HUNTER×HUNTER立志伝〜世界に追放された異能たち〜   作:ゆゆ式

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"円"
纏と練の応用技。オーラを通常より薄く広げることで、その範囲内にあるものの動きなどを読み取る。
一般的に50m程あれば達人と呼ばれる。
個人差はあるが、調子により達人級の腕前を持つものでも2〜3mほど範囲が増減する。


怪物とRPG

 

 

陽が昇ると共に目が覚めた。近くにあった焚き火はもう僅かな熱をひり出すだけで、燃えてはいない。系統が判別したためか、すっきりとした目覚めだった。

 

そして、体を解すと共に動き出す。まずは周りの野営セットを片付けることに注力し、荷物を纏めた。そうすると杭、布、鍋、ほかなどなどで、荷物がかなりこんもりしたものとなる。

 

これが行きはアイテムが全部カード化状態なので問題はなかったが、残念ながら一度ゲインしたカードは再びカード化することができないので、これらの荷物は全て手持ちで運ぶことになる。

 

ちょうど布があるので、それを使って運ぶことになるだろう。

 

 

「よいしょっと」

 

 

リュックを買うお金もなかったので、有り合わせの布で手持ちのアイテムを纏め、それを背負う。野営の跡を消して、歩き出した。行き先は岩山地帯。

 

目線をあげると、遠方の岩山にいる生物と目が合った気がした。

 

もっともそれも一瞬のことで、お互いすぐに目線を外す。その生物はどこかの岩山から飛び降りていき、ニシヤは変わらず歩いた。

 

そうして、何もない平野を進んでいく。本当に何もないから、土を踏む擦れた音だけが道中響き続けた。

 

そして、野営の荷物を背負いながら歩くことしばらく。ニシヤは岩山の土を踏んだ。

 

ふと風が、強く体に吹きつける。岩山を挟んだ先で、轟音と共に土煙が舞い上がった。きっとそこには、何か大きな生物がいるのだろう。そう思って歩いていると、だんだんとその土煙がニシヤのほうに近づいてきた。

 

とはいえそれほど速い速度ではないので、余裕を持ちながらその進路上から退避し、様子を見る。周囲の岩山に駆け登って、しばらくその土煙を巻き上げる主の到着を待った。

 

轟音が少しずつ近づいてくる。やがて地響きのようなものも起き始めると、いよいよ土煙の主が姿を現した。

 

 

「うわデカ。キモっ。でもよく見ればかっこいいかも。ちょっとわかんね。でも最初に戦うのはもうちょっと控えめなのがいいな」

 

 

黒く輝く体。それは光を飲み込むようにほの暗く、強靭。そしてその顔は狂気の一言。何よりも大きさがとてつもない。大型の肉食獣ほどはあるか。昔動物園で見たトラくらいには大きい。

 

そんな生物が、視線の先で荒野を走っている。見た目は、言ってしまえば大きな蟻だ。それが砂を撒き散らして爆走している。しかしあれがそうだとは認めたくない。

 

カードにはランクというものがあるが、どう見てもあの蟻はAランクとかだろう。でなければ存在が許されない。まあ動きは鈍重だから、身体能力は大したこともないようだが。やはり見た目が衝撃的だ。

 

しばらく、ニシヤは轟音と共に移動する蟻を眺める。目線の先で蟻が歯を鳴らすのを見ながら、走り去っていくまで観察し続けた。

 

もちろん、相手はモンスターなのでいつか戦うことはあるだろう。しかし初っ端から大型生物を相手にするほどニシヤは無謀ではなかった。計画性があまりないだけで、目の前の出来事にはある程度真摯に向き合えるのだ。

 

そして、蟻がいなくなったのを見て山道で立ち上がる。たとえ蟻が強くなくとも、本格的な念での戦闘となると、手頃な敵がいいのが本音だった。そのため、何かいいのはいないかと周りを見渡しながら、山道を徘徊し始める。

 

警戒しながら進んだので、しばらくはモンスターに遭遇しなかった。しかしそれから僅かに時間が経った時、ふと鳴き声が聞こえてきた。そして、何かが姿を現す。

 

 

「鎧?」

 

 

光沢のある普通の金属鎧。中に人が入っているようにも見えず、不思議な風体。そういうモンスターなのだろう。観察もほどほどに、ニシヤは意識を戦闘態勢に変えた。と言ってもこれが初の実戦なので、意識だけだが。

 

しかしオーラはそこそこなので、できる限り多く纏ったオーラに身を任せ、構えをとった。鎧型のモンスターと、狭い山道で睨み合う。駆け引きなんて分からないので、そのまま普通に攻撃を仕掛けた。

 

 

「ふっ!!」

 

 

