光の奔走を抜けた彼らの視界に広がったのは、かつて絶望と希望が交錯した剣の最高峰だった。
「ここがアインクラッド第100層……『紅玉宮』」
「まさか2年も経って、またここを見ることになるとはな……」
キリトたちが懐かしさと苦渋が入り交じる表情で周囲を見回す中、SAO未経験のメンバーたちは圧倒的な光景に息を呑む。
「俺、初めてなんだが……こんな感じだったんだな」
「私も……」
ダイブした直後、上空からゆっくりと降下しながら、悠也と詩乃は眼下に広がる壮麗な大聖堂の造形を見下ろしていた。その静寂を切り裂くように、ふっと風圧が走る。
「っ!?」
次の瞬間、降下していたはずのエギルの巨体が、何者かの不意打ちを受けて真横へと凄まじい勢いで吹き飛ばされた。
「エギル!?」
「エギルさん!?」
「おい……キリト、コイツが……!」
「あぁ!」
悠也たちがその異様な気配に気づいたとき、もはや見過ごす余裕など残されていなかった。紅玉宮の天井から一条の光が灯った瞬間、不気味にその目を真紅の光彩で輝かせた巨大すぎるモンスター、アインクラッド第100層の守護者にして、SAO本来のラストボスである存在が顕現する。
《アン・インカーネイト・オブ・ザ・ラディウス》
圧倒的な気圧を纏ったボスは、エギルめがけて巨大な剣による凄まじい奇襲を放った。10本もの圧倒的なHPゲージを引き連れたその巨影が、キリトたちの前に立ちはだかる。
間一髪、エギルは愛用の斧でボスの重撃を受け止めていた。その無事を確認してホッと胸を撫で下ろす間もなく、キリトの合図とともにSAO組が次々と武器を抜いて突進し、離れた位置から悠也と詩乃が狙撃の体勢へと移行する。
耳をつんざくような絶叫とともに、ボスはエギルをもう一本の剣ごと地面へと容赦なく叩きつけた。さらに、その背後から七色の複雑な光弾を無数に放つ。キリトは間一髪で体を逸らして回避したが、反応しきれなかったシリカとリズベットがその直撃を受け、凄まじい衝撃で背後の壁へと激しく叩きつけられた。
形勢を覆そうとキリトが斬りかかるも、展開された強固なバリアに阻まれ、同じように壁へと弾き飛ばされてしまう。そのまま追撃を仕掛けようとするボスに対し、悠也と詩乃が放った精密射撃がその巨体のバランスを崩した。
「詩乃走れぇ!」
「分かった!」
直後、ボスが悠也たちのいた場所へと放った光線が着弾し、激しい爆発を引き起こす。全力で退避したため致命傷は免れたものの、この規模の攻撃を何度も浴びせられれば、いかに歴戦のプレイヤーといえども精神的支柱から折れそうになる。
エギルが歯を食いしばりながら、重い斧を力任せに振り下ろした。
「スイッチ!」
「ぬぉぉぉぉぉぉぉ!!」
エギルの絶叫に合わせ、キリトが空中で兜割りを試みる。だが、やはり分厚い光のバリアに阻まれ、本体へ直接のダメージを通すことができない。
「スイッチ!」
「はぁぁぁぁぁ!」
「でぁぁぁぁぁ!」
キリトと素早く交代したシリカとリズベットの連続攻撃が、蓄積されたダメージと共にバリアの弱点を突く――次の瞬間、パキリと音を立てて光の壁が完全に砕け散った。防御を失ったボスに、初めて明確なダメージが刻まれる。武器を落とし、わずかに体勢を崩したその隙を逃さず悠也が叫んだ。
「詩乃、畳み掛けるぞ!」
「了解!」
悠也と詩乃は息を合わせ、ボスの頭部めがけて同時狙撃を叩き込む。悠也はリデンプションの引き金を絞り、重厚な大口径弾でさらに追加のダメージを叩き込んだ。
その時――ボスの赤い双眸が再び妖しく輝きを放った。足元の床を突き破り、無数の木々が猛烈な勢いで生い茂り、瞬く間に一本の巨大な樹木を形成していく。そして、その天辺から一滴の水が垂れ落ち、ボスの額にある水晶へと触れた次の瞬間。
ボスのライフゲージが、眩い光とともに一瞬で全回復を果たした。
「嘘だろ……!」
「そんな……!?」
「こんなの、倒せっこないわよ……!」
