赤神春馬は仮面ライダーに憧れて闇暴きに没頭する 作:コヨイクジ
変身解除した僕の前に、舞花が近づいてきた。
舞花と一緒にいた数名の高校生も一緒だ。
舞花
『ここじゃ話しづらいわね、向こうに行きましょう。』
周りの状況を見た僕は、勇也と翔を連れてここを離れることにした。
春馬
『勇也、翔、立てるか?』
勇也
『えっ、あっ、あぁ、もちろんだ。』
翔
『春馬君、大丈夫、顔が暗いけど。』
春馬
『正直に言って大丈夫じゃない、変身した喜びと、優等生野郎を殺した罪悪感が入り混じって、よく分かんないんだ。』
勇也
『とにかく、舞花についていこうぜ、アイツから何が起こってるのか聞き出さないと。』
僕たちは舞花についていき、高校裏の自転車置き場についた。
すると、舞花はいきなりお辞儀をした。
舞花
『私たちの代わりにオルフェノクを倒してくれてありがとう、あなたは一体何者、なぜケイオスに変身できたの?』
春馬
『僕は・・・。』
僕は舞花たちに全てを話した。
僕が闇暴きをしていたこと、優等生野郎と前に戦ったこと、探偵部を結成していたら今回の騒動に巻き込まれたことなど。
舞花
『なるほど、つまりアナタはオルフェノクになった彼に関わっただけの一般人ってことね。』
春馬
『まあ、そうだ、だからなんで僕が仮面ライダーに変身できたのかは、僕にも分からない。』
舞花
『じゃあ、たまたまカオスドライバーが春馬君に適合しただけなのかしら?』
春馬
『次はこっちから質問だ、あの怪人はなんだ、仮面ライダーケイオスってなんだ、君たちは一体何者だ?』
舞花たちは何か考えるような顔をして話し合うと、僕らの方を向いて話し始めた。
舞花
『あの怪人は(オルフェノク)といって、人間の進化系と呼ばれてるわ、それ以外は私たちにも分からない。』
オルフェノクは仮面ライダーファイズに登場した怪人だ。
人間の進化系という点以外は何も分かっていない。
春馬
『確か、人が一度死んで運がいいとオルフェノクになって復活するんだよな。』
舞花
『えっ!?』
春馬
『あと、オルフェノクに殺された人間も約五分の一の確率でオルフェノクになれて、オルフェノクは全員体が灰色で、地球上の動物に似た特徴や能力を持っている。』
舞花
『どうしてそれを!?』
春馬
『僕は仮面ライダーって特撮が大好きなんだけど、その中に仮面ライダーファイズっていう作品があるんだ、その中に出てくる怪人もオルフェノクっていうから、もしかしたら今回のも同じかもって。』
舞花
『テレビ作品の怪人と全く同じ存在が現実に!?』
あの怪人を見た感じだとそうだ。
それに、このカオスドライバーというものも、ファイズドライバーにそっくりだ。
なんで現実に全く同じ怪人と変身ベルトが出てきたかは分からないが、話を続けよう。
春馬
『このベルトはなんだ?』
舞花
『それは(カオスドライバー)、唯一オルフェノクを倒すことのできる装備で、オルフェノク、もしくはベルトに適合した人間が使用することで、(仮面ライダーケイオス)に変身することができるの。』
仮面ライダーケイオス、初めて聞く名前だ。
今までの仮面ライダー作品にそんなものはいない。
春馬
『じゃあ、君たちは何者だ、なぜオルフェノクの存在を知っている?』
舞花
『私たちは五年前まで、流星塾という施設に通っていたの、でもある日、塾にいたところをオルフェノクに襲われて、その後、オルフェノクの遺伝子を私たちの体に移植する実験が行われたの、何人かは体が耐えられなくて死んでしまったわ、生き残った私たちはしばらく閉じ込められていたけど、私たちのお父さんが助けてくれて、今はそれぞれ養子として違う家で住んでいるの。』
春馬
『私たちのお父さんって、どういう意味だ?』
舞花
『厳密にはお父さんのような存在ね、あの人は親を失った私たちを養子として拾ってくれて、暮らすための養護施設や、勉強のための流星塾などを提供してくれたわ。』
春馬
『いい人だったんだな。』
舞花
『えぇ、実はお父さんもオルフェノクで、元々はオルフェノクの組織の社長だったらしいわ、でもオルフェノクの存在を危惧して、組織を脱退してから私たちのような身寄りのない子供を助けるようになったの。』
春馬
『自分の過ちに気がついて、罪を償おうとしたのか。』
舞花
『きっとそうね、でも組織のオルフェノクがそれに気がついて、あの日流星塾にいた私たちを誘拐して、人体実験を行ったの、何のためにオルフェノクの遺伝子を移植したのかは分からないわ。』
春馬
『それで組織から逃げ出した後は?』
舞花
『お父さんから全ての真相を告げられて、同時にこのベルトを託されたの、オルフェノクに襲われたらこれを使えって、でもこのベルトは適合した人にしか使えないって言われたわ。』
春馬
『そんで、お父さんの協力があって、それぞれ色んな家の養子になって、この高校に通ってたってわけか。』
舞花
『えぇ、いつか私たちを殺しにオルフェノクがやってくると思って、いつもこのベルトを持ってたわ、それでさっきオルフェノクが現れたから、皆で戦おうって言って私が変身しようとしたんだけど、結局ベルトに拒絶されて。』
春馬
『たまたま僕が使ったら、運良くベルトに適合して変身できたと。』
オルフェノクの組織。
もし仮面ライダーファイズ通りなら、その組織の名前は『スマートブレイン』。
本当にあの組織が存在するのか?