無意識に息を吐きながら、足元のオーラを爆発させて接近する。そして硬質な鎧に向かって拳を突き出した。まずは様子見の一撃。それが空気を押し退けて、鎧に突き刺さる。

 

ニシヤは、衝突時の衝撃に備えた……だが、予想に反して、体に衝撃はやってこない。どころか、ニシヤの拳は、想像よりも容易く、目の前の鎧を破砕した。

 

 

「あれ?………ん?」

 

 

感じる違和感。鎧に接触した時の感触のなさ。加えて破砕したと思った鎧のほうを見ると、まだまだ元気なようだった。目の前の地面には、胴鎧と足周りの鎧が分かたれながらも、カタカタと震えている。

 

中身は、やはりない。それって、一種の不死身だと思うのだが。とにかくそのようにして、ひとりでに動いた鎧たちは、またプレートメイルの騎士姿に戻った。

 

そして今度は向こうから攻撃を仕掛けてくる。手に持った剣を一閃。ニシヤのオーラであれば特に致命打にもならないので、冷静に避けた。そして再び鎧を打ち据える。

 

だがまた先ほどの焼き増しのように、拳にはなんとも言えない感触が走った。そしてまた鎧が復活し、再びこちらに向かってくる。さすがにここまで来れば、念の戦闘初心者でも何かあるのは理解できた。

 

だから、まずは何か怪しいことがあった時の技。"凝"。目にオーラを集めて隠されている念を見つける。それを実行すると、やはりあった。鎧から伸びるオーラの尾。

 

見ると、それはすぐそばの山道の曲がり角にまで伸び、そこでオーラが止まっている。とりあえずギミックを発見したところで、まずは鎧をバラバラに殴り飛ばした。そしてその後、そのオーラの尾を辿る。

 

山道を歩き、ちょうど曲がり角を曲がったところで、それを見つけた。丸い、教育番組とかでよく見るマスコットキャラクターのような何か。それが、見つけられたことで慄きの声を上げる。

 

 

「チュッ!?」

 

 

体長は1mもなく、戦う力もあるようには見えない。だからかは知らないが、そのマスコットを見つけた瞬間、全てが終わった。一瞬前まですぐ目の前にあったマスコットの体が空に溶けて消え、その代わり一枚のカードが空中に生まれる。

 

やがて地面に落ちたそれを、ニシヤは手に取った。

 

 

 

『H--800--リモコンラット(711)』

 

 

手に収まる程度のカード。そこには騎士のような甲冑を背後から念で操るマスコットネズミの姿が書かれている。そしてH。これはランクのことだろう。

 

その次にあるのはカード化限度枚数。これは特定のアイテムを入手した時、そのアイテムをカードとして保持できる枚数を表している。

 

このリモコンラットであれば800。これはランクに応じて振り分けられていると考えられる。ほかにも711というカード番号などもあるが、これはモンスターカードだとあまり関係はないので今はいいだろう。

 

そして。

 

 

「ブック」

 

 

呪文を唱えることで、本を出す。ボフンという効果音が鳴り、周りに何もない山道の只中で、突然目の前の宙空に本が出現した。そしてその本を捲り、どんなカードでも入れられるフリーポケットを開く。

 

そうしたら地面から拾ったリモコンラットのカードを全45枠あるフリーポケットのうちのひとつに当てはめ、収納する。それを終えれば、またブックと呪文を唱え、本をしまった。

 

本当に便利な機能だ。一方でフリーポケットと対をなす指定ポケットはあまりにも不便。その機能は特定の番号が振られたカードのみを受け入れるというもの。

 

例えば今のリモコンラット。それには711という番号が割り振られていた。だが指定ポケットに入れることはできない。それはなぜかと言うと、指定ポケットが「指定ポケットカード」にのみ対応しているからだ。

 

クリアのために必要なアイテムは全部で100種。指定ポケットが受け入れる番号は0〜99。そう、つまり指定ポケットが受け入れるのは重要アイテム、「指定ポケットカード」だけになる。

 

 

「あ、そういえばルビキュータの住民が言ってたな。この岩山地帯の一番高い山の中腹に、無限に湧き出る滝の源泉があるって。多分指定ポケットだろうし、行ってみるか。モンスターに慣れたら」

 

 

指定ポケットカードも大事だが、まずは念での戦闘に体を慣らす。あくまでグリードアイランドに来た目的は念の修練。それ以外にも面白そうなことがあれば寄り道するが、最優先はそれだ。

 

そして系統はもうわかった。それに沿った能力も既に思いついている。ならあと必要なのは純粋な修練だけだろう。そう目標を定めたニシヤは、再び山道を歩き始める。狭い道は危険だが、辺りを見回すには都合が良かった。

 

 

「うわっ!?」

 

