小説版と映画でストーリー展開が違うので、どっちに寄せるべきか迷う今日この頃……みんなも超かぐや姫!を見て、読んで、違った視点からのストーリーを楽しもう!
『注目のイベントが始まります!王者ブラックオニキスが異例の速度でのし上がった超新星、かぐや・いろPに宣戦!そして求婚!』
『帝のファンダムは一時騒然となりましたが、恐らくノリで言ってるだと思いまーす』
『運命を懸けたKASSENが今まさにここツクヨミ特設スタジアムで始まろうとしています!』
『どもっす、実況の乙事照事と』
『解説の忠犬オタ公でーす!そして!』
『ヤオヨロ〜☆特別ゲストの月見ヤチヨです』
『ヤチヨカップも残り1時間ですよね』
『この勝負の結果次第ではかぐや・いろPの逆転も……?!』
『ヤッチョも楽しみな一戦だよ〜頑張れー!かぐや、いろP、ライト〜!』
「ヤチヨに応援された……やばい、勝ちたいかも」
「クククッ、その意気だ。初めから負けるつもりで戦い、得られる勝利なんぞ無い!プロが何だ、王者が何だ!この場で最強を下し、ヤチヨカップでも優勝するぞ!」
「おー!ミナモトがいいこと言ってる!よっしゃー!勝つぞー!!」
スタジアムの初期位置では既に集まったかぐや達が実況席の言葉に戦意を溢れださせながら、王者の到来を待つ。
『ルールはSENGOKU!3対3の3番勝負!』
『黒鬼はまだですかね〜?』
「てか、真美じゃなくて源が来たんだね」
「最初こそ彼奴もゴネておったがな、勝敗によってはかぐやの結婚やヤチヨカップの結果に影響が出るということで、最後には折れていた。その代わりというか、帝のサインを吐血しそうなほど切実な顔で頼まれたがな……」
「あぁ……真美らしいというか、なんというか」
「頑張れー!かぐや〜!彩葉〜!源くん〜!勝ってね〜!そんで、帝様のサインもら゙っで来て〜!」
「私情出まくってるよ、真美」
三者三葉、応援の思いも乗せて戦いに臨む中、突如としてスタジアムの一角が爆発し、膨大な土埃が視界を奪う。
暫く目を瞑り、土埃が収まるのを待つと、かぐや達の目の前に3人の黒鬼が王者の余裕を持って降り立った。
『黒鬼、ご来臨〜!!』
『ステージ内の一部を爆発して登場とは、帝らしい派手な演出ですね!』
『こういう演出ヤッチョも好きだから、次のライブとかでやろっかな〜☆』
ブラックオニキスの登場に盛り上がる観客席と実況席。その歓声を一身に受けても緊張した様子も気負った様子も無く、帝は悠々とかぐやに近づく。
「どーも、対戦受けてもらってありがと。いろP、ライト源氏、そして、俺の姫かぐやちゃん!」
「どおぅら!帝ぉ!勝負だ!」
「前傾姿勢可愛すぎ〜」
かぐやが普段よりもドスの効いた声と巻舌で威嚇するも、帝にはまるで効いていなかった。威嚇するかぐやを可愛いと言ってのける程度には、まるで効いてない。寧ろ、バフになっているのではと言うほど機嫌がいい。
「俺が勝ったら、結婚してくれんの?」
「な、わけ、ねぇだろ!」
いいながら帝のへ飛びかかり、武器を振るう彩葉。しかし、帝はいとも容易くその攻撃を避け口笛を吹く余裕さえ見せていた。
まさしく一触即発の雰囲気の中、黒鬼が現れてからは黙りを決め込んでいたひょっとこ面が声を上げる。
「貴殿が帝アキラと見て、相違なかっただろうか?」
「ん?そーだけど、どうかしたか?ライト源氏先生」
「先生は不要だ。いや何、此度の勝負において我々が勝った場合、私個人として、少し聞いて欲しい頼み事があってな」
「へー……いいぜ。何が望みなんだ?」
「それは……いや、ふむ。迷惑でなければ勝った時に伝えても構わないか?」
「俺はいいけど、なんで?」
「なに、単純なことだ──」
金の羽織を翻し、懐から無骨な鉛色の片手斧と錆色が特徴的な銃身の長い散弾銃を取り出す。
翻した羽織が落ちるよりも速く、ひょっとこ面の男は鈍色の刃先と赤褐色の銃口を、愉快げに顔を歪ませる帝に向けた。
「──貴様に勝ってから言うほうが、盛り上がるであろう?」
「──アンタ、わかってんじゃねぇの」
『な、なんとー!ライト源氏、帝に対して真正面から勝利宣言ー!!』
『ひょっとこ面なのに異様にカッコよく見える……!』
『ライトも男の子だねー☆いっけー!帝を倒してツクヨミを盛り上げちゃえー!』
会場のボルテージは最高潮、開戦まで幾許もない時間の中で、リスポーン地点でかぐや達は作戦会議を始める。
「ガーッと行ってシュタタターッ!そんでバーンッ!!」
「ミニオンを蹴散らしながら最速でヤグラに向かい、牛鬼を仕留めて大将落としを叩き込むと……スタンダードな攻め口だな」