だとしたら嬉しいような、怖いような。
とにかく、オルフェノクがこのまま増えればマズイ。
なぜなら・・・。
春馬
『オルフェノクにも限界がある。』
舞花
『えっ、急にどうしたの?』
春馬
『もし仮にオルフェノクが増えたら、世界から人もオルフェノクも、速くて百年でいなくなる。』
舞花
『どういうこと!?』
春馬
『仮面ライダーファイズ通りなら、オルフェノクは体の進化に細胞が耐えられなくて、かなりの負荷がかかる、だから一度オルフェノクになった者は、オルフェノクになった瞬間から長くて二十年しか生きられない体になる。』
舞花
『つまり、世界から人類が消える。』
春馬
『それにきっと、オルフェノクは繁殖能力が弱い、仮に子孫が残せても、その子供は数年しか生きられないだろう。』
舞花
『まるでアニメやゲームの世界ね。』
春馬
『まさかこんなことになるとは、面白くなってきた!!』
怪人がいると分かった以上、僕がこのままにしてはおけない。
一番怖いのは、オルフェノクの力じゃなくて、力に溺れて悪い闇に飲まれる、人間の弱さだからだ。
人を襲うオルフェノクは、残念だが倒さなければならない。
でも、ケイオスに変身できるのは僕しかいない。
だから・・・。
春馬
『なぁ、このベルト、僕が貰ってもいいか?』
舞花
『えっ?』
春馬
『さっきも言ったけど、僕は人を守りたい、今この中で変身できるのは僕だけだし、オルフェノクとの戦いを通して、僕は復讐の檻から抜け出したい、もちろん力の使い方には気をつけるよ。』
舞花
『でも、それじゃアナタが危険な目に!!』
春馬
『僕は普段から危険な目に遭ってる、それに僕は戦うことには慣れてるんだ、でも僕はこれ以上、仲間が危険な目に合うのを見たくない。』
舞花たちは考えた。
関係ない僕を戦いに巻き込んでいいのかと。
すると、勇也と翔が口を開いた。
勇也
『俺からもお願いだ、春馬は俺たちを守ってくれた、だから俺は春馬の意思に賭けてみたい。』
翔
『春馬君は強くて、優しくて、人を人として導ける人だと思う、そんな彼に僕は救われたんだ、だからお願いします。』
それを聞いた舞花たちは少し考えると・・・。
舞花
『分かったわ、そのベルトはアナタに預ける、もしオルフェノクが現れたら、私たちがアナタに連絡するから、アナタはそこへ向かってオルフェノクを倒して。』
春馬
『分かった、ありがとう舞花。』
そして、僕たちはいったんそれぞれの家に帰った。
僕は父親と、学校が襲われたと聞いて家にやってきた黄川さんに、僕が変身したこと、オルフェノクのことを話した。
冬馬
『こいつがカオスドライバー、お前がまさか本当に仮面ライダーになるとは・・・。』
黄川
『俺も高校から連絡が来て、すぐに駆けつけたが、まさか人が怪物になるなんて・・・。』
二人とも僕の話を信じてくれた。
僕は二人にこれからのことを相談した。
春馬
『僕はオルフェノクを倒した、つまり人だった者を殺してしまった、黄川のおやっさん、これって殺人罪になるのか?』
黄川
『一応お前のことは、他の警察や捜査官には話してない、お前は正当防衛で戦ったんだし、お前が倒したのはもう人間じゃない、だから殺人にはならないはずだ。』
春馬
『倒したオルフェノクの体は灰になったけど、それはどうなったの?』
黄川
『警察が回収して検査してるところだ、もしかするとオルフェノクの存在が世間に明るみに出る可能性もある。』
春馬
『それはそれでまずいな。』
僕が警察に捕まらないと聞いて、安心したような、悲しくなったような。
僕も闇人の一員になってしまった感じがする。
冬馬
『まあ、とにかく俺たちはお前に協力する、ちょうど仕事がなくて暇だしな。』
春馬
『でも、それじゃ父さんたちが危険だ。』
冬馬
『探偵と警察を舐めんなよ。』
春馬
『父さん、おやっさん、ありがとう。』
父さんたちは相変わらず優しいな。
自分が危険になることすらどうってことないって感じだ。
冬馬
『春馬、このベルトについて詳しく教えてくれよ。』
春馬
『そうだね、確かアタッシュケースに説明書が・・・。』
僕は説明書を取り出すと、中の内容を読んだ。
春馬
『カオスドライバー、オルフェノク、もしくは適合適正のある人間が仮面ライダーケイオスに変身するためのツール、携帯電話型装置カオスフォンに暗証番号を入力し、ドライバーに差し込むことで、ドライバーから全身にフォトンブラッドと呼ばれるエネルギーが流れ、体に装甲を形成、仮面ライダーケイオスに変身する。』
