ウマ娘のための朝時間   作:あーふぁ

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2話

 翌朝、朝のトレーニングに行ったルドルフよりあとに起きた私は自主練のためにジャージへと着替えてお灸を持っていく準備をする。

 寮の横でお灸をしたいと事前に寮長へ相談をして許可も取った。

 昨日買ったお灸とライター。あとは寮で使っている掃除用のバケツに水を入れ、すれちがうウマ娘たちから興味深げに見られながら外へと出る。

 午前5時を少し過ぎ、外には朝ご飯前ににトレーニングを始めるウマ娘が多くいた。

 元気に、またはけだるげにランニングや学園のほうに向かうのを見ながら寮入口の脇へと行く。

 

 ほんのちょっぴり肌寒い気温の中、私は道具を置いてアスファルトの地面へ座ると靴と靴下を脱いでいく。

 そしてジャージの裾をまくり、お灸をやる耐性ができた。

 今日、お灸をする場所はランニング前にやると血行がよくなり、筋肉がやわらかくなって怪我をしづらくなる。

 本当は腰や太ももにもやりたいけど、外でズボンを脱いでやると痴女になってしまうため、足首を重点的にやる。

 使うツボは三陰交、大都、太白だ。

 祖母は走る人じゃないけど、お灸をやる鍼灸師の人からはここがいいと聞いて私にやってくれていた。

 

 運動前の怪我予防だけじゃなく、血行をよくするほかにも複数の効果がある。

 足のくるぶしから指を4本ほど上の位置にある三陰交は生理痛をやわらげる効果が。男性の場合だと精力増強だとか。

 太白は甘いものを欲しすぎるのを抑え、むくみを取る。大都は手足の冷えや下痢をよくする。

 

 そういった効果を思い出しながら箱からお灸を出して、台座の底にあるシールをはがして指へと着ける。

 それをライターで円柱の形になっているお灸の上面をあぶるようにして火をつける。

 すると小さな白くすきとおるような煙が立ち上り、どこか懐かしさを感じる香りがただよう。火をつけては6か所のツボにひとつずつ置いていく。

 じんわりと優しく温かい温度が肌へと伝わってくる。その温かさは気持ちよく、リラックスしながらお灸がじりじりと燃えていくのを眺めていると、ふと視線を感じる。

 足首から顔をあげると、目が合ったのはひとりのウマ娘だ。

 

 その子は青い髪色をしていて、ショートヘアの髪型をしている。

 顔は中性的な美しさとかっこよさがあり、体はやや細身。

 私の記憶にはああいう子はいなかったため、お灸の匂いが気になっているのかなと思っているとこっちへと歩いてくる。

 匂いに文句を言われるんだろうかとも考えたけど、彼女の表情はきらきらしていて、すごく興味がありそうな感じだから違うと思う。

 

「おはようございます」

「おはようございます。もしかしてお灸に興味がありますか?」

「はい。お灸は健康になると聞いたことがあって。体が弱いおれもやりたいなと思っていたんです。あ、おれは高等部1年のケイエスミラクルです」

 

 私から4歩ほど離れたところにやってきた彼女は両ひざを着き、私と目線を合わせてからそう言った。

 見た目と同じように中性的な声から聞かされた自己紹介。その名前は私と同じミラクルという名前だ。そのため親近感を持つ。

 

「私は高等部2年のミラクルオトメです」

「先輩ですか。だったら、おれには敬語なんて使わないでください」

「あなたがそう言うのならそうするわ。それで体のどこが悪いの?」

「どこというか、体全体が弱いんです」

「それならおなかの調子を良くしてはどうかしら。腸がよくなれば、体全体がよくなるものよ」

「本当ですか? 初対面でずうずうしいお願いなんですが、教えてくれませんか? おれにできることならなんでもしますから」

 

 なんでもするだなんてのを、はかなげさがある美少女がこういうと、ぐっときてしまう。

 こういうのは保護、いいえ、庇護をしたくなるという感じのようなのかも。

 

