カンッ……カンッ……と、私とお姉さんが、飛行艇の中に入るための鉄の階段を登る音が、飛行艇のエンジンの、ボボボボボボ……という大きな音に掻き消される。
「さぁて、リーシャンちゃんは、アタシと一緒に窓際に決定ね!」
お姉さんは、ゆったりトコトコとした私の歩みにペースを合わせて、さらに手まで繋いでくれる。前までは、お姉さんが『今はアタシが親の代わり』みたいな事を言った時に、正直に言っちゃうと、あんまり期待してなかった。優しいけど、それ止まりだって。……路地裏のスラムの人よりもマシだけど、お母さんには代えられないって思ってた。
だけど、お母さんとお姉さんは、今は同じくらい大切な、私の家族。それだけは……まだ知識が足りない私だけど……理解できる。
「……お姉さん……ありがとう」
なんだか急に、上手く話せなくなっちゃった。風に掻き消されるような、そんな小さな声で私は囁いたけど、お姉さんが、被さるように話し始めてしまった。
「どうかしら!?こことか、ほら!リーシャンちゃんにぴったりじゃない?」
…………お姉さんは空気が読めないことも、いま分かった。
せっかく言ったのに。……まぁでも、窓際に座れるなら、文句はあんまりないけど。
私が先に椅子の列に入って、窓際の席の前に入った。
ドサッと座り込むと、ふかふかじゃなくてカチカチで、ちょっとお尻が痛くなった。お姉さんのお家のふかふかなソファと同じ感覚で座ってしまったから、反動もより強かった。
隣の椅子に、お姉さんが丁寧に座った。……すごい。この椅子がカチカチだって、もうお姉さんはわかってたんだ……!
「……あらっ……?……リーシャンちゃんに、こんな椅子に座らせたりなんて出来ないわ!……ということで、リーシャンちゃんはアタシのお膝の上で良いわね?」
「え?」
私が答える隙もなく、お姉さんは窓際の席に座り、膝の上に私を乗せ始めた。
……えっと……同じ席に2人って、良いのかな……?
「今はアタシが安全帯よ!安心しなさい!」
「……わ、わかった」
さっきまではエンジンのガタガタという振動が椅子から少しだけ伝わってきていたけど、今はお姉さんの、トクットクッ……という鼓動をたくさん感じる。……なんか、寝る前にお腹を優しくポンポンされてるみたいな感覚で……。お姉さんの言う通り、安心出来たかもしれない。
期待を胸に窓の外を見ると、バイトコルの外壁しか見えなかった。……森は反対の席から見えるみたい。
移動しようかとも思ったけど、空に出ればどっちも綺麗だろうし、お姉さんに身を委ねて、リラックスすることにした。