名前のない距離の隣で   作:レゾリューション

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やべぇ...原作が全然始まんねぇ


え、何言ってんのお前?

クエストからの帰路。人の流れが途切れたタイミングを見計らってシノンは足を止めた。少し先を歩いていたナガンの背中に視線を向ける。

 

(……今なら)

 

声をかける理由はある。用件も、言葉も、頭の中では整理できている。それでも、ほんの一瞬だけ躊躇が生まれる。断られても困るわけじゃない。そう自分に言い聞かせてから、シノンは口を開いた。

 

「ナガン」

 

呼びかけに、彼は足を止める。わずかに振り返るその動きは、相変わらず無駄がない。

 

「どうした?」

 

いつも通りの調子で帰ってくる返答。シノンは一歩だけ距離を詰める。

 

「……私とバディ、組まない?」

 

沈黙が落ちる。ナガンの視線がほんの僅かに変わった。だがそれが驚きなのか、単なる確認なのか、外からは判別できない。

 

「バディ……?」

 

言葉を反芻するように呟き、すぐに続ける。

 

「理由は?」

 

まず条件を聞く。

 

ナガン――真下悠也は、人を無条件に信用したりしない。それは疑い深い性格というより、身についた習慣に近いものだった。かつて、言葉や印象だけで他人を判断することの危うさを、嫌というほど知った。

 

いや知らされた。

 

だからこそ――まず測る。提示された関係にどれだけの意味があるのか。そこに自分が関わる価値があるのか。それを見極めるまでは、踏み込まない。

 

「単純な話よ」

 

シノンは腕を組み、思考を整えるようにわずかに間を置く。

 

「あんた、レアな銃とか素材集めてるでしょ」

 

「まぁな」

 

否定はしない。ナガンの活動の大半は、レア銃やレア素材の収集と、それに付随する狙撃の実践訓練だ。そしてスコードロンに属すことを嫌うのも、その延長にある。自分のペースを崩されるのを何よりも嫌うからだ。

 

「でもソロだと限界がある。ドロップも情報も、全部自力で拾うには効率が悪いわ」

 

ナガンは何も言わないが否定はしない。事実としてソロでの収集には限界があることを、彼自身が一番良く理解している。

 

「私はスコードロンに属してるから、ある程度の情報は流れてくるし、クエストの当たりもつけられる。無理に誘うような事はしないわ。あなたに合わせる」

 

シノンは視線を逸らさない。

 

「アンタが欲しい“場所”はこっちが用意できる」

 

わずかな沈黙。ナガンの目が、ほんの僅かに細められる。条件を測っている時の反応だった。

 

「で、お前のメリットは?」

 

淡々とした問いにシノンは小さく息を吐く。

 

「……あんたの狙撃」

 

「俺の?」

 

短く返される。

 

「正直に言うわ。あの距離、あの精度――普通じゃない。悔しいけど今の私じゃ、あんたに勝てない」

 

言葉にしながら、ほんの僅かに悔しさが混じる。

 

「でも、私はまだ伸びる。そのための材料が欲しい」

 

一拍置き、はっきりと言い切る。

 

「アンタの技術を盗ませてもらう。それが情報の対価」

 

遠回しにはしないし、取り繕いもしない。その方が、この相手には通じる。ナガンはしばらく何も言わなかった。ただシノンを見ている。その視線は相変わらず、無駄がなく、どこか測るようだった。

 

やがて――

 

「……なるほどな」

 

完全に納得した時の声音だった。シノンはそこで一歩踏み込む。

 

「利害の一致ってやつよ」

 

余計な言葉は足さない。ナガンはわずかに視線を逸らし、思考をまとめるように短い間を置く。長くはない。だが、無視するわけでもない、判断のための沈黙。

 

そして。

 

「いいぜ」

 

あっさりとした一言だった。拍子抜けするほど簡単に話が決まる。シノンは一瞬だけ言葉を失いかけて――すぐに表情を戻した。

 

