内容があっち行ったりこっち行ったりするのでちゃんと伝わるよう書けてるか不安ですが、ままいけるやろ()。
映画館でまだまだ続く超かぐや姫!みんなも見よう!
美月の肉体年齢がかつてのかぐやと同じ15歳にまで成長したことで、光は本格的に仕事に戻った。
一人で留守番するつもりだった美月だったが、どうせなら一緒に留守番しようというヤチヨとかぐやの誘いを断りきれず、先日と同じように彩葉の家にお邪魔して、光から貸し与えられたタブレットを弄っていた。
ヤチヨとかぐやはそれぞれ家事や配信の準備など、各々がしたいことをする長閑な昼過ぎ。
「ヤッチョとカグヤってさァ……」
「なんだいなんだい?」
「なになに、どした?」
「
穏やかだったリビングに、ゴングの音が鳴り響いた。
「……かぐやはね〜!めっっっちゃ仲の良い友達!後、彩葉のことが大好きな親友で〜!彩葉の全部!」
僅かに考える仕草をしてから、あくまで朗らかに明るくかぐやは宣言する。
しかし、うちに秘める感情まで表出したものと変わらないとは限らない。
(今、美月ナチュラルにミナモトのことヒカルって呼んだよな〜……。もしかして、ミナモトとの関係に何か進展があった感じ?!ヤバ!ちょ〜気になる!)
大体変わらなかった。
「ヤッチョはね〜、彩葉の全部で対等な親友。それで、私達の大事な大事なお友達……かな!」
しっとりと歌うように、噛み締めるように、最後には誤魔化すように、ヤチヨは告げる。
優しく、友を慈しむ大人の余裕を感じさせる姿は先程のかぐやとは対照的だった。
しかし、細められた瞳の奥に潜む感情が、表出されたものと同じとは限らない。
(今、美月ってばミナモトのことヒカルって呼んでた?……もしかして、ミナモトとの関係に何か進展があった?!ヤッチョ、凄ーく気になっちゃうな〜!)
全然違った。
「ふ〜ん……そーなのかァ」
「なになに、ミナモトとなんかあった?」
ここでかぐやがジャブを放つ。
「んにゃ、別に〜?昨日と変わらず、私の事を大事に大事にしてくれてますよォ〜」
「ヤッチョ達から見てても、ミナモトは美月の事を凄く大事にしてるもんね〜」
「そーね……」
リビングに散っていたかぐやとヤチヨが美月の座るソファに座る。
2人分の体重に沈むソファの上で、美月はタブレットを抱え込むように膝を畳む。
「それでそれで〜?美月は何が知りたかったん?」
「……2人とも、何かミナモトと距離近いし、めっちゃ仲良さげだから、何か……特別な理由とかあんのかなァ〜って思っただけ」
「ふむふむ、特別な理由……」
「仲の良い特別な理由……」
美月を挟んで2人は、視線を交える。
(これってもしかして……)
(もしかしなくても……)
((かぐや/ヤッチョ達に嫉妬してる……!?))
(えっ、かぐや達に嫉妬する要素とかあった!?確かに仲良くはしてるけど……するなら彩葉じゃない!?)
(ももも、もちつけ!ままままだ、あわあわ慌てる時間じゃにゃい!)
(お前がもちつけ!てか、マジでそれどころじゃないって!)
(いやぁ、まさかこうも直球にくるとは……このヤチヨの目を持ってしても……)
「カグヤ?ヤッチョ?」
「「っ!」」
「え、ちょ、大丈夫?」
「「ダイジョブ!ダイジョブ!」」
元々同一人物である2人は
そんな二人の世界を構築している中で声をかけられた2人は、平成アニメのようにソファの上で体を跳ねさせた。
不審な2人の様子に美月は首を傾げるが、抱えたタブレットの角を撫でながら思案顔を浮かべる。
「……何か、ミナモトって私に遠慮がちっていうか……気安くない感じがするっていうか……」
「「あ〜……」」
2人の脳裏に自分達に向けるものとは違った視線を美月に向ける光の姿が思い浮かぶ。
「ま〜かぐや達はミナモトが今みたいに落ち着く前からの関係だしな」
「ヤッチョに至っては中学生の一番荒れてたライトまで遡りますので〜」
「だから、長い間関わってけば勝手に気安くなってくんじゃね?」
「慌てる必要はないと思うのです〜」
「……私だって、7年と16日16時間8分24秒関わってるし。赤ちゃんの時、すごい可愛がってもらったし……」
((あ、これかぁ〜))
つまりは、そういうことである。
気安く関わり、気の置けない友人のように仲の良い2人と光の関係に嫉妬して、マウントを取ろうとしていただけなのである。
拗ねたように僅かに頬を膨らませて、2人の方を見ないようにそっぽを向く美月。
かぐやとほぼ同じ容貌にも関わらず、今は彼女よりも幾分も幼く見える。
(ヤチヨ、美月メッッッッチャ可愛くね?)
