勝利の女神:NIKKE ~Silent/Ratio~ 作:zaq2
Prologue/Episode 0
むかしむかし――
ひとざとから とおくはなれた
しずかな もりのなかに
ちいさなおうちが ありました。
しろいこは
ははおやと いっしょに かじをしたり、
あかいこは
そとを はしりまわるのが すきでした。
ははおやは いいました。
そとは あぶない ばしょ。
ひとりではなく、
ふたり いっしょに
たすけあいなさい。
だから ふたりは
いつも いっしょでした。
それを ははおやは
あたたかい めで
みまもっていました。
ここは
とても、そう、
とても しずかな ばしょでした。
* * *
それは、誰が創ったのか、誰が読んだのか、今になっては誰にもわからないおとぎばなし。
けれど、しずかなばしょは、たしかに存在していた。
長い、長い時間の底で、それはいまになって動き出そうとしていた……
* * *
「……なんとも嫌になる内容だ」
アンダーソンは、自室で受け取った資料をひと通り眺めてから、そう呟いた。
そして一拍置いてから、再確認するように報告書へ視線を戻す。
事の発端は、とある個人的な情報源から上がってきた座標地点の報告だった。
タイラント級ラプチャー――マザーホエール級を含む大型種が、妙に近寄ろうとしない一帯があるという。
最初は、単なる地磁気や地場の乱れによる行動偏差か、偶然の回避行動だと考えられた。
なにしろ、情報源の詳細も伏せられていた以上、大げさに扱う理由は薄かったからだ。
それでも、アークに保管されている過去のデータと照合をかけた結果、返ってきたのは直近の観測記録ではなく、ひどく古い断片資料ばかりだった。
しかも、近年の資材回収班の活動記録と見比べていくと、その「近寄りにくい空白域」は、年を追うごとにじわじわと広がっているように見えた。
当初の段階であれば、まだ緊急性もなく、優先順位も危険度も低いと判断できた。
だが、こうした傾向が複数確認できたことで、それが単なる偶発ではないことが浮かび上がってきた。
そして決定的になったのは、その照合作業の途中で、偶発的にひとつの古い資料が引っかかったことだった。
それは、ある施設の記録だった。
そして、ある団体がその施設運営に関わっていたことを示す、断片的な研究報告でもあった。
アンダーソンの目が、そこで初めてわずかに細くなる。
「……なぜ、今になって彼奴らの名前が出てくる」
低く吐き捨てたその声には、研究資料の不気味さだけでは済まない色が混じっていた。
そして、空いた手を自らの身体に添えたまま、ゆっくりと視線を上げる。
「彼らに確認してもらうしかないか……」
作者からのこめんと:
みんな大好きV.T.(パンッ! パンッ! パンッ!