「……即決ね」

 

「条件が噛み合ってるだろ」

 

迷いも含みもない純粋な合理。シノンは小さく息を吐く。

 

(……ほんと、分かりやすい)

 

極端なまでにシンプルな判断基準。だがその分、無駄がない。

 

「じゃあ決まりね」

 

「ああ、よろしく頼む。シノン」

 

この短いやり取りで、関係が一つ定義される。

 

――バディ。

 

その言葉の重さを、どちらも特別には扱わない。ただの“条件一致”。それ以上でも、それ以下でもない。それでもシノンは、ほんの僅かに思う。

 

(……これで、同じ距離に立てる)

 

その感覚の意味をまだシノンは、はっきりとは理解していなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バディを組んでから数日後。シノンからの誘いで早速クエストに参加していた。今回、ナガンが手にしているのはワルサーWA2000。生産数が極めて少なく、知る人ぞ知るレアライフル。

 

彼は試射する機会を失っていた為、引っ張り出してきたのた。

 

フィールドは荒廃した工業地帯。かつて稼働していたであろう巨大な施設は、今やその原型を留めていない。崩れた建造物と錆びついた鉄骨が並び、足場は不安定で、視界は断片的に遮られている。

 

通路のように見える場所も、少し進めば行き止まりになっていることが多く、構造そのものが戦闘の難易度を引き上げていた。

 

風の流れも一定ではない。開けた空間では直線的に吹き抜けるが、瓦礫の隙間や建造物の残骸に当たることで乱れ、局所的な渦を生み出している。弾道計算においては無視できない要素になっており、距離が伸びるほどその影響は計り知れない。

 

狙撃には適している。だが同時に、位置を読まれれば逃げ場は少ない。接近戦のリスクも高い、極めて“読み合い”が重要なエリアだった。

 

 

風が抜けるたびに、崩れかけた構造物がわずかに揺れる。微細な振動が連鎖し、かすかな金属音となって空気に混ざる。静かだが、完全な静寂ではない。

 

むしろ――いつ何が崩れてもおかしくない、不安定さが常に付きまとっていた。

 

「今回のターゲットは機械兵の巡回部隊。数は五、ルートはほぼ固定されてるわ」

 

シノンが淡々と説明する。その声で必要な情報だけが的確に並べられていく。事前に収集したデータを自分の中で咀嚼し、実戦で使える形に整理しているのが分かる。

 

単なる情報共有ではなく、“どう使うか”まで含めた説明だった。

 

「ここを通るタイミングで叩く。高所は三箇所あるけど、見通しと逃げやすさ考えると――」

 

「東側の崩落ビル」

 

言葉の途中で、ナガンが答えた。割り込むというより自然に続いた形だった。思考の流れが一致しているからこそ起こる、違和感のない補完。

 

シノンは一瞬だけ視線を向ける。

 

「……正解」

 

(見てる範囲が同じ……)

 

まだ組んで間もない。互いの癖や判断基準を完全に理解しているわけではない。それでも、視点の高さと優先順位が一致している。どこを危険と見るか。どこを有利と判断するか。どのルートを切り捨て、どこを選ぶか。

その基準が驚くほど近い。ただ同じ景色を見ているのではない。“どこを見るべきか”が一致している。

 

それは単なる相性ではなく、戦闘における思考の構造が似ている証拠だった。それが、想像以上にやりやすい。無駄に説明する必要が無ければ、確認を重ねる必要もない。判断の過程を省略できるということは、その分だけ反応が速くなるということでもある。

 

「私は西側からカバーする。あんたは?」

 

シノンが短く問いかける。ナガンはわずかに視線を動かし、地形をなぞるように確認する。

 

「中央。初弾は俺がやる」

 

そこに迷いはない。状況を把握した上での最適解を最短で提示している。短い会話だが、それで役割分担は十分だった。余計な確認も、細かいすり合わせも必要ない。

 

