HUNTER×HUNTER立志伝〜世界に追放された異能たち〜   作:ゆゆ式

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あなたが好きなものはなんですか?アニメ?映画?それともスポーツ?中でもサッカーとか?では、御伽噺は好きですか?気のいい妖精の友達。わるーいオオカミさん。よくありますよね。

そんなもの、また違う形で見てみたくないですか?


メルヘンチックね

 

 

空を舞う蝶。地を踏み締める優雅な鳥。木から滴り落ちる樹液を舐めて生きる輝く蛇。とても不思議な森。その中をニシヤは歩いていた。周りは、まるでおとぎ話の世界のよう。

 

そんな中で、ふと木のそばに小人のような影を見つける。さも不思議なものを見つけたかのように近づくと、その影が動いた。そして突然、ファンシーな光と共に姿を現す。

 

 

「やあ!少年!ここら辺に頼み事を聞いてくれる良い人がいるって聞いたんだけど、知ってるかい?どうしてもその人に頼みたいことがあるんだ」

 

「ああ、それ俺だよ。多分ね。色んなことやってるからさ」

 

「本当かい!?じゃあとりあえず聞いてほしいんだけど、僕困ってることがあるんだ!実は獣の王に反逆した悪ーいヒョウが僕の家を占領しちゃってさ!そいつを懲らしめてほしいんだ!」

 

 

棒のような手足に、丸と三角だけで作られた体。とてもデフォルメされた小人が、言うほど困っていなさそうな声色で頼み込んでくる。

 

ニシヤはそれに色良い返事を返し、その問題の場所まで案内してくれるという小人に着いていく。

 

そしてその先で悪ーいヒョウと対峙したり、小人と一緒に協力したりしながら、クエストを消化していった。

 

そして家を取り戻した時、小人からお礼を言われる。

 

 

「ありがとう。助かったよ。聞けば僕の弟たちもお世話になったようだし。君はとってもいい人だね!だから、そんな君には、とっておきのお礼をあげるよ!」

 

「何をくれるの?」

 

「それはね!僕たち兄弟の力さ!君が呼んでくれさえすれば、いつでも君の力になるよ!そして獣の王に会うならぜひ僕たちを呼んでくれ!きっと役に立ってみせるから!じゃあ、バイバイ!」

 

 

小人の体が光り輝く。そしてあのチュートリアルの少女に貰った、ブックを出すために必要な指輪から、6つの光が浮かんできた。そして光り輝く小人の元へとその光たちが集う。

 

やがてそれらの光は、少しずつ収束し、光が晴れる頃には、その場に一枚のカードを残した。これで、「やさしい少年のお遣い」は終わった訳だ。報酬は、このカード。

 

 

『A--20--7人の働く小人(26)』

 

主人が寝ている間だけ、代わりに働いてくれる小人。 ただし主人の能力を超えるほどの要求には応じない。

 

 

グリードアイランドを始めて一週間。15種目の指定ポケットカードゲット。そこそこの滑り出しだ。そしてキリのいいことに、そろそろ定期連絡としてジェイトサリと合流することになる。

 

プレイヤーの中にはグリードアイランドをまともにプレイもできない念使いもいると聞くし、成果としては十分だろう。慢心する訳ではないが、このままなら単独でもクリア近くまで行けるかもしれない。

 

そうすれば功績の視覚化の分、ジェイトサリ組の進行度にもよるが、あるいはクリア報酬のアイテム3個のうち1個はほぼ確実に入手できるかもしれない。

 

そのうえでジェイトサリ組の支援も受けられるという。かなり素晴らしい環境だ。しかしこのゲームのクリア報酬というのもなかなか予想外。

 

まさかゲーム内の指定ポケットカードを3枚だけ現実に持ち帰れるなんて。凄まじい。聞いた話だとどんな病でも治してしまうアイテムもあるとのことなので、その報酬の効果は推して知るべしだ。

 

小人がいた森を歩きながら、戦慄する。グリードアイランドが念能力により作られたのはわかるが、だからこそ末恐ろしいというか。

 

一体どれほどの念能力者が集まり、どれほどの制約を結んでこのゲームを作ったのか。少なくとも能力の規模から言って、ゲームマスターはこの島でずっと永住する必要があるだろう。

 

それほどのリスクを負わなければこのゲームは成り立たない。まったく恐ろしいゲームだ。そんなことを歩きながら考えて、しばらく。そこそこの時間森の中を進み、ようやく開けたところに出た。

 

 

「ブック」

 

 

