HUNTER×HUNTER立志伝〜世界に追放された異能たち〜 作:ゆゆ式
???「ああ、だいぶ違うよ。展開にパワー使ったからな」
「ではグリードアイランドについて。攻略するとして、具体的にどのようなゲームなのか教えよう」
契約を詰め終わった頃、机を挟んで相対するジェイトサリが、デフォルメした絵などを持ち出して説明を始めた。最初に示されたのは、ゲーム機の前に座る人の絵。しかもその絵の中にあるゲーム機はかなり古い型だ。
ジェイトサリ曰く、それを使ってゲームを始めるらしい。そしてゲームをする実際の方法は、そもそもグリードアイランドが念能力者専用のゲームのため、念が関係してくる。
絵も見ながらジェイトサリの具体的な説明を聞く限り、ゲームを起動する方法は以下の図の通りだ。
ゲーム機の前に座る
↓
ゲーム機の前で"練"をする
↓
念的効果によって体がゲーム内(仮想空間)に飛ばされる
↓
プレイ開始!
とのことだ。練とは通常念能力者が常に身に纏っているオーラを、瞬間的に増幅させる技のことだろう。それをすることで、仮想空間とやらに飛ばされるらしい。
そしてその仮想空間内では、初めにシソの木と呼ばれる地点に呼び出され、そのシソの木内部にいるキャラクターにゲームのイロハ、いわゆるチュートリアルを施されるという。
後は特に義務やら何やらが課されることはなく、ゲーム方式は基本的にオープンワールドのMMORPG型。ゲームの最終設定目標は、指定のアイテムを100種集めること。それを達成すればクリア。
つまりクリアへの貢献度は、貴重なアイテムを入手するたびに高まるわけだ。ただし大人数参加型のゲームであることから、単独でのクリア報酬独占はほぼ不可能。だからジェイトサリも功績の可視化と言ったわけだ。
「と………ゲームの概要は以上だ。それでは条件の通り、念についての指導を始めよう。と言ってもまずはユズくんの知識の具合を確かめなければならない。君はどの程度"念"について知っている?」
「最低限ですね。ネットで拾える情報をできるだけ繋ぎ合わせて使える技術に当てはめている感じです。なにぶん念については情報統制が頭おかしいので」
「なるほど。では用語の確認から始めよう。まずは纏……」
ジェイトサリに念周りの知識を大雑把に確認される。一応念については知識的には素人という体で行くので、用語周りはかなり適当に言った。そしてその適当な用語を直されながら、指導を受け続ける。
「よし、用語はこの程度でいいだろう。基本的技術から応用技まで、よく修練されている。用語以外は文句はない。では求めているだろう知識を教えようか。念の奥義、発の細かな知識について」
系統、制約、誓約、水見式、発、
そして、そしてだ。ありがたいことに、ジェイトサリが説明してくれた様々な用語は、ほとんど既知のものだった。
つまりジェイトサリがニシヤの記憶を気づかれないように読み込める超絶能力者で、ニシヤに対して悪意を持っている、というとてつもない穿ち方をしない限り、ニシヤの知識は正確だということになる。
何せプロハンターも言っているということになるわけだし。そうなると発。個別能力の開発も目の前に見えてくる。今説明された水見式というものを使えば、前に考えた系統なども判別することは十分に可能だ。
果たしてニシヤはなに系統か。一番嫌なのは特質系。一番いいのも特質系だ。何せ特質系はどこかの誰か(誰だったか?)曰く、3000人に一人だけの才能。その性質上不得意がなく、どの系統も高レベルで習得することができる。
だが極められるのはおそらく相変わらず一種類だけ。ニシヤの予想では、特質系は器用富豪とでも言うべき才能だ。どういうことかと言うと、おそらく特質系は持ち点を持っている。
というのも他の系統、ニシヤが自身の系統だと思っている操作系など、普通の系統は得意不得意がその系統により初めから決まっている。だが特質系にはその得意不得意がない。
だからこそどの系統も高レベルで習得できる。ただ全てを極められることはないだろう。それは"人間の限界を超えている"。そして念能力は人間の限界をただでは越えられないはず。
だから特質系でも才能の総量はそこまで大きく変わらないはずだ。変わるのは、極められるのが一種類なのは据え置きとして、才能をデザインできるという点。
まあ、おそらくそうだろうという予想でしかないが。とりあえず、念の知識について、ニシヤの中である程度の整理はついた。念の指導はこれ以外にも継続して受けるとして、今はグリードアイランドの攻略だ。
「よし、ありがとうございますジェイトさん。じゃあ次はグリードアイランドの話に移りましょう」
「ああ、こちらこそありがとう。君のような即戦力かつ今後の成長も期待できる人物は大歓迎だ。ではまず私の拠点まで案内しよう。少し移動に時間がかかるが、構わないな?」
「ええ、問題ないです。よろしくお願いします」
