俺が8000年に負けるまでの話   作:凪 瀬

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ストックが切れたので初投稿です。
ここまでハイペースで投稿できたのは原作があまりにも面白かったからにほかなりません……みんなも見よう、超かぐや姫!


9話 ツクヨミのフリーダムwithひょっとこ面

 

 学生が待ち望んでいた夏休み初日。

 与えられた課題を6割がた終わらせ、休憩として近くのスーパーでプリンを買ってきてしまった。割とお高いやつを。

 この頃は諫山真美と綾紬芦花にパンケーキを奢るなど散財が目立つな……まぁ、月見ヤチヨの依頼によって貯めた貯蓄はこの程度では揺らがんのだが。今一度節制や自重をした方がいいか。

 

「光は今日から夏休みだったっけ。友達と遊ぶ予定はないの?ご飯食べに行ったりとか」

 

「なぜ平日の昼間からリビングに照兄さんがいるんだ???」

 

「今日はリモートにしたからかな」

 

「あぁ、その辺は寛容な会社なんだったか」

 

「それに、僕ってプログラマーとして優秀だからね。会社も作業効率が上がるなら好きにして構わないって言ってくれてるよ。有難いよね」

 

「それだけではない気もするがな……」

 

「まぁ、そんなことはいいじゃない!で、お友達との予定は何かないの?お金が足りないなら、お兄ちゃんがお小遣いあげちゃうよ?」

 

「気持ちはありがたいがな、貯蓄は十二分にあるから結構だ。それに、予定と言っても今のところ8月中に海に行くくらいだ」

 

「おっ、いいねぇ!夏の太陽、煌めく海、眩い白浜……夏の醍醐味だねぇ。どこの海にするか決めたの?」

 

「父さんの会社が管理するビーチを使わせてもらおうと思っている。あそこなら、人も比較的少ないだろう」

 

「入場料もあるし、BBQとかできないからね。うん、問題も少なそうだしいいんじゃない?」

 

「俺と同じ結論になったようで安心した。では、俺は部屋に戻る」

 

「はいはいー。僕も、明日の分の仕事に手をつけておこうかな〜」

 

 しかし、夏休みの予定か……酒寄彩葉の多忙さも相まって中々組めずにいるな。

 ここは多少強引でも休みを作らせ、遊びに行くべきか……いや、それで体を壊されては元も子もない。そのようなこと、諫山真美や綾紬芦花も本意ではないだろう。

 しかし、酒寄彩葉であれば遊びと言うだけで精神的な癒しになる可能性も……?

 

「ふぅー……ここで考えていても答えは出んか。一先ずは課題を終わらせるとしよう」

 

***

 

「──よし、これで終わりだな」

 

 夕食も挟んで19時、無事に夏休みの課題を終わらせた。流石に高校も2年となると一日で全てを終わらせるのは疲れるな。

 残りの夏休みは復習に重点を置き、参考書での予習と過去問での実践にしておけばいいだろう。

 

「……いや、酒寄彩葉に勝ち越すならば予習をもう少し増やした方が……いや、復習も曖昧なまま予習に走るのは足を掬われるか……」

 

 ……変わらず、復習を重点に置いて予習もするとしよう。過去問の比重を減らし、とにかく体に解き方を染み込ませる。

 

「まぁ、明日からのことは一旦いいか」

 

 筋トレ前に、少しTheyTubeを確認しておくか。

 ヤチヨカップの開催によって、予想通り各SNSは大きな盛り上がりを見せている。特に、XとTheyTubeはその最たるものだろう。

 ライバーとして活動するならば、この2つのSNSを避けることはできない。故に、ヤチヨカップの優勝を目指す者たちは挙って告知と配信と投稿を行う。

 それを見てヤチヨに興味を抱く人が産まれ、ツクヨミに人が更に増える。

 全く、よく設計されたシステムだ。

 

「──ついに始めたか」

 

 投稿時間は今日の昼。丁度、俺が課題をこなしていた時間。

 十数秒程度のアーカイブは、サムネに子供の描いた絵のような少女が映し出され、視聴回数はお世辞にも多いとは言えない。しかし、このサムネイルにしては異様に多いくらい、と言ったところか?

