HUNTER×HUNTER立志伝〜世界に追放された異能たち〜   作:ゆゆ式

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安心しろ
   
   2割程度だ


交渉と殲滅

 

 

9月1日。現在世界最大規模のオークションが行われている場所。ヨークシンの夜。そこで、闇に潜む者たちが大手を振るってひとつの競売を開いていた。あるビルの一角で。

 

そんな所を、これまたとある人物達が見ていた。客を出迎えるために行き交う車。物々しく銃器を構えた警備達。周りには念能力者達もいる。故に、その間隙を縫うように、ひっそりと。

 

 

「お♠今フランクリン達が裏口から入っていったよ♣」

 

「旅団の七番か。何人いる?確か全部で13人だったよね?」

 

「そうだなァ♦全部で7人ってところかな♠特にその中のウボォーって奴は僕ともニシヤとも相性悪いかな♥純粋な強化系だから、彼♣」

 

 

絶を保ちながら、双眼鏡でビルを監視するヒソカに報告させる。ニシヤとしても、見た感じこの場で狩るにはなかなかキツそうな相手だった。

 

一応ヒソカにより旅団メンバーのほとんどの能力は割れているが。1人能力不明ながら高確率で迎撃型の厄介な能力者がいるので、ここでは敵対したくなかった。故にあくまで監視に留める。

 

その最中、ニシヤは転生者ネットに公開された情報を見る。

 

 

 

─────

 

〈転生者ネットワーク〉

 

【報告】マフィア組による成果報告

 

1 : 名無しのマフィア

初めに我々全体の能力を公開します

悪意に潜む終わり(ファットピッグエンドロール)

 

・転生者マフィア組全員が協力してマフィアを操り念能力者に仕立て上げる。同意があればいくらでも念能力者を量産可能。

・念能力者に仕立てあげられたマフィアはある条件を満たすほど強くなる。※条件とは同胞となるマフィアを殺すこと。

ただし強くなることはできるが、その代わり今後犯罪を犯すことはできず、また1週間に1回明確な犯罪を犯しているマフィアを殺さなければ寿命が減っていく。

・マフィアを殺すほど報酬が与えられる

 

制約 :

1.転生者マフィア組も念能力者に仕立てあげたマフィアと同等の制約が課される

 

誓約 :

なし

 

2 : 名無しのマフィア

補佐のセラヒ組の組員に念を施しました

マフィアの勢力図は以下の通り

 

     『十老頭』

       ↓

『直轄組』『直轄組』『直轄組』

       ↓

『補佐組』『補佐組』『補佐組』

『補佐組』『補佐組』『補佐組』

       ↓

     『要組(数十) 』

       ↓

     『普組(数千) 』

       ↓

     『裾組(数万〜数十万 )』

 

3 : 名無しのマフィア

こちらも補佐のグエン組に念を施しました

他要組を始めとして多数の組に念を強制中

全体進捗はおよそ30%

 

4 : 名無しのマフィア

元マフィアの者には犯罪に関与したものを殺す事に1人最低100万を保証しているので

念能力者1人につき100人殺害できる能力があると仮定したら、全世界およそ500万のマフィアを5万の念能力者で掃討できる見込みです

我々マフィア組は更なる能力が見込まれますので、1万の念能力者を生み出せば掃討可能と判断します

 

5 : 名無しのマフィア

普組60個に念能力者を仕込みました

暗殺向きの能力を元構成員に授けたので効率的な排除が可能です

 

6 : 名無しのマフィア

潜伏を継続中

現在特に発見される兆候はありません

 

7 : 名無しのマフィア

当掲示板にはマフィア組のみが書き込みできます

閲覧は可能です

以上現状の報告でした。

 

8 : 名無しのマフィア

うーむ、俺たち所詮陰獣出てきたら死ぬ程度だから、元暗黒大陸攻略班が来てくれたのはありがたい

 

9 : 名無しのマフィア

潜伏中のため念能力者の手駒は完全に揃うまで1ヶ月は掛かります

 

10 : 名無しのマフィア

やっと動けるようなったのは感謝だね

ぶっちゃけマフィアは居心地が悪い

 

11 : 名無しのマフィア

伝えるべきこととしてはこの程度かな?

