HUNTER×HUNTER立志伝〜世界に追放された異能たち〜   作:ゆゆ式

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文明の利器と新たな世界

 

 

〈転生者ネットワーク〉

 

▽ネットワーク内での会員の扱い

 基本的にこのネットワークでは、情報保護を受けながら転生者内のコミュニティに接続できます。規約として利用者様の個人情報をこのネット内部以外で運営が利用することはありません。

 ネットワークのコミュニティでは、情報提供、技術的協力、仕事の依頼、相互協力の契約など、様々なことができます。

 

▽会員の権限

 基本的ネットワーク機能のほとんどへアクセスすることができます。ネットワークはすべて無料です。その代わり、念的な有料プランは存在します。また、そのプランも利用者様との同意の元形成されます。

 会員には登録時に会員ランクが付与され、そのランクによりネットワークによる情報支援だけではなく、物理的な援助を受けることも可能になります。現在存在しているランクは↓

 

 《ビギナー》

 

 《ベテラン》

 

 《アデプト》

 

 《マスター》

 

ランクでの権限はそれぞれ以下の扱いとなります。

 

『ビギナー』念覚醒のためのプログラム作成、事業立ち上げ時の融資(最高1000万) 、専門知識を積んだAIへの無制限アクセス

  ↓

『ベテラン』一流企業並みの融資を受ける権利、転生者連合都市への立ち入り許可

  ↓ 

『アデプト』上記ランクのすべての権限を獲得、暗黒大陸への情報接続許可

  ↓

『マスター』称号のみ、念能力者として見ても純粋に最高峰

 

─────

 

 

転生者ネットに入ってまず目に入ってきたのはこれらの文章だった。しかしよくある利用規約と比べれば随分親切設計だ。結局ネットを使うなら自己責任な訳だし、この程度のもののほうがわかりやすい。

 

画面をスクロールしながら、そう思った。

 

そうして、画面をチカチカと輝かせながら、転生者ネットを進めていく。内容としてはまあ普通といったところだが、時間もあることだしとりあえず読むことにした。

 

それにしても、転生者のみに対して接続権を与えているからなのか、ニシヤが念の情報を集めるのに過去苦戦していたのが嘘のように、このサイトには無数の念の情報がある。

 

これを見ると、ランク上昇による恩恵もあながち間違いではないのかもしれない。念の精通具合から見ても、ただのいたずらサイトではなさそうだ。それに、転生者連合都市というものが存在するなら、資金力もかなりのものだろう。

 

そんなこんなあり、考えながらも並行してサイトを読み進めていく。そうすると、やがて次の段階へとプログラムが移行した。画面に会員ランク測定、という文字が浮かび上がってくる。

 

そしてその文字の下には『会員ランクを測定しますか?Yes/No』という選択肢が表示され、判断を迫ってくる。どうやらNoと答えた場合は普通にビギナーランクから始まり、会員ランクはあまり関係ないものと化すようだ。

 

会員ランクの恩恵を受けたいものだけが、その測定機能を利用するのだろう。そしてサイトからは、特に騙す意図も、念的な仕掛けの要素も感じなかった。故にニシヤは、試しに会員ランクの測定を受けてみることにした。

 

 

《Yes》 《No》

  ↑

 

 

「受ける」を選択肢に選び、画面が切り替わるのを待つ。ピコンと音が鳴ると、サイトが謎のプログラミング言語を画面に表示しだした。

 

凄まじい速度でその言語が流れていく。

 

一体何をやっているのか。若干自身のオーラに触れられている感覚があるので、解析されているのだろう。さしずめ情報を抜き出している、といったところか。

 

そして抜き出すための制約は、情報の抜き出しは会員ランクの測定のためだけに使う。それ以外では使えない、とかそんなところだろう。こんな簡単な誘導でできるのはそれぐらいだ。

 

第一それほどの力があるなら別にこんな面倒な手順を踏まなくてもニシヤはとっくに情報を抜かれている。

 

実際、その予想は間違っていなかったようだ。しばらくすると、画面のプログラミング言語の流れが止まる。

 

そして代わりに、今度は打って変わって、非常にゆったりとした、ニシヤにも理解できる文字群が画面に展開された。

 

 

『ミドクダスワシの討伐。および周辺環境の平定。ルフツ=ベスフーダの護衛。他達成依頼多数』

 

 

機械音声により、画面上の文字が読み上げられていく。それらの情報は、すべて覚えのあるものだった。そして、読み上げはまだ続く。

 

 

『要注意の念能力者として、コトリタナ共和国政府に注視されていた、ヨリゲツ=ゴップルの討伐。総資産、500万J……ニシヤ=フーズーのランクは、ビギナーランクに認定』

