ロドアさんの鋭い眼光が私を突き刺して、はや数秒……周りのおじさん魔族さん達もみんな座り直したりし始めた。そ、そんなにやばい……?いや、やばいよね……あたりまえだ……。
お姉さんの細くて、しかし力強い腕が、私を囲むように動き始めた。冷たすぎる空気とは違って、お姉さんの腕の中はすっごく温かい……。
……って、こんな安心してる場合じゃない……!助けてぇ……お姉さん……!
私が冷や汗をかいていると、ついにロドアさんが口を開き始めた。
「——面白い小娘だ」
「……え?」
紡がれた言葉は、私の想像していたような怖い言葉じゃなくて、まるですこし笑っているかのような……いや、ロドアさんの顔はぜんっぜん笑ってないけど……!
「思えば、この会議で、私の意見に否定的な見解を述べた者は一人もいなかった。会議とは名ばかり……全てがただの確認作業と化していたが……お前のような若い子供が、ここの者達を差し置いて先駆者と成るとはな」
お姉さんの腕から、少しだけ力が抜けた気がする。
「……良かったわね、リーシャンちゃん!貴方、褒められたわよ〜?」
「……丁重な場に子供を連れてくることは、まったくもって褒められたことではないがな」
……またお姉さんの腕に力が入った。……私の心配っていうよりは……なんか怒ってそう。でもたしかに、ロドアさんの言うことも正しいし……お姉さんの味方にはちょっと慣れないかも……。いやでも、私がついていきたいって言ったわけだし……あれ?でもお姉さんが寂しかったから、私はついてったんだよね……?
「……悪かったわね」
「……あぁ。後ほど、その幼き淑女をじっくり見せてもらおうか」
「え?」
後ほどじっくり見せて……??
ロドアさん、やっぱり怒ってる……!?許したフリして、すっごい怒ってるんじゃ……!?あとで呼び出すなんて、怒ってないとぜったいやらないと思うし……!
「リーシャンちゃんは渡さないわよ……!?危ないことなんてさせないんだから」
「……決して譲渡など求めていない。個人的に興味が湧いただけだ」
「そこを危ないって言ってるのよ!」
お姉さんが私をギュッと抱きしめ…………ちょっと……力強いかもぉ……!!
「ふ、ぐっ……」
「アタシのリーシャンちゃんを奪おうだなんて、1200年早いのよ……!」
「奪おうとするつもりなど………………ふむ。私に怒鳴る前に、少し肩の力を抜いてはどうだ?」
ロドアさんがそう言うと、お姉さんがハッと息を吸って腕に込めていた力を抜いてくれた。……危ない危ない……またお姉さんのお家での二の舞になるところに……。
「……ごめんねリーシャンちゃん……あとでたっぷり、甘い物を食べさせてあげるから……」
「許す!」
「流石はアタシのリーシャンちゃん〜っ!!」
大事な会議中だっていうのに……お姉さんに抱きしめられて、みんなに注目されて恥ずかしい……。……まったく、お姉さんたらどこでも私をこうやってしてくるんだから……。