世界中のマフィアを潰すから、色んな国から文句来るだろうけど、まあそこはお金の力で頑張って

 

12 : 名無しのマフィア

今後の人生はマフィア殺すだけでなんとかなるのかー

頑張った甲斐があった

全然割には合わねえけど

そこは生まれの運もあるから仕方ない

 

─────

 

 

 

ちゃんとした報告から単なる呟きまで、裏社会の推移を見つつ視点を元に戻す。とりあえず、マフィア殲滅自体は年単位の計画になりそうだ。そして地下競売の方は。

 

 

「動きがあったよ♦多分クモ達が暴れたね♠ビルの表が騒がしい♥」

 

「OK。クモの方をよく見といて。追跡するよ」

 

「了解♥」

 

 

マフィア達が蔓延るビルから数百m先にある建物の屋上。そこで気配を絶つのをやめて立ち上がる。そしてヒソカの誘導に従って数々の建物を足蹴に、躍動した。

 

そこから僅かな時が経ち、しばらくして地下競売が行われていたビルの屋上からひとつの気球が飛び去っていく。

 

それは特に帰還の意図もないのか誘っているのか、何も無い荒野の方へ向かって飛んでいった。それを、オーラで強化された視力で見つめながら追いかける。

 

ビルの狭間を駆けるかのように走り抜け、追跡を続けた。それから少しすると、足場にするビルも無くなってきてヨークシンの郊外へ出る。

 

公道を走っていないので誰にも認識はされていないが、逆に荒野に出たニシヤ達は、無数のマフィアの車たちが気球を追い掛けているのを目撃した。

 

 

「彼ら相当カンカンだね♣クモ相手じゃやられるだけだろうに♠いわゆる捨て駒かな♦いきなり大戦力っていうのは後が怖いしね♠」

 

「まあ今回はクモと戦う気はないからなんでもいいよ。さすがにマフィアの命までは面倒見てらんない」

 

「ごもっとも♠それより対多数ならウボォーの戦いが見られるかも♥彼はいいよ♣野生と理性を併せ持ってる♦能力発動時の君みたいにね♠」

 

 

それはつまり、実質的に能力発動時のニシヤとそのウボォーが同等という事か。かなりの強敵だ。しかし今回はニシヤだけではなく後詰めも十分いるので、最悪戦力的には衝突しても問題ない。

 

そもそもニシヤはタイマンとかが得意な訳ではないから、そんなものだ。とまあそういう思考をしているうちに、だいぶ荒野の奥地まで誘い込まれた。周りを見渡す限り、完全に街の影などはゼロ。

 

ただ公道を走る必要がなかったので、今ニシヤ達は上から全体を見渡すことができている。それによると、マフィア達が切り立った崖の間の盆地で、黒塗りの車から降りてきているのが見えた。

 

幻影旅団達の居場所はニシヤ達がいる崖上からは左斜め横か。

 

見えるマフィアだけでも車から数百と群れて出てきているのに、彼らクモに動揺は見られない。さすがだ。などと思っていると、何個かの気配がニシヤ達がいる崖上へと登ってきた。

 

 

「………あ?」

 

「ああ、うん」

 

「あらら♠」

 

 

おそらくマフィアのスナイパーだったのだろう。重いライフルを崖上まで持ってくる体力からしても間違いない。しかしわざわざニシヤ達がいるところに登ってきたのが運の尽き。

 

あまりにも呆けた声を上げたその男は、ニシヤ自身の手によって首を刈り取られ、誰に気づかれるでもなくその生を終えた。そしてそれによって逸れた意識を、崖下の盆地へと戻す。

 

見ると状況は進み、クモのうち1人がマフィアの前へ出て、堂々としたオーラを漏らしていた。

 

堅は既にしているようだが、凄まじい度胸だ。相当な兵器を持ち出しているだろうマフィア相手に対する態度ではない。

 

間違いなく、彼がそうだろう。

 

 

「あれがウボォーね。すごいオーラだ。俺のオーラ量を13万としたら18万くらいあるか。肉弾戦だと相当な念獣を使わないと勝てないな」

 

