HUNTER×HUNTER立志伝〜世界に追放された異能たち〜 作:ゆゆ式
2(>_<)
3★^_^Å
ふたりのクロロが荒野の狭間で不気味に佇む。彼が言う通り、どちらのクロロにも能力の媒介となるスキルハンターの本があった。そして能力の説明も終わり、ニシヤたちの間で対話の時間が終わる。
状況は、戦闘段階へと移行した。
かと言ってすぐさま衝突する訳ではない。隣のヒソカはすぐにでも飛び出そうとしているが、さすがにクロロふたり相手ではニシヤの力も必要だと理解しているのか、無謀な突撃をする様子はない。
ひとまず安心だろう。何せニシヤの操作能力は、あくまで自身に逆らわない事と、設定した倫理観を守らせることを前提としているから、ヒソカの気分次第ではとんでもない事にもなり得る。
オートとマニュアルを高精度で行えるのはこのランゲージリンクの利点だが、全てが思い通りとはならないのが歯がゆいところだ。それでも便利なのは間違いない。
さて、クロロはどんな能力を選択してくるか。視線の先のクロロを見ると、彼はダブルも合わせてどちらも具現化物を使って戦うようだった。見る限り、太めのシャムシールのような剣と普通の槍か。
どう見ても攻撃系の能力だから要警戒だ。
ひとまずヒソカと目を合わせて、乱戦に持ち込まれるのを避けるため、オーラ的通信も交えて散開することにした。
なぜならこちらは別にクロロを逃しても最悪構わないから。故にクロロはニシヤ達を追ってこざるを得ないはずだ。今であればまだ旅団員達の場所がわかるのだから、掃討だって可能かもしれないのだから。クロロから見たとしても。
だからクモを守ることを重視するクロロは故に地面を蹴り散開するニシヤ達を追いかけてきた。果たしてどちらが本体に当たるか。それは分からないが、どちらのクロロも本体級の実力なのは間違いなかった。
そして、ニシヤの方についてきたのは槍持ちのクロロの方。
荒野で風を受けながら、ニシヤは槍持ちクロロを後ろに追従させた。しかし、ニシヤから見て槍持ちクロロはかなり武闘派。
走る合間に後ろのクロロを見る限り、オーラ量に対して特質系にしては肉体強化の比率が高い。おそらく習得率は強化系を100として50〜70くらいか。
今までも見てきたが、特質系の習得率の割り振りは厄介。隣接系統で一概に判断できないからあまりにも面倒。特にクロロはどんな能力を駆使してくるかも分からないからさらにやりにくい。
そんな事を考えながら、ヒソカとはかなり離れたところまで移動し、そこで止まる。追いかけて来ていたクロロも、そのニシヤの姿に足を止めた。
「追いかけっこはもういいのか?」
「だってこれ以上時間を稼ぐと無為にクロロ本体が死んじゃうでしょ?それは俺も望むところじゃない」
「確かにな。俺は時間が稼げるなら死んでもいいんだが。まあ、走って時間を稼ぐのも戦って時間を稼ぐのも一緒だ」
「言うじゃない」
つまりお前相手ならいくらでも戦えると言っているようなもの。こちらは条件さえ満たせば殺しに掛かれるというのに、随分な余裕だ。しかしそれは、まあ虚勢もあるだろう。
そう考えながらも、ニシヤは戦闘状態へと移行する。堅は既に使っているから、単純に意識を切り替えるように。そうしてニシヤは、一歩踏み込んだ。
「ふっ!!」
莫大な脚力とオーラの爆発によって、クロロとの間にあった距離を一瞬にして詰める。風景が後ろに流れ、拳が前に跳躍した。そして目標目掛けて、一撃をお見舞いする。
「危ないな。操作系でこれか」
ニシヤに詰め寄られたクロロは、冷静に後ろへ後退して躱す。クロロの言うように、ニシヤは肉弾戦が苦手な操作系のはずだった。しかし全体的な能力はクロロに劣っていない。
何故か?