互いの精度と判断力を前提にしているからこそ成立する連携だ。言葉は少ないが、その裏にある認識の共有は、決して浅くはなかった。

 

 

 

 

 

 

配置について数分後。ナガンは崩落したビルの中層に陣取っていた。瓦礫の隙間から視界を確保しスコープを覗くと、遠くの機械兵の影が動いている。

 

(距離、約460メートル)

 

今日は風が弱いので補正は最小限にし呼吸を整える。無駄な思考は一切ない。ただ、『当てる』ための準備だけが淡々と進んでいく。

 

無線越しに、シノンの声が入る。

 

「……来るわよ」

 

「見えてる」

 

それだけで十分だった。

 

 

機械兵が指定ポイントに入る。その瞬間――乾いた発砲音が一つ、空気を裂いた。先頭の機械兵の頭部が弾ける。

 

一発、それだけで隊列が崩れた。

 

(速い……!)

 

シノンは息を呑む。ほぼ同時に、自分もトリガーを引いていた。二発目。側面の個体を撃ち抜く。残り三体。だが敵の動きはすでに乱れている。指揮系統が崩壊していた。

 

「左、二体」

 

「了解」

 

言葉は最小限だが、タイミングは完璧に噛み合う。ナガンの三発目が一体を落とし、残る一体に対してシノンが追撃を入れる。

 

最後の一体が物陰に滑り込もうとした瞬間――再び乾いた銃が響く。彼の弾丸が、遮蔽物のわずかな隙間を正確に抜いていた。わずかな誤差もない、計算された一撃。

 

戦闘終了まで数十秒。あまりにも短い、だが密度の濃い時間だった。

 

 

 

 

 

彼はすでに武器を下ろし、何事もなかったかのようにドロップ品の確認に入っていた。戦闘直後とは思えないほど落ち着いた動き。さっきまでの緊張感はどこにもない。

 

だが――シノンは、その手元に違和感を覚えた。

 

(……あれ?)

 

思わず目を凝らす。ナガンが拾い上げていたのは――武器でも弾薬でもない。無骨な外装の、黒いスーツケースだった。

 

「スーツケース?」

 

思わず声に出る。今回のクエスト内容からして、ドロップは高確率で武器かパーツのはずだった。少なくとも、こんな“ただの荷物”が出るような情報はなかった。

 

(……情報、外した?)

 

一瞬だけ不安がよぎる。だが――その疑問は、次の瞬間に消えた。

 

「これは……コッファー!」

 

ナガンの声がわずかに弾む。分かりやすい反応だった。

 

シノンは眉をひそめる。

 

「コッファー?」

 

聞き慣れない単語に自然と問い返す。ナガンはケースを手に取ったまま、軽くロック部分を確認しながら続けた。

 

「あぁ、スーツケースに収まるように改造された銃だな。中に一体化されたMP5Kが仕込まれてる」

 

さらりと説明するその口調は、先ほどの戦闘と同じく淡々としている。だが、わずかに――楽しげな色が混じっていた。

 

「昔のドイツのSPが使ってたやつで要人警護用。見た目はただの荷物、中身はサブマシンガンってわけ」

 

そう言いながら、ナガンはケースの重さを確かめるように軽く持ち上げる。動きに迷いはない。初めて手にしたはずの装備を、最初から理解しているかのように扱っている。

 

(……また変なの)

 

シノンは小さく息を吐いた。武器としては明らかに特殊で用途も限定的。普通のプレイヤーなら、まず選ばない。

 

だが――

 

(……なんでそんなに馴染んでるのよ)

 

ナガンの手の中にあるそれは、不思議と“似合って”いた。まるで最初から、その使い方を知っているかのような自然さ。

 

「使いにくそうね」

 

少し棘を混ぜて言う。するとナガンは、わずかに肩をすくめた。

 

「状況次第だな。隠し持てるのは強い」

 

あくまで合理的な評価。そこにロマンや興奮を語る気配はない。だが――ほんの僅かにだけ、満足げだった。

 

(……ほんと、分かりやすい)