(メッッッッッチャ可愛い)
(はぁ〜、マジでミナモトって罪な男だわ〜)
(この7年で人たらしに磨きがかかってたから、それも大きそうなのですよ〜)
ソファの上で小さくまとまる美月を撫でたがる手を必死に抑えながら2人の
(とりあえず、慰めるって感じ?)
(ヤッチョ達にはない関わり方をしてるってことを教える感じ?)
(おk!)
「まぁ〜、それなら、ミナモトも美月の可愛さにメロメロってことじゃね?」
「っ」
「大事な人ほど大切に扱いたいのは、全人類共通なのですよ〜」
「っ!」
((わっかりやす〜……))
2人が少し肯定的な意見を出すだけで、美月の体はビクビクと反応する。
先程まで嫉妬と劣等感で体を縮こまらせていた少女の足先が、ピンッと伸びたり、モジモジと擦らせたりと落ち着きが無くなっていく。
(実際、ミナモトってどんくらい美月のこと好きそうなの?)
(娘として3割、友達として5割、恩人2割くらいって感じかな〜。こうなると、ヒカルは滅茶苦茶大切に扱うよ)
(うわっ、理解者マウントヤバ。美月に見せちゃダメだよ?)
(ふふふ〜。もちろん分かっているのですよ!)
「そういえば、ツクヨミにいた時から、ミナモトはと〜っても美月のことを気にかけてて、ヤッチョ達よりも優先することがあったくらいなんだよ〜?」
「マジか!?かぐやソレ知らなかったんだけど!?」
「っ!っ!」
いよいよ、美月の膝が伸びて両手で顔を覆い始めた。
「てか、ミナモトがかぐや達に気安いように感じるのって、そんだけ"慣れてる"ってことじゃん?」
「寧ろ、7年あってもそんな"慣れ"のない美月のことは、凄く『特別』扱いなのやも?」
「うわっ、ミナモトなら有り得る。あいつ1回懐入れたらすんごい甘いけど、美月にはもぉっと甘いもんね」
「〜〜っ!!」
ついに美月は、ジタバタと足を暴れさせ始めた。
((やばい。可愛いし、楽しいっ!))
2人はそんな美月の姿にキラキラと瞳を輝かせていた。
「てか、もうぶっちゃけ聞いちゃうけどさ〜。……美月、ミナモトの事好きっしょ!」
「っ!?っ!?!?」
「声出てないよ〜。というか、気づかれてないと思ってたの?」
「だっ、だって……ミナモトは、気づいてなかったし……」
「「あれは鈍感クソボケ超人だから、判断基準にしちゃダメ!」」
「ミナモト泣いちゃうよ……?」
***
「んべっし!!」
「どしたの、風邪?」
「いや、どこぞで噂話でもされているんだろう。それよりも彩葉、この研究データは活用できないか?」
「どれどれー……ん〜、これは──」
***
「それよか、ほれほれ〜バレてるんだから早く吐きなされ〜」
「そーだそーだ!かぐや達はもう限界だぞー!」
「ぐっ!むぅ……!2人とも、誰にも言わない……?」
「「言わない言わない!彩葉に誓うよ!」」
「信用できるか怪しいのきたなぁ……。ミナモトのこと……うん、多分、これが好き、なんだと思う」
タブレットを膝に置き、画面を撫でる。
表示されたロック画面には、光を含めた友人全員が映った写真が表示される。
真ん中で、屈託なく笑う光の頬を美月は撫でる。
「見てると体が熱くなって、笑うのを見ると何より嬉しくて、撫でてもらうと模倣しただけの心臓がドクドクなる。触れ合う度に、キューっと胸が痛んで、それが凄く気持ちいい」
暗闇に戻ったタブレットの画面には、頬を紅潮させた蕩けるような柔らかい笑みを浮かべた恋する少女の姿があった。
「ツクヨミにいた時は、もっとマシだった。熱くなることも、心臓が痛くなることもなかった。でも、こっちに来て、話して、触れ合って、0と1のデータじゃないミナモトと関わって……私、ドンドンおかしくなっちゃった」
少女はそう言って、もう一度タブレットを抱き抱えた。手に入れたそれを、二度と取りこぼさないために。
「私は、ミナモトのことが好き。大好き」
昼下がり、夏の日差しが部屋を照らし、時折エアコンの風が僅かに髪を揺らす。
いつも通りの、夏の一幕。
それでも、この場にいる少女達だけは、どこよりもロマンチックで、どこまでも熱烈で、どうしようもなく鮮烈な想いを感じていた。
「──うん。伝えようよ、美月のそれ」
「えっ?」