「そりゃあ、オーラ量が随分違うからねぇ!」
もちろんあのマフィアと戦っていたウボォーには劣るが、それは彼が旅団でも最高レベルの戦力だったから。まあクロロも団長として十分な戦闘力は持っているだろうが、オーラ量と戦闘力はまた別。
クロロは能力が厄介だ。出来ればニシヤとしても近接武器を相手に近寄りたくはないが、リソースをヒソカに使っている分手札が限られているので、致し方なし。故に直で叩く。
「フン!」
時間稼ぎの為か逃げ回るクロロに、荒野の砂を蹴りあげる。
視界中を、砂煙が覆った。それによって、時間稼ぎに徹していたクロロの動きが純粋な生存の為の動きに切り替わる。まあどちらにせよ時間稼ぎの為だ。
そんなクロロを、瞬時の流を行使しながら攻撃する。通常時の体全体のオーラ配分を50として、攻撃に80ほどのオーラを集中させてクロロを打ち据えた。
「グッ!?」
目の前でクロロが怯む。だがオーラによる防御で吹き飛ばされはしない。しかし確実な隙。そこにニシヤは、懐から取り出したナイフで一閃を放った。
対するクロロは、何とか槍で防御しようとするが、片手が本で塞がっている関係上、体術面ではどうやってもニシヤが上回る。故に、その一閃は何とか防御を食い破り、クロロを切り裂いた。
「ラッキー。ダブルのほうじゃん」
切り裂いた部分からは、血が漏れ出てこない。生命体ではありえない現象だ。ダブルで間違いない。おそらく、ニシヤの方にいると生存確率が危ぶまれると判断してヒソカの方に行っているのだろう。
それは間違いなく正解だ。2対2になったのは想定外だが、そういう状況の時のための保険も当然用意してある。相当疲れるからあまりやりたくはないが。しかしこれでクロロを確保出来る可能性が上がった。
「くそ、こっちを潰されると今後の団長業務が面倒なんだが」
「まあいいでしょ。なんなら俺の手駒になればまだ生き残れるけど?」
「それこそ冗談だろう」
何にもならない会話を重ねながら、踊るように戦いを続ける。状況は完全に1対1。相手は武器系の能力だから接触は間違いなく不利。
そんな中で、ニシヤがふと後ろに後退して攻撃を避けると、クロロが初めて武器の能力を使ってきた。これがなかなか厄介極まりなかった。
「グッ………!?」
確かに攻撃は避けたのに、攻撃を当てられた。目線の先のクロロを見ると、ニシヤに向けて槍を構えているのが見える。そしてその槍の直線上に出来た傷。
槍の能力はさながら、一瞬で槍の直線上に槍撃を発生させる能力。放出系まで得意とは思えないから射程距離はせいぜい数mか。しかしそれだけあれば十分。少なくともギリギリで後退するのは下策だ。
「厄介な能力持ってるね!」
「ああ、ヒソカを見て別に複雑な能力は必要ないことに気づいた。お前があの獣化を切れば別だがな」
クロロが誘うように言ってくる。しかしできないとわかって言っているのだろう。さすがに獣化からのクロロと2対1は厳しいものがある。
ふたりもいれば、片方が時間稼ぎして片方がハメ技の能力を使うことも可能だからだ。
つくづく厄介。ダブルの能力がなければ対処も容易だったが、それも含めての能力。やりにくい。
しかしそれでも、勝てる可能性はまだ全然あるのだから勝負を投げ出す気にはならない。頭を落とせば旅団は散っていようと再び集結する。ヒソカの見立てが間違っていなければだが。
それがなくともクロロを戦力に加えれば旅団殲滅も見えてくる。なんでもいい。ここではクロロが狩れればいいのだ。と、ひとまずの判断を下しながら攻防を続ける。
槍は厄介だが、対処できなくもなかった。何せ武器にオーラを割かないでいい分、ニシヤの方が動きもいい。具現化した本の事もある。槍は間違いなく単純な肉弾戦より厄介だが、その分制約も多い。
刺せる、確実に。
「くっ………」
そう思った瞬間、肩を貫かれた。
他ならぬ、クロロの槍によって。
「なんだ?急に動きが………?」
向こうも攻撃を通せたのは予想外だったのか、僅かに困惑の声を漏らす。ニシヤも、想定外のダメージに声をあげた。本当に、想定外だった。まさか自分を、捨て駒にする日が来るなんて。
「捕まえた」
肩に刺さった槍を押しのけて、そこを起点にクロロを捕まえる。向こうもニシヤが動いた瞬間には意図を察して槍を投げ出したが、それよりもニシヤがクロロの体勢を捉える方が早く、結果クロロはニシヤの腕の中に拘束された。
「なるほど。こっちは初めから詰んでいたか。少しでも時間稼ぎができる分、本体をヒソカの方にしたのは成功……だった……な」
直後、遠方から何かが超速で飛来し、ダブルの頭を穿つ。そこに存在していた意識もろとも、その全てを消し飛ばした。そしてそれと同時に、ニシヤのオーラがガッツリ削られる。
弾丸と思しき物が飛んできた方を見ると、何か銃口らしきものがそこで光っていた。それに、その銃口を操っていた存在によってニシヤのオーラが削られた形だ。
もちろんそいつは魔獣。ロゴヌ、だったか。命の危機、あるいは我が子への危機が訪れた時、全生命力を消費して外敵を排除する弾丸を放つ。当然、本来ならそれで死ぬが、そこをニシヤがオーラを供給することで防いだのだ。
