HUNTER×HUNTER立志伝〜世界に追放された異能たち〜 作:ゆゆ式
転生して10年が経った。と言っても日々の生活は特に変わらない。ごくありきたりなものだ。唯一少し変わったところがあるとすれば、それは勉強の代わりに修行をしていることだろう。
超人、仙人、ハンター、裏の支配者。彼らが普通とは一線を画す所以。『念能力』。その修得のための修行。もちろん、通常の武術とは趣旨の違う力なので、その修得には多大な時間が必要だ。
常人であれば数年。あるいは数十年。限られた寿命の中では途方もない時間。だが、転生者のニシヤであればその時間を捻出することは十分に可能だった。
既に履修済みの勉強は片手間で片付け、それによってできた時間を念能力の修行に当てる。最初は瞑想から入り、やがて体内に暖かい何かが巡る感覚を覚えるようになると、さらに次へと。
幸いニシヤにはそこそこの才能があったのか、修行を始めてから二ヶ月ほども経つ頃には、生命エネルギー、「オーラ」を操ることができるようになっていた。
嬉しい誤算だ。それによってニシヤの体は強靭になり病気にも掛からなくなった。だがそこまで来て、気づく。「自分は一体なんのために念を覚えたのか」と。
そもそも、日常で念能力など不要であった。何かしたいことがあれば家族と話し合えば、それで済む。
欲しいものがあれば、そこに向かって努力すればいいだけだ。要するに念能力などなくとも、世界は回るようにできている。
ではなぜニシヤは念能力を求めたのか。その答えは、ひとえに「なんかおもしろそうだったから」である。それ以上の理由は、残念ながらニシヤの頭の中にはなかった。
おそらく知識にあるオーラ別性格分析からすると、ニシヤは理屈屋でマイペース。操作系であろう。そして操作系であるということは、おおよそ個別の能力、「発」もその方向にすることを求められるはずである。
何せ操作系とはそもそも念にある系統というものの一種。個人の適性を表すテキストだ。例えば仮にニシヤの系統が操作系だとして、操作系は何かを操作することが得意ということになっている。
しかしその一方で肉弾戦は苦手。このように個人の得意不得意をシステム的に分けるのが〇〇系だと思ってくれていい。
そしてこの得意不得意を判別する系統は、比較的修行の初期のほうで判明させるのが普通なのだが、なんとニシヤはまだ系統を実際に判別してはいない。
それはなぜかと言うと、そのあたりの知識は確実ではないからだ。基礎的なことはもちろん確実に近いとして手を出していたが、さすがに今後に大きく関わってくる能力は本当に確実だと思えないと手は出せない。
特に系統で言うと特質系という文字通り特殊な系統が不透明だ。なんでもこの系統はニシヤの仮の系統である操作系と違って苦手がないというが、どう苦手がないのかいまいち判然としていない。
だから容易に手を出すことはなかなか難しい。しかし知識さえ手に入ればすぐにでも手を出すことはできる。そしてその知識を得る方法は、既に手の中にある。
父の仕事用のPC。そのお古。8歳の時に貰ったそれは、今、ある画面をニシヤに見せていた。
※〔ハンター専用ゲーム〕
グリードアイランド攻略懸賞
①参加条件
・ハンターとして十分な資格を持っていること
・参加者が本ゲームをクリアした場合懸賞企画者との共同攻略とすること
・ゲーム攻略の際の危険等を事前に了承していること
②参加表明
-実力確認
-プレイヤーネームの設定
-誓約書の作成
③ゲームの内容について
予め警告しておくが、このゲームは大変危険だ。ハンター専用ゲーム。つまり一人前のハンターと呼べるプロハンター以上の実力者を対象にこのゲームは配信されている。
そのためハンターとしての資格を持っていようと、簡単にクリアできるものではないし、プレイできるものでもない。故に私は、対等なプロレベルのハンターをこの懸賞を通じて募集している。
『募集文作成・ハンター・ジェイトサリ』
とある場末の懸賞サイト。その中にあるひとつのもの。間違いなくプロのハンターが募集を掛けているという保証を引っ提げた攻めた懸賞だ。その内容はさすが超人の一員だけあって厳格かつ端的。