 

そう思っていると、突然道の横の崖壁から何かが飛び出てくる。咄嗟に気配を察知し、それを叩き落としたが、急なことに思わず声が出てしまった。そして事を終えたあと、なんだなんだと倒した何かを見やる。

 

その何かを叩き落とした場所にはカードが落ちていて、何らかのモンスターらしいことがわかった。

 

 

『E--115--テケリン(674)』

 

特殊な粘液で柔らかくした砂を纏い、岩山の風景に紛れて狩りをする。攻撃力は大してない。大型の生物は巣穴に近づかなければあまり襲わない。

 

 

拾ったカードの額面は、おおよそこんな感じ。普通なら大して厄介ではないが、山道だとさっき驚きで落ちそうになった。これは、大人しく地上を歩こう。ニシヤは心底そう思った。あまりにも心臓に悪い。

 

とりあえずテケリンをブックに入れて、山の崖を下る。オーラで踏み締める力を強化しているから、まだ何とかなっているが、崖の上からの光景はさながらスキーの超上級コースのようだった。

 

そして地上に降り、またモンスターとの戦闘を行い始める。不思議な生態のモンスターが多数おり、ちょっと危ない局面がありながらも、さながらゲーム感覚で戦闘を行うことができた。

 

訓練としての効果はそこまでかもしれないが、かなり楽しかったとは言えよう。おおよそモンスター狩りの成果はこんな感じだ。

 

 

『E--100--3つ首トカゲ(598)』

 

念弾を吐き出してくる3つ首のトカゲ。中には泥状の粘着質な物質を吐き出してくることもあるので、注意が必要。

 

 

『E--115--テケリン(674)』

 

特殊な粘液で柔らかくした砂を纏い、岩山の風景に紛れて狩りをする。攻撃力は大してない。大型の生物は巣穴に近づかなければあまり襲わない。

 

 

『F--150--ドヒドナッスー(705)』

 

傘のような複数の触腕を操る生物。見た目はツギハギの傘を着たイソギンチャクのようで、非常に気持ち悪い。ドヒドナッスーが出す粘液には微量の回復効果がある。

 

 

ほかにもF〜Dランクが何種類か。かなり楽しい狩りだった。以前家の近くの山で修練していた時は、こんな自由にはできなかったので爽快だ。そんなこんなもあり、おおよそ昼時。

 

いよいよ一時は対峙することを避けたあの巨大な蟻と戦うことにした。というよりこの岩山エリアに存在するモンスターと戦った感じ、あの蟻はそんなに強い部類でもないだろう。

 

エリア内でそんなレベルの乖離があるわけがない。おそらくあの蟻は、ちょっとしたボス的な存在。ニシヤの予想ではCランクのモンスターだ。まあ強い部類ではないと言っても、やはり大きさは脅威。そこは考慮する必要もあるだろう。

 

そう思いながら岩山地帯を走り回り、あの蟻を探していると、これがまた結構簡単に見つけられた。どうも、蟻は岩山地帯の中心、一番大きな岩山の周りに多く存在しているらしい。

 

様子見のために登ったある岩山から、あの巨大蟻が複数たむろしているのが見える。その蟻たちは目線の先にある大きな岩山に向かって歩いたり、たまに外縁部に向かっていったりと、かなり忙しない。

 

しかしボスというわけではなかったらしい。それにしては体躯もでかいしそこそこの脅威があると思うのだが。あるいはそれは虚仮威しでまた別の何かがあるのか。

 

見ていてもあまり分からないので、とりあえず外縁部に向かう蟻に狙いを定め、戦うことにした。ひとまず群れから逸れるのを待ち、蟻が移動するのに合わせて追尾していく。

 

しばらくすると、追尾していた蟻は完全に孤立した。岩山の上から見下ろしても、周囲に蟻の影はひとつない。これで不測の事態はないだろう。そう判断したニシヤは、岩山から蟻に向かって飛び降りた。

 

体が空気を切り裂いて飛翔する。そして空中で構え、体内で密かにオーラを練り始めた。

 

眼下では、蟻が前を見ながら走っている。黒光りする装甲は、頑丈そうだった。だがニシヤの気配に気づいている様子はまったくない。実は気配を消すのはあまり得意ではないのだが。

 

幸いなことに蟻にニシヤを察知できる能力はないようだ。そして、そうしている間にも蟻との距離は落下によって近づいていく。やがて黒光りする装甲が射程圏内に入り、ニシヤは拳を突き出した。

 

落下の勢いと合わさって、その攻撃には破滅的な威力が宿る。少なくとも推定ランクCのモンスターでは耐えられないだろうというくらい。そしてそれは合っていて、ある意味間違っていた。

 

 

「っつう!?」

 

 

