転生者が多すぎる~虐められ引きこもりの俺はゲームの悪役に転生する! 真面目な努力こそが真のチートでした!   作:kuroe113

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第6話 探索

「えっと? つまり何をするんだ?」

 

「だから! ラブラブドキドキ個人レッスン作戦よ!」

 

 

(違う、知りたいのはそこじゃない!)

 

 シャルティはできの悪い生徒へ丁寧に説明してくれたが、知りたいのはそこではなかった。

 

 

 

「言ってることは分からないが、何をやりたいかは理解できたよ。

 要するに、死亡フラグに関係する人物の好感度を稼ぐことで、そのルートを潰すってことだな」

 

 

 

 IF、あるいは番外編でクロードには無数の死亡ルートがある。

 それは、シャルティもまた同様だ。

 

 

 

「つまり、敵が多くなるとどんなルートになるのか分からない。

 使用人の好感度を稼ぐことでランダム要素を減らすってことだよな」

 

「そうよ、分かりやすかったよね」

 

 

(いいや、まったく)

 

 

 クロードは面倒なので本心を内心に押し込んだ。

 

 

 

 

「とりあえず、要注意人物のところに行きましょうよ」

 

 

 

「確か……、死亡ルートに関係してくるのは、剣鬼ヴィルヘルムと、魔女シャーリーとロイリーだった……か」

 

「そうよ、あんたの悪行を通報したり、だまし討ちする正義の使徒よ!」

 

「まだ、何の悪行もしていない状況で、そんな言いがかりをつけるのはやめてくれないか」

 

 

 こうして、2人は目当ての人物を探すために動きだした。

 

 

 

「ちょっと、あなた!」

 

「な、何でしょうか」

 

「今、シャーリーがどこにいるのか探してるんだけど、知らない!」

 

「すいません、すいません!」

 

 

 シャルティが話しかけていたメイドが崩れ落ちるかのように頭を下げた。

 その声は震え、顔は見えないが、もしかしたら泣いているかもしれない。

 

 

「な、泣かないでよ」

 

「ごめんなさい、ごめんなさい」

 

 そのメイドにつられて、シャルティの声は分かりやすく震えている。

 もう、泣き出す5秒前って感じだ。

 

 

「その、どんまい」

 

 肩を落とし、とぼとぼと戻ってきたその背中に元気づけるように手が添えられる。

 

 

 

「もう少し気を使ってみたほうがいいんじゃないか?」

 

 と、失敗を分析していく。

 

 

「うっさいわねぇ、なら、あんたがやってみなさいよ!」

 

 

 その訴えによって、クロードの脳内に先ほどの自分とメイドとのやり取りが思いだされた。

 

 

(このままだと、また失敗だよな……)

 

 良かれと思って、アドバイスをしたことを今さらながら後悔する。

 

(だが、俺ならできる。さっきの失敗は無駄でも何でもねえ!)

 

 勝算はあった。

 

 

 

「あの、すみません!」

 

 

 クロードが目を付けたのは気の強そうな衛兵だった。

 気の弱いメイドなら逃げ出してしまったが、彼ならばという計算が合った。

 

 

「坊っちゃんが俺に対して敬語!

 ありえない、ありえない、ありえないッ!」

 

 

 衛兵は発狂した。

 

 

 

「何かの病気ですね」

 

「いや違うから……」

 

 

 ――ガッ、と肩を力強くつかまれた。

 座った目で、今すぐ医者に診てもらいましょうという提案に、クロードは逃げだす。

 

 

 

「分かっていたつもりだけど、俺たちの悪評ひどすぎない!」

 

「話しかけただけでこれとかおかしいわよね」

 

「その、頑張って……」

 

 

 頭を抱える2人を見て、アルテは必死に笑いをこらえていた。

 

 

 

「もう、足で探そう」

 

「うん」

 

 

 苦く塩辛い孤独の味を2人は噛みしめる。

 

 

 

 せめて、お互いだけは協力し合おうと、目当ての人物を見つけたら報告することを約束して、別れるのであった。

 

 

 

 

「この時間だと、ヴィルヘルムさんは庭の手入れか」

 

 

 とりあえず、2人で手分けをして庭を探していこうという話になった。

 あてどなく、あっちにフラフラこっちにフラフラ。

 

 日本。平地が希少で、人口が密集しているからこその狭い家ばかりを見ていたからだろうか……。

 

 

「公爵家なめてた」

 

 

 クロードは見通しの甘さを突きつけられていた。

 進めど進めど、迷路のような生け垣が続き、自分がどこを進んでいるのか、この道は依然通ったのではないかという不安を拭い去れない。

 

 こういった場合は、誰かに道を聞けばいいのだが、皆が怖がるせいで、それもできない。

 

 そう、今彼は迷子になっていた。

 

 

 

「もういいかなぁ……」

 

 

 そんな調子で、捜索開始から1時間。

 やる気と疲れの天秤が、疲れに傾きだしていた。

 

 

「そもそもの話、今日目当ての人物を探し出せなくてもいいじゃないか。

 IFルートでクロードが死刑になるのは……早くても15歳。つまり、あと3から4年の猶予がある。

 今日は家の地理の把握に努めたとしても、特に不利益はないはずだ」

 

 

 もう無理だ、ふて寝しようと木の幹に体を預けた。

 

 すると、四肢から力が抜けていく。

 

 

「でも、一応はシャルティとちゃんと探すって約束したんだよな」

 

 

 諦めと、無気力。

 その怠惰と停滞の二大勢力に対抗する最後の砦が約束だった。

 

 

 頑張らないという思いがあれど、しかし、心地よいお日様と、芝のかぐわしい匂いが身体をより一層リラックスさせていく。

 

 

 

「……♪」

 

 

 それに加えて、上手と言えないが、楽しそうな口笛まで聞こえてくる。

 

 

(俺は都会育ちだけど、田舎の原風景ってこんな感じなんだろうか)

 

 

 この曲を子守唄代わりにするのも悪くない。

 さて、演奏者は誰なのだろうと思い、薄く目を開けると、演奏者はシャルティだった。

 

 

(まさか、目当ての人物を見つけたのか)

 

 

 ご機嫌そうな様子を見て、クロードは悟った。

 

 

 

「……まずい」

 

 

 クロードは姿勢を正した。

 シャルティを見て、危機感を覚えたのだ。

 

 

(まだ俺は目当ての人物を見つけてないっていうのに!

 この事実がばれれら、絶対にバカにされるじゃないか!)

 

 

 それは被害妄想意外の何ものでもない。しかし、ヴィルヘルムを探すと決意を固めた。

 

 

 

 幸いなことに、シャルティはクロードに気が付いていなかった。

 

 

「つまり、この先には魔女の家があるってことだ」

 

 

 家を発見すれば、どうにか、自分も目当ての人物を発見したと言い訳ができる。

 

 

 そして、庭の奥へ奥へと足を進めると、そこには魔女の家があった。

 

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