呪文で指輪から本を出し、その本の中からあるカードを取り出した。そして、そのカードの機能を使うためカード名を口にする。

 

 

「"同行(アカンパニー)"オン。ジェイトサリ」

 

 

呪文(スペル)カードというものだ。魔法都市マサドラというところでのみ販売されている。効果は主にプレイに補助的な効果をもたらすものから、他プレイヤーへの妨害、移動する効果を持つカードなどがある。

 

そしてアカンパニーは移動スペル。呪文を唱え、目的の人物や場所などを言うことで、島内の好きなところへ瞬時に移動できる。ちなみにこのアカンパニーは、半径20m以内のプレイヤーを"同行"させることができる。

 

まあだからなんだという話だが。

 

そんなこんなしているうちに、スペルの効果により周囲を光の膜に包まれ、飛ばされる。飛翔音が耳に響き、独特な浮遊感を覚えた。そして僅かな時間、それに身を浸す。しばらくすると、目的地に近づいていくのがわかった。

 

上空へと昇り、その後直線を描いていた光の膜が空を降り始める。そして飛行音を周囲に響かせると、その勢いのまま、地面に降り立った。

 

 

「………」

 

 

光の膜が地面と衝突したことで解け始める。膜の向こう側に、人影などが見えてきた。そして少しすると、完全に膜が溶けて消える。

 

着地の衝撃から自然と曲げていた膝を上げ、ニシヤは立ち上がった。そして姿が露わになった人影の方へと向かう。

 

 

「ジェイトさん。お久しぶりです。そちらの方達はお仲間ですか?何か殺気立ってる気がしますけど」

 

「……ああ、君か。いや悪いな。実はかなり厄介なことになっていてな。まあ、それは後でもいい。君が来てくれて助かった」

 

 

髭もじゃの顔。厳つい雰囲気。ジェイトサリと、視線が交わった。そしてそのジェイトサリの奥では、草原に広がるように、一瞬前まで殺気立っていた人達がいた。全員ジェイトサリと同等程度のオーラはあるか。

 

ここ最近で相手の力量もなんとなく測れるようになってきたので、おおよそは目分量で測ることができる。念能力者としては、悪くない人達なのだろう。

 

そんな人達のうちのひとりが、先程までしていた構えを解き、口を開く。若干苛立っているのがわかった。

 

 

「おいジェイトさん。この子供が新入りか?なかなかの使い手のようだが、この緊急時にアカンパニーを使ってくるなんて。もしかしてまだ連絡してなかったのか?ジェイトさん」

 

「仕方ないだろう。こっちは対抗してきていたボナビ組がいきなりPKを仕掛けてきて忙しかったんだ。いくら強いとはいえ新入りを優先して見ることは不可能だった」

 

「まあ、そうだな。悪かったジェイトさん。そっちの、ユズくんも悪かったな。決して君が悪い訳じゃないんだ。実力もオーラからうかがえる。かなり幼い頃から鍛錬を積んだんだろう」

 

「いえ、ありがとうございます」

 

 

誠実そうな雰囲気をした男が、その通りの対応をしてくる。しかし途中聞こえてきた会話は、かなり物騒なものだ。PK。まあ有り得なくはない。GI(グリードアイランド)のクリア報酬は破格。

 

そのうえでカード化限度枚数という、他プレイヤーが明確な障害になり得る要素があれば、そりゃあいずれPKも起きる。そしてカード化限度枚数の弊害はもうニシヤも体験した。

 

一週間で15種というのは、カード化して得られたアイテムの事だけを指している。本来入手できていた、というものも含めれば20種以上にもなる。つまり通常得られるはずだった成果が4分の3になってしまったということだ。

 

これはかなり大きい数字。このゲームは一種でもアイテムが欠けていればクリアできないのだから、当然だ。となるとクリアを目指すためにPKに手を出す、という輩も出てくる。

 

ニシヤがそう考えていると、ジェイトサリがニシヤに向かって視線を投げかけてきた。そして今の状況を教えてくれる。

 

 

「状況はかなり最悪だ。向こうは事前に計画していたのか、既にスペルなどを保存してくれていたサポート枠の者たちは、30名近くのうちほとんどがやられている。主要メンバーもひとり殺された」

 

「それは、まずいですね。言っておきますけど俺まだまだ一般人だった時の感覚抜け切ってないから、対プレイヤーなんかそこまで想定してませんよ。もちろん自衛程度はできると思いますけど」

 