「お灸に興味があるのは嬉しいわ、ケイエス」

「ケイで構いません。友達はそう言っていますから」

「それじゃあケイ。今は私のをあげてやってもいいけど、トレーナーさんに確認してね。あ、担当契約はしているの?」

「はい。おれなんかと契約してくれた優しいトレーナーさんがいます。いま、電話で聞きますね」

 

 ケイは立ち上がるとジャージのポケットからスマホを取り出すとお灸が楽しみらしく、わくわくとした様子で電話をし始めた。

 私は待っているあいだにお灸へ気を向ける。

 お灸の熱がなくなった感じをし、お灸の台座をさわって熱が完全になくなったのを確認して手でとっていく。

 それらをバケツにぽちゃりと入れ、靴下を履いててからまくっていたズボンのすそをおろす。

 

「トレーナーさんがやってもいいって言ってくれました。あと、今日の放課後におれのトレーナーさんが挨拶に行きますから」

「そんな重く感じなくてもいいのに」

「トレーナーさん、おれの体調維持のために勉強をすごい頑張っていて、お灸についての話をしたいそうです」

 

 そのことを聞くだけですごい勉強熱心なトレーナーさんだなと感心する。単に私が気になるから話をしたいだけかもしれないけど。

 

「ほら、隣に座りなさい。やってあげるから」

「お願いします、先輩」

 

 私のすぐ隣に座ってきたケイの腕を手に取り、ジャージの上から肘のすぐそばにある手三里というツボを押す。

 手三里は胃腸の動きを助けるツボであり、消化吸収がよくなる。あと肩こりにも効果があるとか。

 

「ここの手三里というところにお灸をするわ。初めてだからひとつずつね」

「わかりました」

 

 そう言うとケイはすぐに両方の腕をまくる。

 やる準備ができたら、私は自分にやったのと同じようにお灸を用意し、ツボへと貼り付けていく。

 

「熱かったら言ってね」

「そういうのは我慢するんじゃないんですか?」

「やけどをしたら健康になるどころじゃないでしょう?」

 

 ケイの両方の肘のツボにお灸をつけた私は、足を延ばして体を前へ倒す前屈のストレッチをはじめる。

 お互いの間に言葉がなくなり、周囲の音がよく聞こえるようになった。

 ウマ娘たちの足音や声だけじゃなく、遠くから聞こえる車のエンジン音や自転車のブレーキ音。

 街が動き出したという感覚がする。こういう朝の時間が私は好きだ。

 お灸に火をつけてから3分ほどが経ち、お灸が燃え尽きかける時間にケイは声を出す。

 

「あの、今になって聞きづらいことがあるんですが」

「なに? 言ってみなさい」

「ツボを手で押すのとお灸はどういう違いがあるんですか?」

 

 私は肩のストレッチをしつつ、ちょっと考えてから答える。

 

「手で押すと内臓や脳に刺激がいって、それで活発になるのよ。だから手で押してもいいけど、やりすぎると筋肉を痛めるの。特に力の強いウマ娘なんて体調が悪くなることが多くて。

 お灸なら筋肉だけじゃなく熱の刺激がリンパや血管まで熱が行って血行がよくなるし、やわらかい刺激やヨモギの油分がいい感じに幅広い効果があるの」

「なんだかすごいですね」

「欠点はやけどや、たくさんやると吐き気があるけど。小学生時代の私はいっぱいやれば健康になると思って体調を悪くしたのもいい思い出よ」

 

 小学生時代は色々なツボの場所に興味があり、たくさんやったものだ。そのおかげで多くのツボの場所と効果を覚えたけれど。

 中等部2年の頃にトレーナーと契約し、お灸を止めて4年。それくらいしばらくぶりのお灸で、これからは毎日やってじっくりと体の調子を整えていきたい。

 

「あ、言い遅れたけど、お灸をしてから30分は激しい運動はできないから。私と雑談しながらストレッチをしましょう」

「……あの、そのあとはおれと一緒にランニングをしませんか?」

「えぇ、いいわ。一緒に走りましょう。ちょうど誰かと走りたかったの」

 

