アホみたいなオーラ量に対して、貧弱すぎる出力でどうしろと? 作:村ショウ
誤字報告、感想ありがとうございます!
前の体調不良は回復してるが、体調崩すとなる副鼻腔炎で不調気味…。普通の体調不良より顔面痛や頭痛で集中力を削がれるのが痛い。
血の匂いが、ゼビル島の森を侵食していた。
木々の隙間から姿を現したヒソカ。その全身から立ち昇るオーラは、ゴズの生首を捨てた直後ということもあり、狂気と殺戮衝動に煮詰まっていた。
「逃げなくてもいいんじゃないかい♥」
甘い囁きが、鼓膜を直接舐め上げるように響く。
心臓が早鐘を打ち、全身から冷や汗が噴き出した。アドレナリンが急激に分泌され、視界が異様にクリアになる。
マズい。完全にロックオンされた。
「ヒソカ……ッ!」
隣でカストロが低く唸る。彼の全身から闘気が立ち昇り、純白の道着がオーラの風に揺れた。いつでも『神・虎咬拳』を叩き込めるよう、筋肉が極限まで張り詰めている。
だが、俺は片手で彼を制止した。ここでカストロを戦わせるわけにはいかない。
(ここは天空闘技場じゃない……!)
四角いリングという限られた空間とルールがあれば、カストロの強化された武が活きる。だが、ここは無数の大樹と複雑な地形で構成された森の中だ。
思い出すのは、前世の記憶にあった原作のワンシーン。執事のゴトーが放つコインを、森の木々を利用したバンジーガムのトラップで翻弄し、死に至らしめたヒソカの姿だ。あの奇術師にとって、伸縮自在の愛で罠を張り巡らせることができるこの地形は、自身の能力を最大限に活かせる『最高の遊び場』でしかない。某巨人の立体機動ばりに動いてくるだろう。
おまけに、俺自身の身体スペックはアスリートに毛が生えた程度。ヒソカの理不尽なまでの戦闘技能と殺意を前にすれば、ヒソカが嫌う2対1をとっても、前衛のカストロをサポートしきれずに俺の首が飛ぶ可能性が高い。
「二次試験の時から気になってはいたよ♠ 一度は見逃したキミと、一緒にいるあの圧倒的なオーラの持ち主なんだから……もっと僕を楽しませてくれないかい♥」
ヒソカがトランプを指先で滑らせた瞬間、俺は叫んだ。
「カストロ、下がれ!」
「キミが相手してくれるのか。成長の余地はキミの方が無さそうだし、食べごろでいいね♧」
俺は手に持っていたタブレットの画面を激しくタップした。
足元の枯れ葉の下、そして周囲の木の幹。俺たちがこの場を一時的な狩りの拠点とした際、念のために仕掛けておいた罠を起動する。
「
ズガァァァァァンッ!!
俺たちが立っていた場所とヒソカの間で、連鎖的に爆発が巻き起こった。
不幸中の幸いなことに、最初の合流地点までは戻っていたことが功をそうした。ここに仕掛けていたのは、中身が空の『充念していない』蓄念池数個だ。
俺の最大容量である8000オーラの蓄念池を作った際の生成コスト、それが爆発のエネルギーとなる。だが、充念なしの生成コストのみの爆発なら、俺自身が具現化系であるため実質的な威力は2400オーラ程度にまで減衰する。
だが、それでいい。
「へぇ……いいものもってるね♠」
爆炎と土煙の中、ヒソカの声が響いた。
彼は爆発が起こるコンマ数秒前、その異常な戦闘勘で危険を察知し、バックステップで直撃の範囲から逃れていた。とはいえ、そのまま一発が至近程度で被弾していても、離れれば離れるだけ威力は減るので、さらに半分以下になって1200オーラ相当だっただろう。
それでは、ヒソカにはダメージにならない。しかし、これで砂埃で視界は奪われる。
強烈な目くらましと牽制。
俺の目的は、ヒソカを倒すことではない。『逃げる』ことだ。
「師匠、今なら!」
「いや、あいつは追ってくる。これくらいじゃ撒けない!」
煙が晴れる前に、俺は自らの能力の中枢である『
それは俺が、あり余る潜在オーラの処理と引き換えに手を染めてしまった、ある種の悪癖とも呼べる能力。