 

シノンは内心で呟く。戦闘中は無駄がなく冷静で、隙もない。だがこうして武器を手にすると、わずかに“素”が出る。そのギャップが、少しだけ引っかかる。ナガンはそんな視線に気づく様子もなくケースの機構を確かめるように指を滑らせていた。まるで――ついさっきまでの戦闘など、最初から存在しなかったかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナガンとシノンは、再びクエストに参加していた。今回のフィールドは市街地跡地。崩れたビルと細い路地が入り組んだ、見通しの悪いエリアだ。長距離狙撃よりも、中距離での精度と対応力が求められる。

 

「ターゲットはプレイヤー混成の傭兵部隊。数は四。索敵能力が高いから、初動で崩すわよ」

 

シノンが淡々と説明する。

 

ナガンはそれを聞きながら、静かに銃を構えていた。

 

 

手にしているのは――M24 SWS。

 

そのシルエットを視界に入れた瞬間、シノンの表情が露骨に歪んだ。ほんの僅かな変化だが、それは見逃しようがないほどはっきりとした拒否反応だった。視線が一瞬だけ鋭さを増す。無意識のうちに身体が構える――そんな微細な変化すら、彼女自身は自覚していない。

 

それでも、確かに“反応していた”。

 

「……それ」

 

短く落ちた声には、抑えきれない棘が混じっている。普段の彼女ならここまで露骨に感情を出すことはない。だが、その一言には明確な拒絶と、わずかな苛立ちが含まれていた。

 

ナガンは一瞬だけ視線を向ける。

 

その目は確かにシノンの変化を捉えている。だが、それを深く追うことはしない。気づいていないわけではない。ただ、“そこに踏み込む必要性”を感じていないだけだ。

 

「どうした?」

 

返ってくるのは、いつも通りの温度のない問い。相手の感情を否定もしなければ、寄り添いもしない。ただ事実として確認するだけの声音だった。

 

「……その銃」

 

シノンは目を細めたまま続ける。視線は逸らさない。逸らした瞬間、自分がこの銃に引っかかっていることを認めることになる。だからこそ、意地のように見据え続ける。

 

「あんた、わざとそれ持ってきてる?」

 

問いの形をしているが、実際は確認ではない。それはどちらかと言えば、牽制に近い。「気づいているのか」という無言の圧力。

 

ナガンは数秒だけ考え――

 

「ああ、これか」

 

ようやく理解したように呟いた。その反応は、あまりにも“軽い”。

 

まるで今初めてその事実に気づいたかのような、引っかかりのない納得。そこに悪意も配慮もない。ただ純粋に「理由を理解した」だけの反応だった。特に気にした様子もなく、軽く銃を持ち直す。

 

グリップの位置をわずかに修正し、ストックの当て方を調整する。重心のバランスを確認するように、ほんの僅かに手首を動かす。

 

その一連の動作は、完全に“扱い慣れている人間”のそれだった。まるでこの銃がどういう特性を持ち、どう扱えば最適なのかを、最初から理解しているかのような自然さ。

 

そして何の迷いもなく言った。

 

「なんだかんだこれ、長く使ってるからな」

 

ナガンは軽く銃を持ち直しながら、何気なくそう言う。その声音には、特別な感情は乗っていない。ただの事実確認のような乾いた響き。

 

そして、ほんの一拍置いてから続けた。

 

「あー、変えた方がいいか?」

 

あまりにも気の抜けた提案だった。気遣いとも違う。配慮というほど重くもない。ただ、“問題があるなら変えてもいい”という程度の軽さ。

 

それが、シノンには余計に引っかかった。この銃は、シノンにとってただの装備じゃない。一瞬で視界を奪われた記憶。何もできずに終わったあの瞬間。確かに刻まれた“負け”の象徴。だが彼にとっては違う。

 

ただの“扱いやすい銃”だ。その認識のズレが、わずかな苛立ちとなって胸に残る。

 

「……他にあったでしょ」

 