おそらく相当の実力があるハンターなのだろう。そしてそんなハンター、ジェイトサリのハント対象は、なんとただのゲーム。だがハンター専用ゲームだ。あの裏の支配者と並べるような超人連中専用の。
言うまでもなくそんなもの危険だろう。だが上手くやれば念能力が知識として明確に存在する業界に入り込めるかもしれない。もちろんこれは若干の博打の要素を含む。
だがプロのハンターになるよりは確実だ。プロになるような連中はどいつもこいつもかなりの化け物揃い。実際に見たことはないが、超人、つまり念能力者であることが最低限の資格だと聞く。
ならそのハンターになるまでの試験。その道中でも念能力者が多くいる可能性が高い。そこに才能があるとはいえまだ念を覚えて4年ほどのペーペーが突っ込めば末路はほぼ死だ。
なら将来性を売り込める(かもしれない)懸賞のほうに行くのがそっちよりは賢明。今はグリードアイランドが発売されてから何年も経っているから、そんな簡単にクリアできるものではないのは想像がつく。
なら、ならだ。将来性込みでも資格があるなら育成枠として採用してくれる、はず!(多分)
あまり自信はない。
ニシヤの前で、PCの画面がチカチカ光った。ずっと思考していたので、画面はジェイトサリの懸賞文で一色だ。実際どうするか。文の下部のほうを見ると、応募方法なども書かれている。
それによれば所定の質問をパスすることで、ジェイトサリとまずは応募者側からの一方的な連絡ができるそうだ。そしてその連絡で実際の実力をジェイトサリが確認し、初めて応募が完了するのだとか。
まずは、最初の質問から挑戦することにした。とりあえず画面下部のリンクを踏み、質問用の電脳ページに入る。するとそこには念についてものすごく遠回りに聞いてくる質問の数々があった。
例としては、体には臓器、頭、骨、などの要素があるが、他に何があるか。などなど。当てずっぽうでは難しい質問ばかりだった。しかし、念能力者であれば質問に答えるのはかなり簡単。
ここでは知識を求めて応募しているので、ニシヤは「特殊なエネルギー」などの言葉を利用してその質問群を掻い潜った。
そして質問のページを抜けた先で、さらに次のページへと案内される。次に出された課題は、「特殊なエネルギー」を使う様子を動画に収め、それをジェイトサリに送る、というものだった。
単純な技量は特に見られて困るものでもないため、ニシヤはPCの撮影機能を使って動画を撮ることに決めた。カメラを上手く勉強机の中央に配置して、映りがいいように程よい位置に体を置く。
比較的物がない、部屋の中央で構えを取った。そして気を練り、オーラの通り道である
「ハァッ!」
それなりに強大なエネルギーの出現に、部屋の空気が震えて風を起こす。体の周囲には透明なオーラが相当な密度で揺れていた。これが念能力の基本技"練"。そしてさらに……。
「フンッ!」
練で一気に強度が増した体を、素早く動かす。下段から、速攻の蹴りを放った。それによって、さらに部屋の中を風が吹き荒れる。
だが注目するべきはそこではない。空中で振り切った足には、他の部位より明らかに多量のオーラが流れていた。そして程なくして、あげていた足を元に戻す。
これは応用技の"
だがこれができないと、念能力者としては型落ち。このように技を分かりやすく見せるようにカメラの前で披露しながら、自己PRをする。少しでもジェイトサリの目に留まるように願いながら、撮影を終えた。
そしてジェイトサリに動画を送信する。メッセージの末尾には、メールアドレス等を添付した。それでとりあえず応募作業は終わり。一息ついたニシヤは、しばらく部屋で寛いだ。
しかしその平穏もすぐ終わる。部屋で暴風を撒き散らしたのがいけなかったのか、階下の母親が部屋にいるニシヤのもとへ怒鳴り込んできた。
さすがに反論する余地はないため、その場はひたすら平謝りだ。これから仕事なりなんなりを見つけようとしているのに、肝心のPC等を没収されたらニシヤの首は回らなくなる。
だからその場はそれで乗り切った。
そしてそれから、数日後のこと。PCの没収を免れたニシヤの元に、一通のメールが届いた。内容は簡単で、この前応募した懸賞の合否判定と、ジェイトサリ直通の連絡先が書かれている。