「そういうことっ!」
「なんで源は今のでわかったの???」
「友人にかぐやのように擬音でしか説明せん奴がいてな……慣れた。そのうち、いろPもできるようになる」
「慣れたくね〜……」
『それでは、試合開始です!!』
法螺貝の音が響き渡り、かぐや達とブラックオニキスのKASSENが始まった。
***
「帝達はトライデント……一対多で戦う必要のある絶対的自信がなければ許されない陣形──つまりは舐めプということか。腹ただしいが、彼我の差を考えれば理にかなっている」
かぐやと酒寄彩葉、俺に別れ、トップレーンとボトムレーンからそれぞれのヤグラを目指す。
トップレーンには帝アキラ。そして、ボトムレーンには狙撃手の乃依が居る。
マップを確認しながら竹やぶを中速の馬にライドして駆け抜ける。狙撃手とこのような遮蔽物の多い場所で戦うのは勘弁願いたい。どこから狙われるかわかったものでは──
「──プロとは恐ろしいものだなぁ!」
「流石に一筋縄ではいかないか」
比較的竹の少ない直線を駆けることで正面以外を全て警戒していたことが功を奏したか。矢が届くまで気づかなかった故にほぼ勘のようなものでしかないが……全く、入り組んだ竹の深いところから、正確に俺の側頭部を狙い撃つとは、恐ろしい狙撃技術。
だが、生憎と俺も負けてやれんのでな。
さらに馬の速度を上げ、一息に竹やぶを抜ける。目の前に現れるのは草原と無数の雑兵ミニオン。
ミニオン共は変形させた両手斧で一撫での下に切り捨て、牛鬼を目指す。
「狙うなら額、胸、腕。そしてライド──などという、常識は貴様らに通用せんのだろう、な!」
雑兵を吹き飛ばし飛んでくるであろう乃依の矢の盾にする。もっとも、柔い肉壁1つではまるで盾の役割を果たすことはできん。
しかし、攻撃の方向さえ分かれば、撃ち落とし、切り払うことは可の──
「ぐっ!なるほど、強弓の連射ときたか……だが、脇腹の肉が一片抉れたとて、何するものぞ!」
目前に迫るヤグラと現れる牛鬼。
牛鬼の持つ巨大な体躯に相応しい攻撃範囲と、堅牢な防御力は非常に厄介だ。
しかし、俺の持つ斧の前にそれらは障害たり得ない!
「きえぇぇい!!」
『ボトムレーンのライト源氏!猿叫と共にウルトを発動!牛鬼の頭上に超高威力の一撃を叩き込み、牛気を撃破ァ!』
『ライドから跳躍し空中に躍り出ることで、牛鬼の攻撃が届かない真上に移行。空中で振りかぶることで斧の持つ隙の大きさをカバー!計算されています!』
これのままヤグラを占拠し、たいところだが……
「クハッ!流石に許してはくれぬかーっ!?」
『あーっとしかし、乃依のカウンター!鈍足連射だ!ライト源氏、懸命にパリィするも動けない!』
『猶予1フレーム技ですが、止まりません!』
二つのヤグラを同時に占拠されてしまえばコールド負け……であるならば、ここで負ける訳には行かんだろう!
「──とはいえ、鈍足のデバフが厄介すぎやしないか!?満足にパリィも出来んのだが!?ぐっ、がはっ!?」
『あー!乃依の一撃がライト源氏の背中を捉えたー!ライト源氏を倒して、そのままヤグラを占拠!』
「くっ、すまん、かぐや、いろP……」
『トライデントのまま両ヤグラ占拠でコールドです!鮮やかっ!』
『かぐや・いろPチームも善戦しましたが……黒鬼、強スンギww』
『プロゲーマーとしての貫禄を感じるねー。でもまだ一回戦!みんな、頑張ってー!』
猶予1フレームをあれほど連続して放ってくるとは……やはりプロ、分かりきっていたことだが凄まじい強さだ。
「すまん、相手の策に翻弄され、何もできなかった」
「いやいや、牛鬼一人で倒してたし、乃依ともいい勝負してたんでしょ?十分だよ」
「そう言ってもらえると助かる。……貴様、帝アキラが兄らしいな。顔を出すあたり何か確執がありそうだが、大丈夫か?」
「……大丈夫。顔出したのも勝つためだし。源は、気にしなくていいから」
馬鹿め。この俺が気にしないわけがなかろうが……!しかし、今言ったところで聞かないことも分かっている。
だからこそ、酒寄彩葉を勝たせねばならん。
「しかし、やはり正攻法では勝てんだろうな。彼我の実力差は明確だ」
「そうなんだよね……」
「ん〜……ねぇ、帝ってさ……」
***
『2回戦始まって黒鬼はトライデント継続です!』
「クククッ、かぐやめ。やはり良い目をしている。その上で発想力も素晴らしい。改めて彼奴の強さというのを思い知らされた気分だ!」
馬にライドしながらトップレーンを駆ける光。目指すは先程己を翻弄し、その身を撃ち抜いた仇。