声に、少しだけ棘が混じる。完全な理屈ではないことは分かっている。だが、感情がそれを許さない。

 

「例えば、あんたのあのバカでかいやつ」

 

言外に示されているのは――シャイタックM200。ナガンの象徴とも言える一丁。異常な距離から、異常な精度で撃ち抜く、あの武器。

 

「あれ使えばいいじゃない」

 

半ば言いがかりに近い提案。だがシノン自身、それが合理的な比較ではないことは理解している。それでも口にせずにはいられなかった。それをナガンはあっさりと返す。

 

「あー、あれはあんま使わない。というか使えない」

 

「は?」

 

予想外の返答に、思わず素の声が漏れる。

 

(使えない?あの銃が?)

 

「弾代が高いんだよ。手に入れた頃にバカスカ撃ったから今は自制中だ」

 

空気が一瞬完全に止まる。音が消えたわけでも、時間が止まったわけでもない。だが、シノンの思考が一瞬だけ追いつかず、現実との接続がわずかに遅れる。彼女は無言でナガンを見る。ナガンは特に何も変わらない顔でそこに立っている。

 

「……そこ?」

 

「大事なとこだろ...!」

 

理解がほんの一瞬だけ遅れる。確かに弾薬コストは無視できない。長期的に見れば、運用に大きく影響する要素だ。だが、あの銃はそういう理由で“封印される側”の存在ではないはずだ。ロマンと性能の塊のような武器を、現実的な財布事情で使わないという判断。

 

間違ってはいないが納得もしづらい。ナガンはそんな視線を気にするでもなく、どこかそっぽを向くように続けた。

 

「レアな銃集めと素材集め、ばっかやってるせいで、金が無いんだよ……」

 

ぼそり、と。

 

ほんのわずかにだけ、現実の重みが混じる。軽口でもなければ言い訳でもない。ただの事実。だからこそ、妙に説得力がある。

 

シノンは一瞬だけ間を置き、いつもの調子で口を開いた。

 

「あんたが集めた装備……売ればそれなりの額になるでしょ」

 

合理的な指摘だった。

 

レア銃、希少装備、リアルマネーに還元すればにそれなりの額を稼げ、GGOの通信量は余裕で払えるだろう。むしろ、それを資金にしてさらに効率よく動く方が理にかなっている。

 

 

 

 

 

 

そう――普通なら。

 

 

 

 

 

 

ナガンは即座に振り返った。

 

「え、何言ってんのお前?」

 

一切の迷いも冗談もない完全なマジトーン。その反応は、“理解できないもの”に対するものだった。

 

「……本気で言ってる?」

 

その顔には、“選択肢として存在しないものを提示された”困惑がそのまま浮かんでいる。「売る」という発想そのものがない。

 

「集めたレアなもの売るくらいなら、最初からやってねぇよ。売るとしても本当に市場に回ってるノーマルの武器しか売らん」

 

当たり前のように言う。そこに迷いが無ければ、揺らぎもない。合理でもなければ効率でもない。ただ、それが“前提”だった。シノンはしばらく何も言わなかった。目の前の男をじっと見る。

 

(……こいつ、アホなの?)

 

最初に浮かんだのは、そんな感想だった。しかし、この男の中でそれが完全に一貫した価値観になっている。

 

銃は資産ではなく、売買の対象ではない。集めるもの、使うもの、手元に置くもの。

 

だから――手放す、という選択肢が存在しない。

 

(意味分かんない……)

 

だが、完全に否定もできない。その在り方が、あまりにも“まっすぐ”だからだ。シノンは小さく息を吐く。

 

「……バカじゃないの」

 

ぽつり、と吐き捨てる。だがその声には、さっきまでの苛立ちはもうほとんど残っていなかった。

 

 

 

 

 




話は少しズレるんですが、タルコフ系のゲームとかやってると装備失うのを怖がってSCAVモードしかプレイしない人っていると思うですよ。

特に私はそうです。
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