十歳児が念を使う動画など、ニシヤが念の情報を自前以外ではほとんど得られていない以上、かなり眉唾だろうに。それでも十歳が念に何らかの形で関わっているというのが評価されたのか。
メールの最後には是非会いたいとも書かれていた。会う場所はニシヤの側で指定して良いそうだ。まあそれはいいのだが、ここでひとつ困ったことがある。というより事前に理解していた障害だ。
そもそもニシヤは今年で十歳になったばかり。義務教育の範囲などは既に終了できる程度の知識があるので問題はないが、それはそれとしてまだニシヤは独立しているわけではない。
変わらず権利を保証してくれるのはまだまだ親。転生者の意識だけではなく、子供として育った記憶もあるから、家出して独立というのもいささか誠意に欠ける。
そこでどうするべきか。重要なのは、親にどう理解してもらうかだ。後押しをしてくれるように円満な理解を目指すのか。ニシヤが普通の子供とは違うのだという、半ば諦めにも似た理解を目指すのか。
「父さん、母さん。話がある。聞いてくれ」
ある日の食卓。そこで話を切り出す。両親にどのような理解を求めるか。転生者としての魂と両親の子供としての魂。優先するべきはどちらか。
「ん?どうしたのそんな改まって。重要な話?まあとりあえず座って。父さんはちゃんと聞くから」
「もう、それじゃ私が普段ニシヤの話を聞いてないみたいじゃない。言っとくけど普段のニシヤの話は聞いてるわよ?」
夫婦のじゃれ合いが始まるのを見ながら、促された通り椅子に座る。変な言い訳のようなものをする母も座り、三人分の体が机の前に集まった。そして父と母の視線がニシヤに向く。話を聞こうとしているのだろう。
「実は────」
かくかくしかじか。細かいところは誤魔化しながらも、自身が特殊な力を持っていることを話し、そしてその特殊な力が、超人や仙人と言われるものの力とほぼ同質だということを明かした。
それによってその力を得たことによる苦悩──どう使うか悩んでいること──を両親に話し、なかなか見ない事象に理解を求める。そしてそのうえで、その力を活かせる機会を見つけたかもしれないこと。
今回の機会を逃せば、次はいつになるか分からないことを話した。まあ、特殊な力。念が実際に使われている業界に入り込むのは、本当のことを言えば時間さえあれば可能なのだろうが。
それは言わないお約束。
「そうか。そんな悩みがあったのか。察してやれなくて悪かったな。しかし、機会というのはなんだ?父さん聞いてないぞ。説明しなさい」
「ああ、機会っていうのは、あれ。ネットでプロハンターと繋がってね。一応会おうと思えば会えるところまで来てるんだよ。すごいだろ?」
なんとなく胸を張る。プロハンターと縁ができるというのはそれほど凄いことだ。だがそんなうまい話がそうあるわけもなく、ニシヤ自身は自信満々だが、両親からは胡乱げな目で見られた。
「騙されてるんじゃないの?プロのハンターを騙る連中なんてそこらにいるわよ?」
「少なくとも向こうはほぼ間違いなくプロハンターだよ。サイトに載せられてた情報も本人であることを確実に証明するものだったし。何よりも超人や仙人なんてそんないないだろ?でも向こうはその超人が使う力をちゃんと知ってるし知覚できる」
「なるほどねぇ。でもプロハンターなんかに会って何するんだ?それぐらい教えてくれてもいいだろう?父さんもプロハンターに会えるという話なら色々聞いてみたいし」
「それは言えないね。ただそういうことだから、しばらく家を空けることを許して欲しいなって。ほら、もう俺の学力、一応義務教育の部分は終えてるわけだし、自立するには十分な時期だろ?」
全く十分な時期ではない。しかし世で念能力者という化け物達がしのぎを削っている以上、子供でも資格さえあれば自立は十分に可能。それはそれとして義務教育などを受けなくていいとはならないが。
「うーん、家を空けるのはまあニシヤがかなりしっかりしてるからいいんだけど、プロハンターって何かと危ない仕事だろう。そんな業界の人と関わるっていうのがなぁ」
「そだね。まあ正直言うと危険がないとは言えないよ。むしろある。でもしばらくはないんじゃないかな。向こうの事情からすると、半年くらいは色々準備できる期間があると思うから」