 

 

少しの間を置きつつ、ニシヤのランクが認定される。随分厳しい評価だった。しかしまあ、ある意味妥当だろう。何せ、どう考えてもニシヤの功績を全部合わせたところで、ベテランとは言えないからだ。

 

だからビギナーという評価は妥当。まあ、ビギナーと言うには頑張っていると思うが、結局それだけ。かなり正確に分析されてしまった。そして同時に、これで確定だ。

 

この転生者ネットというのは、ある程度信頼できるサービス。解析ひとつとってもここまで気合いを入れているのだから、その他のサービスも推して知るべし。もしかしたら相当便利なところに誘致されたのかもしれない。

 

ニシヤはキーボードを叩き、「ビギナーランク認定」と大きく書かれた画面を消して、さらに次に進む。

 

画面を切り替え、ページをめくった。

 

すると一気に画面が充実し始める。

 

某ググルのようなわかりやすい検索画面。その下に、多くの機能を担保する文字が、画像付きで書き起こされている。

 

いわゆるスレッドのような機能を持つであろう「情報交換板」。他にも最新のニュースを取り扱う「情勢把握板」、「多機能依頼板」など。親しみやすいロゴを持った機能たちが乱立している。

 

その中で、ニシヤは「依頼受注板」などを選んで早速入ってみた。まずは、軽くロゴを選択して入場する。

 

それによってページが飛ばされると、事前の取説などがそこそこあったものの、かなりスムーズにその板へ入ることができた。

 

そして、画面の中に数十件ほどの依頼メッセージが浮かぶ。初見の感想としては、依頼の数がかなり少ない印象だ。無論多くの分野にわたって依頼の件数が分かれているので一概には言えないが、それよりも。

 

実際に出されている依頼を見ていると、あることに気づいた。

 

 

「いや高くない?なんだこれ。依頼一口5000万から?確かにそういう依頼も今俺が使ってるサイトでもなくはないけど、最低5000万?」

 

 

あまりにも桁が違う。何かの間違いかと思って、ページの再読み込みをPCに叩き込むも、それでも全然変わらない。再び読み込まれた時には、むしろさらに大口の依頼が増えていた。

 

 

「……これは、なるほど。そりゃ俺じゃ最低のビギナーランクから抜きん出ることは無理だよね。だって資産が、ひとつの依頼より下回ってるし。そりゃそうだ」

 

 

うんうんと納得する。そしてこれは無理だと、一旦マウスをポチって依頼受注板を閉じた。それによってまた最初のホーム画面へと戻ってくる。

 

様々なロゴが踊る画面を見ながら、ニシヤは無制限接続が確約されている専門知識搭載のAIと喋れるページを、クリックした。また、ひとつ新しいページが開かれる。

 

そこは、昔の転生前によく見た、AIアプリの待機画面そのままだった。だが、専門知識搭載というからにはもっとすごいのだろう。そう期待を込めて、キーボードを叩き、AIへのメッセージをこしらえた。

 

そして、それを投下する。

 

 

『今個人的に鑑定士並の目を得るために勉強してるんだけど、どうも殺し技(鑑定士を欺くための技術)を見抜くのに苦労してて、なんか上手く目の習得を円滑に進める方法ないかな?』

 

 

そんな感じのメッセージを打ちつつ、AIの様子をうかがう。

 

ここに搭載されているAIは思考能力が高いのか、画面ではまず『質問の強度と求めるところを検出中』という思考文が出て、その後しばらくの長考へと入った。そして答えがAIより出力される。

 

 

〈専門知識AIサポート〉

 

ご質問ありがとうございます。鑑定における「殺し技(鑑定士のセオリーを利用して目を欺く罠)」の見極めは、多くの初学者が直面する壁です。

鑑定眼の習得を円滑に進めるため、一般的なアプローチと念能力者視点のアプローチの2点を提案します。

 

1. 「真作」のみを徹底的に観察し、違和感を養う

殺し技のパターンや贋作を学ぶのは非効率です。一流の贋作師は常に新しい殺し技を考案するため、知識の追いかけっこになります。

まずは「圧倒的な数の本物」だけを見て………。

 

2. 念能力者としての視点(「凝」によるオーラの痕跡確認)

裏社会に出回る高価な骨董品や美術品の中には、念能力(具現化系の変質や、操作系によるエイジング偽装など)を用いて作られた贋作や、

過去の所有者や製作者の強い念(残留思念)が宿っている本物が存在します。肉眼での鑑定と同時に、必ず目に「凝」を使用して対象を観察する癖をつけてください………。

 

──推奨する次のステップ:

当ネットワーク内の『交流取引板』にて、「真作サンプルの貸し出し」を行っている利用者が存在します。実物での訓練を推奨します。

上記のアプローチについて、さらに深掘りしたい項目はありますか?

