HUNTER×HUNTER立志伝〜世界に追放された異能たち〜 作:ゆゆ式
転生と現状把握
『君たちは違う世界でこそ輝く才能の持ち主だ。故に、私は独断と偏見で君たちを追放することに決めた。安心して欲しい。今から行く世界はきっと君たちの才能を活かせる世界だ』
ふむ……ふむ、である。実に興味深い話だった。そしてそれ以上に、訳の分からない状況だった。とりあえず一旦落ち着いて、周りを見てみよう。まず、男の名前は
薬はやっていない。幻覚を見るほど追い詰められてもいない。だがこの状況はなんだ。目の前に広がる空間。まるで宇宙という空間だけを切り抜いて、中身である星々を消し去ったかのような景色。
そしてその空間の只中には、無数の人々が唖然とした顔で浮かんでいる。無理もない。何が起きているのか全く分からない状況だ。先程から脳内に響く意味の分からない言葉の羅列が鬱陶しい。
一体これはなんなのか。
『混乱しているようだね。まあ、当たり前か。では簡潔に説明しよう。今から君たちは、転生する。私がさせる』
な、なん⋯⋯だと。そ、それが事実なら大変だ。西哉の両親も最近腰の痛みを訴えてきたし、ある程度面倒を見る人間が必要だと言うのに。まあ冗談はほどほどにしても、めちゃくちゃだ。
宙域に所狭しと浮かべられている同郷のものらしき人達も何か文句を言っているのが見える。だが謎の声に届いている感覚はない。しかし転生させる?追放とか言っていたが。
どう考えてもこの機会に不良在庫を処分しようとしているようにしか見えない。なんてやつだ。おのれ謎の声。
『では転生するに当たっていくつか注意事項がある。いち、君たちは強い才能を持つが、死なない訳ではない。に、送られる世界は才能相応のものになるので、君たちはそこそこ過酷な世界に送られるだろう。さん、君達には素晴らしい未来が待っている。だから大人しく私の世界から消えてくれ』
あまりにも冷たい声。きっと本気で言っているのだ。恐ろしい。謎の声からしたら西哉たち人間は単なる邪魔者でしかないのだろう。あまりにも無慈悲。おそらく追放系の物語は、このような感覚を味わってから始まるに違いない。
追放された俺の真の力〜真実を見抜けなかった無能神に後はない〜!ぜってー見てくれよな!
そんな事を考えているうちに、西哉に悪寒が走る。なんとなくの直感につられて辺りを見回すと、この謎の宇宙空間にいた人達が徐々に消えていっていた。
まるで波に飲み込まれる砂上の楼閣のように、視線の先にいる人々が宙に溶けては消えてゆく。かと言って逃げようにも、西哉の体は動かず、また逃げる場所もない。
消滅の波とでも言うべきものは、どんどんと西哉へ迫ってきた。さすがにここまで来れば、西哉も現実を直視できる。いや、せざるを得ない。咄嗟に手を伸ばして「助けて」と言おうとした。
だが、言葉すら吐き出せない。やがて消滅の波は西哉の目の前まで迫り、何もないこの空間から、西哉を排除しようとする。もはや逃げることも不可能で、絶望すらこの空間では溶けて消える。
故に、西哉は全てを受け入れた。周囲で、苦渋の表情を浮かべた人達が波に飲まれていく。西哉すら例外ではなく、視点を動かすと、手元が宙に溶けていっているのが見えた。
そしてやがて意識すら解けるように消えていき、その瞬間、西哉の意識は、まっくらになった。
…………。
◆◇◆◇◆◇
体が作り替えられるような感覚が走る。その過程で不要な、あるいはあってはならない知識が抜け落ち、洗浄される。後に残ったのは、僅かな経験を持っただけの、ただの人間。
そうであるはずなのに、意識はより強く、より強靭に。そして体には、今までになかった感覚が宿る。まるで自分の体ではないようだった。どこか、何かが違うような。
しかし具体的にどこが違うのかはわからず、結局考えはまとまらないまま、ニシヤは誕生の時を迎えた。
窮屈な感触を体が覚え、吸い込まれるように何かに体を捉えられる。そしてぎゅう、ぎゅう、と体を抑え込まれ、あまりにも理解できない現象に、ニシヤは苦悶を味わう。
しばらくその嫌な感覚に身を浸していると、体を捉える何かの感触が、少しずつ緩まってきた。そしてその代わりに押し出す力が強まり、今までニシヤの体を捉えていた何かが背中を押す。
揺蕩うような心地よさは消え、どこか体にまとわりつくようなものが周りを支配した。寒々しい空気がニシヤの周囲に跋扈する。今では体をきつく捉えていた何かですら、恋しく思えた。
そして、体が完全に押し出され得体の知れない外へと出される。どんな極寒の地なのか、恐ろしいほど寒かった。感覚もはっきりしない。意識も、どこか変だ。
そう思っていると、突然体の周囲を暖かいものが覆った。底冷えていた体温が回復していく。意識も、僅かながらはっきりしてきた。目を開くこともできそうだ。