 ヤチヨカップにおいて俺が最も注目している少女──ライバーが、ようやく始動したらしい。

 

『かぐやっほー!月からやって来た、かぐやだよー!今日はやること思いつかないから、これで終わり!じゃあねー……ん?これで切れてるのかな?』

 

「んー……」

 

 なん、何だ?これは……

 いや、理屈はわかる。恐らく配信というものに疎い故に、初回を早々に終わらせた……いや、本当にやることが思いつかなかったのかもしれんが。

 本人の絵……アバターもまだわかる。素人が自ら描いて始めるというのは、見ないわけではない。数は圧倒的に少ないだろうが。

 だが!背後で鳴り続ける不安気な不協和音と最後のインカメはなんだ!?自室の内装も見えていたが、リテラシーはどうなっているんだ!?

 

「これは、早急に何とかせねば……かぐやの連絡先は知らんが、酒寄彩葉なら知っているだろう」

 

 むっ、このタイミングで電話か。

 突然スマホから音が鳴ると驚いてしまうのは、人類どころか生物に共通する部分だと思う……。

 

「──ほう、噂をすれば影、と言うやつか?もしもし、何か用か?酒寄彩葉」

 

『急にごめん源。えーと……用というか、その……──ねー!ミナモト、私のこと描いて!──ちょっ、かぐや!静かにしな!』

 

「んーー??」

 

 なぜ酒寄彩葉の通話口からかぐやの声が聞こえる?というか、なぜ俺にイラストの依頼を……?かぐやには俺がイラストレーターであると言った覚えはないし、いや、酒寄彩葉が教えたか?

 

『ミナモトって絵めっちゃ上手いらしいじゃん!でさ、かぐやの配信用のアバターとかサムネとかも描いて欲しいなって!──ちょっと代って!……ごめん、かぐやにイラストレーターの心当たりないか聞かれて、つい源の名前を出しちゃって……全然、無視してくれて構わないから』

 

「なるほど、そういう経緯か。ふーむ……俺個人としては受けても構わん。だが、一度確認をせねばならん相手がいてな……」

 

『それって、もしかしてヤチヨ?──えっ、なんでヤチヨの名前が出てくんの?!──源はヤチヨのサムネとか色々描いてんの、ほら、この宣伝動画のサムネとか──えーっ、すっげぇ!うまぁ!』

 

「まぁ、そういうわけだ。依頼料については後でまた話すとしよう」

 

『わかったー!──ちょっ、アンタは勝手に──じゃあ、ありがとうね!ミナモト!──あーもうっ!ごめんね、ありがとう源』

 

「気にするな。貴様らもゆっくり休めよ」

 

『うん。じゃあね』

 

 ……切れたか。

 

「ふぅー……しかし、俺に依頼とは、中々見る目があるらしい。まぁ、依頼自体はあるんだが……如何せんピンと来ない」

 

 ヤチヨや黒鬼、酒寄彩葉らは創作意欲が刺激される部分があるんだがな……。

 しかし、かぐやであれば描けそうだ。琴線に触れるというか、何かクるものがあったからな。

 

「そうと決まれば、月見ヤチヨに確認を取るとしよう。内容は…………こんなものでいいか。送信」

『ライトが描きたいと思ったなら、全然ヤッチョはOKだよー☆』

 

「早い、返信が早すぎるぞ月見ヤチヨ!……実は盗撮されてたりしないよな?」

 

 しかし、これで憂いはなくなった。

 早速、かぐやの描いて欲しいアバターやサムネを聞いていくとしよう。後、依頼料についても。

 

***

 

 そこから先は実に早かった。

 光によって納品(依頼料に関しては月500円の分割払い)されたアバターとサムネ、持ち前の美貌をフル活用しリアルも仮想も関係なく活動する。

 更に彩葉──いろP作曲の歌をツクヨミで披露することで圧倒的な歌唱力も魅せた事で、かぐやの登録者は増え始める。

 