絶望的な光景を目の当たりにし、キリトたち全員がその場に釘付けとなり、呆然と息を呑むしかなかった。だが、そんな人間の絶望など嘲笑うかのように、ボスは容赦のない攻撃を再開する。
先ほど生み出した樹木を自在に操り、広範囲を薙ぎ払う豪風の範囲攻撃が放たれた。回避する間もなく、その暴威に直撃したキリトたちはなす術もなく吹き飛ばされる。
さらに、悠也と詩乃が身を隠していた位置を正確に見据え、ボスが冷酷な光線を放った。再び発生したすさまじい爆風に巻き込まれ、2人は手から愛用のライフルを弾き飛ばされてしまう。形勢が完全に傾く中、シリカが仲間を救うために必死でボスの注意を引きつけようと突撃した。
「きゃあ!? あ、あああぁぁ!?」
ボスは周囲の地面ごと巨石を浮かせ、操った壁でシリカを押し潰そうと冷酷に迫る。その致命的な危機を阻止するため、キリトが捨て身の覚悟でボスへと飛び込んだ。
「シリカ!.....がぁっ……!?」
「キリト!」
ボスに無残に掴み上げられ、その巨体が壁へと激しく叩きつけられる。衝撃でキリトの呼吸が一瞬だが完全に停止した。悠也は震える右手で太もものホルダーからリデンプションを引き抜き、かろうじてボスへと銃口を向けて引き金を引くが、今の体勢ではもはや決定的なダメージにはならない。
絶望が支配しようとしたその時――キリトめがけて放たれようとした致命的な光線の直前、天を衝くような閃光の一撃が、遥か上方からボスへと突き刺さった。何が起きたのか、予測すらできなかった。その場にいた全員が目を見張り、固唾を呑む。ボスの視覚器官を正確に貫かれた守護者が盛大に体勢を崩し、もうもうと立ち込めていた煙がスーッと晴れていく。その場に凛と立っていたのは――。
「アスナさん!!!」
戦士としての鋭い光を宿した目をし、愛用の細剣をしっかりと構えたアスナの姿だった。その鮮烈な一撃のおかげで拘束から解放されたシリカが、歓喜と安堵の入り混じった声を上げる。
「シリカちゃーん!!!」
落下していくシリカを間一髪で抱き止め、アスナは生い茂る樹木の枝へと見事に着地した。拘束から抜け出したキリトもまた、安堵の表情を浮かべながらアスナの元へと駆け寄り、SAOの仲間たちが再び一つに集結する。
「いけるのか、アスナ?」
「……うん。私も戦う……戦えるよ、キリト君!」
「……ああ!」
仲間たちの間に新たな絆の炎が燃え盛る中、少し離れた瓦礫の陰で、詩乃と悠也がすかさず弾き飛ばされていたライフルを拾い上げる。
「感動の再会って感じね?」
「出来れば、こんな修羅場の最中には聞きたくなかったな」
不敵な笑みを交わしながら、詩乃と悠也は再び愛銃を構え、正確無比な精密射撃へと移行する。悠也はリデンプションの重い銃声を響かせ、一発ごとにボスの耐久値を削り取っていくのだった。詩乃と悠也の放つ鋭い銃声が、再びボスへと全員の意識を引き戻す。しかし、片目を失いながらも、詩乃達の放った重い弾丸を装甲でビクともせず弾き飛ばしながら、ボスは凄まじい殺意を纏ってキリトたちへ肉薄した。
その猛攻を凌ぐべく、キリトが剣を構えて体勢を立て直したその瞬間――彼の背後からすさまじい轟音とともに猛烈な突風が吹き荒れ、巨大な暴風の渦がボスを呑み込んだ。
「今のは……!?」
それは紛れもなく、ALOの世界でよく見かけた風属性の魔法だった。本来、SAOのシステムには存在しないはずの魔法スキル。驚愕したキリトたちが風が吹いてきた後ろを振り返ると、そこにいたのは――。
「お兄ちゃ~ん! おまたせ~!」
「パパ! ママ! 皆さんを呼んできました!」
ALOの鮮やかな風妖精のアバター姿に身を包んだリーファが降り立ち、その胸元から愛らしいユイが元気よく飛び出した。そして、彼女の声を合図にするかのように、次々と頼もしい仲間たちが戦場へと姿を現していく。
「楽しんでるな!」
「遊びじゃないぞ!」
「みんな、お待たせ―!」
「よーし! VRなら、無敵だぜ!」