しかし死を免れさせるほどのオーラは相当なものとなる。ダブルとの戦いも合わせて、7万3000オーラほど吹っ飛んだ。ちなみに3000がクロロ戦での格闘の消費だ。念獣の操作自体などは自己補完の範疇。
さすがにクロロレベルを速攻で仕留めるとなるとこの位は必要だった。
という訳で、次はクロロ本体を叩きに行く訳だが、ロゴヌの攻撃はあと一回は行けるか。それなら十分クロロを潰す事は可能だ。
そう思いつつ、ニシヤはヒソカとクロロが戦っている場所まで、すぐさま向かうことにした。かなり離れたのでそこそこ時間は掛かるだろうが、ヒソカから感じる気配を見る限り、まだギリギリ持ちそうなのでいいだろう。
一応ロゴヌも移動させなきゃいけないから、ヒソカのところに行くまで耐えてくれるといいが……。若干不安ながらも、ニシヤは荒野を駆け抜けた。
そして数分ほど。元来たところを戻り、さらに向こうへと進んで、ヒソカとクロロ(本体)が戦うところにまでたどり着いた。
「ハァッハァッハァッ」
「ん?副会長補佐か。遅かったな。しかしさすがにこれで俺の方も終わりか。まあ、十分時間は稼いだ。殺してくれて構わない」
膝をつくヒソカと、立っているだけで満身創痍のクロロ。まさかこのような事になっているとは思わなかった。どちらも満身創痍なのは予想していたが、まさかヒソカがやられている側だとは。
もちろんヒソカを心配していたのもそうだが、死の淵ギリギリになるとうっかりクロロを殺しそうだから心配していたのだ。それが、まさか普通に殺される寸前だとは。
「なんか、うん。ヒソカって思ったよりも弱い?」
「はっ、そう言ってやるな。この剣の能力のせいもある。なにぶん地味だが相手に多量の失血を促す効果があってな。一度受けるとそれだけで相当の消耗をする。そういう事だ」
「そうそう♥なかなか厄介な能力だったよ♦このまま殺されても良かったけど。どうやらニシヤの方が先だったみたいだ♠残念♣」
クロロに手持ちの剣の効果を説明されながら、ヒソカの言い訳を聞く。死んでも良かったというのは潔いが、普通に死なれると困る。つまり何とかある程度良い結果に落とし込めた訳だ。
クロロはもう、目的を果たしたのか戦うつもりもほぼ皆無。何か隙があれば食らいついて来るだろうが、それだけだ。むしろ協会の副会長補佐を殺すと厄介な事になるので、殺るとしてもヒソカだけだろう。
「じゃあこれで終わりという事かな?模造品は作ってもいい?クロロ。その後殺すけど。まあまた生き返るから安心しなよ」
「結局は能力も盗めず手駒になるわけか。まあお互い、利益ある結果にはなった。良かったな」
「他人事だね。まあそれじゃあ、行くよ」
満身創痍のふたりに近づき、クロロの方から血液を採取する。そしてそこから、模造品を具現化させた。あとはそれが大きくなり、本体に成り代わるのを待だけ。
しばらくするとそれも終わり、ニシヤは、最後にクロロの首をナイフで一閃して刈り取った。終わりは、静かなものだった。
「んん〜♦これで団長とある意味いつでも戦えるわけか♠なかなかいいね♥その上ある程度給料とかも出してくれるんだろう♣?」
「まあね。戦闘とかさせなければ何体でも操作できるから、言ってくれれば好きなところ行っていいよ。ヨノミチっていう物質移動系能力者が仲間内にいるから言ってもらえばすぐ回収できるし」
「へぇー♥相変わらず君の人脈はすごいね♠あとはクモの掃討か♦まあ団長がいるから戦闘にはならないだろうけど♣」
ひとまずの目的を終えて、その場を後にする。マフィアも、幻影旅団も、これでメビウス湖内の変なゴタゴタはV5以外なくなりそうだった。実に、良いことだ。
一風変わった考察↓
※旅団腕相撲ランキングから見る旅団のオーラ量判断
・ここでは純粋なオーラ(そいつの系統でフルに発揮出来るオーラ量)を実質オーラとしてランキングに乗せる。だから全体的に低い奴も決して他にオーラ量で大きく劣る訳じゃない。
ちなみに旅団の全体のオーラ量を測量するのに使ったのはシズク。モブ陰獣でも色々お世話になりました。シズクはモブ陰獣よりちょい強そうだから若干もりもり。
↓
13位
コルトピ、実質オーラ3万
(強化系60%)
12位
シズク、実質オーラ3万6000
(強化系60%)
11位
パクノダ、実質オーラ3万6000
(強化系40%)
10位
シャルナーク、実質オーラ4万4000
(強化系60%)
9位
ノブナガ、実質オーラ5万
(強化系100%)
8位
ボノレノフ、実質オーラ6万
(強化系60%)
7位
クロロ、実質オーラ6万6000
(強化系60%)
6位
マチ、実質オーラ7万2000
(強化系80%)
5位
フェイタン、実質オーラ8万
(強化系80%)
4位
フランクリン、実質オーラ8万5000
(強化系80%)
3位
ヒソカ、実質オーラ12万
(強化系80%)
2位
フィンクス、実質オーラ13万
(強化系100%)
1位
ウボォー、実質オーラ18万
(強化系100%)
--旅団平均オーラ量11万5000--
パクノダとクロロはパッション。ヒソカのオーラ量からして純粋なオーラ量でクロロがヒソカを上回ってる事もないだろうし、強化系に割り振ってたらもっとランキング上だろうからこんな感じ。パクノダはあの湿度からしてまあ絶対オーラ量すごい(意味深)