「うっひょー!この踊り可愛い〜!かぐやも踊っちゃおー!」

 

「メントスコーラ?なにこれすっげぇ!かぐやもやってみたい!あっ、どうせなら滅茶苦茶でっかいヤツにコーラ入れて、メントスドバドバ入れてみよ!」

 

 それに加え、かぐやのもつ二番煎じも恐れない無垢さと、持ち前の行動力によって多くの動画を投稿。そのどれもが、かぐやの新鮮な反応や楽しそうな様子に溢れ、登録者は一気に増えていく。

 

「見てみてみんな〜!ROKAにメッッチャ可愛くしてもらっちゃった!あっ、全然盛れなかったNGシーンも後で上げるねー!」

 

「かぐやちゃん可愛いから気合い入っちゃった」

 

「うひょ〜!待ってました新作プリン!ようやく届いたので、緊急で動画をまわしちゃってまーす!真美ー!見てみて!真美の食べてたヤツ今から食べるよー!」

 

『お〜!本当に美味しいからいっぱい食べて〜!私も食べに行っちゃお〜』

 

 美容系インフルエンサーとして名高い芦花やグルメ系インフルエンサーとして有名な真美とコラボを積極的に行ったことで、芦花と真美のリスナーもかぐやのことを知り始め、ファンとなっていった。

 

「よーし、次はお絵描き配信しよ!ん〜、でも、かぐやお絵描き全然わかんないんだよな……そだっ!ミナモト呼ぼ!」

 

「は?ちょっとかぐや、あんた何言って……」

 

「いろP!ミナモトに電話させて!」

 

「ちょっ、アンタ勝手に!……はぁ、ごめん、源」

 

『クククッ、配信は見ていたぞ!イラストのことであれば、俺に任せておくといい!そして俺を源と呼ぶな!ライト源氏と呼べぇ!』

 

「やっりぃ!」

 

 急遽、ひょっとこ面の謎多きイラストレーター ライト源氏──光とのお絵描きコラボが決まり、ヤチヨファンやライト源氏のファンの情報からかぐやの存在がより広く知れ渡ることになった。

 また、何かと忙しい彩葉や芦花、真美に代わり、基本的に暇をしている光がかぐやの配信に同伴することは少なくなかった。

 

「それじゃいっくよー!ペットボトルロケット、発射!」

 

「貴様、それは向きが逆だ!って、ぬおぉお!!??」

 

「ミ、ミナモトォ!」

 

 時に共に制作したペットボトルロケットが光に命中してしまったり。

 

「か、かりゃい!これからい!というか、痛いよ!!」

 

「激辛焼きそばなのだから辛いに決まっているだろう」

 

「むぅ、ミナモトは食べてないじゃん!ほら!そのお面取って!ミナモトも食べて!」

 

「やめっ!かぐや、貴様止めんか!リテラシー!情報リテラシーがないのか!くっ、面を引っ張るなぁ!!」

 

「むぅぅ!隙あり!おりゃあ!」

 

「いったい目がぁぁ!!!???」

 

「あー!ご、ごめんミナモトぉ!!」

 

 激辛焼きそばの食べてみた動画では光の口を狙って突っ込んだ激辛焼きそばが光の目に突き刺さってしまったり。

 

「ぬおぉぉ!!なぜ俺一人でボスと戦わされておるのだぁ!?」

 

「ごめーん!頑張ってミナモト!」

 

「頑張れ〜」

 

「まみまみ〜!貴様に関しては未だ余裕があるだろう!助けろ!」

 

「いやぁ、なんか源くん1人でも行けそうだしさ。それに、そっちの方が配信映もするでしょ?」

 

「こ、この生粋のインフルエンサーがぁ!!あっ」

 

「ミ、ミナモトォ!」

 

「源くんも自爆芸が板に付いてきたね〜」

 

 マルチプレイ推奨のRPGでは、早々に残機を無くしたかぐやと配信者の性を優先した真美によって、ラスボスと一対一を強制され、無惨に死亡したり。尚、ボスも瀕死に近かった為、その後観戦していた真美によって容易に討ち取られた。

