お姉さんの実家で暮らし始めてもう5時間。……たったの5時間?
私はいま、ものすごくタメになるお話を聞いてる!
「よいか?まず礼儀作法についてだ!貴様のような軟弱な少女は、まず凡人どもの心を支配するのが肝心というものよっ!ハッハハッハ!」
「しはい……する……っ!」
「そう、支配するのだ!それこそが貴様の生きる術よ!」
実家の執事さん……なのかな?いや……でも服は執事さんっぽくはない……。
お姉さんが「アタシの認める、最高に丁寧な人よ!」と言って呼んできた、マナーを教えてくれる人は、魔族の元気なお兄さんだった。お姉さんよりは低いけど、人間族と比べたらやっぱり高身長なはずだ。たぶん。
えっと……丁寧ってこういうことを……いうのかな……?このお兄さんが……?
真っ赤な貴族の服を着て、髪の毛も、魔族は普通は銀色の髪なのに金髪でかき上げてるし……なんというか、チャラくて……高そうな服に見合ってなさそうなのに、顔が良いせいで似合ってしまってる……みたいな?そんな人だ。
「まずは愛嬌!貴様のその魅力の原石、オレのように存分に磨かれなければならん!今日のオレは気分が良い!なにせ、久方ぶりに帰ってきた姉から直々に、『アタシの可愛い子ちゃんを任せるわ!』などと頼まれたから故にな!ハッハハッハ!今日はハメを外してやろうというものだ!」
……あ、これ……お姉さんの前では猫被ってたタイプの人だ……!……いや、というよりは……お姉さんが昔の印象のまま呼んできたってことなんじゃ……?
たぶん、お姉さんが実家にいた頃には礼儀正しいお兄さんだったけど……お姉さんがお母さんと一緒に家を出たのはたしか240年前……くらいだっけ?……その間にこうなった……のかな?
「ハッハハッハ!まずは自己紹介からするとしよう!オレの尊名を脳に焼き付け、バイトコルの凡人共に語り広め崇めるがいい!ハッハハッハ!!」
「……うぉーっ!」
椅子に座ったまま右腕を上げて、勢いよく声を上げてみた。
するとお兄さんは、両手を大きく広げて自慢気に名前を言い放った。
「我が名はヴァロストロ!テンダーネス家の神童にして……この世界の王になる男である!ハッハハッハ!!」
ヴァロストロ……。じゃあ、フルネームはヴァロストロ・テンダーネスってことかな?……まぁ、お姉さんと同じで……私に悪いことしたりはしなさそうな人だ。やっぱり、スラムの人たちが乱暴なだけなんだよねきっと……ふへっ……。
[6月28日/お知らせ]
私生活の事情により、1週間ほど投稿はお休みさせていただきます!
キャラクタープチステータス:
⑪ヴァロストロ
年齢:248歳
身長:182センチ
種族:魔族
好み:酸っぱいもの
好きな人:自分