槍を片手に突撃してくる雑兵ミニオンを馬上から振るう両手斧で蹂躙し、ヤグラに向かう。そんな光に向けて、青い燐光を纏った弓矢が空を割きながら飛んでくる。
馬から降りることでその矢を回避し、矢を放った下手人のいる崖に向けて斧の穂先を構える。
「さぁ、リベンジマッチと行かせてもらおうか!」
「熱っついね〜、そういうの趣味じゃないんだけど?」
「クァーッハッハ!そういうな!付き合ってもらうぞ、今の俺はかなり気分がいいんでな!」
互いに互いの姿を認識すると共に正確無比な連射が雨のように放たれ光を襲う。真っ直ぐに飛来する鈍足の矢と、それに紛れるように真上から落ちてくる破壊力に特化した矢。更に、思考の隙間を狙って放たれる、方向を急激に曲げて斧のパリィを食い破ろうとする貫通力に特化した矢。
それらを全てを目視と予測、勘を持って片手斧と散弾銃で撃ち落とし、乃依の鎮座する崖上へ目指して疾走する。
当然、乃依もらやられるばかりではない。矢に緩急をつけたり、先に放った矢と全く同じ射線にもう1本矢を放ったり、様々な属性を付けることで妨害したりと、多彩に光の進行を食い止める。
光と乃依の距離が縮まる毎に、光の体を掠る矢の数も増えていく。
「雷、トップレーンフォロー!乃依がやられる!」
「どぅおりゃあー!」
空を泳ぐレプトケファルスからハンマーに乗り、乃依目掛けて超質量の一撃を叩き込まんとする。
帝の指示と奇襲のきの字も知らないかぐや声によって、余裕を持って距離を取る。
乃依に近づくということは、反撃を許さない無類の射程範囲に入るということに他ならない。
ハンマーを振り抜き無防備なかぐやに向けてタメの入った剛弓を構える。
「俺から目を離したなぁ!」
「あっ」
瞬間、巨大な爆発音と共に錆色の散弾銃が火を吹く。発射された無数の銃弾は空を侵す赤褐色の軌跡を残して乃依の体に幾つもの穴を開け、無慈悲にも生命を刈り取る。
「ぴえん──」
涙のエフェクトを出しながらも、その表情は未だ余裕が貼り付けられ、青の粒子となって消え行くとも強者の風格があった。
しかし、格上に対して一時の優勢を確保できたことは事実。
「反撃、開始だァァ!」
乃依を打ち破った光は勢いづき、牛鬼をウルトによって瞬殺、ヤグラを占拠するに至った。
その後は彩葉を退けた帝と辿り着いた雷による妨害こそあったものの、かぐやと光のパワーコンビによる突破力は並ではない。
天守閣前では、かぐやが帝へ突撃した隙間を縫い光が大将落としを叩き込んだ。
『なんとぉ!かぐやいろPチームが一矢報いる!かぐやの奇策が嵌ったァ!』
『2Dマップに上下情報がないことを逆手にとった見事な撹乱です!』
『食べ物系のアイテムを上げると乗せてくれるとかwww初耳ンゴwwwおもしれぇwww』
『決着は3戦目へ!』
***
「「いぇーい!」」
第2ラウンドを制し、初期地点に戻ったかぐやと光は戻るや否や互いの健闘を称えるようにハイタッチを決める。
「思った通りにハマりすぎていっそ怖いまであるな!素晴らしい策略だ、かぐや!」
「ミナモトも乃依ぶち抜いてたじゃん!凄かったよあれ!なんか、赤黒い線があって、こう、魔王みたいだった!」
「貴様、それは褒めているのか……?」
盛り上がる2人と対称的に、彩葉は物思いに沈んでいた。
そんな3人の目の前に、帝側からの通信が入る。
『やられたよ、かぐやちゃん。でも、もし俺が2戦目に配置変えてたら?』
「帝も負けず嫌いっしょ〜?私だったら、勝ってるうちは絶対作戦変えないから〜。どう?配信のかぐやちゃんとは違った〜?」
「クククッ、かぐやめ、ここぞとばかりに煽りよるな」
「足元すくわれないといいけど……」
「なに、その足元を守るために
「源……」
「頼れ。……と言っても、貴様は聞かんだろうからな。精々、俺達のことを利用しろ。お前のやりたいことを叶えるためにな」
気づけば、帝との通信は切れていた。
最終戦、この戦いの趨勢を決める3戦目が鳴り響く法螺貝の音と共に始まった。
コソコソ裏話
光の変形武器の名称は斧の「可変式超絡繰機構斧型:赤鉛」と散弾銃の「実弾式超絡繰機構散弾型:赤錆」。それぞれ武装の変形ギミックが備えられているライト源氏によるハンドメイド品。変形ギミックを搭載しているため、製造とメンテナンスがとても大変。だが、シンプルなデザインによってそのコストも削減している。武器まで作れたら、お前は何ができないんだ、光……
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