「好きって気持ちは、一度気づいたら止められないもの。幾ら伝えても足りなくなっちゃうの」
2人はソファを降りて、下からすくい上げるように美月の手を取る。
「美月の想いをちゃんと届けられるように。何度も何度もミナモトに伝えてあげよう」
「何年経っても色褪せないように、何時でも声や顔を思い出して貰えるように、ちゃんと伝えなきゃ」
それは、伝え続けて、伝えられ続けたが故に、8000年という長い時を乗り越えられた
「「美月、あなたはどうしたい?」」
「私……私は……」
地球に来て7年。感情や人を知って5年。
想いを吐き出して、数分。
あまりにも早く、あまりにも尚早。
だが、8000年前であろうと、40万年先の月だろうと、いつだって、恋する少女は強いのだから──
「──ヒカルに、好きってちゃんと伝えたい。娘としてじゃなくて、友達としてじゃなくて、女の子として……大好きだって伝えたい」
逆光の中でも、瞳に灯る星は煌めいて、ヤチヨとかぐやはその星を懐かしんだ。
かつて、こんな風に煌めく星を宿した瞳が、自分の手を引いてくれたことを思い出す。
だから、今度はこの手を引いてあげる番だ。
「よっしゃ!かぐや達に任せとき!バッチリサポートしちゃる!」
「ヤッチョも色々お手伝いしちゃうぞ〜!」
「……ありがとう、2人とも。私、頑張るよォ〜!」
「「「えい、えい、おー!」」」
広々としたリビングに少女たちの気合いの入った声が響いていた。
***
「てか、2人ともなんでそんな協力してくれんの〜?」
「ん〜、ミナモトをハッピーエンドにするため?」
「なぁにそれ〜?」
「ヒカルはさ、誰かの幸せのためなら簡単に自分を犠牲にできちゃうんだよね〜。命とか、時間とか、人生とか」
「だからさ、かぐや達は今度こそ、死にたくない〜!もっと生きてたい〜!って、ヒカルに言わせてやりたいの」
「最後の瞬間まで、生きることや幸せになることを諦めて欲しくないの」
「「だから、ヒカルに愛されて、ヒカルを好きになった美月を信じるの」」
「……そんなん、それこそイロハちゃんや2人で良かったんじゃないのォ〜?他にも、ロカちゃんとかさぁ」
「まぁ、正直それも考えはしたんだよね〜」
「多分、美月が美月にならなかったら、彩葉説得して、ミナモト揉みくちゃにして4人で結婚してたし」
「エ"っ!?」
信じていた2人の裏切りとも取れる発言に、美月の頬が引き攣る。
そんな姿に、かぐやとヤチヨはどこか仄暗い艶然を感じさせる笑みを浮かべた。
「私達を大切にして、大事にして、何度も人生を捧げてくれたんだよ?この一生くらい、ぐちゃぐちゃになるまで愛したいじゃん?」
「何度も何度も守られて、今回はおばあちゃんから最強にまで引っ張って貰って、最高のハッピーエンドまで貰っちゃった。それなら、全部ぜぇんぶ、ちゃんと返さなきゃ」
ハツラツとした琥珀の瞳と、透き通る紫水の瞳に黒くどろりとした
痛いくらい眩しい夏の日差しに照らされた2人の笑みは、周囲を一段と暗く感じさせる程に深く、重かった。
「……も、もしかして2人ってかなり危ない??」
「大丈夫だよ!美月がミナモトのこと好きで好きで堪らないのは分かってるからさ!取るつもりもないって!」
「ヤッチョ達も、美月がミナモトのことを幸せにできるならなんだって協力するつもりだし、ドーンッとぶつかってこ!」
「……それ、私が幸せにできないって判断したらァ〜……」
2人の瞳が、先程よりも深く濁る。
「「取っちゃうから、ね?」」
「ヒュッ……」
美月、生後7年16日、8000年濃縮された愛の重さを知る。
しばらくの間、2人の顔を見るのが怖くなり、帰宅した光と彩葉に心配され、光の背中に幼女の如く引っ付いていたのは……余談である。
コソコソ裏話
「2人が怖すぎて忘れてたけど、私これからミナモトに好きって伝えるの?え?マジで?無理無理むりぃ!嫌とか、そういうんじゃなくて、こういうの、段階踏まないと無理じゃん!だって、ミナモトに、おおお、女の子として好きとか、好きとかァ!はぁ?マジで、ちょっと……んぅぅ!!」
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