お姉さんのお家で、今日も明日もほのぼの生活   作:TTKTW

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第四十八話 保護者

 

 私の瞳を真っ直ぐ見つめる茶色の毛の猫族の女の人。背は私より頭一個分くらい高くて、でも優しい顔つきをしている。

 

 綺麗な青色の瞳で、お姉さんみたいなすっごい端正な顔ってわけじゃない。だけど、安心出来る気がするっていうか、この人も信頼できる気がする。

 

 お姉さんと最初に路地裏で会った時はすごい怖かったけど、この人にはそれがない。……それは、私が今は幸せだからなのか、この人の雰囲気がそうさせてるのかは、よく分かんないけど。

 

 

 そういえば、なんで私の名前を知ってるんだろう?お姉さんが教えたのかな?お姉さんたら、いつも私のことを名前で呼ぶから、どこかで名前が聞かれちゃったのかな?

 

「……本当に……リーちゃん?」

 

 あんまり顔を近づけてくるものだから、お姉さんが前に出て、私と猫族の人の間に入ってきた。猫族の人はお姉さんを怖がったのか、ちょっとだけ後ろに下がった。耳がペタンってしてて、尻尾が……

 

 あれ……?尻尾が無い……?この人、尻尾はどこにいったの?

 

「ちょっと、なんなのよ?アタシのリーシャンちゃんになにか用なの?」

 

 お姉さんが威圧するような声で、目の前の猫族の人に圧をかけ始めた。……お姉さん、そんなことしなくてもデカいだけで怖いんだけどね……。

 

「……用……といいますか……」

 

猫族の人はやっぱり怖かったのか、左腕を前に割り込ませながら右足を一歩後ろに引いた。

 

……んだけど、こんどは猫族の人が威圧するような目でお姉さんを睨みつけはじめた。拳は握り込まれてて、プルプルと身体が震えてる。怖がってるのか、怒ってるのかは私には分かんない。

 

 ……お姉さん、このお家の人と仲悪いのかな……?すっごい悪い人を見る目で見られてるけど……。

 

「……何よその目。……やっぱりなんか用があるんじゃないの?……言っておくけど、アタシのリーシャンちゃんには一歩も触れさせないし、絶対にあげないわよ?……分かったら、さっさと料理を———」

 

 お姉さんが話している途中で、猫族の人が声を大きくして遮った。

 

「——私のリーちゃんを、返してください!」

 

 ……え?

 

 ……私のリーちゃん……?

 

「……へ?」

 

 お姉さんも言葉に理解が追いつかなかったのか、こわーい雰囲気が消えて、ポカンとした顔になった。

 

 キッチンの中がしーん、と静かになる。グツグツと煮込まれたまま放置された鍋の音と、皆が見てる中、まだまな板に向かってトン、トン、と包丁で食べ物を切ってる人が出す音だけが部屋に響いていた。

 

「私はその子の母親なんです!……その銀髪に、そのローブ……私が忘れるわけもありません……!返してくれないなら……決闘を申し込みます!!!」

 

 ——母親?

 

 え?お母さん……?お母さん……なのかな?

 

 あんまり確信が持てない。具体的に何年前とかは覚えてないけど、私が5歳くらいの時にはもうお母さんとお父さんは攫われちゃったし……。

 

 でもこの人、ローブのことを知ってる。じゃあやっぱり、お母さん……なのかな!?

 

 本当なら、嬉しい、すっごい嬉しいはずなんだけど、それより……えっと……

 

 ドンッ!!って音が鳴りそうな勢いで決闘を申し込んでるけど、本気なの!?お姉さんに……決闘を?お母さん死んじゃうよ!?

 

 私は慌ててお姉さんを止めようと足をギュッとその場にとどめようと床に向けて力を込めた。

 

 けど、私の心配は不要だったみたい。お姉さんから完全に圧が消えて、困惑でいっぱいになってそうな声を出し始めた。

 

「……け、決闘……?て、いや……母親……?リーシャンちゃんの?」

「……そ、そうです!!娘を奪われるくらいなら、全力で……ッ!」

 

 お姉さんが決闘に応じるかどうかも聞かずに、ええと、お母さんは右手の爪を出してお姉さんに挑みかかった。

 

 風を切る音が聞こえたと思えば、お姉さんは既にお母さんの手を片手で掴んで固定していた。お母さんは反撃がくると警戒したのか、ジタバタと抵抗し始めた。

 

 

 けど、お母さんにお姉さんの反撃が襲いかかることはなかった。

 

「……その。……決闘とかなんていいから……一緒に育てましょ?獣族を殴るなんて、趣味じゃないし」

 

「……へ?……獣族趣味……?あいや、決闘がいらない?……一緒に、育てる……?」

 

 ……えっと、とりあえず……お母さんからも棘が抜かれて、この空間は平和になった!わーい!

 

 

 

 

 

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