冬馬
『ほぼほぼファイズと同じだな。』
春馬
『カオスフォンにそれぞれ違う暗証番号を入力すると、カオスフォンをガンモードに変形、武器の召喚などできる。』
黄川
『その時に応じて戦闘形式を変えられるな。』
春馬
『カオスフォンのガンモードには二種類の形態があり、威力は低いが弾丸数の多い性能重視のシングルモード、威力は高いが弾丸数の少ない威力重視のバーストモードがある。』
冬馬
『二種類あるのは便利だね。』
春馬
『召喚できる武器は、カオスカリバー、カオスショット、カオスポインターの三つがあり、それぞれカオスフォンについているミッションメモリーを差し込んで、カオスフォンのエンターボタンを押し、エネルギーをチャージすることで必殺技を発動できる、ただし体への負担が大きいため、トドメを指す時か、緊急時の場合のみ使用した方がいい。』
黄川
『必殺技はロマンあるよね。』
春馬
『さらにカオスフォンで専用暗証番号を入力すると、専用バイクのカオスバジンを召喚可能、バイクモードとロボモードに変形でき、ロボモードでは格闘とガトリングを駆使してケイオス変身者の援護をする。』
冬馬
『バイクがロボにか、想像するだけでワクワクするよ。』
春馬
『とりあえずこんなもんかな、戦う力としては十分だね。』
黄川
『明日から、オルフェノクと戦うのか、くれぐれも無茶したり、死んだらするなよ。』
春馬
『あぁ、力の使い方にも気をつけるよ。』
冬馬
『忘れるなよ、俺たちはいつでも、お前を一番に思ってる、一番のお前が死んだら、父さんたちは天国にも行けねえからな。』
春馬
『分かったよ、二人とも。』
そして僕たちは、それぞれ就寝に入った。
次の日は高校が休みで、ゆっくりしようと思ったのだが、カオスフォンからの着信音で目が覚めた。
時間を見ると、午前九時だ。
きっと舞花たちからの電話だろう。
つまりは・・・。
春馬
『もしもし、春馬です。』
舞花
『春馬君すぐ来て、仲間の家がオルフェノクに襲われたらしいの!!』
春馬
『なんだって、すぐ行く!!』
僕は電話を切って、すぐに外へ出た。
カオスフォンを見ると、自動的にオルフェノクがどこにいるか、液晶の地図で表示されていた。
便利だなと思いつつ、僕はカオスバジンを召喚することにした。
カオスギア
『8、3、9、カオスバジン、サモンズ!!』
すると、僕の側にバイクが現れた。
春馬
『こいつがカオスバジンか、これからよろしく。』
カオスバジン
『よろしくお願いします、マスター。』
春馬
『えっ、えぇぇぇ、お前喋るの!?』
カオスバジン
『私は最初にケイオスへ変身した者を手助けするようプログラムされています、ではマスター、私にお乗りください。』
春馬
『凄いな舞花たちの父さん、とにかく急ごう!!』
僕はカオスバジンに乗り、地図に従ってオルフェノクがいる場所へ急いだ。
しばらくすると、何か大きなものに壊された形跡がある家が見えてきた。
そして逃げるように走る大勢の人の姿も。
すると、舞花と一緒にいた男性の一人が、家の近くで僕を待っていた。
男性
『こっちです、春馬さん。』
春馬
『状況はどうだ?』
男性
『私もさっき来たばかりなので分かりませんが、おそらくあの家の中にオルフェノクが、俺の仲間はもしかするともう・・・。』
春馬
『僕が見てくる、これから戦いが始まるだろうから、お前は舞花たちのところへ行ってくれ。』
男性
『分かりました。』
僕は男性と別れ、倒壊した家に入った。
奥へ進むと、一人の人影がこっちに近づいてきた。
よかった、生存者がいた。
春馬
『大丈夫ですか!?』
人影
『たっ、助け・・・。』
すると次の瞬間、その人の体が灰になって崩れ去ったのだ。
その奥から、警官の格好をした男が現れた。
すると次の瞬間、見たことない巨体の怪物に姿を変えたのだ。
春馬
『あれは、エレファントオルフェノク!!』
ファイズに登場した怪人で、怪力と突進による攻撃が得意。
オルフェノク
『あぁ、お前か、この間オルフェノクにしたやつを倒したってのは。』
春馬
『まさか、うちの高校を襲った奴のことか!?』
オルフェノク
『ちょうどオルフェノクになる素質がありそうな奴が、牢獄にいたもんでね、力を与えてやったんだよ、でも結局お前に倒されるなんて。』
警官がオルフェノクだと?