 

 

ざっと見たが、かなり有用な情報がAIよりもたらされた。というか言われてみればだが、念の残留という概念があるのか。なるほど。そのような知識は鑑定が本業ではなかったので知らなかった。

 

というかこういう細かな念の脇道に逸れた知識はあまり知らない。知る方法もほとんどない。さすが推定念能力者製のAIだ。こんなのが無料で配られるというのだから、とんでもない。

 

さらに、聞けばもっと教えてくれそうだ。これは使いがいがある。そう思ったニシヤは、一旦思考を止めて、PCのディスプレイと再び向き合った。そして、知識の蓄積に没頭する。

 

ひたすら、キーボードを叩いた。知らないことは素直に質問し、知っていることは知識をより高めるために深掘りする。そうしてそのことに没頭するたび、ニシヤの知識は深められていった。

 

そして、気づいた時には、交流取引板に飛び、「真作サンプルの貸し出し」を行っている、なかなか商魂逞しい業者に、サンプルの借入を依頼した。そしてそれが届くのを待ちながら、PCの蓋を閉じる。

 

当辺りを見回すと、転生者ネットを見つけてから、現実ではもうかなりの時間が経っていた。ホテルの部屋にある時計は、17時を指している。そろそろ、ディナーが始まる頃だろう。

 

なのでニシヤは、ベッドに寝転がっていた体を起こし、軽く服装を整えた。そして洗面台に行き目を覚ますために水を顔に浴びせて、それをタオルで拭う。あとは、そのまま部屋で適当な暇つぶしをしながら、夕食が始まるまで待機した。

 

そして、夕食の時間が訪れる。

 

そうなるとニシヤも自然と部屋を出て、ホテルのレストランへと向かった。道中では、同じ宿泊客から挨拶などを貰いながら、落ち着いた雰囲気の廊下を進む。

 

世界中を飛び回るハンター業に身を置き始めた性質上もあり、利便性の兼ね合いも含めて、ニシヤの泊まるホテルはそこそこの看板を背負ったホテルとなっていた。

 

だから自然と、進む中で見える調度品も一目で良いとわかるものが置かれている。そういうのはまだ見慣れていないので、目に映ると、ニシヤはいちいち感心した。

 

そして、そんなこともありながらレストランにたどり着く。一歩中へと入ると、食欲をくすぐる良い匂いが漂ってきた。ニシヤはそれに誘われるように席に着き、ウェイターを捕まえて料理を注文する。

 

辺りを見回すと、レストランの広い空間で家族連れの人やビジネスマンなどが談笑しているのが見えた。

 

それに比べると、ニシヤは随分と孤独だ。しかし、美味しい料理をひとり静かに食べられるというのはそれらと釣り合う行為だろう。

 

そう思いながらも、ニシヤはさらに、転生者ネットのことを思い出し、後で転生者コミュニティに顔を出してみよう、とも思った。そろそろ、依頼以外で人と繋がることも必要だろうから。

 

そうして、夜の時間は過ぎていく。やがて料理が目の前に到着すると、ニシヤはここ最近で覚えたテーブルマナーを駆使しながら、ゆっくりと味わうように食べ進めた。

 

そして、夕食を食べ終え、夜の帳が濃くなってきた頃、ニシヤはまたPCの前に座り込み、転生者ネットを起動した。

 

あの画面が、またニシヤの目に触れる。宇宙が現れ、やがて溶けて消え、そこから転生者ネットのコミュニティ接続画面が現れた。

 

一般的な検索画面を基盤として、その下にアプリのように広がる〇〇板のロゴたち。その中から、ニシヤは情報交換板を選び、入場した。

 

画面が切り替わり、ニシヤを掲示板へと誘う。

 

ただ一口に掲示板と言っても本腰を入れているものから、気軽にコミュニティに接続するものまで、画面には多くの選択肢があったので、その中で日常会話板というものを選び、そのページに飛んだ。

 

……………… Now Loading……………。

 

 

 

 

─────

 

216 : 名無しのテンセイジャー

最近コトリタナ共和国でマフィアの一斉検挙が起きたんだって

転生者のマフィア組はコトリタナに近づかないでね〜

面倒なことになるから

 

217 : 名無しのテンセイジャー

へー、そんなことあったんだ

ところでなんで転生者にマフィア組なんているんだっけ?あいつら見つけたら即殺でいいだろ

 

218 : 名無しのテンセイジャー

転生者アイドルのドノミチ=オワリさんはあのスタイルで活動続けるんだろうか

まあシーハンターとしては正しいんだけど

 

