長い。お姉さんの実家は、飛行場から結構遠いみたい。
「リーシャンちゃん、あと5分くらいだから、ほっぺぷくってしないで〜?」
……気づいたら勝手にほっぺが膨らんでた。私の体は、しっぽといい耳といい、自分の意思に関係なく動くことが多いことを、改めて実感した。
寝ちゃおう!飛行艇でたくさんはしゃいだから、ちょっと疲れちゃったし丁度いいよね!
「……すぴぃ……」
「……あら、寝ちゃった?……早い……わけでもないかしら。子供だものね」
————「リーシャンちゃん、起きて?着いたわよ〜?」
「……んぅ……すぴき……」
「すぴき……?」
「すぴぃ……」
「……まったく、仕方ないわね……」
————起きたら、なんか綺麗な部屋の中にいた。
えっと……お姉さんの実家……でいいのかな?
お部屋はすっごく広くて、私が……えっと……100人?いやもっと……?ギューギューに並べれば200人くらいは入りそうなお部屋だった。金色を基調とした赤いカーペットだったりがザザっと敷き詰められてたり、このベッドはすっごくフッカフカだったり……。
お姉さんはどこだろう?勝手に動いていいのかな?……まぁ、いっか!外でちゃおーっと!
ググッ……と力を込めて、重い木の扉を動かして、ようやく廊下に出れた。たぶん、魔条の建物の大半は、魔族であることを前提に作られてるから、私にとってはちょっと重いんだと思う。
「……うーん。……どっちいこう」
広すぎて、どっちにいけば何があるのかも分からないし、そもそも私がどこにいるのかも分かんない。今出てきたのはたぶん、誰かの寝室。私一人で使っていいのか……それとも、お姉さんと一緒なのか。……まぁ、どっちでもすっごく良いから、それはどっちでもいいか!
(……お姉さんは、私にシーアルさんに会ってきて〜って言った時、たしか、食堂を右に行くって言ってたよね。結局は左だったけど……うん、右にしてみよう!)
高級そうな漆黒のランプが一定の間隔で壁に掛けられてて、基本的にはずっと明るいままだ。……火を維持するの、大変じゃないのかな?……それとも、魔法具なのかな?
どちらにしろ、ランプの位置が高すぎて、私があと2人は上に重ならないと手が届かなそうだから、気にせずお屋敷探検を続けた。
どのお部屋も同じ扉だから、中を開けないとどんな部屋かは分からない。中に人がいたりしたら気まずいから、ただただ廊下を歩くだけになってるけど、それでも新鮮だ。お姉さんのお家よりも広いんだもん、楽しくて仕方がない。