黒光りする蟻の装甲と、ニシヤの拳が一切の障害なく順当に衝突する。攻撃の威力もあるため、凄まじい音が周囲に響いた。だがそれ以外に、明確な異常が起こる。

 

衝突は、一度だけだったはずだ。しかし、衝撃の音は二度響いた。それは果たして何が原因で響いたのか。攻撃の後地面に降り立ったニシヤは、困惑と共に消失した蟻のいたところを探った。

 

そしてカードを手にする。異常の答えは、そのカードに書かれていた。

 

 

『D--60--デンゾウアリ(560)』

 

ゾウのように大きな体を持つ。ただしその分鈍重で、落ち着いて観察すれば容易に逃げられる。戦うと厄介。

生物限定で相手が自分に与えた衝撃を反射できる能力を持つ。反射する衝撃は何度も攻撃されるほど反射できる量を強める。その代わり非生物的な攻撃にめっぽう弱い。

 

 

なんとも、初見だと面倒な特性。だが上手くやれば洞察力などを高められるうってつけのモンスター。注意力を試すようなテケリンと言い、このゲームはRPGさながらプレイヤーの実力を伸ばすようにできているらしい。

 

 

「面白いけど危なかった。念能力で無条件の攻撃反射はないだろうけど、怖い能力。こんな状況も想定しておかないとってことなんだろうな。気をつけなきゃ。でも種が割れれば結構攻略は簡単か」

 

 

反射された攻撃に少し手を痛めながらも、得られた情報について分析する。これなら蟻の軍団も脅威ではなさそうだった。そして指定ポケットカードがその蟻の群れの中にあるそうなので、攻略に乗り出すのは普通にあり。ただ女王蟻などがいるならそれは不確定要素か。

 

しかしこういうからくりがあると事前に理解していれば、攻略できなくもないはず。もしかしたらそれは色々甘く見積もっているのかもしれないが、ひとまず行けそうなので軽い様子見をしてから、ニシヤは指定ポケットカードを入手しに行くことにした。

 

そしてそれからしばらくして、岩山地帯で轟音が何度も鳴る。それが止む頃には、ニシヤはひとつのカードを手にしていた。

 

 

『A--17--湧き水の壺(3)』

 

常にきれいな水が湧き続ける壺。1日で1440lの水が湧き出る。

 

 

ついでにモンスターカードもなんでも売り買いできるトレードショップで高く売れそうなのが一枚。

 

 

『B--20--デンジョオウアリ(596)』

 

一度定住場所を決めると、生涯そこから動くことなく生活する。鳴き声で手下のデンゾウアリを5〜7匹集める。

 

 

なかなか楽しい一日だったと言えよう。

 




↓いつもの。ここからは諸事情によりあるお人が出るまでオーラ量分析は終了です。最終回に誰得みたいなオーラ量分析を乗せる予定。と思ったけど最終回は台無しにしたくないので設定集にて。ではしばらく考察の彼方まで。ごきげんよう。

※カイトのオーラ量判断

・潜在オーラ量9万
・顕在オーラ量1万3000

ゴンのジャジャン拳から考える。ゴンのジャジャン拳は普通に使うと1800のオーラ量から4000の攻撃力を持つ技を繰り出す事ができる。2.1倍程の出力だ。
宣言する。タメを作る。これだけで2.1倍。とするとカイトの制約は見えるだけでもランダムな能力になる事と、一度その出た目を使わなければ次の抽選には行けないというものがある。

これは相手に対しての宣言、隙、タメなどを作っている上に、ランダム性まである。だとすると純粋に出力はゴンのさらに上が保証され、おおよそ追加要素から3〜4倍の出力を得られると予想できる。

となるとピトーに傷をつけた事実も合わせて、カイトの顕在オーラ量はピトーの7万に対して抗える可能性のある1万3000程が妥当。
仮に4倍の出力があれば5万2000の攻撃力。3倍でも3万9000。武器次第では倍程度の差なら相手に傷をつけられるのは、それこそキルア(サブ戦)などが証明してくれているので、これくらい。
正直片腕とはいえピトーに擦り傷しか負わせられなかったのも考慮するとやはりこのくらいになるだろう。



すみません。一気に投稿してるのでモラウの奴修正前の考察乗せてました。ただまあ結論は変わらないので、気になるなら最終回の後に設定集を載せているので、そこで確認してください。


※確認しましたが特にモラウの考察を見なくても一応今後のを見れます。ただ補足しておくと、より正確な情報を考察に使用し直しました。具体的には考察の積み重ねから矛盾がない情報などなど。
主に身体能力値がおよそ数千オーラまでの間にノイズとしてある感じですね。そこ以外はさすが冨樫先生といったパワーバランスです。
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