サラマンダーのユージーン将軍に、シルフの長であるサクヤやアリシャ・ルー。リーファの友人であるレコン、そしてスリーピングナイツの面々が勢揃いする。驚くことに、クラインの姿までそこにあった。
それぞれの持ち場から、剣閃と多彩な魔法が一体となった猛攻撃がボスへと浴びせかけられる。しかし、驚きはそれだけでは終わらなかった。
「でっけぇな、オイ!?」
「あ、あいつらは……」
「GGOの……」
「詩乃、闇風とダインもいるぞ」
「本当だわ」
鮮やかな銃撃を敵に浴びせながら、ひときわ軽妙な声を張り上げたのは、GGOプレイヤーのギンロウだった。詩乃がかつて所属していたスコードロンのメンバーであり、日頃から詩乃の私生活やあれこれを詮索しては彼女をうんざりさせている男である。
「アンタらが助けに来るなんてな!」
「なぁに、シノっちのためなら、どこまでだって来てやるよ!」
「あ"ぁっ!? テメェの助けなんざいらねぇんだよ!」
どこぞこの馬の骨とも知れない男が馴れ馴れしく話しかけてくるのに対し、悠也は銃口をボスに向けながら険しい顔で噛みつく。
「お前こそ、シノっちの何なんだよ! 俺たちは同じスコードロンにいた仲間だぜ!」
「――俺はシノンの彼氏だ」
その一切の迷いのない一言にギンロウは「ごふっ」と致命傷を負ったかのように言葉を失って沈黙した。
「バカなこと言ってないで、早く畳みかけなさいよ!」
詩乃はそうピシャリと怒鳴ってみせたが、悠也が衆人環視の中でハッキリと「彼氏」と宣言してくれたことが嬉しかったのか、その頬は隠しきれないほどほんのりと赤く染まっていた。
すぐ傍では、カウボーイハットを被ったダインや、GGO最強候補に数えられる闇風、そして他の精鋭プレイヤーたちが凄まじい弾幕を展開してボスを圧倒している。まさかバーチャルの垣根を超えてGGOの仲間たちまで駆けつけてくるとは思わず、キリトたちは一時言葉を失って呆然とするしかない。
「時間がないぞ!」
「畳みかけろ!」
「大丈夫です! 皆さん、これを受け取ってください!」
サクヤとクラインの鼓舞に応えようと、キリトたちが再び臨戦態勢を取ったその時、ユイが小さく両手を掲げて何かを取り出した。彼女の掌から眩い光が溢れ出し、その場にいた全員の身体を包み込む。
次の瞬間、悠也たちのデータを構成するコードが書き換わっていった。光が収まり、彼らがゆっくりと目を開けると――そこに映っていたのは、GGOで見慣れたいつもの戦闘服。
さらに、悠也の両手に握られていたのは、彼のメインアームである超長距離ライフル『シャイタックM200 Intervention』をはじめ、『RSh-12』、『カゲミツG4』そしてシノンから貰った『HK USP EXPERT』、その他諸々の装備。正に愛用の武装そのものだった。隣に立つ詩乃の装備も、愛用の『ヘカートII』、『グロック18C』、こちらもナガンが渡した『マニューリン MR 73』という完璧なGGO仕様へと変貌を遂げている。
慌ててキリトたちの方を振り返ると、彼らは現実やALOとは違う、かつてSAOの最前線で纏っていた見慣れた装備――かつての英雄たちの姿へと戻っていた。
「このSAOサーバーに残っていたセーブデータから、皆さんの分をロードしました! ナガンさんとシノンさんの分は、オマケです!」
「俺たちはオマケかよ」
「そう言わないの」
シノンの誇らしげな微笑みに、思わず脱力しながらも、悠也たちは鋭い笑みを浮かべてそれぞれの銃口を再びボスへと向け直す。
キリトの方を見ると、向こうもすでに戦闘の準備を完璧に整えていた。
「よし、みんなやろう!!!」
「「「「「「おう!」」」」」」
キリトの力強い掛け声を合図に、連合軍の総攻撃がボスへと牙を剥く。先陣を切ったのは、悠也と詩乃だった。
「詩乃、行くぞ!」
「もちろん!」
GGOの戦闘服に身を包んだ2人は、ヘカートIIとシャイタックM200を携え、樹木の枝を足場を下りながらトリガーを絞る。超長距離のボルトアクションライフルを駆け抜けながら連射し、的確にボスの弱点を射抜くという神技を当然のように完遂してみせた。