「それは構わない、とは言わないが最悪いい。それよりも主要メンバーのひとりが何の連絡をする暇もなく殺されたのが気がかりだ。おそらく条件発動型の何かだろうが、その条件が不透明な以上、脅威だ。まずいな」

 

 

ジェイトサリがぼやき、冷や汗をかく。周囲にいる主要メンバーも、今後の行動を緊張感を持って話し合っていた。そりゃあゲームの中は治外法権にも等しいのだから、多少の乱れはあるだろう。

 

だが今回は明らかに意図的。本気で殺しに来た念能力者は、どんな能力を持っているかわからない分、まだ念の戦闘素人のニシヤでもわかる怖さがある。

 

そしてジェイトサリが雇ったハンター達は、複数の念能力者と本気の殺し合いをするなどという想定はしていないはず。証拠に、ある程度の冷静な判断力を持ちつつも、周囲での議論は、明らかに焦燥を帯びて行われていた。

 

 

「ジェイトさん!どうする!?打って出るか!?連中が条件発動型の即殺能力を持っているなら、準備をさせないことが肝心だぞ!!」

 

「わかっている。だが闇雲に突っ込んでもボナビ組にやられるだけだ。奴らは強い。念を戦闘主体に据えている奴らだ。そんなイカれた奴らの相手はしていられない」

 

「……じゃあどうする?クリアを諦めるか?だがボナビ組は既に動いている。"離脱(リーブ)"のカードを持っているやつもいない。ここにいる何人かは死ぬぞ」

 

「それを言うなら何人かは生き残れる、だ」

 

 

意見が割れるとまではいかないが、その代わり結論も出されない。かと言って平行線という訳でもなく、場の空気はGIからの完全な撤退へと意識が傾く。

 

そんな中で、メンバーのひとりが、突然間抜けた声をあげた。

 

 

「あ」

 

 

不意に出たような声。それは議論に意識を集中させるこの場では相応しくない行動で、そのことを不思議に思ったメンバーの全員が、その声をあげた人物に視線を向けた。

 

急に集まった視線に、その人物は体をアタフタと動かす。だがそれは視線による混乱もあるが、それ以上の何かがある気がした。そしてこの場にいるメンバーが、その異常に気づきかけた時、湿った音が鳴る。

 

 

「………ッ」

 

 

僅かな硬直の後、その場にいた全メンバーが体を翻す。そして顔を青ざめさせ、音がした方向をほんの少しだけ覗き見た。

 

飛び散る肉片。空中にばら撒かれた大量の血。防御の意思がまったくなかったことで、実力差以前に簡単に頭を吹っ飛ばされている。だが幸いひとり殺られただけ。

 

ジェイトサリ率いるメンバーは、即座の判断でオーラを練り上げ、それを纏のように纏う。そして練と纏の応用技、"(けん)"へと移行した。ついで、先程まではいなかったはずの人影達に目を向ける。

 

地平線に沿って陣を組むように並ぶ4人の人物。

 

 

「あー、さすがにやれるのはひとりだけか。とりあえず散らしていくぞ。できるだけ逃がすな」

 

 

腕を血で濡らしたひとりが、面倒くさそうに周りに指示を出す。それに周囲の人物も応え、総勢4人の影がジェイトサリ組を囲った。

 

 

「な!?一体どこから……瞬間移動かッ!?」

 

「クソ!こいつら!」

 

「待て!話し合おう!俺たちはもうこのゲームを降りる!」

 

 

4人組の堅の練度とオーラ量に、勝ち目がないと判断したジェイトサリ組メンバーが、相手側に一旦の静止を求める。それに応えたのかどうなのか。ボナビ組と思しき組はひとまず動きを止めた。

 

 

「あー、そうか。そりゃあありがたいな。それで?どうやってゲームを降りたことを証明する?俺達があんたらを無事に帰して、メリットがあるか?」

 

「そ、そんなことッ!……ここで我々と戦わないというだけでも十分メリットはあるだろう」

 

「そうか。そうだな。それだけか?じゃあ、行くぞ」

 

 

クジラの髭で三味線弾く(シーシングオーディエンス)

 

 

聞くだけ聞いた(仮称)ボナビ組が、オーラを高め能力を発動させる。それによって風体を明らかに変えたのは、話を主導していた者だけで、それ以外は一見何もしていないように見えた。

 

だが確実なオーラの高まりを感じる。まだ四方は囲まれていないが、前方と側面は完全に退路を絶たれた。

 

今草原で対峙するのは、ジェイトサリ組5人、+ニシヤ。そしてボナビ組4人。人数だけならこちらの優位にもかかわらず、形勢は逆。及び腰のジェイトサリ組に対して、余裕のボナビ組。

