赤神春馬は仮面ライダーに憧れて闇暴きに没頭する 作:コヨイクジ
エレファントオルフェノクとの戦いがあって数日後、僕は一人考えていた。
舞花の目、あれはまさしく闇人に蝕まれている者の目だ。
オルフェノクの件とは関係ない、何か別のことで彼女は苦しんでいるのではないだろうか?
そう考えていると、父親が話しかけてきた。
冬馬
『たまには一人で抱え込まないで、俺にも相談しろ。』
春馬
『気づいてたか。』
冬馬
『当たり前さ、探偵を舐めんなよ。』
僕は舞花とその仲間について、流星塾と彼女らの父親の話をした。
すると、僕の父親は奇妙なことを話した。
冬馬
『そうか、実は俺もこの街に引っ越す前、お前の今通ってる高校について調べたんだが、なんか変だったんだ。』
春馬
『変って何が?』
冬馬
『あの高校にいる生徒は、なぜか養子になった人ばかりが入学してたんだ。』
春馬
『つまり、親と血のつながりがない生徒ばかりってこと?』
冬馬
『あぁ、もちろん親と血が繋がってる人も何人かはいたよ、でも流石に高校にしては養子が多すぎるから、なんか変だなって思ったんだよ。』
養子ばかりの高校。
養子限定の特別高校じゃなくて、普通の高校のはずなのに、確かにそれは変だ。
もしかして、舞花たち流星塾メンバーと関係が?
あの高校、何か隠してるな。
春馬
『ところで、なんでわざわざ高校を調べたの?』
冬馬
『あの高校がお前に合ってるか知りたくてな、お前だって前いた高校のような目にはあいたくないだろ、それに怪しい高校を調べるのも面白い、例のオルフェノクとも関係あるかもしれない。』
流石にオルフェノクと関係はないと思うけど、確かにそこには父親の優しさと探究心があった。
春馬
『とりあえず、父さんは探偵だから舞花について調査してほしいんだけど、いいかな。』
冬馬
『お安いご用だ、探偵は人助けも仕事の一つだからね。』
春馬
『ありがとう、父さん。』
翌日、僕はいつも通り高校へ行った。
ちなみに、オルフェノクになった優等生野郎を倒した後、高校はどうなったかというと、黄川さんたち警察によって怪我をした人は病院運ばれたし、さほど被害も少ないから、いつも通りに登校している。
警察は一般市民を混乱させないためにも、オルフェノクの存在をまだ公表しないようにしたらしい。
高校の先生や生徒の皆も、警察の方に言われてあの日のことを言わないようにしてるし、僕に対する態度もいつも通りだ。
ただ、彼らの目を見てると、やっぱり僕のことを少し怖がっているらしい。
目の前で変身して、怪人を殺したところを見たら誰だって最初は怖がるさ。
今日も普段と変わらず授業を受けて、放課後にアニメ研究部の部室へ行った。
もちろん、勇也と翔も一緒だ。
僕は今回、舞花の周りを調査することを勇也と翔に話した。
勇也
『確かに舞花のやつ、なんか無駄に礼儀正しいっつうか、なんかありそうな雰囲気だったな。』
翔
『でも学校では人気者で、トラブルがありそうには見えないから、高校の外で何かあったのかな?』
春馬
『とりあえず今は、父さんの探偵力に任せてる、後々情報が来るはずだ。』
そして僕は同時に、この高校に養子が多すぎることを話した。
勇也
『確かに、そんな高校は珍しいな、一人や二人ならまだしも、ほとんどの数がって。』
翔
『一応、僕と勇也君はちゃんと親と血が繋がってるよ、血液検査もしたし。』
春馬
『この高校にも、なんかありそうだな。』
翔
『でも、先生たち普段優しいし、何か隠してるようには見えなかったけど。』
勇也
『何も先生限定じゃないかもしれない、その養子の保護者とか、校長とか、教育委員会的なやつとか、調べた方がいいのが多い。』
春馬
『そうだな、とにかくまずは舞花だ。』
翔
『ずいぶん舞花さんのことを話すね。』
勇也
『もしかして、舞花に惚れちゃった?』
春馬
『・・・・・。』
勇也
『えっ、もしかしてガチ、お前青春してんじゃん!!』
翔
『舞花さん、凄く綺麗で可愛いもんね。』
春馬
『あーもう、やめだやめだ!!』
確かに僕は、舞花のことを好いてしまっている。
なんかこう、魅力があるっていうか、今までにない感情が湧くっていうか・・・って、そんな話してる場合じゃねえ!!