「それは、どうなんだろうな?でも機会としてはまたとないチャンスなんだろうし。かと言って。うーん。ニシヤは危険性自体は理解しているようだけど。どうしたもんか」
「父さん。そんなに悩むなら見せるよ。俺が言う特殊な力。それに俺の力の練度は、客観的に見てハンター界隈でも十分やっていけるだろうし。ただ知識がないから、できるだけ良い条件でその界隈に入りたいってだけで」
あくまでニシヤの姿勢は先を見据えたもの。そのように両親には見せる。同時にオーラを軽く放出し、目の前の父と母を威圧した。もちろん、ちょっとなんかすごい雰囲気を感じるな、という程度のオーラだ。
しかしそれだけの雰囲気を出せれば、なんとなく言葉に説得力を持たせることができる。実際、慣れないオーラの感覚に戸惑っているのか、ニシヤの言葉はあまり両親に疑われている様子はない。
「そんなに言うなら、その力ってやつを見せてもらおうかな。母さんもいいかな?具体的にどう見せてくれるのかは分からないけど」
「ええ、そうね。とりあえずその不思議な力を見せてもらわないと納得できないわ。見せてくれたら家を空けてもいいとする。でもそんな大した力じゃないなら家を空けるのはダメ」
そういうことになった。なのでニシヤは実際に力を見せるため、両親を連れて庭へ向かう。座っていた椅子を退け、背後に両親を引き連れて家の玄関を出た。
そして庭に出て、物置まで行き、そこに置いてあったかなり硬い石のブロック等を回収する。そうすればあとはその石ブロックをできるだけ多く並べ、最後にはそれを全て叩き割ると両親の前で宣言した。
そしてそれを達成すれば許可をくれと。それに両親は頷いた。もちろんだからと言って実際素直に許可をくれるかと言うと違うだろうが、そこはオーラで説得することにした。
積み上げた石ブロックの前に立ち、気を整える。そして構え、意識を高めて、オーラを全開にした。その瞬間、静寂が辺りを支配する。膨れ上がった気配が、周囲の生命を停止させたのだ。
この時点で、もう許可を得るには十分だっただろう。だがニシヤは、外出許可をさらに確実なものとするため、その放出したオーラで、積み上げたブロックを、破壊した。
────!
・ジェイトサリ(原作の人物)
プロのハンター。なんかすごいゲームを持ってるすごい人。会えれば念への仙道が開けるかも♠
↓以下1話目のクソ長考察からの続き。これからもこういうのあるのでお気をつけを。まあ完全にメタ思考の考察なのでハンターハンター未読の人は読まないようにしましょう※注
※クラピカのオーラ量予想(かなりしょぼい様に見えるがまあ聞きたい人は聞いて欲しい)
・潜在オーラ3万
・顕在オーラ2500
ちなみに全然力量がわからんクラピカの格を考察すると、おおよそ45口径とはいえ銃に脅威を感じているような描写がある。
しかしGI時点の顕在500〜1000のオーラ量のゴンが銃弾以上のレイザーの弾に耐えていたことを考えると、素のクラピカはそんなに強くない。
仮に銃弾がダルツォルネなどの潜在1万あるかないかのキャラでもある程度耐えられるものだとして、ここでは顕在800程度あれば銃弾を余裕で耐えられるものとする。
となると45口径が威力高めということも考えても、顕在1500もあれば大体の携帯兵器には対応できると予想。
ここからクラピカのオーラ量を考えると、まず通常時クラピカの弱気()な姿勢から強化系の習得率は60%。
そして仮にも十二支んに選ばれているので、レオリオはともかくクラピカは一定の実力があると見るべき。
そのうえで銃弾に脅威を感じなくもないとすると、オーラ量は多めに見積って4400。強化系習得率60%だとしたら純粋な顕在オーラは3120
。おおよそ潜在は若い分顕在と合わせると低めで(未熟だと顕在オーラが潜在に対して低い)、4万あるかないか。
ゴン達と同期という事も考慮すると潜在3万の顕在2500も有り得る。これなら普通の銃弾は対処できるしおおよそ収まりがいい。
こうしてみるとクラピカのおかどが知れるな……という誤解を招きかねない言動は控えた方がいい。ここまでがワンセンテンスだ。よろしいか?
ちなみにクラピカの対旅団性能はある人物を元にすると倍とかじゃないくらい跳ね上がる。緋の目発動だけだったら倍くらい?普通に念覚えて何年も経ってないのに化け物すぎる。