話がひと区切り付き、ニシヤはジェイトサリに連れられて借りるのに相当な金がかかりそうな部屋を出ていく。少し前おじいさんに先導されて歩いた廊下を辿り、部屋があった階のフロントに挨拶をして建物を出た。
そして今度は、飛行船がある空港のほうへと向かう。道中ではハンター界隈での常識や世界のニュースについて、ジェイトサリから教えられた。そうして時間を潰しながら空港を目指した。
そして公道を車で走ることしばらく。ようやく空港へとたどり着き、飛行船をジェイトサリ主導でチャーターすることができた。飛行船の中では、また多くの知識をジェイトサリが教えてくれる。中にはグリードアイランドに関する情報もあった。
「ユズくん。私は現在までに、グリードアイランド攻略のためにハードが受け入れられる限界に近い人数を雇ってきた。そして私が所有するグリードアイランドの本数は現在七本」
飛行船の静かな客席の只中で、ジェイトサリの声が響く。
「つまり最低でも50名以上のハンターを雇い入れたわけだ。しかしゲームから現実に帰ってきた者は私自身が選別した仲間以外にはいない。それはなぜだと思う?」
「そうですね。ジェイトさんに聞いたこれまでの情報からすると、案外単に実力が足りなかったからだとか。念能力者も千差万別のようですし」
「間違ってはいない。それが原因だ。何せ念能力は才能と根気に拠るところが大部分を占める。だからそれがどちらかでも欠けていれば念を使えるだけの木偶の坊ができあがる」
随分、辛辣だ。
「グリードアイランドで死ぬ覚悟?バカバカしい。これは受け売りだが、『念能力者は100%常に勝つ気で事を進める』これが行動の支柱としてなければ念能力者としては未熟も未熟だ。そういう意味で言うと私もそうなんだが」
結局そういう結論に帰結するらしい。これまでの飛行船での会話は、高度な自虐も含んでいたわけだ。しかしそういう点で言うと、ニシヤはどうだろうか?『100%勝つ気で常に念能力を駆使できる』か。
多分、部分的には可能だ。
ニシヤには、自身でも把握しているとある悪癖がある。それは自身の成功を過信するところだ。今もそう。グリードアイランドの攻略懸賞に参加を申し込んだ時も、失敗するにせよ何らかの成果は得られると思っていた。
博打にも負けの可能性をあまり考えず、悪く言えば勝ちを盲信して身を浸す。だから『100%勝つ気でやる』というのは可能だし、不可能だ。
だって自分から負けの可能性がある博打に突っ込むのだから。
そんなこんな思考に身を浸したり、話したりしているうちに、飛行船が目的地まで到着する。出発地点と比べるといささか寂れた空港に降り立ち、飛行船を降りた。
そしてまた別の移動手段に乗り換える。今度は車に乗り、街中へと繰り出した。そしてしばらく車を走らせ、どう考えても普通の一軒家にしか見えないところへとたどり着いた。
外観は、本当に変哲のない家だ。ベージュ色の塗装に、量産型の形。あまり人気のなさそうなところに置かれてはいるが、それだけだ。
そんなふうに家屋を見上げていると、ジェイトサリがその家の中に先導するように歩き出す。合わせて、ニシヤも歩き出した。
そしてその量産型の家の扉に手をかけ、玄関に入る。ニシヤは「おじゃましまーす」と辺りの様子を見ながら家にあがり、ジェイトサリについていった。そして適当な位置まで案内される。
なぜかは知らないが、リビングに通された。見たところ、何か周囲に仕掛けがあるようにも見えない。手入れは行き届いているのだが。そう思っていると、ジェイトサリが突然地面に手を添えた。
「何してるんです?」
「念だ。まあ見ててくれ」
奇行に首を傾げていると、ジェイトサリが地面に向かって大量のオーラを放出する。だが全開という雰囲気ではない。何か思惑があるのだろう。部屋の中心で迸るオーラの光を見ながら、ニシヤはその場を静観した。
そうすると、やがて床がジェイトサリのオーラを吸い始める。膨張していたオーラが萎みだし、輝きを失いだした。そして代わりに床に内在するエネルギーが大きさを増し、存在感を放つようになる。
どうやら、そういうギミックらしかった。しばらく、そんな光景を見続ける。そしてジェイトサリがようやく満足するような様子を見せた時、それは動いた。
なんの変哲もなかった床が開き始めたのだ。そしてその向こう側に、地下通路の扉を出現させる。いわゆる隠し扉というやつだ。
オーラを注ぎ終えたジェイトサリがニシヤのほうを見てその地下通路を指さす。そして案内するように、先に入っていった。それにニシヤも続き、陽の当たる部屋から薄暗い地下通路へと入っていく。
とはいえ地下通路の長さはそれほどなかったようで、ほどなくして最終的な目的地にすぐ到着した。
「ここが……」
そこは、無機質な場所だった。壁の材質は全てコンクリート。部屋には薄暗い中ほのかに光り輝く妖しげな光が揺れている。そして何よりも異質なのは部屋の中央。