2人に強烈なヘイトが集中したその隙を突き、今度はアスナが鋭い踏み込みで攻勢に出る。さらに、空からはALOのプレイヤーたちが凄まじいスピードの飛行ラッシュを浴びせかけた。
だが、ラスボスもただ蹂躙されるままでは終わらない。ユージーン将軍とクラインを巨大な剣でまとめて押し潰さんとし、さらにうねる樹木を操って空中のリーファを襲撃する。
しかし、ユージーン将軍は全てを切り伏せ、トップクラスの機動力を誇るリーファは、その猛攻を紙一重ですべて華麗にかわしてみせた。
地上で奮戦するメンバーへの攻撃も、シウネーたちが放つ鮮やかな魔法の障壁によって完璧にカバーされる。そして、ボスがGGOの狙撃部隊へと強烈な迎撃を向けた、まさにその刹那。
ボスの身体に生じた致命的な死角を逃さず、リズベットとシリカが飛び出した。
GGOメンバーとの交戦によって発生した瓦礫の足場を跳び移り、ボスの顔面へと片手棍と短剣の痛烈な一撃を叩き込む。さらにその背後から、エギルが愛用の巨大な斧を両手で振りかぶり、ボスの頭部へクリティカルヒットを炸裂させた。
「おらぁぁぁぁぁぁぁ!!」
凄まじい衝撃に大きくバランスを崩したボスは、先ほどと同様に巨大な樹木を地面から召喚し、ライフの強制回復を図ろうとする。
「あれを防いで!」
アスナの鬼気迫る号令とともに、ピナの放つ炎のブレス、ALO陣営による最高位の魔法群、そしてGGOメンバーの一斉砲火が一点に集中し、ボスの回復行動を完全に阻害した。悠也はそこにシノンお手製の.408 Chey-Tac弾を1発装填し、追加の火力を叩き込み、回復のための基部を木端微塵に粉砕する。ついでと言わんばかりに詩乃もRaufoss Mk 211を放ち、確実にダメージを与える。
体勢を立て直そうと暴れるボスは、再び樹木を呼び寄せた。
愛用の長大なライフルを背負い、両手に構えたフォトンソード『カゲミツG4』の鮮やかな光刃が唸りを上げる。襲いかかる樹木の障壁を、彼は圧倒的な機動力と旧ゲームで見た剣技で次々と両断していった。
間断なく枝を叩き斬りながら、ナガンは眼前の巨木ボスを見据え、背後に控える金髪の少女へと言葉を飛ばす。
「リーファ!俺がカゲミツG4をボスに投げたら、風魔法で加速させて飛ばしてくれ!」
「――任せて!」
迷いのないリーファの返答と同時に、ナガンは手元に構えていたフォトンソードの一本を、渾身の力を込めてボスの巨躯めがけて槍のように投げ放った。狙い違わず放たれたカゲミツG4が飛翔する。その軌道を予測していたリーファが即座に巨大な風の塊を纏わせた。
暴風のブーストを受けたカゲミツG4は、肉眼では捉えきれないほどの超加速を獲得し、音を置き去りにしながら一閃の光芒となってボスの巨大な眼窩へと突き刺さる。直後、エネルギーブレードが放つ強烈な高熱と衝撃が、ボスの急所を容赦なく焼き焦がした。
「グアァァァ……ッ!?」
巨体が大きくのけぞり、痛みに悶えるボスの隙を、ナガンは見逃さない。背中から『シャイタックM200』を引き抜き、凄まじいスピードで銃身を構え――正確無比にその狙いを定め、放たれた大口径の弾丸は、ボスの眼に突き刺さったままのフォトンソードの柄を完璧に穿ち抜いた。
直後、蓄積されたエネルギーと弾丸の衝撃が引き金となり、ボスの頭部内部で凄まじい大爆発が巻き起こる。閃光と爆風がフィールドを激しく揺らし、ボスはその巨体を盛大に揺らめかせながら崩れ落ちていったが、今度は無数の枝が分裂して小型ミサイルのような弾道を描きながら、全員へと襲いかかる。
圧倒的な物量で迫る弾幕を前に、キリトたちを援護しようとALO組が雷魔法を、GGO組が弾幕を浴びせかけるが――。
「逃したっ!? 弾数が足りない……!」
