実力の限界が数値で明確に記載されていると思われている遊戯王世界の話 作:SOD
本作は、なるべくどこかで見たことがありそうな王道な道筋でストーリーを描いて行きたい気がしています。
「バトルフェイズ。
天帝アイテールで、ダイレクトアタック!」
「ぐわああああああーー!!」
羽賀大地 LP0
〘決まったー!! プロデュエリスト【虫師】の異名を持つ羽賀大地
流石は名家【天帝】の血統!! 2桁とは言えプロをまるで寄せ付けていないー!!〙
「そんな……バカな。このオレが……女子高生なんかに、負けたぁ……!? このエリートであるボクが!?」
ポニーテールを靡かせ、凛とした姿で敗者を一瞥した
(アレがプロ……アレで、プロ……? あの程度で??
遊臥ならライフに10倍のハンデを課しても完全試合だ)
対戦相手の実力が低すぎる。
アカデミア初等部入学以来、彼女はプロとの対戦を現実にするこの日まで、努力を続けて、床にも地面にも自身の胃液をぶち撒けて来た。
全ては、自身が最強のデュエリストになるために。
一月前、この対戦カードが組まれてから敵の研究と自身のデッキの研鑽にと修業に集中していた。
だと言うのに、蓋を空けてみれば得られるものの無いデュエルとなってしまった。
肩透かしなプロの実力に、フラストレーションが溜まっている。
「もう限界。寄り道せずに直帰しましょう。未来の旦那様のところへ~♡。
…………っと、そう言えば今日は『あの日』だったね。
朝からずっとデュエル挑まれて牛歩で進んでるんだろし、疲れているよね。
久しぶりに今夜は遊臥の大好きな甘口カレーにしよう。エビフライも乗っけて、デザートはわ・た・し~♡ なんてね。
…………この前、これ言ったら、滅茶苦茶引かれたんだった」
中々に痛い独り言を口にしながら、
なおルンルンでスキップするその姿は、彼女の凛としたルックスに死ぬほどミスマッチだった。
「フー…………」
とあるデュエル公園の敷地内。火のついたタバコの煙を肺に侵食させながら、黒杖遊臥は天を見上げる。視線の先にあるのは、デュエルタワーの先端。何があるのかも視認出来ない遥か彼方。
「………………う、うう」
「なんで……こんな……ア」
「おかしい……アアりえなぁいいぃ……」
遊臥が腰を降ろした椅子は、先ほど下した挑戦者の屍(死んでない)。山のように乗せて、その天辺に座っている。
おもむろにカードの束を拾い上げた。アンティーを仕掛けて来た者たちの
「………………」
”使えそうなカードは無い” そう判断した遊臥は、高価で売れそうなカードを一枚ずつ抜いて
地面に降りると、適当に足元に居た負け犬の一匹の額に煙草を押し付けて消火。ポータブル灰皿に入れてDホイールに跨った。
「よう、遊臥。お前は今日も下らないことをして遊んでいるのか」
そんな彼に声を掛けて来る者がいた。
ひと月ぶりの、敵意の無い声だ。
「下らない……ねえ。
流石だな、
「フフフフフ。そうかそうか。おう、苦しゅうねえぞ。貢物はトクベツに、
天空橋大河と呼ばれるアロハシャツを着た
「…………」
だが、遊臥は受け取ることなく、足元に落下したエコバックをDホイールで轢かない位置まで足でズラすだけだ。
「オイオイなんだよツレねえなあ? 二ヶ月振りの再会だってのに。
たまたま見かけた幼馴染兼親友兼終生のライバルと久しぶりに楽しいことしようと思ってだぜ? お前がそこの雑魚の山を片付けてる間に、現金じゃなきゃ買えないって言うオバチャンに駄菓子代払う為に5㎞
「…………ハァ。
終生のライバル……その旧い人物相関図は、修正しておいてくれ。
お前と俺じゃ住む世界が違う。情報のアップデートはこまめにしておいて欲しい。
今の俺は、歴史上最低値のタイトルホルダー。
「そっか。
未だにやさグレてんのかぁ…………。
ハァーァ! つまんねえーのっ!!」
大河が服が汚れるのも気にせず地面に仰向けで倒れこむ。
「あのさあ遊臥。
ライバルって、実力が近いとかもあるけどさあ。負けたくねーって感情が一番重要なんじゃん?