かなり広い地下空間を占領するように、視線の先で七本のゲーム機が大きなスペースを伴って置かれている。どれも比較的最近発売されたばかりの最新型ジョイステーションだ。
これが、グリードアイランドらしい。
確かに、少し離れていても独特のオーラを感じる。間違いなく意図して制作されただろう念具というやつだ。
そして、部屋に先に着いていたジェイトサリが、ニシヤの視線を横切ってそのゲーム機の群れの前に歩み寄っていく。
その様子を眺めていると、その群れの前にたどり着いたジェイトサリがニシヤのほうに振り返ってきた。
「さて、これがグリードアイランドの本体たちだ。念が込められているのがわかるだろう。つまりこのゲーム機の前で条件に沿った行動をすれば、何らかの効果が発揮される。そしてその何らかの効果とは⋯⋯」
「仮想空間への転移」
「そうだ。君がこのゲーム機の前で練をするだけで、ゲーム空間内に入ることができる。そして契約の時に話した通り、ゲーム内での死は現実での死を意味する。またほかのゲームのように無条件でログアウトすることも不可能だ」
つまり、グリードアイランドとは、平たく言えば穏当なデスゲームだ。危険を事前に告知し、危機意識を促すだけでもかなり優良な部類だろう。言うなればボクシングなどの危険なスポーツと同じようなものだ。
危険だが報酬は莫大。それだけのことだろう。もちろんその認識は間違っているかもしれないが、ニシヤはジェイトサリの説明をそう理解した。そしてゲーム機の前に陣取るジェイトサリに歩み寄る。
「よくわかんないですけどその分報酬も莫大ってことですよね!」
「⋯⋯必ずしも確約されているわけではないがな。ではグリードアイランドに早速入るとしよう。まずは私が本体の前で練をする。それが済んだらついてきてくれ」
適当な回答を述べたニシヤを横目に、ジェイトサリが苦笑いをこぼす。そしてそれから背を向け、グリードアイランドに向き合った。
髭が似合うような厳つい人相をした人物がゲーム機に向き合う姿はいっそシュールだ。だが、ジェイトサリがゲーム機本体に手を添えると、その雰囲気も一変する。
練をするためか、ジェイトサリがオーラを練り始めたことで、言い知れない威圧感が周囲を支配する。纏から練へ。体の周囲に留められているオーラが揺らぎ、陽炎のように立ち昇った。
そしてジェイトサリが気合いの声をあげる。
「ハァッ!」
その瞬間、オーラが凄まじい勢いで膨れ上がった。年齢相応の、美しい練だ。時間を掛けて研ぎ澄ましてきたかのような特有の雰囲気を感じる。それが周囲を圧し、しかしてそれ以上に、そのオーラに反応したグリードアイランドの念が、ジェイトサリを包み込んだ。
そして眩い光を放ち、収束する。
パシュン!という音がニシヤの耳に届くと、いつの間にかジェイトサリは目の前から消えていた。
「おお⋯⋯⋯」
地下室の部屋を見回す。だがどこにもジェイトサリはいない。あの一瞬の練程度で大規模な瞬間移動ができるわけはないから、普通の瞬間移動能力なら部屋のどこかにいるだろう。
しかしジェイトサリの姿は部屋にはない。それはつまり、物質などを介する高度な念によってジェイトサリが飛ばされたということ。これに素直にニシヤは感心し、そして、自分もその後に続くことを決めた。
↓例の考察
※ゴトーのオーラ量判断
・潜在オーラ量5万
・顕在オーラ量5500
ゴトーのコインを打つ能力は一発で銃弾どころかそこら辺の硬い木を貫通する威力。それを一度に22発は打てる事になっている。
弾丸に耐えられるオーラ量は堅状態の500オーラゴンと想定。となると堅の全体攻防力50%の250オーラが銃弾相当の威力を持つことになる。
対してゴトーのはコインひとつが銃弾以上の攻撃。となると倍は見積って1個500オーラが籠っていると予想。
それでありながら一度に22発打ったので、500×22。つまり1万1000オーラ相当の弾幕。しかしこれは能力で強化されていると見るべきで、一般的な能力の倍率は多分ゴンのジャジャン拳の2倍が基準(1800オーラから4000オーラ)。
これは単純にゴン以下の能力というのがまずほとんどないし、ゴン以上の能力だと制約がもっと複雑だから。
とするとゴトーが一度に扱える能力発動時のオーラの1万1000の半分、5500。そこから導き出せる潜在オーラはおよそ4万から5万。
1話目あとがきにて脳内で勝手に考えていたオーラに対する身体能力の影響を反映。
そもそも身体能力とオーラは掛け算ではなく足し算なのでキメラアントがキルアとかの何倍もの身体能力を持ってようがインフレした後半のオーラ量の方がよっぽど強い。
これは作中イズナビの式から結論を出している。
※この先メタな会話が繰り広げられます。ご注意ください。
ゴトー「ああ、だいぶ違うよ。回転にパワー使ったからな」
ヒソカ「回転、展開、てんかい、かいてん、ああ、そういうこと♠」
ゴトー「///」
ヒソカ「この会話の答えはおしまい♦」