詩乃は愛用のヘカートIIを背負い、瞬時にサブウェポンであるグロック18Cへと持ち替えてトリガーを絞る。だが、空間を埋め尽くすほどの弾数は、如何に彼女の超感覚をもってしても完全には裁ききれない。絶体絶命のその瞬間、乾いた声が戦場に響いた。
「こっちも任せろ!」
悠也は咄嗟にハンドガン『HK USP EXPERT』とホルスターから一際特殊な投擲物を引き抜いて投げ放つと同時に、一発の銃弾をそれに撃ち込んだ。それは、GGO内でも凄まじい高価を誇る、ベテランの間で名高い特殊装備。アメリカが第二次世界大戦中に開発していた、
BEANO T-13手榴弾。
リアルの開発段階において43人の負傷者と3人の死者を出したとされる、超危険代物である。その最大の特徴は、一般的な遅延タイマー式ではなく、わずかな衝撃でも瞬時に起爆する『衝撃式信管』の採用にあった。リアルではその危険性ゆえに全てが破棄された曰く付きの機構だが、ゲームであるGGO内においても、その稀少性から高値で取引されている。
悠也から放たれた銃弾が、空中の手榴弾の側面を正確に捉えた。
瞬間――凄まじい衝撃を受けたBEANO T-13は、意図された通りのタイミングで完璧な空中起爆を引き起こす。一瞬遅れて発生した熱風と破片の嵐が、空間を埋め尽くしていた無数の小枝ミサイル群をまとめて吹き飛ばし、敵の迎撃網を完璧に無力化に成功する。
防衛線を突破したその瞬間、キリトとアスナが一気に地面を蹴って肉薄する。 最後の一撃を叩き込むため、二人の剣が眩いエフェクトを纏った。アスナが放つのは、今は亡き
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
11連撃目が完璧に決まった瞬間、ボスの巨体が激しく爆発を起こし、たまらず大きく仰け反った。
間髪入れず、キリトが二刀流の奥義である16連撃ソードスキル《スターバースト・ストリーム》を発動させる。最速の剣戟が連撃の嵐を呼び起こし、キリトは一気にボスの顔面前へと飛び上がった。しかし、すべてを終わらせる最後の一太刀を浴びせようと剣を振りかぶったそのコンマ数秒、ボスは不敵に歪んだ眼を光らせ、キリトめがけて最後の決定的な光弾を放った。
至近距離すぎる光弾。このままでは回避できず、キリトが直撃を受けてしまう。 誰もが間に合わないと絶望しかけたその極限の状況下で、一瞬の隙も見逃さずに反応した影が2つあった。
――悠也と詩乃だ。
悠也が『RSh-12』を抜き放ち、詩乃は迷いなく『マニューリン MR 73』を構える。
「恥ずかしいけど、今回だけあなたに付き合ってあげる」
「”決めゼリフ”を憶えてるか?」
詩乃がフッと笑った後、タイミングよく悠也の構えたRSh-12の長大な銃身の上部に、横に添えるようにシノンがマニューリンM73を素早く重ね合わせる。伝わる体温と鼓動が、お互いの感覚を極限まで研ぎ澄まし、言葉を交わさずとも、次に相手がどう動くのかが、手に取るようにわかるほどの絶対的な信頼感があってこそだ。
そして――
「「Jackpot」」
空間を揺るがす轟音とともに放たれた二条の弾丸が、完璧な軌跡を描きながら一直線に飛来する光弾を撃ち抜き、粉々に粉砕した。その直後、キリトの双剣がボスの顔を切り裂き、残されていたすべてのHPゲージを完全にゼロへと削り取った。
『ガアアアァァァァァ——ッ!!!』
凄まじい断末魔の叫びとともに、ボス巨体が内側から膨れ上がり、空を引き裂くような大爆発を引き起こす。そして、眩い光の塵へと姿を変えて、世界から溶けるように消えていったのだった。
まだもう少しだけ続きます。
番外編という形で劇場版の『オーディナル・スケール』を読みたいですか?※もし書くとなった場合更新が遅くなるかも知れません。
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書くんだ!
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書かなくてもいい!