 ケイのお灸を取り外し、バケツへと入れる。肌を見てもやけどをしていなくて安心する。

 私は立ち上がると、お灸の道具とバケツを手に持つ。

 

「片付けてくるからストレッチをして待っていてね」

 

 そう言うと、私の手伝いをしたそうな顔をするケイを置いていなくなる。

 ちょっと話をしただけでもいい子なのがわかり、放っておくと強い親切心でなんでもやってしまいそうな気がした。

 だから、私はさっさと寮に入って片付ける。それが終わって戻っていると、ジャージを整えなおしていたケイが立って屈伸をしているところだった。

 私はケイの隣に並び、同じようなストレッチを初めていく。

 

「初めてのお灸はどうだった?」

「よかったです。香りも臭くないし、お灸が燃えていくのを見るのはなんだか楽しくて」

「気に入ったらトレーナーさんと一緒にお灸の計画を立てるのはいいかもしれないわ」

「はい、そうしてみます」

 

 しっかりとストレッチをやっていき、そして一緒に30分ほどのランニングをする。

 トレーナーの細かい指示がなく、怒られることも不満をぶつけられることもない。自由な時間のランニングは楽しく、ふたりで走るというのはとてもいい。

 たまにルドルフが誘ってきて一緒に走るけど、今と違って鬱々とした気分のときだった。私に付き合わせて申し訳ないなという気持ちが出てしまっていた。ルドルフと走るときがあったら、もっと楽しもう。

 

 ランニングが終わったあとはお互いのスマホで連絡先を交換して解散した。

 それからは寮でご飯を食べ、学園へと行く。

 昨日までと違い、精神が楽になったから授業もどことなく楽しく感じる。

 それに今まではクラスメイトである、ミスターシービーの生き方が自由過ぎてうっとうしかったこともあった。

 私はトレーナーに言われたトレーニングや勉強をどうやるかしか考えれなかったから。

 でも放置されている今は、自由に生きていく姿がかっこいいかもと思うことができる。昨日と比べ、爽やかな風を感じられる気分のような。

 そういう変化した感覚で過ごし、授業が終わって放課後になった。

 

 ちょっとだけ教室に残ってこれから何をしようかと考える。トレーニングメニューを自分で考える必要があるけど、走ってばっかりなのもよくない。

 放課後にケイのトレーナーと会うということだったけど、どうやって会うかの確認をしていなかったため、連絡を取ろうとしたところで視線を感じる。

 振り向いた先、教室のドアのところには男性で20代中盤ぐらいの人がいた。

 スーツを着て首にバッジを着けていることからケイのトレーナーだと思い、実際に話をしてみるとそうだったので短時間だけ廊下で話をした。

 

 その人はとても熱心な人で、ケイの体調をよくしたいということに熱い人。話を聞くと自身よりなによりもケイのことを大事にしているけど、そのために睡眠時間をたくさん削っているトレーナー自身も大事にしたほうがいいと言う。

 前提として本格的にお灸をやるなら専門の人と相談したほうがいいということを言ったあと、ウマ娘視点でのお灸についてのことを軽く話をした。

 お互いに健康の話が盛り上がり、自然と連絡先を交換する。

 お灸の話を聞いて興奮したケイのトレーナーと別れたあとは、私たちの話を立ち止まって聞いていたウマ娘たちとツボや健康に関する話を10分ほどする。

 話が終わったら学園内のレッスン室で講師の人に付き添ってもらいながらボイストレーニングをして、午後6時になってから帰った。

 

 夕食前に寮の部屋でくつろぎながら、スマホでトレーニングメニューについて調べていると扉が勢いよく開かれる。

 びっくりして顔を向けると、そこにいたのはジャージを着てバッグを持ったルドルフで、ちょっぴり怒った様子だ。

 ベッドで寝転がっていた私は持っていたスマホを置くと、体を起こしてルドルフへと向く。

 

