お姉さんのお家で、今日も明日もほのぼの生活   作:TTKTW

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第三十二話 小さな子供と大きな子供

 

 お姉さんの弟、ヴァロストロさんとのマナー講座を受け始めてはや10分。私のマナーの知識は、みるみると向上していった!

 

 椅子に座らされた私は、机を挟んでお兄さんと話をしている。この10分間、みっちりと教えを叩き込まれた私は、まえの私とは別人のように進化しているんだ!

 

「……しずかにしろっ!……ぼんじん!」

 

 ふんすっ……と、自慢気になりながら私が声を張ると、広〜いお部屋に声が響き渡る。廊下にも聞こえていそうなことを考えると、ちょっと恥ずかしい……かも?

 

「そうだ、それでいい!オレの指導が丁寧で正確であることが証明されたな!ハッハハッハ!!」

 

 ヴァロストロさんが、お姉さんがやってくれるみたいに私の頭をよしよしと撫でてくれる。性格はぜんぜん違うけど、似てる部分もやっぱりあるみたい。

 

 私の髪一本一本が、手に合わせて整えられるのがよくわかる。撫でられる側の私でも感じるのだから、たぶん、ヴァロストロさんはもっとサラサラな髪を感じているんだと思う。……ちょっとずるい……あ、いや、私の髪なんだ……。

 

 改めて思うけど、お姉さんのお家のシャンプーとか、リンス……と、あと……コンディショナー……だっけ?あれは本当にすごい。ボサボサだった私の髪が、高級なシルクみたいになるんだもん。

 

 私が孤児になる前、まだマシな生活ができてた時も、シャンプーなんてのは存在すら知らなかったし、お姉さんが取り出した石鹸にビックリしてたの、懐かしいな……。

 

 

「次は第二ステップだ小娘!オレの姉からの要望は『会議に連れて行っても問題のない水準』にすること、故に!よく聞いておくことだ!!」

「わかった!」

 

 思い返すのはあとにして『礼儀作法は、まずは気持ちから』。それを心がけて、目いっぱい元気に返事をした。

 

「第二に……!……決して相手のペースに乗せられるようなことがあってはならんということだ!」

「ペースにのせられるっ!……って、どういう意味?」

「それはだな!まさに今の貴様のような状況のことをいう!ハッハハッハハッハ!!」

 

 ヴァロストロさんが、私のことを指さして楽しそうに笑っている。

 

(……つまり、相手の話を聞かなければいいってこと……なの?いやでも、お姉さんは私の話をちゃんと聞いてくれるし……うーん……。)

 

 とりあえず、言われた通り、ヴァロストロさんを知らんぷりしてみることにした。

 

 ひょいと椅子から降り、走り出してヒューッと風を感じながら部屋の扉をググッと力を込めて開き、そのまま駆け出していった。

 

「……なっ!?おい!どこへ行く!?オレの権力をもって命ずる!戻れ、小娘!」

 

 私が部屋を出てから数秒後、ようやく私が何をしているのか気づいたのか知らないけど、部屋の中からヴァロストロさんのおっきな声が聞こえてくる。廊下にいてもこの声量なんだもん、やっぱり外に出て良かったぁ〜!

 

 『相手のペースに乗せられてはいけない』。この言葉を信じて、私は廊下を駆け回った。たぶん、これでヴァロストロさんが追いかけてきたら、私の勝ちってことだよね……?そういうことだよね?

 




[7月4日(土)お知らせ]

執筆再開します!これまでどおり、『不定期更新』とはなりますが、うちのリーシャンちゃんの物語をこれからも楽しんで下さいね!
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