 

まさかそんな状態でジェイトサリ組が突撃できる訳もなく、結果、ボナビ組が動き出したことで状況に変化が起きた。

 

4人いるうち、あまり包囲の役割を果たしていないひとりが、包囲網から抜け出して逃げる機をうかがうジェイトサリ組に突っ込んでくる。そして前線に佇むこちらのメンバーのひとりに、能力を発動させた。

 

 

炎の四重奏(タイムドスタンプ)

 

 

炎が生まれる。メンバーのひとりが業炎に包まれて、しかして生きていた。それは一体なぜか。困惑するメンバーに、そしてその後ろにいるニシヤ達に、襲撃してきた能力者は教えてくれた。

 

 

「俺の能力は炎の四重奏。タイムドスタンプ。相手に触れると炎を放出し、炎上させる。そして触れれば触れるほど威力が上がる。お前らなら、まあそこそこの回数触れたらもう戦えなくなるだろうな」

 

 

射程と威力を最初に捨てることで、実質青天井に威力をかさ増しする能力。単純だが考え抜かれている。団体戦でも単独戦でも厄介。そして今は団体戦。この炎の能力者に構ってばかりもいられない。

 

 

問答無用の私人警察(ピキュリアルバイアス)

 

 

具現化された手錠を持つ男が、こちら側に向かってくる。最初に能力を発動させた者も、ゆっくりと動き出した。

 

そして既に、ジェイトサリ組のメンバーは怯みながらも孤立した炎の能力者に殺到した。そこでは完全な5対1。いくらなんでも勝ち負けは明白。だが、貴重な威嚇要員がそう簡単に捨て駒になるはずもなかった。

 

雄叫びをあげながら炎の能力者に突っ込むジェイトサリ組。そこに、敵後方からの一撃が浴びせられた。

 

鞭状の腕、か。何かそのようなものが、前線を荒らす。本来そこだけなら優位だったはずのジェイトサリ組が、完全に退避の方向に舵を切る。

 

そしてそこに手錠の男と炎の能力者。そしてもう1人静観していた人物が追撃に向かってくる。逃げる余地は完全になく、ジェイトサリ組の全員は交戦を余儀なくされた。

 

ニシヤを除いて。

 

そう、ニシヤは戦いに巻き込まれていない。おそらく舐められているのだろう。あとは単純に、戦力がある程度拮抗しているから加わらなくてもなんとかなるのか。何にせよ、ニシヤはどうするべきか迷っていた。

 

いや、別に逃げるつもりはない。周囲に他に敵がいないとも限らないし、ボナビ組が動き出したことで、他の潜在的プレイヤーキラーが動かないとも限らない。

 

だからひとりになるのはむしろ危険。それよりも、じゃあどうするべきか。少なくとも、ニシヤが目の前で繰り広げられる格闘に身を寄せれば、敵を最低ひとりは釘付けにできるだろう。

 

拘束系の能力者と相性がいいかもしれない。しかしそれだけで状況を打開できるのか……無理だろう。ならあとはもうひとつの選択肢を取るしかない。一か八か、この場での能力作成。

 

既にイメージは済んでいるから、あとは実際に使うだけ。だがその能力でも、果たして状況を打開できるかどうか。だがとりあえず動かないとどうにもならない。

 

なのでニシヤは、ひとまず立ち上がった。そして、ちょっとした裏技を使うことを決意した。ひとまず向かうべきは最初に殺されたメンバーの体が飛び散っているところ。そこに向かい、肉片の一部を採取した。

 

だが、生で見た遺体に吐き気を覚える。実際触った感触に、顔の血が一気に脈打った。それでもやるしかないので、そこで能力発動を念じる。ニシヤのオーラの高まりに、戦場をひとり俯瞰していた敵が手を出そうとしてくるが、それよりもニシヤの能力の方が早かった。

 

 

お釈迦な年頃(ランゲージリンク)

 

 

能力が、発動する。

 




なんか思ったより評価が得られてないですにゃ。
やっぱ完全無名だときついですかねー。匿名の時はルーキーランキングに乗れたから駄作とかでも評価されたんですけど。まあこのまま連載は続けます。完結は保証してますので。
運がなかったと割り切ろう。




あと1話目のあとがきの考察はだいぶ削りました。読み味を壊しかねない考察まで混じっていたので。見てしまった方はごめんなさい。それでも作品を面白く読んでいただければそれが幸いです。
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