おっきなお城の中に入ると、当たり前といえばそうなんだけどもすっごく広い。外観は内装と比例するんだね……。
見て回ってみたいけど、たぶん怒られるから辞めておく。私の仕事は、お姉さんについていくことだ。
「……こちらです」
「あら、ありがとう」
なんと、お城の中を案内してくれる人もいるみたい。誰だろうと思って、お姉さんの背後から覗き見てみた。
その人は、銀髪を左右に分けて真ん中をあけた髪型で、2本の角が上に向かって伸びている、スーツ姿の男性の魔族さんだった。なんていうんだっけ……ジトジトしてる感じの目だから……そう、ジト目!ジト目で優しそうな雰囲気がする。
まぁ案の定、見たところで誰かなんて分かるわけもなくて、私はそのままお姉さんの後ろをついていった。お姉さん以外もみんなデカくて、私の小ささが際立つ……。……い、いや、違う!これはあくまでもコンパクトなだけで……スペースを占有しないというか……!
「……リーシャンちゃん?どうかしたのかしら?」
「……いや、お姉さんって大っきいなぁって……」
私がそう言うと、お姉さんはきょとんとした表情で私の方を見つめてきた。
「リーシャンちゃんだって、いつかは大きくなれるわよ。今はアタシのところで育ってるし、ご先祖様に魔族もいるでしょう?普通の猫族のハーフよりは大きく成長できるはずよ!」
「……安心してください。……貴方も、既に大きいですよ。なんといいますか、かなりモコモコしていて……」
魔族のジト目さんが口を挟むと、お姉さんがいきなりその人の手を握り始めた。
「貴方、分かってるわね!そう!リーシャンちゃんは、とってもと〜っても!ビッグな存在なのよ〜!」
「えっと……あ、そうですね……」
「うん。……まぁ、いつも通りだねっ!」
ジト目さんが、お姉さんを見上げながら困惑してる。改めて見ると、やっぱりお姉さんって魔族の中でも結構高いよね?
ヴァロストロさんも、たぶんお姉さんよりは少しだけ小柄で、目の前のジト目さんだってお姉さんより低い……。
え……?これ、私が大っきくなってもずっとお姉さんを見上げることになるんじゃ……?
「……まぁ気を取り直しまして……こちらです」
「ふふっ……ありがとう。案内お疲れ様よ」
お姉さんは、私に優しくしてくれる人に対してはすっごく優しくなる。まぁ、それは嬉しいから、別に良いんだけどね……。
ジト目さんが案内してくれたのは、お姉さんよりも一回りくらい小さい扉の前だ。ここで会議するのかな?
お姉さんより小さい扉とは言っても、私が背伸びしても届かなそうな感じだ。……いや、当たり前か……。
「さぁ、行くわよリーシャンちゃん。アタシのお膝の上で大人しくしてるだけで可愛いいから、それがお仕事よ!」
お姉さんが気分よく脚を前に出した時、私の頭上の上の上から、ゴンッ……!と鈍い音が聞こえた。
「痛っ……くない、痛くないわよ……!」
「……?ゴンってなに……?なんの音?」
「あ、あはは……!別に何でもないのよリーシャンちゃん……!壁に鳥でもぶつかったんじゃないかしら……?」
……私には分かる。話し方的に、お姉さんはなにか隠し事をしてる。私に言えないことがあるだなんて、なんか信頼されてないみたいでちょっとイラッとくる。
「む……っ」
「……あぁ……!睨んでても上目遣いが可愛いぃぃ……!!」
……そうだった。私がどれだけぷんすかしてても、お姉さんから見たら小さい猫にしか見えないんだった……もう……仕方ないから、寛大な私はお姉さんを許してあげることにした。