 とにかく、様々な事があった。

 

「全く、貴様はもう少し俺に対して配慮というものをだな……!」

 

「えへへ、ごみーん。でも、ミナモトは何だかんだ許してくれるじゃん?」

 

「許す許さん以前に次から次に貴様が問題を起こすからだろう!?」

 

「あっ!次芦花と真美と一緒にダンスショート撮るんだ!彩葉も一緒にやってくれるんだって!ミナモトも一緒に踊ろ!」

 

「貴様は本当に自由だなぁ……!ひょっとこ面の男が踊る姿なんぞ、誰が見たがるんだ。俺は遠慮しておく」

 

「んえ〜!じゃあミナモトお面取ってよー!顔綺麗じゃん!」

 

「ふんっ!インターネットの危険度を考えれば軽率に顔を出すなど勘弁願う!それに、俺は謎多きイラストレーターとして売っているんだ、そう簡単に顔は晒せんな!」

 

「むぅ〜!その顔見せろ〜!」

 

「えぇい!配信中にやめんか!!」

 

:俺達は何を見せられているんだ…?

:謎多き……?

:何年前のリテラシーの話してんだ?

:リテラシーが箱入り娘の貞操観念くらい固い。

:ライト源氏はかぐやちゃんに甘いっと

:絵も上手くて運動もできてゲームも上手い上にかぐやちゃん公認レベルで顔もいい…?

:貴様は何を持ちえないのだ、ミナモトォ!

:そこ代われミナモトォ!

 

 様々な人の協力と、本人達の魅力をもって、『かぐや&いろPチャンネル』は順調にヤチヨカップでの順位を伸ばし、270位まで駆け上がる大健闘を見せていた。

 

***

 

「1位までまだまだ足りないー!どうすればいいのだー!」

 

「こないだの歌配信めっちゃよかったけどね〜」

 

「ね、かぐやちゃんゲームも歌もうまいよね」

 

「イラストも筋がいいというか、創作活動全般にセンスがあるのだろうな」

 

「ふふん、天っ才歌姫ですから!」

 

「分かりやすく鼻を伸ばしている……凄まじい自信家だな?」

 

「「「源(くん)にだけは言われたくないと思うよ」」」

 

 青い海と整備された白い砂浜が視界を照らす海水浴場の一角。

 芦花のスタイリングによって美しく着飾ったかぐや、彩葉、真美、芦花。そして、光の5名はレジャーシートの上でのんびりと夏を満喫していた。

 

「配信は勿論だが、オリジナル曲も凄まじく伸びが良いな」

 

「オリ曲も彩葉が作ったんだよね〜」

 

「彩葉可愛い上に天才すぎ」

 

「いや、あれは昔作ったやつだから……」

 

「だとしても、それを作ったのは酒寄彩葉だろう?その功績は誇るべきものだ」

 

「そうだよ!彩葉は天才プロデューサーなんだから!」

 

「お、おう……」

 

 友人たち(と居候宇宙人)による怒涛の褒めに、ニマニマと緩む頬が抑えれず、咄嗟に手元のジュースで口元を隠す程度の抵抗しかできない。

 かぐや以外の3人は、そんな彩葉の姿を見て嬉しそうに笑いあった。

 

「ぐあー!そんな天才プロデューサーと天才歌姫を持ってしても1位になれないのか〜!優勝しだいー!!」

 

「やはりここは、彩葉が着ぐるみを脱ぐことで新たな需要をだね〜」

 

「却下」

 

「ぬぁ〜嘘!今の嘘〜!!あぁ……私の焼きそば……」

 

「いい食べっぷりー」

 

「口は災いの元、その例題としてこれ以上適切なものもあるまい」

 

「とにかく、私は配信で顔は絶対出さないから!」

 

 快晴な夏空の下で、振り出しに戻った4名はまた頭を悩ませる。

 

「あっ、じゃあミナモトが顔出せばいいんだ!」

 

「貴様らはどうして人の顔を晒したがるんだ???」

 