春馬
『と、とにかく、今日は時間だから帰るぞ。』
勇也
『はいはい、分かりましたよ。』
翔
『春馬君の意外な一面見れちゃった。』
その後、僕は家に帰ると父親が資料を持って待っていた。
冬馬
『春馬、色々分かったよ、舞花について。』
春馬
『どうだった?』
冬馬
『こりゃすぐにでも突撃するか、警察呼んだ方がいいな。』
春馬
『どういうこと!?』
すると、父親は何枚かの写真を見せた。
どれも舞花が写っているが、ピアノ、バイオリン、フルートなどの楽器を演奏する姿、難しそうな勉強を塾らしき場所で学ぶ姿、コンビニや食品工場でバイトする姿が載っていた。
春馬
『これって・・・もしかして!!』
冬馬
『あぁ、そうだ、あまりにも習い事やバイトが多すぎる、普通なら大人でも体が耐えられないほどだ。』
午前に習い事、午後に塾、夜からバイト。
休みがないし、分野が多すぎる。
彼女は毎日、こんなことを続けていたのか?
冬馬
『それに、もっと問題なのが、その後ろの写真だ。』
僕は後ろにある写真を見た。
そこには二人の大人、多分義理の母親と父親に、舞花が叩かれたり、背中を足踏みされたり、封筒に入ったお金を渡してる姿があった。
春馬
『これは!?』
冬馬
『俺も彼女を尾行しながら、最先端のカメラで窓から撮影した時ビビったよ、まさか虐待していたとは・・・。』
舞花が虐待されていた。
その事実を知った時、僕は怒りに燃えた。
あの時の僕と同じだ。
警察なんかに任せてられねぇ。
春馬
『父さん、行こう、舞花の家に!!』
冬馬
『お前がその気なら、行くぞ!!』
僕と父親は夜になってから、舞花の家に向かった。
舞花の家に着くと、父親はスマホのカメラを起動し、僕は家の壁に耳を澄ませた。
すると、中から男の怒鳴り声が聞こえた。
舞花の義父
『今日の飯はマズイな、このガキがこの俺にこんなマズイ飯を食えってか、俺を誰だと思ってやがる!!』
舞花
『申し訳ございません、ご主人様。』
舞花の義母
『全く、最近だんだん使えなくなってきてるわね、そろそろ潮時かしら?』
舞花の義父
『まあ、そう急ぐな、こいつには死ぬまで働いてもらう、子供は所詮、俺たち大人の道具だからな、道具にならないガキなんぞくたばれってんだ!!』
舞花の義母
『そうね、周りに住んでる奴らがどうかしてるわ、子供を自由にさせるなんて、もったいない。』
舞花
『・・・・・。』
舞花の義父
『なんだその目は、こっち見てないでさっさと飯作れ!!』
その時、舞花が殴られる音がして、僕の堪忍袋の尾が切れた。
僕は持ってきたハンマーで窓ガラスを壊し、そのまま窓のフレームごと引っ張って取り外した。
取り外した窓を外に放り投げると、僕と父親は舞花たちに近づいた。
当然、向こうはビックリしている。
春馬
『舞花、助けに来たぞ。』
舞花
『春馬君、なんでここに!?』
僕は舞花の義父を睨みつけた。
春馬
『テメェ、自分の子供を何だと思ってやがる!!』
舞花の義父
『な、な、なんだお前は!?』
春馬
『質問してんのはこっちだ、舞花に強制労働させて、稼いだ金を奪って、周りに自分たちを良い大人に見せるために、大量の塾や習い事に行かせて、思い通りに行かなかったら舞花に暴力を振るって、命をなんだと思ってやがる!?』
舞花の義父
