アルコさんとグラジアさんの、昔のお話が少しずつ分かってくる。
お姉さんは急かすように、片足でトントンと床を軽く叩いている。
「……それで、そのあとは?もったいぶらないで教えなさいよ」
お姉さんがアルコさんのデスクに両手を広げて置いて前のめりになっている。ちょっと圧を感じたのか分からないけど、アルコさんは少しだけ椅子の奥に身体を動かした。
「……フォッフォ、そんなに気になるかの?」
もちろん気になるに決まっている。さっきから少しずつ話が進められているから先が気になって仕方がないんだもん!
「気になる!」
「フォ〜。可愛い孫娘の頼みじゃ、話してやろう」
アルコさんは目を細めて、人差し指と親指で自分の白い髭をよじるように触り始めた。……気持ちかったりするのかな?……いや、私の髪のほうがたぶんサラサラで触り心地はいいはず……。
「孫娘……!?」
お姉さんのお顔が、酔っ払ったみたいに真っ赤になってまたすぐ戻った。孫娘……すごい、理由はよく分かんないけど、孫娘って言葉はお姉さんを驚かせることが出来るみたい。
「……なんじゃ?話そうと思っておったのに。孫娘じゃろ」
「……そうだけれど……!いいのよ!早く続きを話しなさい!」
アルコさんが溜息をついて、やっと話をし始めた。
「儂がグラジアの顔をぶん殴ったら、良い感じにクリーンヒットしてのぉ。その後は飛行艇に乗せてバイトコルまで送ってやったわ!フォッフォッフォ!」
アルコさんは顔を上げて大きく笑い始めた。デスクに手を叩きつけて楽しそうに肩を揺らしている。思い出しただけでそんなに面白いなら、私もちょっと見てみたいな……今度グラジアさんに会ったら頼んでみようかな……?
「……屑ね」
「いーや、儂は間違っとらんぞ。だって先に襲われたの儂だし」
お姉さんが屑って言ったから、私もアルコさんはクズなんだなって思ったけど、アルコさんの言い分を聞くと、それも正しい気もする……。
「……たしかに」
「フォフォ……!どうじゃヴァーち、リーシャンは儂の味方のようじゃぞ〜!」
「はいぃ!?絶対に違うわよ!リーシャンちゃんはいつでもアタシの味方なんだから!」
「……フン。負け惜しみは社会じゃ通用せんぞヴァーち。ほれリーシャンや、どっちの味方なんじゃ?」
——クズだったー!!
そんな難しくて片方しか幸せにならない質問を私にふっかけてくるなんて、このアルコさん、なかなかに性格が悪い!バイトコルの路地裏の適性が大アリだよ!