「だってー、ミナモト顔いいし、今まで見せてないからそれを暴けたらファンも喜ぶかなって!」

 

「こやつ暴けたらとか言いやがったぞ。貴様、俺の個人情報をなんだと思っている!」

 

「いいじゃんー!減るもんじゃないんだからさー!」

 

「俺の個人情報がインターネットに流されるという点で既に安全性が減らされているんだ!そうだな!酒寄彩葉!」

 

「えっ、なんでそこで私に振ってくるの!?」

 

「俺と同じく顔を出さない同盟として!かぐやに言ってやるといい!」

 

「知らないうちに知らない同盟に加盟されてた……でも、私は顔は出しません!」

 

「当然、俺も顔を出さん!」

 

「んぇー!出して出して出して!!」

 

「「嫌だ!」」

 

「彩葉は新曲も作って!伴奏もして!その方がオタクも喜ぶから!」

 

「私だけ要求多くない!?しないから!てか、オタク言うな!」

 

 ギャイのギャイのと騒ぐ3人。傍から見れば我儘な妹を窘める兄と姉のような、あるいは親子のような姿に芦花と真美は微笑ましそうに目を細める。

 

「むぅ〜……このままじゃ、優勝できない……」

 

 次第に、騒いでいたかぐやの言葉が小さく、湿り気を帯び始める。

 

「彩葉、ミナモト……かぐやのこと、助けて?」

 

 大粒の涙を湛えた瞳は夏の光を乱反射させ、何十万人もを魅了する可愛らしい容姿は悲しげに歪められ、鼓膜を柔らかに撫でる声は人の心を容易に揺らす可憐な武器となった。

 

「彩葉に、演奏して欲しい……ミナモトとももっと遊びたい……」

 

 彩葉はかぐやが泣き落としを使ってくることを理解していた。その備えとして、途中から息を吸いこみ、断ると何度も決心し覚悟を持って口を開いた。

 

「ま、まあ、時間があいてたら……ね」

 

「酒寄彩葉、貴様あまりにもかぐやに弱すぎではないか?!」

 

「ちょろはだ〜」

 

「ちょろはー」

 

「くぅ〜……なぜ私は断れない……!」

 

「ねぇねぇ!ミナモトは?ミナモトはどう?」

 

 四つん這いになり、かぐやの頼み事を断れない自分を悔いる彩葉を尻目に光にターゲットを変える。

 

「ふんっ、どうせ拒否しようとも貴様は巻き込むのだろう?ならば、俺の許可なんぞ必要あるまい」

 

「おー……お〜?」

 

「一緒に遊んであげるよ。って源くんは言ってるんだよ」

 

「素直じゃないんだから〜」

 

「やかましいぞ貴様ら!」

 

「おー!ミナモトもかぐやと遊んでくれるの!よっしゃー!もっともっと、配信するぞー!」

 

 澄み渡る青空の下にかぐやの勝鬨の声が上がる。

 彩葉もまた、そんなかぐやの姿に満更でもなさそうな優しげな笑顔を浮かべていた。

 

「……彩葉、明るくなったね〜」

 

「突然ふって、いなくなっちゃいそうだったもんね」

 

「無理して無理して、笑うのも下手くそになっていたと言うのに」

 

 かぐやは岩場で見つけたカニの大群を彩葉に差し向け、浅瀬でカニと暴れる彩葉を動画に収めていた。

 そんな彼女の肩を、芦花と真美は後ろから柔らかに抱きしめる。

 

「「どんな魔法、使ったの?」」

 

「んぇ??」

 

 青と白で彩られたキャンパスの上で、かぐやの間の抜けた声とカニの大群に勝った彩葉の雄叫びが和やかに響いていた。




コソコソ裏話
光の兄である源照はプログラマーとして本当に優秀。ツクヨミの一部改修やデバッグなどはヤチヨから企業に対して依頼されることが多いが、照に関しては会社ではなく個人での依頼が来る程度には優秀。プログラム関連では、現在光を圧倒的に超える。何だこの兄弟……

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