お姉さんのお家で、今日も明日もほのぼの生活   作:TTKTW

47 / 47
第四十六話 気遣い

 

 キッチンに向かおうとして、お姉さんの後ろをトテトテと歩いている時だった。アルコさんとお姉さんが言い合いをしている時、ヴァロストロさんが何故か窓から部屋に入ってきたのだ。

 

 さっきまでとは違って、あまりにも唐突な登場にみんなビックリして、部屋の中は一人一人の呼吸の音が聞こえるくらい静まり返ってた。

 

「ハッハハッハ!どうした?オレの覇気を前に言葉も出んか!」

 

 ヴァロストロさんは相変わらず、何故か金色の髪を左手でかきあげながら身振り手振りをして話している。すっごいオーラだ……!なんというか、ぜんぶ良い話に聞こえる……かも!

 

「……ゔぁ、ヴァロストロ……?」

 

 私がウキウキで師匠の言葉に耳をピクピクさせていると、お姉さんが怪訝そうな声を出した。周りが静かだから、声がよく通ってる。お姉さんは銀髪を靡かせて、ヴァロストロさんのことを驚いた目で見た。

 

……そういえば、本人に聞いてないから、合ってるか分からないけど、たぶんヴァロストロさんって、お姉さんの前だと猫被ってたんだよね?たぶん……。

 

 

 ヴァロストロさんにマナーを教えてもらったときに、お姉さんの言ってた言葉と、実際のヴァロストロさんの雰囲気がすごい違ったから、そんな感じがしたけど……。

 

「ハッハハッハ!どうした姉上?弟の成長に目を奪われてしまったか?ハッハハッハハッハ!!」

 

ヴァロストロさんの声が、絨毯に吸収されてもなお部屋中に響き渡る。声を遠くまで出す練習とか、してるのかな……?

 

 ヴァロストロさんが窓枠に腰を掛けて、金髪をヒュウヒュウと風に靡かせていると、お姉さんが足音も立てずに、ビュンとヴァロストロさんに詰め寄った。

 

「ヴァロストロ、貴方いつからそんなグレちゃったの……!?小さい頃の、あの敬語を使っていたヴァー坊は!?」

 

 お姉さんがヴァロストロさんの両肩を掴みながら言うと、ヴァロストロさんはいつも通りハッハハッハと笑っている。遠くでザーザーと風で揺れる木の音を掻き消す勢いだ。

 

「ハッハハッハ!アレか?……アレはオレなりに姉に配慮してやったまでよ!大人しかった過去のオレが、いきなり王の風格を見せつけてしまっては驚いてしまうだろう?初回サービスというものよ!ハッハハッハハッハ!!」

 

 ……あ、そういう配慮してたんだ……。

 

 ヴァロストロさんがいつも通り髪をかきあげると同時に、お姉さんは自分のこめかみを軽く押さえて溜息をついた。

 

「はぁ……リーシャンちゃん、こんなのになっちゃダメよ……?」

 

 お姉さんの声が、ちょっとだけ低くなった。なんでか分かんないけど、なんとなく耳がペタンとなった。

 

 あぁ……やっぱりお姉さん、ヴァロストロさんが変わっちゃって悲しんでるのかな……?

 

 でも別に、私が会った時にはもうこのヴァロストロさんだったから、違和感はないけど……。なんなら、路地裏で暮らしてた頃の私の憧れの暮らし方というか……。

 

「……うーん、でもカッコいいよ?」

「……リーシャンちゃん、遠慮しなくていいのよ。この変わり果てた子は放おっておいて、キッチンに向かいましょう?」

 

 ……遠慮?何のことか分かんないけど……まぁ、キッチンに行けるならオッケー!

 

 アルコさんも最初はキッチンに向かう私達を止めてたけど、ポカンとしている内に私達は横を通って行ったのであった。

 

 扉をバタンと閉めたあとも、ヴァロストロさんの笑い声は廊下にまで響いていた。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

未実装・闇落ちキャラに救いはあるのか(作者:ねこ)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

(救いは)ないです。▼前世でプレイしていたソシャゲに転生したものの、未実装・闇落ちキャラ「比良坂クオン」になってしまった。▼何とか闇落ちしても「もとはいい人だったから」と同情を買って助けてもらいたいと努力するが、そういう足掻きは人の心をかえってくちゃくちゃにしたり、疵を残したりするものですよ?▼


総合評価:2918/評価:8.26/連載:13話/更新日時:2026年09月01日(火) 13:09 小説情報

悪役令嬢の私が追放された先の世界で機械人形に乗って無双しますわ~!(作者:エスカド)(オリジナル:SF/冒険・バトル)

アーデニアム公爵令嬢レタリアは、聖女と崇められる妹を階段から突き落としたという冤罪で、転送魔法による追放刑に処された。▼――だが、光に包まれた先で彼女を待っていたのは、遠い異国ではなく、全方向に星々が輝く「宇宙」という名の未知の世界だった!▼言葉も通じず、ならず者に捕らえられ、ボロボロの機械人形(マキナ)に「囮」として押し込められるレタリア。しかし、彼女の「…


総合評価:211/評価:7.33/連載:143話/更新日時:2026年10月04日(日) 20:39 小説情報

ニチアサ系世界に転生したTS魔法少女は悪の幹部をやりたくない(作者:なはた)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

▼フィジカルよわよわなTS銀髪魔法少女がクール系敵幹部を必死に装いながら魔法少女達と戦うお話。


総合評価:3669/評価:8.53/連載:14話/更新日時:2026年07月24日(金) 12:38 小説情報

乙女ゲーの悪役負けヒロインにTS転生した〜死にたくないので真面目に大人しく聖女を目指します〜(作者:クソ雑魚メンタルリシテア)(オリジナル:ファンタジー/恋愛)

とある平民の少女"マリー"には前世の記憶が存在していた。▼それは前世では現代日本の少年で車に轢かれそうな母娘の親子を助けて代わりに轢かれて目が覚めた時には転生していた。▼今世は女の子で中世ヨーロッパな世界で少し不便を感じながらも今世は母親と楽しく過ごしていた所に母親から15歳の誕生日の前に教会にお参りに行こうと言われ教会の名前を聞いて驚愕…


総合評価:529/評価:7.45/連載:53話/更新日時:2026年10月03日(土) 12:43 小説情報

TS上位存在(作者:甘朔八夏)(オリジナル:現代/ノンジャンル)

「全部あなたのせいだ」▼「お前ら苦しみたいのか?俺みたいに」▼「消えろ!!あんたの事なんか認めない!!天使は悪じゃないといけないんだ!!!」▼「あなたに守られたからあなたを傷つけてしまったから、ぼくの人生はめちゃくちゃだ」▼「そんなにやさしく、『近づくな』って言わないでほしいな」▼「……私は1人じゃないといけないから(人間さんエッッッッロ…………)」


総合評価:3745/評価:8.77/短編:9話/更新日時:2026年07月03日(金) 14:51 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>