体の感触も、なんとなくある。そうやって周囲の状況を確かめたニシヤは、どこか落ち着いた心持ちと共に目を開けた。ふと、光が目の中に入ってくる。ついで何某かのシルエットが、光の中に影を生んだ。
「────・・・・・────ニシヤ?・・・・!────」
なんとなく、名前を呼ばれた気がする。だが、そこが限界だった。それ以上は意識が持たず、目覚めていた目も閉じることとなる。結局その時は何もわからず、流されるままだった。
転生したと気づいたのは、それから数日後の事だ。
そしてそこからも意味の分からない出来事の連続で、その時のニシヤはほとんど自意識もない状態だった。だがそんな状態から、何とか言語を覚え、ハイハイをし、成長をしていく。
最初は母の呼び声に本能的に寄っていくだけだったのが、やがては思考を巡らせてその結果寄っていくように。そうして成長を繰り返し、幾年か。
歩けるようになったニシヤは、完全に前世の記憶を発現させた。もう、何も言えない赤子ではない。そしてその程度にまで育つと、ここがどういう世界かにも理解が及ぶようになっていた。
「世界長者番付で上位を独占するハンターという職業。それに世界全域に根を張ると言われている裏世界の住人たち、十老頭ね。頭がどうかしてるんじゃないか?」
正気を疑うような、世界に存在する情報の数々。それを今世の父親からくすねた新聞より読み取る。薄っぺらい紙を何度見ても、その情報たちは真実であるように見えた。
薄暗い物置小屋で、どうしたものかと悩む。だがこの情報群は、ニシヤにとって福音でもあった。ハンターや十老頭。その言葉には聞き覚えがある。そしてその言葉に紐づけられたものに、こんなものがあった。
『念能力』。体から溢れ出る生命力、オーラを操り常人以上の力を発揮できるようになる技術。まるでおとぎ話に出てくるような力だが、新聞で見たような存在がこの世界にいる以上、ないとは断言できない。
ロマンが溢れる話だ。そしてその力が、ニシヤ自身にも操れるかもしれない。一般家庭に生まれたニシヤ=フーズーが、常人を脱することができるかもしれないのだ。
それはなんとも、魅力的な話。だがうまい話にも裏がある。いや正確には裏はないが、絶望的な壁とも言うべきものがある。才能だ。念能力は持つ才能次第で威力も、習得速度も変わってくる。
果たして、普通の生まれのニシヤにいかほどの才能があるか。ニシヤは、なんとなく自分の手のひらを見つめた。
まだシワの少ない、若さに満ち溢れた手。だがその若さには才能も含まれているのか。ニシヤには分からない。ただひとつわかるのは、念能力があるかないかで、今後の第二の人生が変わるという事だ。
その事に、逸る気持ちと俯瞰した気持ちのふたつがある。ひとつは今世の両親の元で育った子供としての心。もうひとつは転生の際に擦り切れて、どこか落ち着いた前世の心だ。
相反するそれは、しかして共存している。ならば、中間がいいということだろう。心の波を落ち着かせたニシヤは、新聞を片手に立ち上がった。そして物置から出て、念能力の修行を行うことを決意する……。
「こら、ニシヤ。またそんなところに入り込んで。どこでそんな悪知恵つけたの?まったく。ご飯できたから食べるわよ?もう」
どうやら、前途は多難そうだ。物置の扉を開いた瞬間、どこからか現れた母に連れられて食卓に向かう。母曰く今日のご飯はアカヤメゴのムニエルとの事だ。楽しみである。
そうして、ニシヤは母に連れられて家の中に入り、食卓にたどり着く。家族団欒の場であるリビングでは、既に食事が湯気を立てて待っていた。そして少し古めの新聞を読んでいた父がニシヤと母を迎え入れる。
食卓に着くと、家族全員で地域特有の挨拶をしてから、食事に入った。特にニシヤとしては話すこともないので、両親の話に相槌を打ちながら食事を口にし続けた。
そして食後、両親はそれぞれ仕事や家事のため動き出し、残されたニシヤは、普通にそこら辺でやっている番組を見始めた。
リビングのソファに飛び乗り、移り変わる画面を眺める。時折面白いセリフが流れ、それに笑ったりもした。だがその裏で、ニシヤは考える。念能力とは何か。それを覚えるにはどうすればいいか。
思うに念、念能力を覚えるだけならさほど苦労しないはずだ。なぜならニシヤの体には、なんとなくその念の源泉と言うべきものが流れているのを感覚として理解できるからだ。
おそらく念の基礎的な部分なら、大した時間を掛けることなく習得できるだろう。だがしかし、念能力。今ニシヤの頭の中にある念能力の知識は果たして正しいのか。
少なくとも、確実に合っているとは断言できない。しかしそう間違ってもいないはずだ。
念能力の基本技。纏、絶、練、発。基本四大行。
体を頑丈にし若さを保つ"
個別の能力を作成することを可能とする奥義、"