具現化系としてはタブレットと蓄念池に全力を注いでいた。ならば、特質系としては何をしていたか。原作知識をタブレットで見れるのは副次効果でしかない。
それは──
『
この能力は顕在オーラ量以上のオーラを消費し、ガチャを回すことができる能力だ。当たれば、ランダムで原作キャラか会ったことがある念能力者の能力を獲得できる。ただし、獲得した能力は使用したら一度きりであり、発動後は30分で消える。そのため、再度ガチャでの入手が必要だ。
ここまではまだ凄まじいチート能力なのだが、ガチャは悪い文明である。ガチャの恐ろしさ極まれりなデメリットがある。
まず、使用する顕在オーラ量でガチャの当たり確率が変わるという仕様だ。
俺の通常顕在オーラは五百程度。そのオーラを注ぎ込んでも、当たり率は1%以下。ほとんどが「スカ」であり、これはオーラだけ消費して何の能力も得られないハズレだ。過負荷をかければ確率は上がるが、燃費が最悪になる。
さらに、この能力には致命的な制約がある。ガチャを引くたびに『そこそこ長いガチャ演出』が挟まり、戦闘中にはほぼ引けないのだ。10連ガチャなども可能で演出が1回分より少し長い程度に抑えられるが、最低保証や確率が変わることもない。
さらに、一度当てた能力は消えるまでガチャは引けない。自ら消すか、使うか、『
だからこそ俺は、三次試験のトリックタワーの広間での七十時間近い待ち時間や、暇を見つけては『充念』や『貯念口座』へのストックを一日一個程度に抑え、余った莫大な潜在オーラをこのガチャに狂ったように突っ込んでいた。
一度引いて消す必要があるのは面倒なので、この能力の拡張として保存できる能力も用意してある。それが『
また、このガチャの最大の特徴は、出会っている間、その原作キャラの『ピックアップ』が開催できること。
そして俺は、カストロと出会ってからずっと、彼をピックアップ対象として回し続け──ついに引いていたのだ。
「カストロ! 驚くなよ、こいつは『君の亡霊』だ!」
俺は『
一回きりの使い捨て。
俺の隣に、オーラの塊が具現化する。
現れたのは、もう一人の俺だった。
「なっ……、師匠が2人!?」
カストロが目を見開く。
俺が引いた能力──それは、カストロがヒソカに敗れる原因となった、具現化系と操作系の複合技術『
彼は使わせない方向で育てているが、ガチャから能力を借り受ける俺なら、話は別だ。
煙を切り裂いて、トランプを持ったヒソカが飛び出してきた。
その顔には、狂気に満ちた笑みが張り付いている。
「面白い手品だね。でも、目くらましだけじゃボクは止められないよ♠」
「目くらましだけじゃないさ」
俺の命令に従い、俺が操作する『ダブル』の俺が、ヒソカに向かって猛然と突進した。
ヒソカの眉が微かに動く。
「おや……本物に近い分身かい? 器用な真似をするね♣」
だが、俺の『ダブル』はただの肉弾戦を挑むわけではない。
その両腕には、俺の懐から取り出した、八千オーラ満タンに充念済みの『蓄念池』が三つ、しっかりと抱えられていた。
俺の頭の中には、原作におけるクロロ対ヒソカの戦いが浮かんでいた。オーダースタンプで操った人形に自爆特攻を仕掛けさせる、あの悪魔的な戦術。
「……沈め!!」
ダブルがヒソカの懐に飛び込んだ瞬間。
ヒソカがその
俺は、ダブルが抱えていた三つの満タン蓄念池の『起爆』を命じた。
生成コスト8,000オーラ、充念8,000オーラ。総量16,000オーラの爆弾が三つ。
三十パーセントの効率に減衰しようとも、合計で約14,400オーラ相当のエネルギーが、ゼロ距離で解放される。単純に合算されるわけではないが、小爆弾を多く爆発させて範囲を広げるクラスター爆弾のように範囲は広げられる。一つでも4,800相当だ。
ズドォォォォォォォォンッ!!!