住む世界が何だってんだよ? 世の中には二次元キャラと結婚して婚姻届け出したり、月の石を手に入れて惜しげもなく作者に送ったりしてるやつもいるんだぜ?
お前のその旧い価値観、こまめにアップデートしといてもらわねえと困っちゃうんだよねえ?
おわかり?」
「頭のネジの飛んだ例外中の例外の話を一般常識のように語ってくれるものだ。
流石は『名家』【天空橋】のぼっちゃん。特別階級の常識で物を計ってくれる。幸福自慢じゃ手も足も出ないな」
「あーあ。そういうこと言っちゃうんだ……オレちゃんが【天空橋】の
--殺すわ」
デュエルディスクを『召喚』して構える大河。
「…………」
「ほら、構えろよ遊臥。
あんだけ雑魚狩りで貴重な時間をドブに捨ててたんだ。暇なんだろ?
上級国民サマの暇つぶしに付き合えやオンドレがァ」
粗暴で荒々しい口調で遊臥を煽る。だが感情は冷静そのもの。
天空橋大河は、何でも良いから親友でライバルの実力者とデュエルがしたいのだ。
「………………」
だが、遊臥はその挑戦に乗らずヘルメットを被った。
「オォィ!?」
「タイムリミットだ。
そろそろ花屋が閉まる」
「花屋ァ……!?
…………あ。ああ、そうか。だからお前外に居たんか」
遊臥はヘルメットのフェイスガードを降ろして、Dホイールのアクセルを回す。
「じゃあな。今度こそ永遠にさよならだ。
いつまでも思い出にしがみ付いてないで、前に進め
そう言うと、Dホイールを発進。小気味の良い音を響かせながら走り去って行くのだった。
「…………アイツの両親の、三度目の命日か。
お前こそ前に進めよ。そのDホイールが泣くぜ……
親友のDホイールを見送った天空橋大河は、今さっき親友がそうしていたようにデュエルタワーに視線をやった。
「…………何が
ぜってーなんかの間違いだ。アイツは、終生のオレちゃんのライバルだぞ。誤診に決まってるんだよ……」
スキャナーは、一度診断をした者を二度と診断しない。と言うより、あのスキャンを行った部屋自体が、なんらかの方法で召喚されて招かれる以外に足を踏み入れることが出来ない。と言った方が正しい。
あの部屋は、デュエルタワーに存在していると言うだけで。何階の何処にあるのかも分かっていない、世界の根幹に深く関わるモノでありながら、謎だらけの空間なのだ。
「それにしても。まーた【天空橋】の
大河は、無視されてしまった駄菓子の袋を拾い上げて、中からきなこ棒をとり出すと口に咥えて、煙草を見立てて息を吐き出す。
「フゥ―…………」
アロハシャツのインナーの裾から、
「結構おっぱい大きくなったと思うんだけどな……。
遊臥のやつ、こんなナイスバディー捕まえて何で頑なに
「…………その内揉ませてやろうかな……?? いやしかし……ちょっとまだ羞恥が勝つな。
せめてあっちからこう……男らしく誘ってくりゃあなー。
『天空橋遊臥』……アリだと思うけどなw。
さてと、ほんじゃオレちゃんもお墓に行きますか。お義父さんお義母さん、ムスコさんを下さい。なんてな」
一昨日からの三連休が終了してしまい、生きる気力に陰りが見えて始めています。ご機嫌よう作者です。
金沢の某温泉施設に泊まっていました。以前と比べて朝食にサーモンが追加されていたとです。嬉しかったので小鉢に二杯行きました。昆布締めもありましたが、昆布の風味が飛んでいたのでビュッフェには向かないなと思いました。
この3日で七万は使ったので、今月はもやし生活やさしいせかいです。感想・高評価してくれたら喜びます。