これらは時たまこの世界で超人や仙人と言われる連中が使っている特殊な力と大差がない。この知識があれば超人の力も説明できる。だからこれらは少しのブレはあってもほぼ確実な知識だろう。
そしてこれらが確かな知識だったとして、まず念を覚えるためには、瞑想が最も一般的で安全な手段、だったか。確か習得速度は凄まじい天才で一ヶ月、あるいは一週間ほど。
ひとつの分野でそれなりの功績を残せるレベルの天才であれば、半年ほど。常人であれば数年から下手したらそれ以上。ニシヤは、どの程度の才能を持つのか。
全く才能がないとは思わない。念能力は思い込みも一種の大きな力だ。精神状態でその精度も大きく変わる。であれば転生などを経た特殊な精神なら、才能がないということはないはずだ。
かなり強引だが、そう結論づけたニシヤは、座っていたソファの上で瞑想の形を取る。坐禅を組み、体の力を抜いた。そして目を瞑り、意識を内側に没入させる。
周囲のテレビの音声や、洗い場の水の音などが、耳を打つ。集中したことで、そこら辺の音がよく聞こえた。だがそれで終わらず、ニシヤはさらに意識を没入させる。
体の奥深くまで探り、何かを掴もうとした。
基本完結は既にしてるので毎日投稿です。しかし推敲の関係上確実に毎日投稿とは行きません。ただトラブルがない限りすぐに完結すると思います。毎日の投稿は18時に行う予定です。
なお序盤のめちゃくちゃな展開は古にありがちだった奴な気がする?ので見逃してください。あくまで古に習おうとしたなにかです。この作品は。
↓以下読んでも読まなくてもいい奴。というか考察とか好きって人以外読まないで良いほど無駄に知識が詰め込まれたもの。
ハンターハンターの知識がないなら尚更読まない方が体にいい。一応説明すると潜在オーラがスタミナで顕在が瞬間的に出力できる力。
※作中キャラの格の判断基準。主にオーラ量、知力、印象力からなる
・オーラ量の判断基準
ナックルのハコワレによるユピーの確定しているオーラ量は潜在50万。戦闘中に使用したオーラを考えるとナックルの70万オーラという予想は妥当。
それとピトーをおおよそ同等と考える。
後の考察でもピトーとユピーはおおよそ互角のオーラ量を持つので、そう考えて問題ない。ちなみにユピーのオーラ量換算は1番全力を出してそうなクレーター作成時の威力から測った。
恐ろしいのはそこから低めに見積もってもピトーと同等というところだが。ぶっちゃけ70万オーラの指標を無視して考えるとユピーはやばい。
なおここのピトーはこれでも若干オーラ量低めの計算。
・ピトー顕在オーラ7万
特質系であるものの肉弾戦は得意そうなので強化系80%相当の顕在5万6000オーラをピトーの純オーラと想定。ピトーの跳躍距離から今後のキャラの格を測る。
ちなみに身体能力は考慮しない。原作でイズナビが身体能力とオーラ量の計算は足し算だと言っているからだ。
ここから考えるといくら肉体の力が強かろうが、後半のオーラ量インフレを考慮すると身体能力に何十倍差があっても身体能力10+オーラ1000=1010か。身体能力100+オーラ1000=1100程度の差でしかない。
ただラモットなどを見るに、そもそも身体能力値以下のオーラ量を持ったキメラアントなどは、逆に身体能力1000+オーラ量500などの逆転現象も起こる。
ただピトーとかレベルのオーラ量まで行くとどう考えても身体能力は誤差。なので身体能力値は都合悪いとある程度無視する。ある程度参考にもするが。
・ピトーの跳躍距離約2km
ピトーの円の範囲は最大2km。その円に触れたネテロやカイトのところまで飛んだので2kmの跳躍力はあると想定。
・ゲンスルーの跳躍距離想定3〜50m
ゴンに落とされた大穴(おおよそ3〜50m(多分)を見上げてとても登れんと言っていたのでその程度を想定。
ピトーの跳躍距離から顕在5600オーラの強化系で200m飛べる算段が着くので、その4分の1のゲンスルーは純粋な顕在オーラ量は1400。具現化系であることを考えると実際のオーラは2300くらい。純粋なオーラは変わらず1400
・ゴンの跳躍距離GI終盤でおよそ20m(おおよそ)
これはゲンスルーの半分以下。5分の2。となるとゴンの顕在オーラは600ほど。純粋な強化系なのでそのまま。だいたい500〜1000も行かないくらい。
・十二支んから見てモラウは足手まとい
潜在7万オーラのモラウが足手まとい。となると十二支んは10万オーラ以上。そこから考えると色々見えてくる。
まず戦闘系ではないシングルハンターのモラウがそれほどでありながら幻影旅団は狩られていないので普通に考えて幻影旅団はそれ以上。
そこから色々見えてくることもあるが、これ以上は作品の今後に関わるため掲載を解除。以降の考察なども作品に影響のない範囲で行う。
などの考察を踏まえて格相応の描写を担保、出来てたらいいなぁ。