「だろ♠?彼もいいんだよ♦ただ面白く戦えるかって言うと、勝てる戦いはできるって言うだけなんだけど♣同じタイプでも君とは即興の奇術を披露できたから面白かったけどね♦」

 

「まああれ相手に面白い戦いって、無理だろうね。勝つか負けるかの2択って感じだし。うわっ、歯で銃弾弾いてる」

 

 

とてつもない化け物だ。ウボォーと言ったか。彼が何事かマフィアの先頭集団と言葉を交わしたあと、キレたマフィアがチャカを弾いたが、当のウボォーは何事もなく、それを開戦の合図として蹂躙を始めた。

 

文字通りの蹂躙だ。崖下でマフィア達が紙屑のように吹き飛んでいく。時たまニシヤ達がいる数十mは上の崖に人間だったものが飛んで来たりして、いかにウボォーがやばいかよくわかった。

 

しかも彼は1人だ。ウボォー以外にも旅団はいる。ちょうどニシヤ達がいる戦場中央の真上から、左斜め横のところ。目線をそこに向ければ、なんとトランプをして遊んでいる旅団メンバーが目に映った。

 

 

「呆れたもんだね。それじゃあ旅団のところに行こうか。彼らとはちょっと話しておかないと面倒だし」

 

「そうだね♠さすがにクモ全員を相手取るのは僕も面倒だ♣殺しは計画的に、情熱的にやらないと♥」

 

「別にそういう訳じゃないんだけど。まあいいか」

 

 

ヒソカの戯言を聞き流しながら、崖伝いに旅団がいる位置まで移動する。崖下では相変わらずウボォーによるアホみたいな蹂躙が行われており、断続的に人間が空を飛び交っていた。

 

そんな戦場の上を歩き、気配を絶ちながら移動する。空気中に気配を紛らわせ、旅団のメンバーが見えてきたところで徐々に気配を解放していった。

 

遠目に見えていた旅団達の姿がすぐそこに浮かんでくる。近づいてみると、ふとその若さに気づいた。まあ盗賊などの裏稼業。若くてなんぼではあるのだが。

 

そうやって近づいていくと、目が明確に合う距離にまで接近したところで、今まで興味も無さそうだった旅団員達に目を向けられた。

 

 

「強い気配の持ち主。誰かと思えばそのうちの1人は負け犬のヒソカとはね。でもう1人はその飼い主様って訳だ」

 

「……♣」

 

 

辛辣な言葉がヒソカに飛ぶ。その言葉の主は可愛らしい女性で、もしやヒソカは懸想していたのか、割と傷ついた様子だった。

 

 

「まあそういう事だね。トランプやってるの?俺も混ぜてよ」

 

「いいよっ……て言いたいところだけど、ヒソカはともかくさすがに協会の副会長補佐様は混ぜられないかな。俺なんかじゃ気づいたら殺されてるってことになるし」

 

「そう?じゃあちょっと話そうよ」

 

 

優男が前に出てきて、実質的な拒絶を放ってくる。それを押してもう一度別の形でトライすると、後ろにいた大男と小男ふたりが殺気を放ちながら前に出てきた。

 

 

「いや、それには及ばねえよ」

 

「オマエ殺せばそれで済む話ね」

 

 

その場に剣呑な雰囲気が迸る。言葉を交わすとかそういうレベルではなかった。しかし、そんな中で、ひとりまげを頭に乗せた男が大男と小男を手で制する。

 

 

「お前らちょっと待て。こいつは何か隠してる。ここで敵対するのは損しかねえ。だいたいやろうと思えば気配を殺してヒソカとこいつでシャルナークとシズク位はやれたんだ。話を聞こう」

 

 

思いのほか、冷静なまげ男が場を仕切る。信頼とかそういう以前に、事実というものが場を収めた。確かに、ニシヤ達がその気になればシャルナークと思しき優男と、後ろで隠れているメガネっ娘を殺れただろう。

 

そんなこともあり、輪の中には入れなかったものの、若干話すムードに旅団達が移行する。とはいえ殺気は無くならず、さっさと話せという感じだが。

 

 

「まず、言っておきたいのは、協会の副会長補佐としての言葉。第1に市井にまで混乱を持ち込むな。今後一般人を巻き込むな。これを守ってくれないならお前たちをハントする」