「えっと、おかえり、ルドルフ。どうしたの?」

「……ただいま、オトメ。噂で聞いたんだが、今日の朝はお灸とランニングを後輩としたようだな?」

「そう、だけど。それがどうかした?」

 

 普段より怖い様子にちょっとだけびっくりし、ルドルフに対して何かしたかなと考えようとする。

 でも考えるよりも先にルドルフが私のすぐ前までやってきた。

 

「悲しいんだ。君の友人である私に何も言ってくれなかったのを。君のためなら、いつでも時間は作ると言っていただろう?」

「そうだけど、なんか遠慮しちゃって」

「遠慮などいらない。ダメなときはダメだと言うし、断るにしても声を荒げたりなんかはしない。それとお灸にも興味があるんだ」

「ルドルフ、どこか悪いところはあったっけ?」

「生理痛だ。私はちょっとばかり他よりも重いのは知っているだろう? 鎮痛剤を使っても痛いのは痛いんだ」

 

 それは大問題だ。今まではそれを見ているか、励ますしかできなかった。

 でもお灸がまたできるようになった今なら、できることはある。

 

「生理が始まる1週間前からやる必要があるけど、私と朝のお灸をやる?」

「ぜひやらせてくれ。あぁ、ランニングもだ」

「うん、じゃあ明日は一緒にやろうね」

「嬉しいよ。君は私との能力差を気にして、遠慮ばかりで一緒にトレーニングする時間を作ってくれなかったからな」

 

 嬉しそうに言うルドルフの表情はとても魅力的で、もしルドルフが男だったら絶対に惚れている。

 もうかっこよすぎて、ついじっくりと見ちゃうし。ルドルフのファンが学園内に多いのも納得だ。

 学園には生徒会派閥的なのもできているほどに人気が高いし。

 

「オトメ? どうしたんだ、私をじっと見て」

「肌がきれいだなって。それでお灸とランニングは朝にやる予定なの。今日会ったケイエスミラクルっていう子と一緒に。あ、ルドルフは朝の時間は大丈夫? あとお灸の許可も」

「時間とお灸の許可はすでに取っている。オトメと一緒に過ごす時間は大事なものだから。君には普段から感謝しているし、小さなことでもぜひ声をかけて欲しい」

「私がしていることって、一緒に勉強や買い物をするとか、ギャグを聞くことぐらいだよ?」

 

 特別なことなんてしていない。普通の女子学生なら誰でもできることでだ。

 ウマ娘らしく一緒にトレーニングなんていうのは能力の差がありすぎて、ルドルフにとって良いことじゃないからやっていない。

 体を一緒に動かすのは、たまにやるランニングぐらいだ。

 

「それがとてもありがたいんだ。特にギャグは本だけでは難しいからな。バレンタインデーのときにチョコと冷凍をかけた、チョコ冷凍の言葉なんてのはなかなかによかった。実際に冷凍庫に入れたチョコを出したときは生徒会メンバーには感心されたんだ」

 

 こんなにも感謝されていると、すっごく嬉しい。

 契約破棄寸前で能力が低い私を大事にしてくれる相手がいることに気づけて。

 ……私が悪かったんだ。きちんとルドルフという個人を見ていなかったから。

 

「明日のお灸は私のを使う?」

「いや、買いに行こうと思う」

「ご飯のあとに?」

「いや、今すぐにだ」

 

 食堂が終わるまではあと2時間の余裕があるし、ここからドラッグストアまでなら歩いて片道15分でいける。

 私が時間を計算しているあいだに、ルドルフは持っていたバッグを片付けるとジャージのポケットに財布とスマホを入れ、うきうきとした様子で出かける準備を終えていた。

 

「ずいぶんと楽しそうね」

「君と夕方に出かける機会はあまりないから嬉しいんだ」

「朝や昼間とそんなに違うもの?」

「ああ。夕日にあたる君の髪は一笑千金ならぬ一髪千金だからね。淡い栗色の髪色は見ていて惚れ惚れとするんだ」

 

