第005号砦
特に
「―――――クソがッッッ!!」
怒りに任せて拳を円卓に叩き付ける。頑丈な天板が砕け、大きな亀裂が走った。
あどけない童顔ながら端整な顔立ちを、文字通りに真っ赤な
外見の年齢は十代の後半から二十歳といった頃合い。
そして実際の年齢も同じ程度。
若さを維持しながら数百年の時を生きている者の珍しくない〈円卓〉において、間違いなく最年少の騎士。
しかし彼こそは〈聖都〉の守護という大役を任された、騎士の中の騎士に他ならない。
三人の
防刃繊維で編まれた仕立ての良いフード付きの僧衣は他の〈円卓〉の面々や一般の兵士と同じだが、その上に装備した赤金鋼の軽鎧と首に掛けた赤の
血のように赤い髪に赤い瞳。
市井では『悪魔の子』などと
「ゲヴランツの糞馬鹿野郎、散ッ々ッ余裕かましておいて
憤慨する赤い
ショカゴラは心底から忌々し気に赤い眼差しを絞り、同じ〈円卓〉の席に着いた騎士達をきつく
十三人の騎士。
〈聖都〉を守護する三人の
この〈
現在、その〈円卓〉の席に着いているのは十二人。
ショカゴラの左隣と更にその隣には、彼と同じような装いの騎士が席に着いている。
〈太陽〉の産みの親であり、〈聖都〉の象徴でもある聖母――
そして重厚な黒金鋼の鎧に身を包んだ青年。爽やかな雰囲気とは裏腹に、
残りの者達は、胸の勲章と左腕の腕章以外は全く同じ装いだ。
彼等はこの場に存在している訳ではない。映写機と音響機器を
―――〈円卓〉は一枚岩では無い。
民主制に
皆が納得した意見のみが採用される――と言えば聞こえはいいが、結局のところは少数の意見を黙殺し無理矢理に従わせる仕組みである。そして不思議なことに、どんな議題であっても大抵の場合、多数派と少数派の顔触れは同じだった。
そして、いつも少数派の側に立たされるのがショカゴラだ。
第005号砦襲撃の報せを聞いたショカゴラは、真っ先に応援に向かうべきだと提言した。
しかし却下された。
各砦の領主には自治権があるからだ。
(糞野郎共が!)
あまりに
結局、彼は第005号砦が
前例のない事態であるが故に、対応するマニュアルがないだの。
仮に兵を送るとして、誰が向かうのか、装備や報酬は誰が用意するのか、兵が負傷したり死亡した場合は誰が責任を取るのか――など、などと。
無駄に多種多様な言葉に言い換えているが――彼等がしているのは、詰まるところ金の話である。
金が大事だというのは理解できる。
彼等はそれぞれの都市を聖母から与えられ、代理人として治める為政者だ。ならば所有する土地と人民を第一に考え、もっと豊かにすべく常に考え行動するのは間違いではない。決して間違ってはいない。
だが――それは、目の前の救える命を見捨てていい理由にはならない。
そもそも―――
(
固く拳を握り、歯を噛み締めるショカゴラ。
約十年前――ゲヴランツと入れ替わりで
だがその為に軍を動かそうとすれば、必ず〈円卓〉で多数決の壁に邪魔される。ならば一人で暴れたいところだが、
……一度だけ恥を忍んでゲヴランツに後見人を頼み、意見を通したこともあった。
それが最近行われた、
しかし、その結果も
当然、その責任は全て、作戦立案者であり指揮官であったショカゴラにあった。
ショカゴラには教養がなく、後ろ盾もない。
〈円卓〉において、そんな彼の意見に耳を貸してくれる者は酷く少なかった。そして先の作戦での失態から、発言力は更に低下している。
そしてせっかく捕らえた
恐らく……この場で、再びショカゴラは吊るし上げられる。
先の掃討戦できちんと
……この中の何人かは、ショカゴラが
それが
かと言って隠し切れたとしても、上記の弱みを握られていることに加え、『
(―――……糞ったれッ!)
己の無力さを。
だがそれ以上に――自分の保身と利益のことしか考えていない他の者達の悪辣な