つまりオルフェノクはもう、社会に溶け込み始めているのか?
オルフェノク
『お前がいると、我々の目的に支障が出る、ここで始末する。』
春馬
『始末されるのはお前だ、オルフェノク!!』
カオスギア
『8、8、8、スタンディングバイ!!』
春馬
『変身!!』
カオスギア
『コンプリート、ケイオス!!』
僕は仮面ライダーケイオスに変身した。
オルフェノク
『なるほど、それが裏切り者が作った力、面白い、この俺が叩き潰してやる!!』
春馬
『行くぜ、タァ、そりゃ、セイ、おりゃ!!』
僕はまず、格闘でオルフェノクと戦った。
この間の奴より硬い。
でも、攻撃は聞いているようだ。
オルフェノク
『ぐはっ、やるな、それなら、うおぉぉぉ!!』
オルフェノクの姿が変わって、トラックぐらいデカくなった。
しかも、四足歩行だ。
エレファントオルフェノク突進態か。
これじゃ格闘戦はできない。
それなら・・・。
カオスギア
『8、5、2、カオスカリバー、サモンズ!!』
僕はカオスカリバーを召喚した。
銃モードと剣モードを駆使しながら、相手の足を攻撃した。
オルフェノク
『この・・・踏み潰してやる!!』
オルフェノクが前両足を上げた。
この時を待ってたぜ。
僕はカオスカリバーの銃モードでオルフェノクの前両足を撃ちまくった。
すると、相手はバランスを崩したので、その隙に剣モードにしたカオスカリバーで、奴の腹部から後ろ両足を切り裂いた。
オルフェノク
『ぐわぁぁ、おのれ!!』
元のサイズに戻ったオルフェノクは、立っているのがやっとな感じだ。
オルフェノク
『ぐぉぉぉ、死ねぇぇぇ!!』
オルフェノクがツノを巨大にして突進してきたが、問題ない。
僕はミッションメモリーをカオスカリバーにセットしてエネルギーを溜めた。
春馬
『さあ、カオスに賭けるぜ!!』
カオスカリバーのレバーを引いて、エネルギーをチャージした弾丸をオルフェノクに撃ち込んだ。
オルフェノク
『ぐわっ、なに、体が動かない!?』
弾丸を喰らったオルフェノクは体がエネルギーに拘束され、身動きが取れなくなった。
その隙に僕はエネルギーを溜めたカオスカリバーの刃先を地面に沿わせながら相手に向かって突進、斬撃を喰らわせた。
カオスギア
『ライジングブレイク!!』
春馬
『タァ、セイ、ヤァ、ハァ!!』
オルフェノク
『うわぁぁぁ!!』
一刀両断になったオルフェノクの体は、激しい爆発と共に青く燃えて灰になった。
変身解除後しばらくして、警察がやってきた。
僕はその場を離れ、やってきた舞花たちに、家の住人と舞花たちの仲間が死亡したことを話した。
舞花
『そう・・・ありがとう、伝えてくれて。』
春馬
『助けられなくて・・・ごめん。』
舞花
『いいや、アナタはオルフェノクを倒した、それだけで十分よ。』
僕は舞花の後ろにいる、舞花の仲間を見た。
皆が泣くのを堪えている。
舞花もきっとそうだろう。
僕は心の中で後悔した。
人を守りたいと言いながら、結局守れなかった。
舞花たちと別れ、僕は家に帰った。
今の僕は、自分が憎い。
でも、自分をいつまでも憎んだって何も変わらない。
それでも後悔する気持ちが僕を包んでいる。
でも、これだけは言える。
僕はこの力で、オルフェノクを倒す。
全ては、悪い闇をこの世から減らすために。
第四話『親と子供』に続く。