 ルドルフ私に恋愛感情でももっているのかと一瞬だけ誤解するぐらいに、くどく言葉を言ってくる。

 あまり聞いたことのない四字熟語を聞かされると意味を思い出すのに時間がかかる。

 ええと、この一笑千金というのは笑顔が千の金と同じぐらいの価値だっけか。

 

「ルドルフの髪のほうがつややかでキューティクルが綺麗だと思うんだけどなぁ」

「そう言ってくれるのは嬉しいな。ほら、早く行こう」

 

 ルドルフにせかされた私はポシェットを棚から取り出すと、そこにスマホやお財布を入れて肩から下げる。

 部屋から出ると鍵をかけ、ルドルフと並んで外へと行く。

 寮から出てドラッグストアに着くまでの話はお互いに楽しく話をしたけど、普段のお出かけと違ってなんだか変に感じた。

 おとといまでのルドルフとは壁一枚を挟んだかのような、感情が鈍感な状態だった。

 でも今はルドルフのちょっとした動きでさえも新鮮だ。

 今まで感覚がにぶかったのもトレーナーの圧迫とストレス、それと私自身の自己否定という精神的影響だったかもしれない。

 こういうふうに余裕を持って考えられるのも私が精神的成長をしているからだと思う。

 よくやった私! とほめてあげよう。私、えらい!

 

「オトメ?」

「えっと、どうかした?」

「ぼぅっとした様子だったが、体調が悪かったのか?」

「ううん、違うの。ルドルフと一緒にいると楽しいんだなって」

「それは私も一緒だ。君といるときは新鮮な体験で満ち溢れている」

「それ、私が非常識とも聞こえるんだけど?」

 

 本気ではない怒りを意識して演出し、わざと耳を後ろに倒し不満げな表情になる。

 するとルドルフは苦笑をし、ごめんよと謝ってくれた。

 こんななんてことのない、ごく普通な女子高生的な会話。今まで勝たなきゃいけない、トレーナーの期待にこたえなきゃと強迫観念が強かった。

 捨てられたも同然のことを言われたときはショックがあったけど、心が広くなった気がする。

 今なら悪意ある言葉でも多くのことを許すか、無視をしながら会話ができそうだ。

 新しい自分に変わっていくのを実感しながら、ドラッグストアへと着く。

 そうしてルドルフ用のお灸とライターを買って寮へと戻った。

 

 戻ってからは一緒にご飯を食べ、お風呂から上がったあとのルドルフは実にルドルフらしいことをした。

 買ってきたお灸に説明書を真剣に読み、スマホを使ってお灸のことを知らべていたからだ。

 トレーニングを感覚的にやるのではなく、理論で考えてからやるルドルフらしさを感じる。

 

「東洋医学はわかりづらいな。シンボリの家では筋肉や血行には電気治療使っていたが、お灸というのは初めてだ。今までの知識がまったく通じないよ」

「そこまで考えなくてもいいんじゃないかなぁ。気持ちがいいところを気持ちよくする、ぐらいで」

「しかし、初めてのものは事前知識が重要だと思うんだが」

「最初は私が教えるから大丈夫。生理痛はおなかにやるのがいいから、明日はそこにやってあげる。おなかをちょっと出す必要があるけど」

「それなら地面に敷くのが必要だな」

「うん。お灸が気に入ったときにたくさん調べるといいよ」

 

 ルドルフには明日の早朝やることを伝える。そしてスマホでケイには、明日の朝はルドルフも来るからと連絡をする。

 その後は学園で支給されたボイスやダンストレーニングの本を読み、一緒にお風呂へ入ったあとで勉強をしていると寝る時間になる。

 午後10時になると部屋の電気を消し、ベッドへと潜ってルドルフへと声をかける。

 

「おやすみ、ルドルフ」

「おやすみ、オトメ」

 

 ルドルフの声を聞いて明日のお灸とランニングを楽しみにしながら私は目をつむり、電気を消した暗い部屋の中で寝る。

 朝、起きたあとにするお灸やランニングを楽しみにしながら。

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