『はぁ、お前何言ってんだ、子供は所詮、大人の道具なんだよ、子供を自由にさせる周りの奴らが狂ってんだよ、俺たち大人は力があるんだ、力のある大人に力のないガキが自分勝手に生きる必要なんてねえんだよ、頭大丈夫か、この青二歳が!!』
春馬
『何一つ理解できない、僕たち子供は可能性だ、未来を生き、未来に繋げるための一つの可能性として生まれてきたんだ、それをお前らは道具だって、間違ってるのはお前らだ、こんなこと許されるはずがない!!』
冬馬
『ちなみに、今これライブ配信中な、オマケに警察にも連絡しておいたから。』
舞花の義母
『何ですって、ふざけないでちょうだい、だいたい証拠はあるの!?』
僕はカバンから写真をばら撒いた。
向こうは絶望したかのように驚いている。
春馬
『言っとくけどコピーしてあるから、お前ら逮捕確定な。』
舞花の義母
『あんたら、よくも!!』
すると舞花の義母は包丁を持って突進してきた。
だが、大丈夫だ。
僕の父親が、舞花の義母の腕を掴み、そのまま捻り倒したのだ。
僕は落ちた包丁を拾い、外に投げた。
そして舞花の手を取り、僕は家を出ようとした。
すると、舞花の義父が・・・。
舞花の義父
『お前ら、よくも、よくも人間を超えたこの俺様に向かって、よくもこんなふざけた真似を!!』
突然、舞花の義父の体が灰色になった。
まさか・・・。
舞花の義父
『お前らを殺して、ここから逃げ出して見せる、そしていつか、人間どもに思い知らせてやるのだ!!』
舞花の義父がオルフェノクの姿になった。
春馬
『あれは、オックスオルフェノク!!』
剛腕と鉄球での攻撃を得意とするオルフェノク。
まずいな・・・。
ひとまず僕と父親と舞花は外に出た。
舞花の義母も外に出ようとしたが、オルフェノクに背中を貫かれ、灰になってしまった。
舞花の義父=オルフェノク
『こいつが役立たずのせいで俺は、死んで当然だ。』
春馬
『父さん、舞花を頼む!!』
冬馬
『分かった!!』
僕の父親と舞花が逃げたことを確認したら、僕はアタッシュケースからカオスドライバーを取り出した。
カオスギア
『8、8、8、スタンディングバイ!!』
春馬
『変身!!』
カオスギア
『コンプリート、ケイオス!!』
僕は仮面ライダーケイオスに変身した。
オルフェノク
『そうか、お前が噂のオルフェノクハンターか。』
春馬
『僕はお前を・・・虐待者を許しはしない!!』
僕はまず格闘戦で戦った。
こいつ体が硬くて、効いてる感じがしない。
動きも早いから、武器を召喚する余裕もない。
こうなったら!!
カオスギア
『1、0、3、シングルモード!!』
カオスフォンをガンモードにして、僕はビームを撃った。
しかし、当たっているのに怯まない。
危うく奴の鉄球が当たりそうになった。
だったら!!
カオスギア
『1、0、6、バーストモード!!』
僕は威力重視になったビームを撃ちまくった。
流石に奴もダメージを喰らい、怯んでいるようだ。
オルフェノク
『このガキが・・・。』
すると、騒ぎを聞きつけた近くの住人が出てきてしまった。
オルフェノクはその人を捕まえると、盾にするように人質にとったのだ。
オルフェノク
『動くな、この女を殺すぞ!!』
春馬
『くそっ、卑怯な奴め!!』
よくアニメやドラマで見るけど、実際にやられるとこんな感じなのか!!