219 : 名無しのテンセイジャー

マフィア組はマフィアが転生者に手を出さないようにしてくれてるってそれ一番言われてるから

犯罪(クライム)ハンターから嫌われてるのはそうだけど

 

220 : 名無しのテンセイジャー

コトリタナ共和国が平和になりそうで何よりですわ

それよりもジューク社からハンター向けの高度な神字が織り込まれた装備が発売されたそうですぞ

先着100名限定販売だ

 

221 : 名無しのテンセイジャー

というかうちシーハンターだから陸のこととかどうでもええわ

たまに陸の素材とか欲しくなるけど

そこはうちも海のをやるから

あと218はうるさい

 

222 : 名無しのテンセイジャー

こんにちは

掲示板初心者です

ここってどんな場所ですかね?

 

223 : 名無しのテンセイジャー

マフィア組はなぁ

ある意味誰よりも尊敬

世界中に根を張る十老頭なんて簡単には潰せないし

そいつらと衝突しなくて済むのはありがたい

 

224:名無しのテンセイジャー

>>222

ようこそ

うちはドノミチ=オワリや

あんた、名前は?一応事前の説明で聞いてると思うけど、ここで得た情報を悪事には利用できんから安心しいや

それにしても新入りくんステータス見る限り結構強そうやな

 

225:名無しのテンセイジャー

お!女版モラウさんと名高いドノミチ!ドノミチさんじゃないか!能力は『空飛ぶ魚(ファウンドライダー)』!スタイルは見事にポンポンポン!

 

226:名無しのテンセイジャー

恐ろしく早い暴露

俺でなきゃ見逃しちゃうね

 

227:名無しのテンセイジャー

>>224

おお、ニシヤ=フーズーです

シーハンターの人ですね

海は今結構興味あるので尊敬です

 

ステータス見る限り強そう<一応念初めて5年目くらいになるので

 

228:ドノミチ=オワリ

ええやん

最近ハンター始めたん?日常会話板やから遠慮せず喋りや

 

229:名無しのテンセイジャー

レスはやすぎ

新入りに媚びうりすぎ

これが元シーハンターの引くに引けなくなったアイドルか

 

230:名無しのテンセイジャー

とりあえず新入り君

今マフィアの話しとるけど何話したい?

 

231:ドノミチ=オワリ

今は新入りくんが海に興味ある言うてるんやから、どう考えてもマフィアより海の話やろ

 

232:名無しのテンセイジャー

ん?なんか言った?というかアイドルのオワリより、どう考えてもオイラの方が色々新入りに話せるわ

 

233:名無しのテンセイジャー

海かぁ、海はなぁ

ちょっと怖すぎて興味でねぇ

噂だと暗黒大陸っちゅうどでかいところから、たまにとんでも生物が流れてくると聞いとるけど

 

234:名無しのテンセイジャー

そういえば最近ハンター間で遠海を160kmで泳ぐ軟体動物がいたって話題になってたな

 

235:ニシヤ=フーズー

なんか恐縮ですけど、みなさんはマフィアと海どっちがいいんです?

 

236:名無しのテンセイジャー

>>232

無視されてかわいそす

説明に自信ニキの説明聞きたい。

 

237:名無しのテンセイジャー

海でええやろ

逆にマフィアでなんか語りたい?あいつらクソすぎて本気で潰したくなるぞ

でもそれ面倒やん

世間的には

 

238:ドノミチ=オワリ

そもそもうちが女版モラウさんなのが恐縮なんやけど

それにどっちかと言うとノヴさんや

そんで新入り君は、海のハントに興味あるなら、シングルの称号持ってるシーハンターのモラウさんを紹介できるで

 

 

────

 

 

 

 

PCの画面をメッセージ群が覆い尽くす。なんというか良くも悪くも普通のネットという感じだ。ただ治安はかなりいいか。よく聞く末法時代のような言動は誰にも見られない。

 

そしてドノミチ=オワリ。シーハンター。この人はシングルの称号を持っているとてもすごいプロのハンターを紹介できるという。嘘ではないだろう。このサイトでは害意を持って相手に嘘などをつくことはできない。

 

その分自由度は制限されるが、プラットフォームの完成度は普通のSNSとは段違いだ。加えて転生者向けの唯一のシステムだから利用者が他に離れることもない。

 

非常に便利。故に、ドノミチ=オワリの提案には、かなり前向きに答えることにした。

 




あまりにも行儀の良いネット民達なのであった。あとついでにそれっぽい関西弁のアイドル。

なおそれとは無関係ですが小説の面倒見る以外の暇な時やるゲームにハマって手動推敲の進行が若干危ぶまれる。
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