ロドアさんにはたぶん許してもらえたから、安心してお姉さんに身体を預けて座っていると、なんだか眠くなってくる。
……いっそのこと、寝てたほうが良いかなぁ?また変なこと言い始めちゃうかもしれないし……。
「……話を戻そう。結論として私は、安易に排除の方向性を辞めるつもりは無い。……だが、そこの幼き淑女の言う通り、いささか早計過ぎたかもしれん」
「……ん?……えっと……つまり?」
「私が直接赴こう」
……今もしかして……私の一言で名前も知らない人間族たちの街を一つ救えたってこと……!?
あぁでも、それこそ早計ってやつかな……?結局どっちが悪いのかも分かってないし……。
「……良かったわね、リーシャンちゃん。世界を救えたわよ?」
「せ、世界を?……やっぱり、そうかなぁ……?ふへへ……えへ……」
お姉さんは、私の耳を優しく折り畳むようにしてゆっくり撫でてくれる。……たぶん、私を怖がらせないように配慮してくれてるんだろうけど……。流石にそこまで子供じゃないんだからねっ!
……会議の広いお部屋のなかには、お姉さんのおなかに私の尻尾がペシペシと当たる音が、静かに響いている。
「……今回の会議はこれにて終了とする。次回の予定は未定だ。決まり次第文通を送る」
「……もう?ロドア様、流石に早くはありませんか?」
「これ以上、何を話すというのだ。時間は効率的に扱え」
……え?終わり!?
始まるまでは長いのに、会議ってこんな早く終わるものなの!?
「……想定外だけれど、まぁ早く終わるに越したことはないわね。帰りましょリーシャンちゃん!」
「うん!」
お姉さんに手を引かれて、出入り口の扉に向かう。
会議前には鳥さんがぶつかってたらしいけど、今見ても鳥さんはどこにもいない。……もう外に逃げたのかな?
「さぁ、お家に帰ったらなにしましょうね〜?」
ゴンッ……
「……?」
「あら……お空が綺麗ねぇリーシャンちゃん?」
「お空、見えないけど……」
何の音かは分からないけど、お姉さんが気にしてないし、たぶんあんまり大事なことじゃないよね!
気を取り直して、広々としたお城を抜けて、外に出ようとした……んだけど……。
「ふむ。……やはり、上質な手触りだな」
「貴方いったいどこから出てきたのよぉぉ!!」
ろ、ロドアさんが頭なでてきた……!なんか、お姉さん以外に撫でられるのって久しぶりかも……。お母さんとお父さんぶりだ……!
「ふふ……」
「リーシャンちゃん!?ちょっと、リーシャンちゃんが嬉しそうなんだけれど!?」
「当然だ。私は日々、妹の頭を撫でている。いわばその道を極めし者だ」
「カッコよく言うんじゃないわよこの変態!!」
お姉さんが……って、は、速いいぃぃ!!?
……あ、あっという間にお姉さんの実家に着いちゃった……すごい……。
周りを見渡しても、ロドアさんはいない。……お姉さんには内緒だけど……もうちょっと撫でられてたかったかもなぁ……。
私を抱きかかえるお姉さんの髪とおでこは、すこしだけ汗で湿っている。いつものお姉さんとは違う、ちょっと酸っぱい匂いが、私の鼻腔を刺激した。