擲した木材が直撃した。結構痛そうな音がする。
「角! 角で行ったよシドーが!! めちゃくちゃ痛かったんだけど!!」
「残当だな」
「うわ、痛そうな音したね」
「2割ぐらい削れた! 2割!!*3」
「流石に誇張だろ木材ごときで……」
たちまち室内が騒がしくなった。
火種の癖して知らぬ存ぜぬの態度を取るシドーと全力抗議するビルド、完全に他人事のクリエ。
転生者同士という共通点こそあれ、つい先程会ったばかりとは思えない馴染みぶりだった。
「━━……ふふっ」
ふと、部屋の隅から小さな笑い声が聞こえた。見ると、縮こまっていた桃色髪の少女が、肩を震わせている。
「…あははっ!」
ルルが顔を上げた。少し涙目になっているが、その口角は上がっていた。
「…もう、怖がって泣いてたルルがバカみたいじゃない」
目元を拭い、ルルが立ち上がった。そしてシドーの前まで歩いてくる。
「……ルルこそ、さっきはいきなり海賊だなんて言ってごめんなさい。あなたたちも流れ着いた人たちだったのよね」
そう言って頭を下げる姿に、もう怯えて縮こまっていた少女の面影は無かった。
「だったら、どうにかしてここで4人で生き延びましょ! そうしていればいつか、助けが来るかも知れないもの!」
そこにあったのは、ゲーム本編で見てきたような強かな少女・ルルの姿だった。
めっっっちゃくちゃ期間空きまして申し訳ございません(土下座)
誰だよビルダーズの小説少ないから自分が書くんだと意気込んでたやつ、私だよ。
ちょっと最近ビルダーズ触れてないから良い機会だし一からやり直しながら執筆していきます。だから暖かい目で見ててください(´;ω;`)