 

「ふーん、そ。まあ一応あたしたちがそれを守ると仮定して、要するに一般人を直接害さなければいいってこと?例えば、一般人の姿をした偽善者をぶっ殺しても問題ないとか」

 

「まあそうだね。その認識であってるよ。社会に混乱をもたらすような殺しは計画的にやって欲しいけど、それさえ守ってくれるなら君たちの行動は容認はしないけど黙認はするよ。ハンター協会としてね」

 

「ほー、そりゃなかなかいい条件だな。気に食わないって点を除けばよ。お前さん、なんでそんな条件で行けると思ったんだ?お前らが俺達にA級ってつけたんだろうが。そこんとこしっかり考えろ」

 

 

まげ男が、分かりやすく刀に手を添え、警告をしてくる。周りの大男と小男は完全にブチ切れ寸前だ。そりゃあまあ、そうなるだろう。社会の法なんぞ知らん!って連中なんだから。

 

しかし別に全く聞く気も無さそうでもないのが、普通の犯罪者と違うところか。どこか理性的な面も見受けられる。

 

 

「まあとりあえず落ち着いて。困るんだよ。あなた達みたいな凄腕の念能力者が好き放題していると。俺にも計画があるんです。なんなら多少の要望も聞きますよ?その位の権限はある」

 

「……つくづく舐め腐ってやがるなテメエ。だが黙認はすると言ったか?俺たちの行動に対して。そりゃ好都合だ。ならちゃんと計画すればどっかの国の大将殺してもいいんだよな?」

 

「ええ、構いませんよ?その人があなた達とは方向性のまた違う黒なら、どうぞ殺してください」

 

「……こいつマジで言ってるよ。ある意味私たちよりイカれてるね。どうする?団長に指示仰ぐか?」

 

 

旅団の中でも、論調が荒れ始める。自分達では判断がつかない、そういう様子だった。そこでさらにもう一押し言葉を発する。よく彼らの印象に残るように。

 

 

「別に強制している訳じゃないんですよ。ただ俺の言うことを守ってくれるならあなた達に、ひいてはそれに連なるものに一切手出しはしないと言ってるんです。それにあそこにウボォーさんという方がいるでしょう?今彼は戦いも佳境に入って陰獣を相手にしていますね?」

 

「それがどうした?なんかテメエに利益でも出るような何かがあるのか?」

 

「ええ、はい。彼が陰獣を始末してくれるなら、力を持ちすぎたマフィアを上手く窘められるんですよ。だから今のあなた達の行動を阻害する意味はない。まずはそれで、実際に判断していただけませんか?」

 

「それは黙認の件、ってのをか?いいぜ。契約とかそういうんじゃなくて単なる口約束だって言うなら、覚えてるうちは守ってやるよ。俺からも聞いてねえメンバーに言い聞かせてやる。『巻き込んで可哀想な奴は甚振ってやるな』ってな」

 

「ありがとうございます。では話は以上です。あ、今更ですけどヒソカいります?欲しいならあげますけど」

 

 

殺気の類が少し減ったところで、話はついたと判断し身を翻そうとする。その前にちょっとした確認をすることにした。

 

 

「ああ、全然持ってっちゃっていいわよ。そいつ情報とか漏らしてるだろうし。裏切り者はいらない」

 

「………♦」

 

 

そういう事で、ヒソカは変わらず戦力として保持できる事になった。そのうえで話もついたことだし、その場を後にする。予言通り、陰獣は旅団が片付けてくれそうだった。

 




例の考察復活版

↓ウボォーさんの実際の実力。

※ウボォーさんオーラ量判断

・潜在オーラ量18万
・顕在オーラ量2万3000

ヒソカは爆発で普通にダメージ受けてた。ウボォーさんは戦車もお釈迦にするスーパーバズーカも痛いなで特に傷もなく済ませた。たかがヒソカと俺は同程度かよ。
よってウボォーさんのオーラ量ヒソカ風のあとがきを信じるなら潜在18万。顕在2万3000。強化系なのでそのままの能力値。純粋な暴力。
俺でなきゃ見逃しちゃうね。
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