ゼビル島の森の一部が、雷が落ちたかのように閃光に包まれた。
鼓膜を破るような轟音。凄まじい爆風が木々をなぎ倒し、俺とカストロの身体すらも後方へ吹き飛ばしそうになる。
「全力で走るぞ、カストロ! 絶だ!!」
「は、はいっ!」
俺たちは爆風の勢いを利用して森の奥へ飛び込み、オーラを完全に遮断した。
あの至近距離の爆発だ。ヒソカとて無傷では済まないはずだ。だが、死んではいないだろう。あの男の生存本能とバンジーガムの防御力なら、致命傷は避けているに違いない。
煙と炎が立ち上る中、俺たちは気配を殺し、必死で森を駆け抜けた。
焦げた匂いと黒煙が漂うクレーターの中心。
木々がへし折れ、無残な姿を晒す森の一角で、ヒソカはゆっくりと立ち上がった。
彼の衣服はボロボロに引き裂かれ、頬や腕にはいくつかの擦り傷が刻まれている。爆発の瞬間、彼は即座にバンジーガムで後方へ飛びながら、前面にも展開し、衝撃を殺して身を守っていた。
「……くくっ」
ヒソカの喉の奥から、乾いた笑い声が漏れた。
「いいねぇ……♣ あのタイミング、あの威力の自爆特攻。ただの分身じゃなくて、爆弾を持たせてくるなんて……本当に、いい
彼が視線を巡らせても、すでに四百三番と四百四番の気配は、この島のどこからも感じられなかった。
一流の武道家と流星街を生き延びた者による、完璧な『絶』による撤退。
狩りそこねた。だが、ヒソカの胸の内にあるのは怒りではなく、極上の果実を見つけた歓喜だった。
「今回は見逃してあげる。でも……次は、もっと楽しませてもらうよ♠」
ヒソカとリトクたちの激突から、数百m離れた岩山の上。
木陰に身を潜めていたクラピカとレオリオは、遠くの森から立ち上る黒煙と、腹の底に響くような爆発音に息を呑んでいた。
「おいおい……なんだよ、今の爆発。雷でも落ちたのか!?」
レオリオが額の汗を拭う。
「わからない。だが、尋常じゃない殺気を感じた。あれはおそらく……ヒソカだ」
クラピカが冷や汗を流しながら、森の奥を見据える。
「ヒソカと、誰かがぶつかった。そして、死体がないところを見ると、あの爆発を引き起こして逃げ延びた者がいる」
「逃げた? あんなバケモノ相手にかよ。一体誰が……」
「……この試験、私たちの想像を絶する怪物たちがまだ潜んでいるようだ。レオリオ、気を引き締めろ。私たちは、獲物を狩る前に狩られるわけにはいかない」
一方、島のさらに別の場所。
川辺の木の上に身を潜め、じっと水面を見つめる緑色の服の少年。
ゴンは、釣り竿のルアーを正確に目標へ飛ばす練習を、ただひたすらに繰り返していた。
ヒソカからプレートを奪う。そのたった一つの目的のために、彼は周囲の爆発音にも気を取られることなく、自らの感覚を極限まで研ぎ澄ませていく。
リトクとカストロがヒソカから逃げ切り、ゼビル島の端の洞窟で息を潜め始めた頃。
第四次試験の本当の狩りが、静かに動き出そうとしていた。
主人公の能力、クラピカ並みに多いなと思いつつも、こちらが特質系時の能力になります。
原作を強く思い浮かべている時だけ特質系になるので、平時は思い出しながらガチャを引くことは可能ですが、戦闘時特質系になるには原作キャラと戦うくらいでないと、特質系を維持するのは難しい状態。
『
自身の顕在オーラ分で1回念能力ガチャが引ける。引ける能力は原作キャラの能力か、それまでに出会った能力である。
当たり確率は顕在オーラ量で決まり、500オーラでは何も当たらないスカが99.99%以上。
制約:顕在オーラ量を1回分とする
長い演出を見る必要がある(10連まで可能)
1日あたり潜在オーラ量分しかガチャは引けない
(80万オーラなら1日1600回程度)
当たった能力は基本的に1度限り、30分限定
前に当たった能力が消えるまで、新しいガチャは引けない
『
ガチャで引いた能力を保管する能力の一つ。
保管できる以外の制約は変わらないが、消えた扱いにはなるため、新しいガチャが引ける。
制約:ガチャ結果保存に顕在オーラの100倍消費
呼び出しに顕在オーラの100倍を消費
(合わせて顕在オーラの200倍分の消費のため、500オーラなら10万オーラ程度消費)