どうするか考えていると、頭の中にカオスバジンの声が聞こえてきた。
カオスバジン
『マスター、私にお任せください。』
次の瞬間、ロボットの腕のようなものが、オルフェノクの顔面に向かって飛び、オルフェノクを殴ったのだ。
オルフェノクはバランスを崩して倒れ、人質にされた人は急いで逃げていった。
すると、オルフェノクの背後からロボモードに変形したカオスバジンが現れ、オルフェノクをガトリングで撃ちまくったのだ。
オルフェノク
『ぐはっ、なんだこのロボットは!?』
カオスバジン
『マスター、私は役に立てたでしょうか?』
春馬
『あぁ、助かったよ、まさかお前ロケットパンチ出せるのか!!』
カオスバジン
『はい、僭越ながら、あの方に私の右腕を喰らっていただきました。』
僕はオルフェノクに近づくと、そいつをサッカーボールのように足蹴りした。
春馬
『どうだ、これが舞花が毎日やられたことだ、誰かに言われなかったか、自分がされて嫌なことは人にするなって!!』
オルフェノク
『違う、自分がされて嫌なことはガキにぶつける、それが大人のストレス発散になるんだよ!!』
春馬
『そうか・・・なら!!』
カオスギア
『8、2、7、カオスショット、サモンズ!!』
僕はカメラ型のアイテム、カオスショットを召喚し、そこにミッションメモリーを差した。
カオスギア
『レディー、エクシードチャージ!!』
ナックルモードになったカオスショットを右手に持ち、僕は構えた。
春馬
『全国の子供に死を持って謝罪しろ!!』
オルフェノク
『ほざけ、このガキが!!』
春馬
『さあ、カオスに賭けるぜ!!』
カオスギア
『グランインパクト!!』
春馬
『ダァァァ!!』
僕は奴の持つ鉄球を粉砕し、奴の顔面をカオスショットで殴った。
オルフェノク
『ぐばぁぁぁ!!』
オルフェノクの体は激しい爆発と共に、青く燃えて灰になった。
しばらくすると、警察が来たため僕は変身解除してその場を離れた。
家に帰ると、舞花と僕の父親が待っていた。
舞花は僕が来たことに気がつくと、僕に向かっていきなりビンタした。
舞花
『どうして勝手に助けたの、誰も頼んでないのに!!』
春馬
『君が闇人に蝕まれていたから、ただそれだけだ、別に君を助けたかったわけじゃない。』
舞花
『ならどうして、あんなに必死になってくれたの!?』
春馬
『それは・・・。』
僕は言葉が途切れた。
舞花が好きだからって言うのがプライド的に嫌だった。
春馬
『君が過去の僕に、似ていたから。』
舞花
『えっ?』
春馬
『色んなことに巻き込まれて、誰かに助けを求めればいいのに、一人で抱え込んじゃう、それが似てた、だから助けたかった。』
舞花
『もしかしたら、春馬君が死んでたかもしれないのに!!』
すると、舞花は泣きながら僕に抱きついてきた。
僕はただ、彼女の背中をさすることしかできなかった。
しばらくして、舞花が落ち着いたら、僕は話しかけた。
春馬
『なぁ舞花、よかったら今日からこの家に住まないか?』
舞花
『えっ、いいの?』
春馬
『このまま君を一人にしてはおけない、もちろん君は女の子だから、生活には気をつけるよ、父さんはどう?』
舞花
『俺は全然いいぜ、家族が増えることは嬉しいことだ。』
舞花は少し微笑むと、僕の手を取って口を開いた。
舞花
『今日からよろしくね、春馬。』
春馬
『あぁ、お兄ちゃんに任せとけ!!』
舞花
『えっ、待って、お兄ちゃん?』
春馬
『そうだ、僕が兄で、君が妹っていう設定ならいけるだろ。』
舞花
『全然よくないです、普通に同棲の方がいいです!!』
冬馬
『はっはっはっ、こいつら仲良くなれそうだな。』
こうして僕と舞花は一緒に暮らすことになった。
きっとこれから、色んな思い出が増えるだろう。
だが、これで終わりじゃない。
オルフェノクたちは、僕たちを殺そうとまたやってくる。
でも、これだけは言える。
舞花にようやく、眠れる場所ができた。
第五話『神の過去』に続く。